Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.20【Summer、先取りっ!!】

ソーラがこの学園に編入して、しばらく経った。

容姿がテイルレッドと似ているのか、はたまたこの学園に話題の華が無かったからか。

編入初日は、とても凄まじいものだった。

全校集会による紹介後、何とか彼女をの接点を持とうと大勢の生徒が群がっていた。

例を挙げるならば、

 

「どうです、ソーラさん? これが日本の伝統、MIKOSHIです!!」

 

そう言いながらソーラ(観束君)を運ぶ筋肉質な男子生徒たち。

その肩には、確かに神輿が担がれている。

神輿に乗せられている彼女は、もう返事する気力が無いのか上の空状態。

 

「さぁ、我らと共に青春の汗を流そ---」

「何言っているの? こんな怪しい男共と付き合うより、当然私たちがいいよね?」

 

神輿隊の前をを塞いだのは、様々な部活の女子たち。

ソーラを何とか自分の部活に入れようと、皆が躍起になっていた。

まぁ、女体化した総二君はとてつもない程の人気があるので、分からなくもない。

 

「会長、ぜひ認可してもらいたい部があるのですが」

「これは、ファンクラブ、ですか…?」

「ここには、ツインテール部がありますよね? そこもツインテイルズのファンクラブのようなものですし、かまいませんよね!?」

 

とうとうファンクラブの創設まで出てきたか。

ただ、こんな騒ぎを起こせば---

 

「ほう。ここの学生どもは活気が溢れているようだな」

「「「ひぃ、桜川先生!?」」」

「ここに婚姻届けがある。これらを貴様らに『プレゼント』してやろうか」

「私たちは関係ありませんよね…?」

 

男女共に怯えさせてどうする。

血眼(ちまなこ)で婚約相手を探すその姿は、ある意味貞子よりも恐ろしいから。

 

「何を言う。貴様らとて、兄弟はいよう。その者にこれを渡してもらうだけの、簡単な仕事だ」

(えっ…)

「それともなんだ? あまり余裕を見せれば、たちまち婚期を見過ごす結果になるが、それでもいいのか?」

『いいいぃぃぃやぁぁ!!』

「同性すら恐れさせるとは、何とも凄まじい…」

「さぁ逃げ惑え、者共!! 10秒待ってやる。」

『ギャァァァ!?』

 

それはそれは恐ろしい鬼ごっこの始まりであった。

たまたま教室の近くであったために、私は中途半端にしか聞いていなかったが、蚊帳の外で本当に良かった。

結局、彼女はツインテール部に匿ってもらう形で仮入部してもらった。

だが、それで精神的苦痛が減った訳が無く、

 

「さぁ総二様、私とスキンシップをばーーー」

「そっから先は、言わせないわよ!!」

 

トゥアールさんが変態的な接触をすれば、津辺さんが物理的に制する。

これじゃ、普段と変わらないよね…?

 

 

 

 

 

「そうだ、海に行きませんか総二様?」

「観束くえええぇぇぇ!?」

 

そろそろ彼(彼女)のストレスが限界になりそうなので、エリナが何か提案をしようと思ったみたいだけど、トゥアールさんに先を越されたようだ。

 

「海?」

「えぇ、総二様もその姿では色々と不便でストレスも溜まっているようなので、気分転換をばーーー」

「本音は?」

「女体化した総二様にボディアタックを!」

「「やっぱりそれが目的かぁー!!」」

「ですくっ!?」

 

…動機が不純だったな、トゥアールさん。

だから2人にテーブルに叩きつけられる結果に…

 

「まぁ、ただの旅行では無く、『部活動』としてですが…」

 

額から流れ出る血を拭かずに話す彼女。

R-15指定に成りかねないから、止めて!

 

 

「なるほど、そうすれば堂々とできるね!」

「それなら、部費として出るんやないか? ここんとこ、ろくに活動してへんからなぁ」

「部活動となると、リンも行くの?」

 

リンは、正式な部員なのでもちろん行くだろうな。

でも、返ってきたのは意外な答えだった。

 

「ぁ~… 悪い、ちょっと行かれへんわ」

「あれ? いつもなら喜んで行くと思っていたけど」

 

それに、去年にリンやクラスメイトと海に行ってたけど随分と楽しそうにしていた。

だからこそ、断った事に驚いた。

 

「ちなみに場所は?」

「今回は、神堂家が所有するプライベートビーチです」

『ヤッフ―!』

 

プライベートビーチかぁ…

慧理那が言うんだから、相当デカいんだろうな、きっと。

 

「という訳で、ウチの代わりにこいつを連れてってくれんか?」

 

そう言いながら、私を前面に押し出した。

えっ、何で私が!?

