Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.15【新たなる敵】

『貴方を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に、戦って欲しい』

 

そんな言葉をテイルレッドに語り掛ける、黒の戦士。

 

(何で、人間がアルティメギルにいるの?)

 

目の前に映る画面に対して、まず私が思ったことがそれだった。

 

(まさか、人間を裏切った者がいるってこと?)

 

しかしアルティメギルと言えど、人間を味方にするのはどうだろう。

人間とエレメリアンは、お互いに憎みあう関係。

決して相容れるはずが無い。

 

「またまた面倒(めんど)くさい展開になったなぁ」

「でも、これって…」

 

今までは、怪物相手だったからためらう理由は無かった。

だけど、今はどうだ?

鎧を纏っているとはいえ、見た目は人間だ。

人間相手では、そんな理屈は通じない。

 

(これも、アルティメギルの作戦…?)

 

あえて人間同士で戦わせることによって、ツインテイルズに躊躇させるつもりなんだろうな。

これは、戦いがより厳しくなった。

 

(あれ…?)

 

ここで、ようやく私は違和感に気付いた。

 

「ねぇリン。なんで、この子は『トゥアール』に話してるの?」

「おろ? そういえばそうやな」

 

『トゥアール』なんて名前の人は、そうはいない。

私がその名を聞いて思い浮かんだのは、ツインテール部にいた白衣の女子生徒。

だけど、黒の戦士が語り掛けているのはテイルレッド。

 

((もしかして… テイルレッドをトゥアールと間違えている?))

 

そんな結論に私達は至った。

彼女たちはどうするんだろう、この状況?

 

『イースナ! 何故、この世界に!?』

 

おっ、レッドの声が変わった。

今流行りの戦士は、変声機能も備えているのか…

 

「いおりん、そこ関心するとこちゃうで」

 

こいつ… 心の中を読めるのか?

そう思えるほど、正確なツッコミ。

なるほど、なかなか手ごわい。

 

しかし、しばらく会話を聞いてみると、敵もある種強い。

なにせ、トゥアールを追ってこの世界に来たぐらいなのだから。

その執念もそうだが、画面越しでもわかる威圧感(プレッシャー)

 

(ドラグギルディと同じ… いや、それ以上の強敵!?)

 

正直、私は震えていた。

ここまで、『怖い』と思ったのは久しぶり(・・・・)だ。

実際に戦うのは彼女たちなのに、なんで…

 

「何や、話が滅茶苦茶や」

 

だけど、戦闘をすることなく去っていく黒の戦士―――イースナ。

去り際にも、トゥアールと連絡が取りたいが為に自身のアドレスを執拗に奨めていた。

そこまでして、連絡がしたいのか?

友達、いないのかな?

 

(…大変だなぁ、色んな意味で)

 

そんな他人事みたいなことを、私はこの一部始終を見ながらそう思った。

 

☆☆☆

 

アルティメギル基地。

 

部下への支持が落ちたであろう、振る舞いを行ってしまったイースナ。

なお、彼女はアルティメギル内では『ダークグラスパー』として名が通っている。

 

「ほんま、イースナちゃんは友達作るの下手やなぁ……」

「あ、あいつらがいけないんだもん」

 

自分の部屋で、ようやく落ち着きを見せるイースナ。

その後ろから、関西弁で突っ込みをみせた者がいた。

名は『メガ・ネプチューンmkⅡ』。

その者は、異形揃いのエレメリアンとは一線を引く。

何故ならば、その身体は金属でできているからだ。

 

「相変わらずだねぇ」

 

平素からあまり来客がない部屋に、いるはずのない声が響く。

 

「チッ…」

「あら、"怨み"やないか」

 

いつの間に、この部屋に入ったのか。

首領直属の戦士でさえ、気配を感じさせない。

明らかに、強者の領域にいる。

何より、ダークグラスパーを苛立たせていたのは、『彼が何を考えているのか分からない』ということだ。

それは何故か?

