Which do you love ?   作:ズケズケ

39 / 89
クリスマス・イブでありますなぁ~
今年も、私は一人ですね…(涙)


Episode.39【テイルレッドたんはいつも人気】

「「レッド!!」」

 

ブルーとイエローは、俺に声をかけることしかできない。

状況は変わらない、いや徐々に悪くなってきている。

ライオギルディの腕に力が込められ、俺の身体を締め付けていく。

最終的には、胴体がちぎれてしまうかも…

 

「レッドを返しなさいよ!!」

 

焦る気持ちがはやったのか、ブルーが訴えた。

止めるんだ、そんな言葉に彼が従うはず---

 

「そうだな。まぁ、テイルレッドの身体を締め付けたままってのも、楽じゃねぇからな。返してやるよ!!」

 

彼は従ってくれた。

しかし、その方法が酷かった。

俺を掴んだまま、ピッチャーの様に投げ飛ばしたのだ。

 

「ぬおわぁっ!?」

「「キャアアッ!?」」

 

ブルーとイエローは俺を受け止めようとしたが、その威力で共に吹き飛ばされてしまった。

 

「ハハッ、ストライク!ってな」

(あの野郎… 俺をボール代わりにしやがって!!)

 

対するライオギルディは、ガッツポーズで決める。

よろめきながらも、俺は彼を睨みつけた。

 

「さて、3人仲良く散りな!!」

 

ライオギルディは息を大きく吸い込む。

またあの技を使うつもりか!?

だけど…

 

「いてて…腰打った~」

「もう限界ですわ…」

 

今の俺達では、全く動けない!!

現実から目を反らすかのごとく、俺は強く目を閉じた。

 

「終わりd---」

「キャアアァァァ~ッ、ちょっとどいて~!?」

 

まさに止めが刺されようとした時、謎の乱入者が現れた。

俺が声のする方向を向く前に、彼女は着地していた。

 

ズゴン!!

ズザザザー…

 

…いや、落下だな。

しかも、顔面からか。

滅茶苦茶痛そうだ。

 

「「「……」」」

 

突然の出来事に俺達はおろか、ライオギルディや通信越しのトゥアールも言葉を失った。

何なんだ、このカッコ悪い登場の仕方は。

 

「…ッ!!」

 

気がついたか。

見れば、全身が震えている。

 

「痛った~い!? 顔擦りむいた!! これ絶対鼻血出てるよね? …おっ、大丈夫だ!?」

 

顔に手を当てて、必死に傷みに耐えようとしている。

そして何処からか手鏡を取り出して、顔の確認をし始めた。

 

「何あの娘… お笑い芸人?」

 

ブルーの言葉は、俺達の思っていることを見事に集約していた。

流れるようなボケの連続。

これが狙ってしたわけでなければ、相当な才能があるぞ…!

 

『これは…! ポニーテールの属性力(エレメーラ)を感知しました!』

 

トゥアールが注意喚起をしてくれた。

改めて見ると、彼女の髪型はポニーテールでまとめられている。

流れるような髪の毛は、風になびかれることで更に美しさを増している。

その髪の毛をまとめているのは、俺達が使うフォースリボンに酷似したものだ。

 

(何だあれ? …アーマーか?)

 

更に一番目立つのが、胸部アーマーだ。

イエローのような重武装ではなく、単に身体を守るためにあるような感じだ。

あれの厚さはかなりある、恐らく俺のブレイザーブレイドでも斬れないだろうな。

アーマーもそうだが、その下にある胸もかなりある。

パッと見て、イエローを軽く凌駕する大きさだ。

 

「あの娘、無駄にデカい乳を持ちやがって…! 引きちぎってやる!!」

「落ち着けーッ!!」

 

ふと横を見ると、ブルーが暴走寸前だったため、押さえ込みをしておく。

 

『いずれにせよ、まだ彼女の正体は不明です! 今は動かない方がよろしいかと』

「…確かにな」

 

見る限り、俺達と似た格好をしている。

だが味方と判断するには、証拠が少ない。

ブルーだったら、「拳で語り合うまでよ!!」とか言いそうだし。

 

