あまり原作を引用しないようにしていたら、こんなことに…
最近、何時にも増してテイルブルーへの風当たりが強い気がする。
そう思ったのは、偶然あるワイドショーを見たからだ。
テイルブルーが野生の動物と見比べられている。
しかも、チーターより速いって…
彼らコメンテーターは、話すのが仕事とはいえ、あまりにもブルーの扱いが雑すぎる。
アルティメギルの侵攻が緩慢であることもあってか、人類は危機にあるという事実を認識していないのか。
(……)
もっとも、カーペットでゆったりしている私が思うセリフではないと思っているけど。
☆☆☆
「…よし、これで終わりっと」
私以外は誰もいない、生徒会室でずっと仕事をしていた。
えっ、何で私だけかって?
「まったく、リンも仕事しなさいよね」
相変わらず、リンが残した仕事を私が行うはめになったのだ。
慧理那とリンは部活に参加しているけど、リンのサボりが更にひどくなった気がする。
『仕事終わったら、基地に来て~。面白いものが見れるで』
仕事中に来た、リンからのメールにはそんな内容が書かれていた。
文章からは、謝辞の念が無さすぎる…
これは、お仕置きが必要だな。
(もしにいたら、とっちめてやる!)
私がいる学校から基地までは、何かの
どんなことしたらそうなるのか、トゥアールさんに一度聞いたら、
「それはまぁ… 企業秘密ってやつで」
と、上手くはぐらかされた。
観束君達にも聞いてみたけど、
「実は、俺たちもその様子は見てないんです」
「あれは、どう表現すればいいのか…」
「「???」」
たぶん、知らないほうが良いかもしれない。
リンの飴並みに。
リンのいる基地の前に着くと、何やら騒がしい。
時折、何かが壊れたような音が聞こえるけど、気のせい…?
そんな事を思いつつも、ノックを3回する。
しかし、中からは何の反応も無い。
というより、聞こえていないのかもしれない。
まぁいい。
これは『入っても構わない』ということなのだろう!
「入るよ~…」
扉を先には、信じられないものがあった。
「ぁ、あれ…?」
「せ、先輩ぃ~…」
「あの、その、これは…!?」
男子夏服を着た女子と、その子の胸をわしづかみにするトゥアール。
「トゥアール、離れなさいよ!!」
「そうですわ! わたしの御主人様に何をなさるの!?」
そしてそれを引き剥がさんとする津辺さんと慧理那。
「ププッ、ナイスタイミングやな」
それを楽しそうに見ているリン。
私が部室に入ったことで、しばらく時間が止まった気がした。
「えっと… その、ごめんなさい!?」
その雰囲気に耐えきれず、私は一旦部室から出た。
女の子同士のスキンシップなのに、何故か見てしまったという罪悪感が芽生えてしまった。
コレハイッタイドウイウコト!?