 

「コイツはどうせ、バイト三昧で休みがほとんどなかったやろうから連れてって欲しいんや」

 

…よく分かってらっしゃる。

確かに、ここ最近は自分でもやりすぎなくらい働いている気がする。

時々、休み時間には机で寝ている事さえだ。

だからこそ、私を推したのだろう。

 

「まぁ、長瀬さんのご都合がよろしければ―――」

「行きますっ!!」

 

そう発言したときの私の眼は、とても輝いていたのかもしれない。

何しろ、皆が少し引いていたからだ。

そんなに引くことないのに…

結構ショックである。

 

そんなこんなで、私もツインテール部と共に泳ぎに行くこととなった。

 

 

☆☆☆

 

アルティメギル基地。

 

その廊下にはユウが歩いていた。

しかし、その周りの様子がおかしい。

ふと横切ったエレメリアンを見ると、まるで「見てはいけないものを見た」ような感じで歩くのだ。

 

(一体、何があった…?)

 

その理由を聞こうとも思ったが、ユウにすら気付かない程落ち込んでいたのだ。

これは、ダークグラスパーがここに指揮官として就任して以来の事だった。

 

(まぁ、時間を置いて聞くとするか)

 

しかし、皆を落ち込ませた原因は、意外と近くにいるものだ。

廊下を曲がったところには、有り得ない光景があったのだから。

 

「どうじゃ、メガ・ネ。これならば、次のライブも成功間違いなしじゃ!!」

「いや、今時スクール水着もどないなもんかねぇ…」

 

そこにいたのは、スクール水着を着たダークグラスパーと、間抜けな顔をしたサメ。

エレメリアンというには、全身が丸っこい。

人間の世界で言う、マスコットキャラクターのような外装である。

片方は兎も角、もう一方は見かけない顔である。

上官として無視をするわけにもいかないので、内心呆れつつも声をかける。

 

「…何やってんだ、ダークグラスパー?」

「おぉ、"怨み"。どうじゃ、似合うか?」

「スマンけど、ズバッと言うてくれへんか?」

 

あらためて、皆が落ち込んだ理由が分かった。

ダークグラスパーの体つきは、ハッキリ言って乏しい。

むしろ、一部の人間には人気が出そうだが。

下手に褒めても、ダークグラスパーを怒らせてしまっては、自分の身がどうなるかは明白だ。

事実、就任時にダークグラスパーとメルアド交換を拒んだエレメリアンは、きつい『オシオキ』をくらったそうな。

 

「あのなぁ… 『適材適所』って言葉、知っているか?」

「何じゃそれは? それに、妾が着たいものを今着て何が悪い!?」

 

その答えにユウとサメは深くため息をつく。

そして、本来ならば最初に尋ねるべき質問を投げ掛ける。

 

「えっと、お前は…?」

「ウチや、ウチ」

 

まるで自身の存在を誇示するかのように、短い腕(ヒレ?)を自分の顔を指す。

 

「まさか…メガ・ネプチューン!?」

 

ダークグラスパーの隣にいた、ボケッとしたサメが彼女と同一であると、にわかには信じられなかった。

何しろ、彼は金属質な姿しか見たことがなかったために、ギャップが凄まじいものだった。

まぁ、基地内で関西弁を扱うのは彼女のみなので、ボチボチ気付いて貰いたかったが。

 

「アッタリ~♪」

「アイドル活動に、あの姿では色々と都合が悪いと思ったからのう。ちなみに、これは妾の手作りじゃ」

 

その説明を聞いて、ユウはようやっと理解した。

 

「なるほど。それでライブがどうの言っていたが、それはーーー」

「いや、ライブはええねん。ただ、場所がかなり遠い無人島やねん」

「…色々とブッ飛んでる」

 