「テメェ… 何者だ!?」

 

ライオギルディも気がついたのか、乱入者に問い詰める。

イエローに続いて邪魔されたかもしれない、彼の怒りも更に高まっている気がする。

 

「私? 好きに呼べば?」

 

鼻に絆創膏を張り付けた彼女は、そうぶっきらぼうに答えた。

どうやら彼女は、新参者かな。

 

「…テイルグリーン?」

「そうね」

「それがまともですわね」

 

ライオギルディが悩んだ末に出した名前に、ブルーとイエローは頷く。

悪いが、俺もそれ以上のネームが思い浮かばない。

 

「…もう良いわよ、テイルグリーンで」

 

額に手を当てて、残念そうにグリーンは答えた。

よほどその名前が嫌なのだろうな。

むしろ、格好いい名前をつけてほしかったのか…

 

「よく見れば、お前は素人だな。なら戦闘員(アルティロイド)で十分だ」

 

その言葉を合図に、残った戦闘員がライオギルディの周りに集まる。

スワンギルディに比べて、明らかに数が少ない。

相手が一人だからか、もしくは別の目的があるのか…

 

「遊んでやりな」

 

戦闘員は一斉にグリーンへと襲いかかる。

彼女は別に慌てる様子もなく、ただじっと動かない。

 

『おじけついたんでしょうかね?』

「あの性格ならあり得そうね…」

 

ただ殺られに来たのか?

これ程素敵なポニーテールを持つ人が、態々そんなことをするはずがない!!

 

「…面倒だけど、いっちょ()りますか」

 

彼女がポニーテールを形成するリボンに触れると、武器が出現した。

形状は緑色のハンマー、とでも言うべきか。

女性が扱うには、かなり重そうな得物だ。

 

「よっと」

 

ギリギリまで戦闘員を引き付けると、グリーンは上空へ高く跳んだ。

空中でバランスを整えつつ、ハンマーを逆手に持ち変える。

 

「そぉ~れっ!!」

 

戦闘員の集団の中心地に、ハンマーを投げた。

それはある戦闘員のそばを掠め、地面に着弾した。

 

「モ、モケェ… モケッ!?」

 

直撃を回避できたことに胸を撫で下ろすが、すぐに驚愕へと変貌した。

ハンマーの周囲約40mに亀裂が生じ、大崩壊を起こしたのだ。

 

「何よあれ! 何か特殊な力でも使ったの!?」

『確認した限り、属性力(エレメーラ)の流れはありません! あれを引き起こしたのは、恐らくハンマー自体の質量でしょう』

 

つまり、ハンマーの重さが地面を割ったってことか!?

なんて重さだよ、もし直撃していれば…

ハンマーの重さもそうだが、それを片手で扱うグリーンも中々の曲者だぞ。

 

「モ、モケェ…」

 

あれ程の崩壊でも、何割かは戦闘員は生きている。

 

「さっさと終わらせるつもりだったけど… あんなアバウトな攻撃じゃ、仕方ないか」

「! モケェーッ!!」

 

ハンマーの柄頭に着地し、グリーンは飄々としていた。

そのことに戦闘員は気がつき、一斉に彼女に襲いかかる。

リンチを回避するために、彼女は俺達の方向へ跳んだ。

と言っても直接俺達のところではなく、数十m離れた場所にではあるが。

 

「少しは耐えてほしいわね」

 

彼女は左手を投げの構えにする。

すると、左手から何やらどす黒い玉が形成された。

 

「あれは…?」

「不明です。しかし先程の武器を考慮すれば、あれは重力に関係する何かでは…」

「でもおかしいじゃない。重力なら、私達もあるはずよ。なのに、あれも同じだって言うの!?」

 

トゥアールの説明に、ブルーは納得できないようだ。

体操服属性を使用した場合、緑の小さな玉を形成する。

しかし彼女が扱うあれは、それとは全く異なる。

 

「どっせぇい!」

「モケ、ケェ…!?」

 

女の子らしからぬ掛け声と共に、黒球は戦闘員に投げ込まれた。

しかし、それは直接当たらず、少し上へと反れた。

 

