Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.14【慧理那の変化】

アルティメギル基地。

 

その廊下にて、ユウは一人寂しく歩いていた。

 

(あいつら、また面倒なことを…)

 

彼は、別に仕事が無いわけではない。

仕事に必要な材料や道具こそあれど、進んでいないのだ。

何故、動かないのか?

 

(折角のチャンスを無駄にしたな)

 

そう、来るべき時を待っていた。

もっとも、彼が言うように、その時を逃す結果となったが…

 

(せめて、『彼女』がいれば、このようなことにならずに済んだものを…)

 

そう思って、ユウは上を見上げる。

姿は怪物であるため、表情は変化しない。

しかし、何処か寂しさが出ているような感じで、虚空を見つめ続けていた。

 

☆☆☆

 

「「えええぇっ!?」」

「な、何で入らないんですか!?」

 

私が勧誘を断ったことにひどく驚く、ツインテール部のみなさん。

えっ… 私、悪いことしたかな?

 

「いや… 入るにしても、場違いじゃないかな、私は」

 

頬を軽く掻きながら、そう答えるしか無かった。

だって、ポニーテールだよ!

ツインテール部のイメージとしては合わない気がする。

 

「あっ、もしかして雰囲気に合わないと思っていませんか!?」

「そりゃまぁ、ネ…」

「大丈夫です! 私もツインテールじゃありませんし」

 

確かに、今はツインテールはしていない。

だが、かつて観たドラグギルディ戦において、私は彼女の過去を知っている。

自身のツインテール属性を手離し、観束君に託したという悲しい過去を。

だからこそ、彼女は本当にツインテールを愛していると感じる。

 

「…髪型で決めているわけじゃないの」

「えっ」

「悪いけど、私はあなたたちの気持ちには答えられない」

 

そう答えた後、暫くの静寂が漂った。

熱心な勧誘は素晴らしいけど、ツインテールをしたことが無い私には理解できない。

だから、そう答えるしかなかったのだ。

 

「それに、無理強いは良くないで」

 

今まで黙っていたリン、が静寂を破った。

比較的小さい声だったが、元々人気が無い事と静寂が支配していたこともあって、よく聞こえた。

 

「別に、この学校は強制的に部活に入るわけ(ちゃ)うし」

「それはそうですけど…」

 

更に自信を無くすトゥアール。

 

「なら、この話は終わりや。そろそろせんと、授業が始まってまうで」

「「「………」」」

 

もう、お昼ご飯を楽しむ雰囲気では無いな。

リンの言葉に従い、トボトボと自分たちの教室に戻った3人。

 

(……ごめんなさい)

 

私は、彼らの背中に向けて謝罪するしかなかった。

本当なら、彼らの力になりたい。

トゥアールが、必死に私を誘う理由も分かっている。

だけど…

 

「いおりん、行くで」

「…うん」

 

私とは考え方が違う以上、入るわけにはいかない。

…もしかしたら、彼らと戦うことになるかもしれない。

 

「……まさかね」

 

そんな事を考えながら、私も教室に戻ることにした。

 

☆☆☆

 

ツインテール部の勧誘を断った翌日。

 

いつものように、にテレビをつける。

テイルレッドが現れてから、ワイドショーの大半はツインテイルズについてである。

正直、飽きてきた。

実際、新しい戦闘シーンが撮れていないのか、今までのを回していることが多い。

どうせまた、同じようなものでしょ。

そう思っていた。

だけど、今日はそのワイドショーを見過ごす事ができなかった。

 

『もっと見て下さいませ、ご主人様~!』

 

そこには、一斉射撃形態(フルブラストモード)の黄色のツインテイルズ。

今まで居なかったことから、新戦士と思う。

だけどそれだけなら、私がテレビに食い付く理由としては足りない。

気になっていたのは、

 

「ぇ、慧理那…?」

 

新戦士が私の友達の慧理那だったから。

だけど、身長が全然違うし。

というより、成長してる?