基本ライブを行う際は、ある程度人が集まりやすいところにするはずだ。

なのに、態々無人島で行うとは。

テレビ局の企画でも無い限り、普通のタレントならば避けるものだ。

 

「何を寝ぼけたことを!? 例えライブ会場が無人島でも、妾の真のファンならば来てくれるはずじゃ!」

「どっからそんな自信が出るんだか…」

「ウチも心配でしょうがないわ」

 

この小さな侵略者のトンデモ発言に、2人は深くため息をついた。

 

☆☆☆

 

後日。

 

「…うそでしょ?」

 

私たちは、神堂家所有のプライベートビーチに来ていた。

 

「ここが…私有地…?」

「えぇ、一応…」

 

あんぐりと呆けながら話す観束君に、慧理那はぎこちなく答える。

透き通るようなエメラルドブルーの海。

それに呼応するかのように、砂浜も光り輝いている。

 

「ここにいるのは私たちだけなので、思いっきり楽しんでください」

「まぁ、本当に私たちしかいないよね…」

 

何しろ、私たちがいるのは、島。

しかも、日本列島からかなり離れているために誰も訪れようとは思わないだろう。

こんなことなら、リンも来ておけば良かったのに。

 

「取り敢えず、ホテルで着替えましょうか」

「おっと総二様、この娘さりげなくエッチな方向へと誘ってますよ~」

 

トゥアールの発言の答えは、津辺さんの強烈な裏拳だった。

威力が凄まじく、砂浜を何度も跳ねながら飛んでいく。

部室もそうだけど、懲りないなぁ…

 

 

 

ホテルの一室にて。

部屋と言うにはいささか広いが、全員が問題なく着替えられるので大丈夫だろう。

 

「ふぅ… やっぱりキツいかな」

 

私が着ているのは、競泳水着。

それも黒をベースとし、両脇に水色のストライプが付いている普通のタイプ。

一応最近買ったものだけど、ちょっと無理があったみたい。

 

「なんで先輩はそんな普通のなんですか!?」

 

どこか悔しそうな目で話してくる津辺さん。

それも、何かを一生懸命上部(ブラ)に入れながら。

大丈夫、貧乳には貧乳の良さがあるから。

 

「何でって… まぁ、ビキニは定番だから?」

「敢えて誰も着ない競泳水着にした、ということですか…」

 

何故か、恨めしそうに見つめるトゥアールさん。

というか、この場にいる全員(女体化観束君を除く)が私に注目している。

 

「み、皆…? ちょっと目が怖いよ…?」

『お前みたいな巨乳には、どうせこの苦しみがわからないわ!!』

「え、えぇ~…」

 

その後胸を揉みしだかれたり、千切れんばかりに擦られた。

うぅ…、もうお嫁に行けない…

兎に角、全員が水着に着替えたので、早速観束君に見せてみるか。

 

 

 

「えっと…」

 

しばらくして、観束君は皆の前で気を付けの状態にされていた。

 

「お前は今は女とはいえ、男のはず。男ならば、女の水着姿を褒めるのが礼儀だ」

「は、はぁ…」

 

まぁ、確かに褒めてほしいよねぇ。

折角水着になったんだもの、ここで彼がどう思っているのか知りたいのが乙女心ってものよ。

だけど…

 

「「……」」

 

観束君と津辺さんの間には、しばらくの沈黙が続いていた。

彼女の水着は、薄水色のビキニ。

ただ、彼の目線はその上部に向けられている。

何だろうか、あえて言ってはいけないような、そんな雰囲気が漂う。

 

「……似合ってるな」

「……ありがと」

 

両者の会話も、どこかぎこちない。

うぅ、息苦しい。

 

「取り敢えず、他の皆はどうかな? 例えば、桜川先生とか」

「それは私も気になっていたところだ。さぁ、率直に述べろ!!」

 

何とか話題を逸らすことに成功。

横目で見るけど、先生もなかなかスタイル良いよね…

背中とお腹が大きく開いた水着。

普通なら派手すぎて着られないけど、先生の大人っぽさをより強調させている。

 

「凄く素敵です…、大人っぽくて」

「ふふん、そうだろう。」

 

