Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.3【現れた希望】

(クッ…)

 

相変わらず、この状況を打破できる手段は見つからない。

しかしこの拘束具、どこか変だ。

どう変かと言われると、まず足につけられているそれにつなぎ目が無い。

ロープでなら、緩めるなり歯や爪で切ることは出来るだろう。

だがこれは、肌に伝わる感触からして、恐らく金属。

どちらも役に立たないだろうな、きっと。

 

「さて、ぬいぐるみはもう十分だ。すぐに仕事にかかるぞ」

「「モケ―――」」

 

慧理那のあの姿に満足したのか、怪物が動き出した。

 

「なぁ、いつになったら外してくれるん?これ、結構痛いんやけど」

「……」

 

リンが苦しそうに声を上げるが、無視されてしまう。

怪物にとって、余程ツインテールが大事なのだろう。

 

(……ん?)

 

何やらでかい金属のリングがあるな。

私達のとは違い、人間なら余裕で通り抜けられる程の大きさがある。

その前には、捕まえられた女の子が一列に並べられており、先頭は空中に浮いている。

…ん、浮いている?なんで!?

 

(目の前に怪物がおるのに、何でそこに注目するんかな)

 

リンちゃん、たまに私の心の中を読まないでくれる?

そんなやり取りをしている中、捕まっていた女の子は色彩色の幕を張られたリングに通される。

すると、ツインテールに束ねていた髪が解けた。

あれが、怪物の言う『ツインテールを収める』ってこと…?

次々と女の子達はリングに通され、ツインテールを解かされる。

そして、慧理那も……

私はただ見ることしか出来ない自分自身に腹がたつ。

力さえあれば…

あの子達を救うことが出来たかもしれない。

 

 

あらかたツインテールの回収が終わったのだろうか、周りはツインテールを奪われ気を失ってる女の子達はあちこちに寝転がされていた。

暫く時間が経つが、私とリンを縛るリングは緩みそうにない。

 

「ううむ、素晴らしいツインテール属性。だが、これが隊長殿が究極とまで讃えるこの星最強の力たり得るのか……」

 

いよいよ私達の番か。

何をされるのだろうな。

そう半ば諦めていたとき、

 

「止めろ――――!!」

「ぬぅ!?」

 

誰かが来たようだ。助かった…

現れたのは、小さい女の子…?

かなりのスピードで来たのか、ブレーキの火花と地面の粉じんが凄まじく散る。

 

「言葉が通じるな、化け物。奪ったツインテールを…返せ」

「な…これは………」

「聞こえなかったのか…てめえが奪ったツインテールを、返しやがれ!!」

 

一応助けるつもりらしいが、どうも違うっぽい。

あの子もツインテールが目的か…

 

(こいつらの共通語はツインテールかいな?)

 

リンがそう私に質問するけど、答えられる訳が無い。

てか、早く助けてよ…

 

「ウ……ウオオオオ――――ッ!?」

 

突然、怪物は大きく飛び上がる。

 

「がはあ―っ!!」

 

そして顔面から地面に着地。

一人コントか?これって。

 

「ぐ、ぐうう…あまりの強大な幼気い吹き飛ばされたか…これは…なんと見事なツインテールか!!」

「…は?」

「やはり起点にこの地を選んだ隊長殿の予感は正しかった! 先程の娘など及びもつかぬ……。お前だったのか……! ようやく現れたな! まさに、非の打ち所無き、究極のツインテールだ!」

 

怪物はお目当てに会えたか、興奮しながら起き上がる。

 

「究極のツインテール…?」

 

ふと、横にある車のフロントガラスで自身の顔を見たあと、身体のあちこちに触れる女の子。

 

「お、お…女になってるじゃねーか---!!」

 

そんな悲しみの声は、この戦場によく響いたのだった。

 

…はい?

『女になってる』? ということは、もとは男…?

女の子が自身の姿にショック状態になってる間に、戦闘員は彼女を取り囲んだ。

どうやらチャンスだと思っているようだ。

 

「モケ―――」

 

戦闘員の一人が攻撃をしかけようとしていたが、群衆から弾かれ、かべに激突し、放電・爆発した。

 

「ぬうう…!戦闘員(アルテイロイド)を一撃で! ツインテールが素晴らしいだけでない…その凄まじい力は一体!? 貴様、何者だ!!」

「…………何なの、俺?」

 

うぉい!? 何も考えずに来たの?

…まぁ、自分の姿に驚いてることから、多分そうかな。

 

「これは特撮番組なんかなぁ」

 

怪物・戦闘員・主人公(ヒーロー)、これだけそろえばそうなのかもしれない。

にしては、カメラや音声などのスタッフがいないのが謎だが…

 

「うおお~っ、よく分からぬがしょんぼりした幼女、たまらぬ!! 誰ぞ、彼女に抱かせる人形を持てい!!」

「モケェー」

 

そうしている間にも、ジリジリと戦闘員は包囲網を狭める。

しかし、その包囲網は突然の炎により消え去り、その中心には、一振りの剣を構えた少女がいた。

 

(なんて強さ…! あれだけの数を一撃で)

 

何か武術を学んでなければ、あの華麗さは出ない。

しかし、怪物はその様子にひるむどころか、何故か感動していた。

 

「はあはあ、ツインテール……」

「ひ……!?」

 

結構気持ち悪いよ、あれ…

少女が気の毒だ。

 

「そのツインテールを親指と人差し指で軽く摘んで、俺の頬をぺちぺちと叩いてくれぬか……!」

 

なにしろ、ゾンビの様な感じで少女に近づこうとしているもの。

 

「きゃ―――!!」

 

あれで悲鳴を上げない訳がない。

色んな意味で恐怖を与えるものだよ、あれ。

しかし、突然動きを止める少女。

精神統一か…?と思いきや、

 

「……うおおおおおおおおおおお!!」

 

いきなり走り出したー!?

