あと、タイトル変更しました。
【私、ポニーテールになります。】にしようかとも思いましたが、単調なのでボツとなりました。
スミマセン。
Episode.28【Let's shopping!】
「…ZZZ」
とある夏休みの日。
時刻は10時を指しているけれど、私はまだベッドでぐっすりと眠っていた。
何しろ夏休みが始まってからは、ずっと学校で補修を受けていた。
有意義に過ごせると思っていただけに、これは厳しいものだった。
補修を受けてはテストを繰り返し、ようやく私はクリアすることができたのだ。
補修の担当の先生には、
『ここまで再テスト受けた奴は、初めてだ』
と言われてしまったが…
まぁ、2年生で補修を受けていたのは私を含め、20名前後。
皆はテストを2,3回受ければ大体合格する。
しかし私の場合、5回受けても合格点に及ばないことがあったのだ。
結局クリアできたのは、、始まってから1週間くらいだっけ…
その翌日にあたる今日は、久々に休みなので遅くまで寝ている、と言うことだ。
あぁ、幸せ---
むにっ
???
何、今の?
頬に何か当たったような…
だけど、支障は無いのでスルーしよう。
ペチペチ
今度は叩いてきた。
確実に誰かが私の睡眠を邪魔しようとしている。
もぅ、無視無視!!
『しゃあない、こうなったら---』
ズン!!
(へごあっ!?)
突然、お腹に凄まじい衝撃が来た。
当たった感触からして、恐らくパンチを入れられたのだろう。
貰った私は痛みに耐え切れず、ベッドの上を転げまわる。
しまいには、ベッドから落ちてしまうというかっこ悪い寝起きとなってしまった。
「ぃたた… もう誰なのよ---」
「おはようさん」
殴られてお腹を押さえ、攻撃した当人を見上げる。
そこに立っていたのは、両腕を組んで仁王立ちしているリンだった。
「何でリンが…?」
確か、昨日に彼女を含むツインテール部が帰ってきたのはメールで貰ったけど…
それで、その翌日に私の部屋にいる説明が着かない。
「アンタの事やから、どうせ遅くまで寝とると思ってな」
「いやいやいや、それよりもどうやって入ったのよ!?」
「それはな---」
そう言って、後ろを指した。
そこにいたのは、
「どーも」
「トゥアールさん…」
ツインテール部の宇宙人さんがいた。
「私達が旅行している間、伊織先輩がどうしているか気になりましてねぇ」
「それだったら連絡の一つでも入れなさいよ…」
こちらとしては、いい迷惑だ。
「インターホンを鳴らしても反応が無かったので、無理矢理抉じ開けました」
「まさか…」
急いで玄関のドアを調べる。
抉じ開けたとトゥアールさんは言ってたけど、何処にもドアにキズは無かった。
考えられるとしたら、ピッキング!?
「ということで、私はこれで失礼します」
トゥアールさんは私の側を通り過ぎて、私の家を出ていった。
今回みたいなことがまたあったら、たまらない。
多少値は張るが、ピッキング対策の鍵穴に変えようかな…
「…もぅ、今回は何の用?」
「用が無かったら、アカンのか?」
「無理矢理起こしておいて、言う台詞なの、それ…」
リンの飄々とした態度に、呆れてしまう。
「久し振りに
「そっか、異世界に行ってたんだっけ」
あの地獄の補修で、スッカリ忘れてた。
「どうせなら、土産話のついでに買い物行かない?」
「…別に構わんよ。外で待っとるさかい、
「あっ…」
着ていたパジャマは転がり回ったせいで、かなりヨレヨレだ。
これは、帰ったら洗濯しようかな。
そう考えている間にも、時間はドンドン減っていく。
「いょ~し、今日は楽しもう!!」
そう意気込みつつ、急いでタンスから今日着る洋服を選び始める。
結局支度が出来たのは、リンが家を出ていってから15分後でした。
☆☆☆
(そろそろ彼女達が帰ってくる頃か)
ユウは色彩色を四角にした空間を歩いている。
それはマルチバース・キューブ。
彼が向かう先は、首領の間。
そこへ辿り着くためには、幾つもの空間を通らなければならない。
そしてその空間は入る度に様々に変化する。
差し詰め、スライディングブロックパズルと称せばよいだろう。
しかもそれは一度間違えれば、永久に多次元宇宙に閉じ込められてしまう。
それ故に、首領と謁見することは身の危険をも覚悟しなければならない。
