Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.2【どうしてこうなった】

「…ん」

 

目が覚めた。

見えたのは、地面と薄暗い部屋。

寝転がっている状態なのだろう。

何処からか、焦げ臭い匂いもする。

(此処は…?)

何とか起き上がって、周りを見ようとした。

だが、身体が思うように動かない。

よく見れば、両方の足首と手首にリング状のモノが付いている。

恐らく、これは拘束具だ。

これでは、逃げ出すことは不可能だ。

てか、まずどうしてこうなったんだっけ?

 

―回想―

 

いきなり怪物が現れた。

…って、怪物!?

 

「ひっ!」

 

慧理那は思わず短い悲鳴を上げる。

 

「あ、貴方、何者なの!?」

 

私は慧理那を守るように前に出る。

私も内心ビビッていたが、一人で逃げ出すわけにもいかない!

…あれ?リンは?

さっきまですぐ近くにいたのに。

だがそれは、すぐに分かった。

 

「はぁ~、着ぐるみにしては、えぇセンスしとるわぁ」

 

怪物のすぐ近くで、その身体を眺めていた。

 

「この…戦闘員さんか?あっちと比べるとデザインがちっとダサいやん」

 

…リン、何やってるの??

 

「…む。何だこの娘は?ツインテールでは無いではないか」

 

怪物も突っ込むところ、ズレてるし。

なんだか話が噛み合わない。

 

「まぁ良い。目標は一人のみ。今すぐ捕えろ」

「「「モケ--」」」

 

やばい、このままだと慧理那が連れ去られてしまう。

ここはなんとか時間を稼がないと…

 

「あんたら、何ツインテールにムキになっとるん?」

「なに…!?」

 

ぁ…これは、ピ-ンチ!?

何やっちゃってるのょ~!!

 

「髪型一つで、細かい()っちゃ」

「小娘…良い度胸だな…」

 

うゎ~、完全に怒ってるよ。

理由は、確かにどうでもいいけど。

 

「面倒だ。ここにいる者を全て捕えろ!」

「「「モケケ―――」」」

 

-回想終了-

 

思い出した。

リンのせいで私まで巻き添え喰らったんだ。

そして、その当人は…

少し離れたところに、私と同じ状態でいた。

 

「気ぃ付いたか」

 

それも、呑気な声で。

 

「大丈夫!?」

「あぁ、ウチはな。それより、周りを見てみぃ」

 

そう言われて、周りを見る。

リンとはまた違うところに、捕えられたであろう女性たちが複数いた。

私やリンと違い、皆ツインテールをしている。

年代は、下は小学生から、上は高校生まで。

ツインテールさえしていれば、年齢はどうでもいいらしい。

拘束具はしていないが、全員怯えている。

怪物に襲われたとなれば、そりゃそうなるか。

むしろ、リンの様な気の強い女性は珍しいだろう。

そして、今気が付いたが、この焦げ臭い匂いは自動車の燃えた匂いだ。

だからか、少し息苦しい。

長く居れば、命に係わる…!

 

「者ども、集まれい!」

 

奥から、さらった張本人である怪物が来る。

あの時はよく見れなかったが、その身体は凄まじい。

体長は大人の男性よりも高い。

歩くたび、地面にヒビが入る。

 

(これはマズイ…!)

 

今更ながら、恐怖を感じる。

だが…

 

「ふははははは!!この生きとし行ける全てのツインテールを、我等の手中に収めるのだ――――!!」

相変わらず、この怪物の考えてることはよく分からない。

 

もぅ何なの、このギャップ。

頭痛がする…

すると、別の場所からまた捕えられた人達が黒い戦闘員に連れて来られる。

 

(ツインテールを収めると言ってたな。だけど、どうするつもりなんだ?)

 

いずれにせよ、暫くは動けない。

(様子を見るしかないな)

 

「それにしても、ツインテールの少ない世界よ―――嘆かわしい!これだけ電気と製鉄にまみれながらその実、石器時代で文明が止まってると見える!!」

 

(何やねん、あの怪物は。意味が分からん)

小声で、リンがそう言う。

 

「まあよい、それだけ純度の高いツインテールを見つけられようというもの!!」

 

確かに、意味が分からない。

一体、何を言ってるの?

 

「者ども、隊長殿の御言葉を忘れるなっ!極上のツインテール属性は、この周辺で感知されたのだ、草の根分けても探し出せい!!……兎のぬいぐるみの耳を持って泣きじゃくる幼女は、あくまでついでぞ!!」

「………モケェ?モケ」

「応よ、言われるまでもない!究極のツインテール属性の奪取は我らの悲願……だが!この俺も武人である前に一人の男……やはり、ぬいぐるみを持った幼女も見たいのだ1見つけた者には褒美を遣わすぞ!!」

 

…今更だけど、日本語上手だな。

だが話せる相手じゃないかも、色んな意味で。

 

「大人に用はない!手早くつまみ出せ!多少手荒でも構わぬ!!」

 

この指示に、戦闘員はテキパキと動く。

 

「モケ-」

「何、ぬいぐるみを持っている幼女がいない!?ふむ、女がぬいぐるみを持たぬなら、持たすが男の甲斐性よ!!構わぬ、連れてまいれ!!」

 

どうしても、ぬいぐるみなのね。

こいつの頑固さには、脱帽よ。

そしてまた、ツインテールの子が連れて来られた。

だが、その子は私がよく知ってる顔で…

 

「慧理那!?」

 

そう、一緒に捕まってしまった私のもう一人の友達であった。

 

「! 長瀬さん、雨宮さん、無事でしたの!?」

「慧理那はん、結構な待遇やなぁ」

 

慧理那の左右には戦闘員がつき、彼女は両腕を掴れていた。

 

「くっ…、慧理那をどうするつもり?」

「フッ、直ぐに分かる…」

 

あぁ、腹立たしい。

目の前にいながら、友達一人助けられないなんて。

 

 

 

「離しなさい!」

 

絶体絶命の状況で、慧理那は猛然と立ち向かう。

 

「ほほおう、なかなかの幼な子!しかも、どうやらお嬢様のようだな!!お嬢様ツインテール……まさしく完全体に近い!貴様が究極のツインテールか!!」

「究極……!?それよりあなた、何者なんですの!?人間の言葉が分かりますのね!?他の子たちを解放なさい!!」

「わかるとも。こうして意思の疎通ができているではないか。故に、解放はできぬと断ずる」

「では答えなさい、一体何のもくてきでこんな真似を!」

「いずれ分かる!まずは、者のついでよ――」

「貴様はこの子猫のぬいぐるみを持つがいい!敵意もまた愛らしさと光る……腕白な幼女には、子猫のぬいぐるみがよく似合うさあ、抱けい!!」

 

どこにあったのか、横幅が3メートルくらいのピンク色のソファーを戦闘員たちが持ってきた。

ぬいぐるみを持たされた慧理那は、そのソファーに座らせる。

 

「お前たち、この光景をしかと目に焼き付けよ!ツインテール、ぬいぐるみ、そしてソファ-にもたれかかる姿!これこそが、俺の長年の修行の末導き出した黄金比よ!!」

「「「モッケケケーー!!」」」

 

…その修行、もっと有効活用できたんじゃないかなぁ。

オタクに走った者の末路を垣間見た気がする。

 

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