感想を受けた先生は、どこか嬉しそう。

よっぽど不安だったんだな。

 

「えっと、私はどうでしょう?」

 

お次は慧理那。

その幼児体型をカラフルなフリル付ワンピースがより一層目立たせている。

普段の彼女はテイルイエローとして成長した姿で戦っているイメージが多い。

なので、こうして普通の体型の彼女を見るのは案外久しぶりな気がする。

 

「可愛い…」

「え、ええぇぇ!?」

「良かったね、慧理那」

 

身長差があるために、ついつい慧理那の頭をなでてしまう。

 

「さあさあ総二様、この姿を見てどう思いますか!? もうメロメロになっちゃってください~」

 

一番ウザったいが、ある意味凄いやつ。

トゥアールさんの出番である。

彼女の水着は、白に縁が黒のビキニ。

思いっきり胸を強調している。

お隣さんから猛烈な殺意が出ているのはきのせいか…?

 

「綺麗だ…?」

 

観束君から出たのは、可愛いをも上回る言葉。

これで喜ばない女性はいまい---

 

「随分と短い批評文ですね!!」

『批評文!?』

 

…いたよ、ここに。

折角いいの貰ったのにもったいないよ。

 

「まぁいいでしょう。私には飾り物など不要ですから」

 

かなり自信があったんだね。

となると、次は私、かな…

 

「さて、お次は伊織先輩ですか。お願いしますよ!!」

「キャー、無理矢理引っ張らないで―!?」

 

皆が、私のパーカーを引っぺがそうとしてくる。

なんで私がそんなもの着ているかって?

 

私は競泳水着を着てきたけど、皆の水着レベルが高いことに気付いて、自信が無くなったからだ。

こんなセレクトをして、急に自分が恥ずかしくなってしまった。

 

「あなただけ見せないなんて、卑怯ですよ!?」

「そうよ、私だって勇気を出したのに---」

「あぁもう分かったから、離して!!」

 

仕方がないなぁ、もう。

そんなことを思いつつ、パーカーを渋々と脱いだ。

 

「なっ…!」

「ハッキリ言ってほしいな。もし似合わないと思ったら」

 

私にはビキニは合わないと思って、黒の競泳水着をセレクトした。

だけど、女性陣からあんなにバッシングされるとは思わなかった。

きっと男性である観束君も幻滅しちゃうんだろうな。

 

「いえ、なかなか良いと思いますよ」

「…そう。ありがとう」

 

返ってきたのは、意外にも普通なコメント。

まぁ、最初に桜川先生に水着の女性は褒めるように釘を刺されたから当然か。

ふと視線を感じたので横を見ると、凄まじいまでのオーラが。

…私、何かしたっけ?

皆さん、すごく怖いんですけど…

 

「総二様、もうこの辺で指摘してください。このまま放置していても生殺しですよ」

「やっぱりそうか」

「やっぱりって何よ―!」

 

話を逸らすために、トゥアールさんが切り出した。

そういえば、津辺さんはまだだっけ。

いや---

 

「愛華さん、もう諦めましょう。まだ相手に素肌を見せていない状態ならばまだ誤魔化しようが効きますが、テイルブルーとしてその貧相な胸が世間に露見されているのにその努力は無駄だとおもいますがねぇ?」

 

トゥアールさんの言葉に呼応するかのように、津辺さんのブラにあったパッドがその隙間から落ちた。

ここまで頑張ったが、ついに力尽きたかのように。

 

「天然モノの巨乳はダイヤモンドに匹敵しますが、カップは安物のメタルラックに付いているカス以下です。むしろ貧乳よりも不要な存在ですから」

「こんちくしょぅぅぅ!! この地球上の海、全部干上がれ--!」

 

この子、ズバッと酷いこと言うなぁ…

相当ダメージを受けたであろう津辺さんは、猛ダッシュで砂浜へと逃げていった。

 

「ごっあああぁぁぁ!!??」

 

ただ逃げたわけではなかったみたい。

何時の間にかトゥアールさんの体にはロープが巻き付かれ、タイヤのように引きずられている。

大丈夫かな、マジで。

何にせよ、やっと準備ができたんだ。

思いっきり遊ぼう!!




本当にリンは何をしているのでしょうねぇ…?
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