(今の彼女には彼は倒せない。助け舟を用意しておくとしますか)
やがて長い道を抜けた先は、広い空間である。
正面には、暗めなカーテンが。
そしてその向こう側には、首領が居座っている。
「首領殿、ただいま参りました」
『…"怨み"か。何の用だ?』
ユウはカーテンの前まで近付くと、方膝を着き、首領に礼をした。
対して首領は、彼の名を呼ぶ。
しかしそれだけでも、周囲にプレッシャーを与える。
並大抵のエレメリアンでは、話し掛ける事はできない。
「直にダークグラスパーが帰って参ります」
『…それだけか?』
「いぇ、それだけではございません」
当然それ程の報告ならば、ユウとてここまで来ることはない。
「貴方は彼女に決定的な敗北を知るために、あの様な無茶な任務を与えたので?」
『何故そう思う?』
「彼女はツインテイルズと互角の力を持ちながら、本当の絶望を知らない。ツインテイルズと一戦交えた時でさえ、武人らしからぬ行動を採った。もし彼女が真の戦を知っていれば、あの様な無様な姿を晒す必要さえ無いはず」
『…ほぅ』
ユウの持論には一利ある。
ツインテイルズとの戦闘で、彼女の美学を貫かなければ勝っていた。
彼女には、何処か武人としては相応しくはないのだ。
ならば、どうやって彼女を武人にさせるか。
「それに、彼女達より我々の方が任務を上手く遂行できましたが?」
『それは命じた余を侮辱しているのか!?』
「いえ」
ついでに皮肉を言っておく。
これは彼の
「どの道、彼女はもう潮時です。この任務が成功しようがしまいが、切り捨てる予定だったのでは?」
『……』
正解なのか、首領は押し黙ってしまう。
それをチャンスとばかりに、ユウはある考えを首領に切り出した。
「そこで御提案なのですが。彼女達を降格し、我々の部隊に加えてもよろしいでしょうか?」
『…何!?』
そんな提案が出されるとは思っていなかったのか、首領は驚きを隠せずにいた。
『貴様、何を企んでいる!?』
「テイルレッドは史上最強のツインテールの持ち主。しかし、その力はまだ発展途なので、彼女はその向上に一役買ってもらいます」
『我等の目的を忘れた訳ではないようだな』
「無論、ツインテールの繁栄の為ならば手段は選びません」
両者が笑みを交わす。
しかし、そこには一切感情がこもっていなかった。
「なんじゃ、ユウもおったのか」
「久し振りやな~」
そこに、ダークグラスパーとメガ・ネ任務から戻ってきた。
衣装直しはされているが、装甲のキズや汚れから、戦闘の激しさを物語っている。
『どうであった、フェニックスギルディは?余は奴の抹殺を命じた。ならば、その任務終了の報告に参ったのであろう?』
「いえ、申し開きはいたしませぬ。
フェニックスギルディ、奴は何度倒れても立ち上がり、殺しても復活をしました… まさしく彼は『不死鳥』の名に相応しい存在かと」
メガ・ネと
無理もない、この結果ではお仕置きも仕方ない。
どんな運命であろうと受け止める覚悟でいるが、目を強く閉じている。
彼女の中で葛藤があるのだろう。
『ダークグラスパー』
「ハッ」
そして、審判が下される。
『貴様はこの程度の任務すら遂行できず、敵前逃亡した。誇り高きアルティメギルにとって、この罪は重い。よって、貴様は隊長職を解き、組織から永久追放する』
「---!?」
『そう思っていたが、気が換わった』
「どういうこっちゃ?」
なまじ、殺されることも考えていただけに、内心ホッとしていた。
しかし、それに換わる命令をメガ・ネが促す。
『それは余の代わりに、"怨み"が下せ』
「それでは---」
そして、彼女達に辞令が降される。
「ダークグラスパー、及びメガ・ネプチューンMk.Ⅱ。彼女達は、アルティメギル4頂軍統括隊隊長及びその補佐の座を解き---」
一拍の間隔を置いた後、彼女達に通達を冷酷な声音で話した。
「我々"
☆☆☆
「へぇ~、そんな事があったんだ」
「他人事やね…」
「実際に行ってないんだから、仕方ないでしょ」
電車で数駅移動したところの、あるデパートに来ていた。
夏休みもまだ半ばなため、若い女性も多い。
取り敢えず、私は薄着のものが少ないと感じたので、それをウインドウショッピングしていたのだ。
買わないのかって?