「何考えてるのよ? 敵にぶつけなきゃ意味がないでしょ!?」

『いえ、これは…!』

 

直接殲滅するかと思っていたブルーは、彼女にダメ出しをした。

だが、トゥアールには思う節があったようだ。

 

「邪魔なモノは、お掃除しなきゃね♪」

『モケケーッ!?』

 

その場に似合わぬ軽い台詞をかましつつ、左手を鳴らした。

すると黒球は、周りにいる戦闘員を一人残らず吸い始めたのだ。

直接当てなかったのは、これを行うためだったのか。

 

「…チィッ」

「これで、残るは貴方だけよ」

 

戦闘員のいた場所には、激しく壊れた地面とその中心にめり込んだハンマーのみ。

その圧倒的戦力差に、ライオギルディは苦虫を噛み潰したような顔をする。

ライオギルティに対してはそれを使わないのか、彼女はハンマーを消去した。

 

「…ククク」

「何が可笑しい?」

 

先程まで不機嫌そうな顔を隠さずにいたが、今度は笑いだした。

豹変した態度に、グリーンも警戒を強める。

 

「お前、本気で俺を倒せるのか?」

「そうでなきゃ、ここにはいないわ」

 

相手を卑下するかのごとく、ライオギルディはグリーンを挑発しだした。

対して彼女はあっけらかんと答えた。

無駄に感情がぶれていない。

 

「悪いが、お前が潰されることは俺には見えている」

「勝手に人の運命を決めないで」

 

ライオギルディは気味悪い笑みを浮かべながら、足に力を込める。

対する彼女は、面倒くさそうな態度を醸し出す。

 

「だったら、一瞬でその運命を決めてやるよ!!」

 

ライオギルディは一気に距離を詰めた。

ブルーのように、本当に一瞬で仕留めるつもりなのだろう。

あまりの速さに、グリーンは回避行動すらしなかった。

 

「グリーン!?」

 

気がつけば、俺は叫んでいた。

俺は知らずに、彼女を気にしていたんだ。

まだ敵か味方かわからないってのに。

 

「危なっかしいなぁ…」

「ぬうっ!?」

 

ライオギルディは躊躇いなく、顔面を狙って拳を放ったはず。

常人には、そのスピードには反応できない。

だがグリーンは左手で、その拳を止めていた。

 

「だったら---」

(パワー)比べ? 良いわよ」

 

両者の力がぶつかり合う。

2人の足下はその力に耐えきれず、荒れ地へと変化していく。

 

「おおおぉぉぉっ!!」

「うりゃああァァァッ!!」

 

両者の気迫と共に、更に地面は変貌していく。

その衝撃波は、遠くにいる俺達にも届いている。

地面の小石が、俺の頬を当てる。

それほどまでの強風となって、両者の力は激突している。

 

「このままでは、周りの一般人にも被害が出ますわ!!」

『相変わらず野次馬が消えませんねぇ… テイルレッドじゃないのに』

 

腕を前に構えることで何とか視界を保っているイエローがそう叫んだ。

既に重傷者は避難を完了しているが、診察に来た人や軽傷者、挙げ句の果てには看護士や医者まで観戦していた。

病院側としても、これ以上負傷者は出したくはないだろうに。

 

「…って、ボンヤリしている場合じゃねぇ!?」

 

見れば、ギャラリーの方へ自動車が飛んでいったのだ。

このままじゃ、本当に負傷者が出てしまう。

 

「レッド、頼むわよ」

"形態変化(チェインカスタム)、フォーラーチェイン"

 

ブルーが頼み込む前に、俺はプログレスバレッターを装着した。

頼まれなくても、救って見せる!