そういえば、観束君の家でトゥアールが説明してたっけ。

認識攪乱装置(イマジンチャフ)は親しい人など、ツインテイルズの正体を知っている人には効かない』って。

だけど、これは…

 

『ですからもう一刻の猶予もならないのです! テイルブルーが味方だと、野党の反対を押し切って放置しておいて、今度はあの凶暴な新しいツインテイルズですよ!?』

『そもそも何故ツインテイルズと呼ばなければいけないのです、もうあれは別のなにかでは!?』

『総理、すでに世界中から非難を受けていますが、いかがなさるおつもりですか!!』

 

テイルブルーと同じ、化け物扱いって…

力があるのはいいが、ここまで非難される戦士も珍しい。

ただ、その非難の矛先が慧理那でなければ、スルーできたのに…

というより、ついに慧理那も『変態(ヘンタイ)』の仲間になってしまったか。

 

(知らない方が良かったな)

 

とてつもなく、慧理那が遠い存在となってしまった。

その事実に、私はorz状態になるしかなかった。

 

 

 

 

 

「…大丈夫?」

「……」

 

机で突っ伏している私を隣の人に心配された。

あまり親しくない、男子生徒にまで心配されるなんて。

よっぽど落ち込んでいるんだな、私って。

それを見てか、数人が私のところに集まってきた。

 

「エリナが、エリナが…」

「会長がどうかしたの?」

 

まさか、ツインテイルズになるなんて。

いや、慧理那もツインテールをしている以上、可能性はあった。

何故、こんなことに…

 

だけど、ツインテイルズが正体を隠しているから、リン以外誰にも相談できない。

当人である慧理那は、生徒会の仕事か今日は会っていない。

だったら、ツインテール部の3人に会えばいいじゃないか。

そう思ったけど、断っている手前、会いにくい。

 

「あまり心配事を抱えてもしょうがないよ。もっと前向きに行かなきゃ!」

「そうそう、いおりんらしくないよ!?」

 

クラスメイト達が励ましのエールを送ってくれた。

そうだよね。

今、落ち込んでいてもしょうがないよね。

 

「うん。みんな、心配してくれてありがとう」

 

私は顔を上げてそう返事した。

放課後になったら、リンに会って相談しよう。

 

☆☆☆

 

「ふ~ん… 慧理那ねぇ…」

 

放課後の中庭。

リンは興味なさそうに返事をした。

ぁ、生徒会は終わっているから大丈夫だよ。

 

「で、様子はどうだった?」

「まぁ、何か悩んでるようなんは確かや」

 

何か、か…

恐らく、ツインテイルズについてだろうな。

もしかしたら、今後は付き合いが減ってしまうかもしれないね。

そう思うと、ちょっと寂しくなる。

 

「ウチらはどうするかやな」

「どうもこうも、普通に生活すれば問題ないんじゃ?」

「あぁ、それやけど―――」

 

『ピピピピッ!! ピピピピッ!!』

 

リンが話そうとしたとき、どこからか音が聞こえてきた。

着信か何か、かな?

 

「……」

 

ふと、リンの方を向くと目を閉じ、何処か沈んだような感じで黙っていた。

 

「ぇ、えっと…」

「…ハァ」

 

深いため息をついた後、リンはバッグから何かを取り出した。

 

「それって…!!」

 

以前、ユウからもらったノートパソコンだった。

だけど、なぜ今?

 

「伊織」

 

珍しく、ニックネームでなく名前で呼んだリン。

それだけでも、ただ事じゃないのが分かる。

 

「ユウと()うたとき、『すでに君たちは巻き込まれている』って言うとったよな?」

「それが、何か?」

「ウチらは、彼らの戦いからは逃れられへんみたいやわ」

 

そう答えながら、パソコンを操作していく。

やがて映し出されたのは、

 

『いやああああ触手ーーーっ!!』

『勝負を捨てるか、テイルレッド!?』

 

ツインテイルズとアルティメギルの戦闘だった。

場所は、市街地からかなり離れた工場跡。

だた、アルティメギル側がリヴァイアギルディとクラーケギルテディなのに対し、ツインテイルズはレッドとブルーのみ。

イエローはどうしたんだ?

 

「何で、私達がこれを見なくちゃいけないの?」

 

別に、私はツインテイルズの事はどうだっていい。

でも、エリナの無事は願うけど…

わざわざ、リアルタイムで観ることなの?

 

「ウチかて見とうないわ!」

「だったらーーー」

「やけど、このパソコンはウチにとって重要なもんやし、何でか追いかけて来るねん」

「ハァ?」

 

パソコンが追いかける?