『ちょっと、入っても構いませんから、助けてください~!』
☆☆☆
さっきの騒動が一段落して、やっと私は話せる状況ができた。
「リン、生徒会の仕事終わったから」
「おおきにな、いおりん」
「部活に行く前に、終わらせなさいよね」
「善処するわ」
とりあえず、リンに報告と厳重注意をしたあと、最大の疑問を私はぶつけた。
「ところで、彼女は誰?」
私とは対角線上に座っている、小柄な女の子。
髪は赤色でツインテール。
発育は… 良いみたいね。
私やトゥアールさんには、負けているけど。
「それに観束君は? もしかして、休み?」
いくら部室を見回しても、彼は何処にもいない。
ならば、そう考えるのが普通である。
だけど、返ってきたのは意外な答えだった。
「あの、総二ならここにいますよ」
そう言いながら、津辺さんは隣に座っている赤毛の女の子を指した。
「いや、冗談でしょ」
数日会わなかったとはいえ、私が彼の顔を見間違える訳がない。
それに、目の前の子が本人である確証も無いはず。
「いや、本当なんですって」
赤毛の子は、必死にアピールしているけど、やっぱり信じられない。
それなら、いくつか質問してみようかな。
「じゃあ、観束君のお店の名前は?」
「アドレシェンツェ」
「私の名前は?」
「長瀬伊織さん」
……軽くしてみたけど、ぴったり合わせてくるわね。
もっと、本人にしか分からないようなことは---
「そういえば、先輩達を善砂闇子のライブで見かけましたよ?」
『!?』
この発言に、私やリンだけでなく、部員達も驚いた。
何しろ私とリンがライブに行ったことは、誰にも話していない。
いや、それ以前に観束君に見られていたのか、私達。
「伊織先輩達も、ライブ行ってたんですか!?」
「えぇ、あんな事になるとは思わなかったけどね」
「というか、総二様も予め言っておいてくださいよ!!」
「悪い悪ぃ、さっきまでスッカリ忘れてて…」
ウムム…
私とリンしか知らない事まで、知っているなんて。
これはもう、確定だね。
「…分かったわ。観束君って認めるしかないよね」
「いおりん…」
部室に安堵の息が出た。
よっぽど、どう説明すればいいか困っていたみたい。
「でも、問題はこれからだよね」
「あぁ、これじゃ学校にも行けやしない」
そう、彼が
というか、
「一体、どうなったら『女の子』になるわけ!?」
展開が凄まじかったのでスルーしていたけど、そこを説明してほしい。
これ、病気じゃないよね?
「これはもう…」
「素直に話すべきですよね…?」
これには、ツインテール部全員が顔を見合わせている。
よっぽど不味いものなのかねぇ。
「伊織先輩。これから話すことは決して誰にも話さないでください」
「えぇ、分かったわ」
「実は私たち---」
「なるほどね。そんな訳でツインテイルズをやっているのね」
「ハァ…」
しかし、無理矢理テイルレッドにされてしまうとは…
つくづく災難な男なんだね、彼は。
慧理那も慧理那で、やっぱり特撮ヒーローの感覚で戦っていた。
そんなヒーローに、私たちは応援をしていたのか。
正体がわかると、結構幻滅してしまうものである。
「それで、性転換してしまったのが敵の攻撃をうけたから、と」
「テイルギアを纏っている以上、それはあり得ませんがね!!(どうせなら、テイルレッドの状態でいてほしかった…(涙目))」
何故か、不満げに答えるトゥアールさん。
やっぱり男の方が、落ち着くのか…?
「でも、総二がこんな風になったのは基地に帰ってきてからよ」
「なら、ギアに何らかの不具合が生じたんとちゃうか?」
映像では、カタツムリのエレメリアンを撃破したあとに、その殻がレッドの近くで爆発していた。
観束君が心当たりがあるとしたらそれしかないと言う。
(でも、これからどうすべきか…)
それは皆同じか。
誰もがいい案を思い浮かべられず、いたずらに時が過ぎていく。
しかし、ハッと思いついたのか、慧里奈が突然立ち上がる。
「それなら、私達生徒会にお任せください!!」
その言葉は、普段の生徒会長ならば頼もしい。
しかし、今の彼女からはとてつもなく不安しか見えなかった。
☆☆☆
『そ、ソーラ・ミートゥカです。よ、よろしくお願いしましゅ』
(そう来たか、慧理那)
正直私は頭を抱えたいが、不信に思われないためにはこうするしか無かったのだ。
何しろ、あの後生徒会員でもない私は、転校手続きの書類作成を手伝わされるはめになったのだ。
「どうやったら、観束がいないことを納得させるんや?!」
「それでしたら、交通事故で死亡した、ということに---」
「まだ生きてますって!!」
「ならば、私と新婚旅行ということは---」
「「「桜川先生(あなた)は黙って(くださいの)!!」」」
とりあえず、彼女は外国の姉妹校からの体験留学生として編入してきたという設定。
これで、数日間は何とかしのげる。
代わりに、観束君は病気で学校に来られないようにした。
その病気は、
『えっと、彼女と交換で、1年の観束総二君は……え~となんだっけ、ツインテルエンザという病気の療養で外国に行きました』
そんな感じで、観束君のクラス担任は今そう話した。。
ツインテルエンザ。
何、そのインフルエンザをもじったような!?