フフフ、じっくりと見てから買うのですよ。
直ぐに買ってしまうなど、愚の骨頂ってね。
「…おぃ、いおりん。顔コワイで」
「ゴメンゴメン」
おっと、顔に出たか。
誤りつつも、デザートのビッグパフェを食べる手は休ませない。
今私達はデパート内にあるフードエリアにて、お昼ご飯にしているのだ。
「~ッ、幸せ♡」
「…はぁ」
対してリンは、たぬきうどんをすすっている。
デパート内で空調が効いているとはいえ、そんな熱い物よく食べられるなぁ。
「でも、今の話を聞いて何となくわかったよ。そろそろ事態が動きそうだね」
「なんせ、ポニーテールのエレメリアンが登場したんやからな」
勿論それが何を意味しているのかなんて、所詮一介の女子高生にはわからない。
「むしろ、ユウの攻撃を受けてよく生き延びたね。体力がジリジリ減っていく中で、あの猛攻撃だったんでしょ!?」
「今思うと、不思議でしょうがないわ」
「そうだよね~」
もし自分がリンの立場だったら。
そう考えただけでも、ゾッとする。
戦闘経験はおろか、殴り合いのケンカなんてしたこともない。
そんな私じゃ、瞬殺されちゃうかもしれない。
「確か、リンにもポニーテールの
「あっちの世界でエレメリアンに言われるまで、トゥアールもわからんかったらしいわ。あってもなくても、ウチには関係ないさかい」
「関係ないって、今更じゃ…」
「ごちそうさん。ほな、ボチボチ再会しますか」
「あっ、ちょっと!? まだクリームが残ってるのに~!!」
さっさと食べ終えたリンは、私を置いて去ろうとする。
じっくりと味わいたかったけど、掻き込むようにクリームを食べるしかなかった。
☆☆☆
「"怨み"… 貴様、さっきのはどういうことじゃ!?」
「まぁまぁ、イースナちゃん落ち着きぃや」
怒りに震えるダークグラスパーを、メガ・ネがなだめる。
「助け舟を出したんだ。むしろ、感謝してほしいんだけど」
「んじゃと!? おのれ、だまっておれば---」
「と言うか、見えてなかったのか?」
「---何?」
未だ怒りの矛先を収められずにいる彼女に、ユウは冷たい目で忠告する。
「もし、あの場で反論でもしてみろ。すぐさまお前のツインテールを奪われるぞ」
「フン、なめきった真似を。わらわがそんな腑抜けに見えると!?」
「イースナちゃん、人の話は最後まで聞くもんや」
ユウの忠告に、ダークグラスパーは聞く耳を持たないようだ。
なるべく遠回しにしたかった彼だが、いよいよ本心を切り出す。
「首領殿のそばに、エレメリアンがいたのが見えなかったのか?」
「…何を馬鹿な」
「彼は、本来ならば処刑人であるお前を処刑するためにいた。だが僕が助け舟を渡したために、彼も刃を収めたんだ」
「……」
「イースナちゃん…」
自身が予想した通りになるとは…
しかし、それを目にするかもしれないという現実に、ダークグラスパーはへたり込んでしまう。
そんな彼女をメガ・ネは優しく包み込んだ。
それこそ、母親が泣きじゃくる子をあやすかのように。
「わらわは嫌じゃ… いくら強くとも、死は怖いんじゃ」
「「……」」
初めて目にした、彼女の本音。
その光景に2体は、ただ動けずにいた。
「とにかく、ここに居座ってもしょうがない。新たな居場所へ向かうぞ」
これから先、彼女達がどうなるのかは誰も知らない。
だが、そこに平穏な日常など無い。
あるのはただ---
☆☆☆
「~♪」
「随分とご機嫌やなぁ」
「そりゃもう、たっくさん買い物したんだもん。お宝もゲットしたし」
帰り道。
私の両腕には、幾つもの紙袋が。
これ全部衣類です。
「しっかし、そんなに買って大丈夫なんか?(今更やけど)」
「さぁ? まぁ大半は半額商品だから着れないものはフリマとかで売ろうかな」
「…さいでっか」
そう無駄にしないように、ある程度は計算しているのだ。
「とりあえず、家に帰って整理しないと---」
「ちょい待ち」
普通に歩いている私をリンが無理矢理引っ張った。
何なの、一体!?
「誰かにつけられとる」
「…マジか」
考えれば、もう8時過ぎ。
この季節でも、既に外は暗い。
そして、私達以外誰もいない道。
まさか---
「ストーカー!?」
「声が大きい!」
私としたことが!
そうやり取りしている間にも、私にも足音が聞こえてきた。
「急ぐで!」
「私、上手く走れないんだけど…」
何しろ両手には大量の紙袋がある。
走る度にぶつかって、邪魔なんだ。
「文句言わずについてくる!」
「ひ~ん(涙)」
もう幾つ角を曲がったのだろうか。
結構走ったせいで、あまり考える余裕がない。
「もぅ…走れない…」
「まぁ、ここまで来ればもう大丈夫---」
「おい」
「「ひぃ!?」」
ストーカーさんが来ちゃったよぅ!?
もうダメっぽい…
「俺様はお前らに話があるから、声をかけたんだ」
「…ぇ?」
街灯に照らされたその姿は、赤いドレスを着込んだ女の子。
背丈からして、年齢は私と同じくらいかな。
「えっと、話って何…?」
私は恐る恐る聞いてみる。
「そのためにも、落ち着ける場所に移動しねぇか?
なぁ、ポニーテールの持ち主さんよぉ?」
…あれ?
前にも、こんな展開あった気がする。
「なら、こいつの家にせえへんか?」
「よっし、決まりだな!」
お~い、私の意見は無視ですか。
それよりも、
「もう、決定事項なのね」
肩を落としながらも、前を歩く2人についていく。
(私、これからどうなるんでしょう?)
暗い道を歩く私には、不安でしょうがなかった。
『俺ツイ』7巻、読みました。
えぇ、驚きの連続でしたよ。
この作品も、色々と軌道変更しなければ…