どんな怪奇話なのよ、それ…

 

「あんまり冗談いうと怒るよ…?」

「いやいやホンマホンマ! てか、むっちゃ顔怖いんですけど!?」

 

私の怒気にたじろぐリン。

その頬には、暑さのせいでない汗が一筋流れている。

 

「……」

「せやから、信じてーな!!」

 

リンの目を見る限り、嘘はついていないみたい。

ふと視線をパソコンの画面に戻すと、

 

『ハハハッ! 貧乳は付加価値(ステータス)? それはステータスでもバッドステータスです!!』

『貧乳貧乳うるせえええ!!』

『リヴァイアギルディ!』

 

リヴァイアギルディがブルーに倒された。

しかも、素手でフルボッコにして。

これ、R-18指定にした方が良くね?

そう思えるほど、映し出された画面は殺戮劇場と化していた。

 

「慧理那、大丈夫かな…?」

「色んな意味で、常人を超えとるな」

 

残されたクラーケギルディは、テイルイエロー―――慧理那と対峙する。

いくらヒーローものが好きと言えど、慧理那は戦闘に関しては素人同然。

…戦えるの?

 

『終わりだ……! 貴様には求婚では無い、全力の攻撃と思い知れ!!』

 

その言葉と共に、彼の持つ全ての触手がイエローに襲いかかる。

天を覆いつくそうかと言うほどの、無数の触手。

あれじゃ、穴あきにされちゃう…!

 

「慧理那っ!!」

 

『こういうのは、全て撃ち落とすのが通例ですわ!!』

 

イエローは、全ての武器を展開し、触手を撃ち落としていく。

いわゆる一斉射撃形態(フルブラストモード)だ。

イエローは、遠距離タイプの戦士か。

ただ、リンが何処かつまらなそうに見ていたのは、気のせい…?

 

やがて、この打ち合いは終わりを告げる。

拮抗していた両者だったけど、『脱ぐ』ことに目覚めたイエローはその威力を増した。

クラーケギルディの触手を押し返し、本体にダメージを与えた。

だけど撃ち尽くしたのか、あんなに重そうだった装備が外れ、無防備に等しい。

これじゃ、分が悪すぎだよ!

 

『甘く見ていたぞテイルイエロー。ここまでの潜在能力(ツインテール)だったとは…』

『ご覧あそばせ! 私の…完全開放(ブレイクレリーズ)!!』

 

そう言って、ツインテールをバネにして飛ぶイエロー。

それに追従して、撃ち尽くし、周りに転がっていた武装が空中で巨大な武器に。

 

『ボルティック・ジャッジメント!!』

 

巨大な武器から撃ちだしたのは、雷をまとったイエロー。

その弾丸(イエロー)はまっすぐ、残りの武器である剣を正面に構えるクラーケギルディに向かう。

そして… 打ち抜いた。

 

「なっ…!!」

「ぅ、うそでしょ?」

 

攻撃の威力に耐え切れず、クラーケギルディは爆発した。

あれが、慧理那?

まるで別人じゃない!?

必殺技を使用した後、倒れこんだイエロー。

これで終わったかな…

だがその後、恐ろしい事態が起きた。

 

「なにあれ!?」

「うわ、気色悪っ!!」

 

クラーケギルディは、自身の触手をリヴァイアギルディに突き刺し、融合したのだ。

その姿は、触手でツインテールとした怪物。

あれが、最後の切り札的なものかな?

しかし、それにもひるむことなく猛然と切りかかるレッド。

その剣に籠められた『覚悟』に敗れた、怪物。

レッドが属性玉(エレメーラオーブ)を回収し、戦闘は終わりを告げた。

 

「慧理那…」

 

彼女が、本当に遠くなったみたい。

あの、小さくて、でも頑張り屋な生徒会長が…

今後は付き合いを改めようかな。

 

『ピピピピッ!! ピピピピッ!!』

 

「またか?」

「今度は何!?」

 

次に現れるのもエレメリアンだと思っていたが、どうやら違うみたい。

今度は、テイルレッドの様子が変だ。

 

『貴方を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に、戦って欲しい』

 

現れたのは、黒い鎧に包まれた少し幼げな戦士。

背丈はレッドと似たようなかんじかな。

あれ、アルティメギルに人間なんかいたっけ?

 

(でも、この感じ…)

 

性別こそ違えど、何処かユウと似ているのは気のせいか?

そんなことを思いながら、延長戦は幕を開けようとしていた。

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