『貴方を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に、戦って欲しい』
そんな言葉をテイルレッドに語り掛ける、黒の戦士。
(何で、人間がアルティメギルにいるの?)
目の前に映る画面に対して、まず私が思ったことがそれだった。
(まさか、人間を裏切った者がいるってこと?)
しかしアルティメギルと言えど、人間を味方にするのはどうだろう。
人間とエレメリアンは、お互いに憎みあう関係。
決して相容れるはずが無い。
「またまた
「でも、これって…」
今までは、怪物相手だったからためらう理由は無かった。
だけど、今はどうだ?
鎧を纏っているとはいえ、見た目は人間だ。
人間相手では、そんな理屈は通じない。
(これも、アルティメギルの作戦…?)
あえて人間同士で戦わせることによって、ツインテイルズに躊躇させるつもりなんだろうな。
これは、戦いがより厳しくなった。
(あれ…?)
ここで、ようやく私は違和感に気付いた。
「ねぇリン。なんで、この子は『トゥアール』に話してるの?」
「おろ? そういえばそうやな」
『トゥアール』なんて名前の人は、そうはいない。
私がその名を聞いて思い浮かんだのは、ツインテール部にいた白衣の女子生徒。
だけど、黒の戦士が語り掛けているのはテイルレッド。
((もしかして… テイルレッドをトゥアールと間違えている?))
そんな結論に私達は至った。
彼女たちはどうするんだろう、この状況?
『イースナ! 何故、この世界に!?』
おっ、レッドの声が変わった。
今流行りの戦士は、変声機能も備えているのか…
「いおりん、そこ関心するとこちゃうで」
こいつ… 心の中を読めるのか?
そう思えるほど、正確なツッコミ。
なるほど、なかなか手ごわい。
しかし、しばらく会話を聞いてみると、敵もある種強い。
なにせ、トゥアールを追ってこの世界に来たぐらいなのだから。
その執念もそうだが、画面越しでもわかる
(ドラグギルディと同じ… いや、それ以上の強敵!?)
正直、私は震えていた。
ここまで、『怖い』と思ったのは
実際に戦うのは彼女たちなのに、なんで…
「何や、話が滅茶苦茶や」
だけど、戦闘をすることなく去っていく黒の戦士―――イースナ。
去り際にも、トゥアールと連絡が取りたいが為に自身のアドレスを執拗に奨めていた。
そこまでして、連絡がしたいのか?
友達、いないのかな?
(…大変だなぁ、色んな意味で)
そんな他人事みたいなことを、私はこの一部始終を見ながらそう思った。
☆☆☆
アルティメギル基地。
部下への支持が落ちたであろう、振る舞いを行ってしまったイースナ。
なお、彼女はアルティメギル内では『ダークグラスパー』として名が通っている。
「ほんま、イースナちゃんは友達作るの下手やなぁ……」
「あ、あいつらがいけないんだもん」
自分の部屋で、ようやく落ち着きを見せるイースナ。
その後ろから、関西弁で突っ込みをみせた者がいた。
名は『メガ・ネプチューンmkⅡ』。
その者は、異形揃いのエレメリアンとは一線を引く。
何故ならば、その身体は金属でできているからだ。
「相変わらずだねぇ」
平素からあまり来客がない部屋に、いるはずのない声が響く。
「チッ…」
「あら、"怨み"やないか」
いつの間に、この部屋に入ったのか。
首領直属の戦士でさえ、気配を感じさせない。
明らかに、強者の領域にいる。
何より、ダークグラスパーを苛立たせていたのは、『彼が何を考えているのか分からない』ということだ。
それは何故か?
そもそも、何故彼女はテイルギアをまとっていたのか。
厳密には、彼女のギアはツインテール属性によるものではない。
彼女は、『グラスギア』というものを着けている。
その媒体はメガネだが、決して普通のメガネではない。
『
事実、その場にいなかった者の考えまで見抜いている。
しかし、そんな眼鏡ですら見通せないものがあった。
それが彼、"怨み"である。
何を考えているか分からない、と言う不安要素が彼女を不機嫌にしているのだ。
そんな彼を警戒してか、すぐさまダークグラスパーに変身した。
「何しに来た、"怨み"?」
「何しに? それは勿論、君に会いにさ」
「良かったなぁ、イースナちゃん。わざわざ会いに来てくれる友達ができて」
呑気にメガ・ネプチューンが喜ぶが、イースナの顔に喜びが無い。
「それだけではなかろう?」
「まぁ、そうだよ」
ダークグラスパーの放つ
「だけど、あれは酷かったよね。」
「あれ?」
「ツインテイルズと接触した時のことさ」
不機嫌であったイースナの顔が、更に険しくなる。
「アイツが君の知り合いかどうかは知らない。だけど、明確に我々の敵であるならば、即刻排除すべきだったよね?」
「お主はそう言うが、わらわにとっては
怒りの形相でユウを睨み付けるが、彼は妖しさを含んだ笑みで返す。
「なぁ、ええんか、"怨み"?」
「ん?」
今まで空気と化していたメガネプチューンから声がかかった。
「あんさんの仕事は終わったんか?」
「おっと。元々、ここへは寄り道で来たんだった。それじゃ」
キュピーン、と効果音が付きそうな台詞で退室するユウ。
だが、姿が怪物なだけに似合わない。
「何やアイツ。言いたいことだけ言って、行ってしもうた」
「……」
再び2人、いや1人と1体の空間ができたが、このような事の後では精神的に落ち着かない。
☆☆☆
新しい敵と(パソコン越しだが)垣間見えた翌日。
本当にテイルレッドの人気は衰えないな。
改めてそう思うのは、朝のニュースを見たからだ。
その内容は
"ツインテイルズをハリウッドが映画化"
何か人気が出ると、直ぐに食いつく。
それが人間だ。
しかし、ハリウッドがね…
(無茶があるんじゃ?)
そう思うのは、テイルレッド役の女優が、字幕で映し出される通訳と反して顔が乗り気でないこと。
そして、ブルー役が…
『僕は、監督からのラブコールでこの役を受けたんだけど、自分でも是非やりたいと思っていたよ。確かに、僕はテイルブルーに比べたらちょっと筋肉がモリモリだけど、後はさほどが無いと思っているからね』
男性。
しかもノリノリだし。
しまいにゃ、女子アナが「カツラでなく自分の髪を伸ばして演技する」との解説で締めくくった。
(……)
私は遠目とは言え、ブルーの戦いざまを体験した。
あれを、全世界に見せるのか?
(…終わったな)
更にブルーの凶暴さを高めるだろうな。
願わくば、もう一度考え直してください、監督。
届くはずの無い願いをするほど、私はブルーを恐れていた。
『眼鏡がチャーミングですね~。でも、コンタクトにしたらもっと可愛いんじゃないですか? 私も今コンタクトなんですよ~』
『えっ、コンタクトなんですか? 死ねばいいのに♪』
ワイドショーが別の話題に移った。
今回は、うなぎ登りに人気が上昇しているアイドル、
やたら眼鏡を推していることが特徴だ。
あ~ぁ、インタビューにきた女子アナにまで毒舌をかまして。
だけど、ただのアイドルとして流せばいいのに。
何故か目を逸らすことが出来なかった。
まさか、あの子を一目で見惚れた?
(そんなバカな…)
一抹の不安を抱えながらも、学校の支度をするためにすぐテレビの電源を切った。
『俺、ツインテールになります。』6巻、発売されましたね~
もしかしたら、オリジナル展開をしなければならないかもしれませんが……
まだ未定です。