だけど、何故か1年のエリアからは納得の声が上がる。
恐らく、彼が『ツインテール』という病気にかかっている事を知っているからだろうな。
哀れよの、観束殿…
まぁ、私が苦し紛れに提案したのがそのまま採用されてしまうなんて思わなかった。
これについては、私もスマナイと思っている。
何しろ…
「休学理由、ですか…」
「あいつは現在、女体化を除いてどこにも以上はないらしいわ」
「う~む」
名前なんかは、本名からいくらかいじって外国人らしい物にした。
一応、制服などの学校生活に欠かせないものは慧理那が用意してくれた。
ただ、休学理由が問題として残ってしまったのだ。
「何らかの病気、ということはどうでしょうか?」
「まぁ、あいつは『ツインテール』っちゅう病気には、かかっとるわな」
「あれは、治せるレベルではないとも思えるけど…」
それに、彼は現在テイルレッドとしてアルティメギルと戦う存在。
そこに関しては、私たちが突っ込むべきところではない。
「2月やったら、インフルエンザでどーにかできるんやけど」
「あぁ、誕生日が2月2日だからですからね」
「インフルエンザ…」
そのとき、私の中で何かがひらめいた。
「だったらツインテールとインフルエンザ、2つを合わせてみない?」
「「「は?」」」
ツインテール
本来ならば、あり得ない計算式。
だが、私はあえてそれを推すことにしてみたのだ。
今でも、何故そんなことをしたのかはよくわからない。
「すっげぇかわいいぃ!!」
「スリーサイズ、教えてください」
「彼氏いる!?」
もしかしたら、この学園に溶け込めないかもしれない。
そんな心配もいらず、無事に彼女はこの学園に入ることができた。
ただ、中身が『トラブルメイカー』である以上、その後が予想できて怖い。
☆☆☆
(ここを通ると、必ずと言っていいほど吐き気がする…)
アルティメギル基地。
その廊下を、速足で通り抜けようとする者がいる。
「おや、"怨み"様。どちらへ?」
声をかけたのは、
さっきまで修行をしていたが、彼の気配を察知したのだろう。
「あぁ、自室に向かおうとしていたところだ」
はっきり言えば、嘘である。
彼の部下・スネイルギルテディがツインテイルズに倒されたことを、報告しなければならない。
それは本来、管轄であるダークグラスパーが行うべきである。
しかし、「たまには仕事しろ」ということで任されてしまったのだ。
「それはどうでござろう。何やら、秘め事をなされておる様で」
「やはりわかるか」
何とか嘘をついてこの場から逃げようとしたが、そこは副官。
この程度では、ばれてしまう。
「スネイルギルディが、やられたそうだ」
「なんと…」
その報告に、アラクネギルディは落胆の声を上げる。
「共に戦ったワームギルディも倒されてしまったが、かつてないほどに恐怖に立ち向かってくれた。これで、残された奴らの士気が上がったことは間違いない」
「むぅ… 2人共、大儀であった…」
そう言いながらアラクネギルディの肩を叩く、ユウ。
そして耳元でそっと囁く。
「だからといって、うかつに動くな。2人の思いを無駄にしたくなければな」
「……!」
その声は低く、アラクネギルディの恐怖心を揺り動かせるには十分であった。
そして、これで役目を終えたと思ったのか、ユウは静かに立ち去っていく。
(まったく、ダークグラスパーも情けない。いい加減、何とかすべきか)
そう考え、最近再会した少女を思い浮かべる。
(しかし、あの少女は素晴らしい。あれならば、僕の計画に役立ってくれるはずだ…)
「クククククク……」
誰もいない廊下で、ユウの不気味な笑い声が響いた。
今回は結構書きにくかったです。
何度も推敲して、やっと納得のいく話になりました。
もっと長い話を、早く書ければ文句は無いと思いますねぇ…