 

そもそも、何故彼女はテイルギアをまとっていたのか。

厳密には、彼女のギアはツインテール属性によるものではない。

彼女は、『グラスギア』というものを着けている。

その媒体はメガネだが、決して普通のメガネではない。

(ゴッド)眼鏡』と呼ばれ、のメガネは全てを見通せると言われている。

事実、その場にいなかった者の考えまで見抜いている。

 

しかし、そんな眼鏡ですら見通せないものがあった。

それが彼、"怨み"である。

何を考えているか分からない、と言う不安要素が彼女を不機嫌にしているのだ。

そんな彼を警戒してか、すぐさまダークグラスパーに変身した。

 

「何しに来た、"怨み"?」

「何しに? それは勿論、君に会いにさ」

「良かったなぁ、イースナちゃん。わざわざ会いに来てくれる友達ができて」

 

呑気にメガ・ネプチューンが喜ぶが、イースナの顔に喜びが無い。

 

「それだけではなかろう?」

「まぁ、そうだよ」

 

ダークグラスパーの放つ威圧感(プレッシャー)にも屈せず、飄々と答えるユウ。

 

「だけど、あれは酷かったよね。」

「あれ?」

「ツインテイルズと接触した時のことさ」

 

不機嫌であったイースナの顔が、更に険しくなる。

 

「アイツが君の知り合いかどうかは知らない。だけど、明確に我々の敵であるならば、即刻排除すべきだったよね?」

「お主はそう言うが、わらわにとっては大切な人(・・・・)! いくら貴様といえど、横槍は入れさせぬぞ!!」

 

怒りの形相でユウを睨み付けるが、彼は妖しさを含んだ笑みで返す。

 

「なぁ、ええんか、"怨み"?」

「ん?」

 

今まで空気と化していたメガネプチューンから声がかかった。

 

「あんさんの仕事は終わったんか?」

「おっと。元々、ここへは寄り道で来たんだった。それじゃ」

 

キュピーン、と効果音が付きそうな台詞で退室するユウ。

だが、姿が怪物なだけに似合わない。

 

「何やアイツ。言いたいことだけ言って、行ってしもうた」

「……」

 

再び2人、いや1人と1体の空間ができたが、このような事の後では精神的に落ち着かない。

 

☆☆☆

 

新しい敵と(パソコン越しだが)垣間見えた翌日。

 

本当にテイルレッドの人気は衰えないな。

改めてそう思うのは、朝のニュースを見たからだ。

その内容は

 

"ツインテイルズをハリウッドが映画化"

 

何か人気が出ると、直ぐに食いつく。

それが人間だ。

しかし、ハリウッドがね…

 

(無茶があるんじゃ?)

 

そう思うのは、テイルレッド役の女優が、字幕で映し出される通訳と反して顔が乗り気でないこと。

そして、ブルー役が…

 

『僕は、監督からのラブコールでこの役を受けたんだけど、自分でも是非やりたいと思っていたよ。確かに、僕はテイルブルーに比べたらちょっと筋肉がモリモリだけど、後はさほどが無いと思っているからね』

 

男性。

しかもノリノリだし。

しまいにゃ、女子アナが「カツラでなく自分の髪を伸ばして演技する」との解説で締めくくった。

 

(……)

 

私は遠目とは言え、ブルーの戦いざまを体験した。

あれを、全世界に見せるのか?

 

(…終わったな)

 

更にブルーの凶暴さを高めるだろうな。

願わくば、もう一度考え直してください、監督。

届くはずの無い願いをするほど、私はブルーを恐れていた。

 

『眼鏡がチャーミングですね~。でも、コンタクトにしたらもっと可愛いんじゃないですか? 私も今コンタクトなんですよ~』

『えっ、コンタクトなんですか? 死ねばいいのに♪』

 

ワイドショーが別の話題に移った。

今回は、うなぎ登りに人気が上昇しているアイドル、善砂闇子(いいすなあんこ)

やたら眼鏡を推していることが特徴だ。

あ~ぁ、インタビューにきた女子アナにまで毒舌をかまして。

 

だけど、ただのアイドルとして流せばいいのに。

何故か目を逸らすことが出来なかった。

まさか、あの子を一目で見惚れた?

 

(そんなバカな…)

 

一抹の不安を抱えながらも、学校の支度をするためにすぐテレビの電源を切った。




『俺、ツインテールになります。』6巻、発売されましたね~
もしかしたら、オリジナル展開をしなければならないかもしれませんが……

まだ未定です。
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