 

「騒がしいなぁ、まったく。倒すなら、さっさと()りぃや」

 

…すっかり観客モードのリン。

誰か、この状況そのものに突っ込んで…

 

「ペチってやるぜ、(ツラ)だせ!!」

 

少女は剣道の面のように、大上段に剣を構える。

だが、怪物に軽くかわされ、その手の平から光線を放たれる。

 

(危ない!!)

 

光線は確実に少女を捉えていた。

しかし、少女の身体には傷一つない。

 

「なっ…!?」

「むう!?」

 

私と怪物は同時に驚きの声を上げる。

普通の人間なら、恐らく蒸発して消えるだろうに。

 

「フッ……恐るべき奴! 久方ぶりに戦士としての昂揚が吹き上がる! 我はアルティメギルの切込み隊長、リザドギルディ! 少女が人形を抱く姿にこそ、男子は心ときめくべきという信念のもと戦う者よ。改めて聞こう、貴様の名は!!」

「―――テイルレッド!!」

 

…成程、テイルレッドね。

安直なネーミングだが、意外とフィットしてるかも。

そして、戦いは佳境に入る。

怪物―――リザドギルディは背中のヒレが離れ、浮かび上がる。

そして、少女―――テイルレッドに襲いかかるが、それらを全て弾き落とす。

しかし、誘導ミサイルのようにしつこく攻撃するヒレ。

もしかしたら、捌き切れなくなるかもしれない。

 

「素晴らしい! 今日のこの日は未来永劫忘れぬであろう! すまぬが記念写真を頼む! こう、俺の肩のこてんと頭を預けてだな、ぬいぐる……」

「やかまし―――ッ!」

 

だが、テイルレッドが距離を詰め、リザドギルディの顔面に炎を纏った左ストレートを当てる。

それに怒ったリザドギルディは、鱗に纏われた筋肉を隆起させ、全力で潰しにかかる準備に入る。

 

(これはやばいか…!)

 

そう思い、テイルレッドのほうを向く。

…テイルレッドの持つ剣に、大きめの炎の球が出来ている?

それを放つと、リザドギルティの前で爆発・螺旋状に取り付き、円柱に変化した。

 

「クッ…、動けぬ!!」

「うおおおおお!!」

 

チャンスと見たか、テイルレッドはリザドギルティに向けて突撃する。

剣もそれに応えるかのように、変形していく。

炎を最大限に纏った剣で、捉えている円柱ごと切り裂く。

 

「ぐおあああああ!!」

 

全身から放電し、断末魔を上げる怪物。

 

「ふ、ふははは……素晴らしい……ツインテールに優しく頬を撫でられ果てる……何の悔いがあろうか! 男子本懐の極み!!」

 

円柱が3倍以上の大きさに膨れ上がる。

 

「ゲッ…」

「さらばだ―――ッ」

 

そして、戦闘員とは比でもない爆発が発生する。

この距離では、逃げ切れない…!

 

「勝手に妙な幻覚見てきえるなああああ!!」

 

…あれ? 無事だ。何で!?

リザドギルティがいた場所には、少し焦げた跡が。

あれは捕縛と同時に、爆発を抑える効果があるのか…

 

「よっと」

 

ツインテールを奪った巨大リングが、テイルレッドにより破壊される。

リングは光の粒子状となり、捕えられた少女達に降り注ぐ。

すると、髪型は元通りツインテールに戻った。

同時に、私達を拘束していたリングも消え去る。

リング痕には、軽いあざが…

長い時間あぁなっていれば、当然のことか。

 

「―――あの、助けていただいて…ありがとうございます」

「あ、あはは、何のことやら…。俺、いや私は、たまたま通りすがっただけですよ」

(そんなわけないやん。わざわざ自分から突っ込んで何が通りすがっただけか)

 

リンの厳しい分析。

確かに、それは苦しい言い訳かもしれない。

 

「いえ、その……途中で目を覚ましていましたの」

「え……」

「と、とても素敵な戦いぶりでしたわ…まだ小さいのに、本当に勇敢で…強くて…わたくし…感激しましたわ!」

 

感激ねぇ… 確かに強かったけど。

 

「あの…あなたは一体…!」

「…せせ正義の味方、です。さ、早く逃げてくださ、い」

「セリフ、かみかみやん」

「助けていただき…ありがとうございます!! またお逢いできますか!?」

「あなたが、ツインテールを愛する限り」

「って、無視かい!!」

 

リンのセリフがスルーされていく。

会話に加わる権利、無し…?

 

「お嬢様アアアアッ!!」

「うおう!?」

 

突然リムジンが猛スピードでこっちに突っ込んでくる。

出てきたのは、メイドさん達。

確か、慧理那の護衛も務めていたっけ。

 

「んぅ…」

 

おっと、気を失っていた子達が目を覚ましたか。

 

「すぐに介抱をしなさい! ここは危険ですわ!!」

 

慧理那の支持のもと、メイドさん達はテキパキと動く。

その後、家族なのだろうか、子供たちに近づき、無事を確認している。

この様子ならば、恐らく大丈夫だろう。

…いつの間にか、テイルレッドがいない。

この場を私達に任せ、去ったのか。

しかし、あの強さは認めるが、

 

『あなたがツインテールを愛する限り』

 

あの言葉、まるで…

いずれにしろ、あの子とは遠からずまた会うかもしれない。

何故か、そんな予感があったのだ。




なんだか、原作と似たような感じだなぁ…
オリジナリティーを、もっと出さねば!!
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