俺は迷いもせずに、真っ直ぐ自動車へ跳んだ。

フォーラーのスピードに加え、激突の衝撃による乱気流が更なる加速を生む。

 

「どぉけぇぇッ!!」

 

ブレイザーブレイドを横に構え、自動車を切り裂く。

切り口から小さく放電した後、爆発した。

 

「ありがとうございます」

「鮮やかだわ、待ち受けにしなきゃ!!」

「何言っているの、今こそ生レッドに触れるチャンスじゃない!!」

 

地面を滑りながら着地した先に、またギャラリーがいた。

というか捕まえる気だ、絶対…

 

「よっし、レッドたんGET!」

「私にも触らせて~」

「ぜひ、俺のテイルレッドたんコレクションの1つに!!」

 

ギャラリーの前で止まろうとしたが、加速がキツかったため吸い込まれるように女子高生の胸の中に。

その後はいつも通り、もみくちゃにされてしまう。

 

「な、何やっているのよ~!?」

「ど、どうすれば…?」

『とりあえず、ここから少しでも距離を離してください。そこもまだ危険なので』

 

そうは言ってもなぁ…

無理に引き剥がすわけにもいかないし。

そんなことを考えながら、俺はギャラリーのぬいぐるみにされたのだった。

 

☆☆☆

 

((パワー)比べも飽きたな…)

 

私とエレメリアンの腕力は互角。

いや、私は大方テイルギアによる加護があるので、私以上と見て間違いない。

 

「ちょっとゴメンね」

 

私は右腕を狙って、右の上段蹴りを放つ。

それを予見してか、彼は瞬時に後ろに跳ぶ。

 

「お前も中々の格闘家だな。ぜひとも、俺の属性力(エレメーラ)となってくれ」

「生憎、私は素人ですから」

 

私としても、大人しく肥やしにされてたまるかっての。

予め、"あれ"を用意しておきますか…

 

「素人には見えんがな?」

 

音速並みのスピードで詰めてくるエレメリアン。

でも、それはある程度予見できたわ!!

 

「ゲホ…ッ!」

「本当に素人よ。ただし---」

 

彼の拳が私の頬をかすると同時に、私のは彼のお腹にめり込んでいた。

でも、これで終わらせない!

 

「徹底的にイジメられただけ」

"属性玉変換機構(エレメリーション)手属性(ハンド)"

 

エレメリーションを発動させ、威力を倍増させる。

その力でエレメリアンは吹っ飛び、壁にクレーターを作り出した。

 

「…それだけか?」

「えっ?」

「今の…間違いない」

 

何とか壁から抜け出したエレメリアンは、疑問に感じたらしい。

まぁあれ自体、エレメリアンの力を借りているから、少なくとも私自身の力ではない。

 

「お前…あのユニコーン型エレメリアンを葬ったツインテイルズだな?」

「「!?」」

 

彼が思っていたのは、どうやらそこだった。

ツインテイルズ側もその事実は知らなかったようで、混乱していた。

 

「そして我が友、モールギルディをも倒した! 今の力はまさしく彼の物だ!!」

「「!?」」

 

ツインテイルズすら知らなかったのか、ブルーとイエローはかなり驚いている。

あぁ…

あの変態、彼の友達だったんだ。

だとすると、ちょっと不味かったな。

 

「---許さぬ!!」

 

エレメリアンは身体を震わせた後、キッと私を睨みつける。

大きく息を吸い込むと、彼は吼えた。

それは大きく空気を震わせ、私のの方に向かった。

 

(避けられない!!)

 

そう判断した私は、顎を守るように両手を交差させ、防御姿勢をとる。

その数秒後、空気の塊をぶつけられたような衝撃を受けた。

空気が震え、腕も軽く痺れがきていた。

 

(ただの遠吠えが何て威力… 次は無いわね)

"属性玉変換機構(エレメリーション)手属性(ハンド)"

 

私は再びエレメリーションを起動させると、それをまとった拳を地面に叩きつけた。

それは地割れを生み出し、エレメリアンのバランスを崩させた。

 

「今日はここまでだ。次までに、鍛えておけ!」

 

追撃に出ようとしたが、エレメリアンは待ったをかける。

そう言ってエレメリアンは、後方に出現したゲートに消えた。

 

☆☆☆

 

「ゼェゼェ… やっと抜け出せた」

 

俺はギャラリーのぬいぐるみ状態から何とか脱出した。

 

「今日はここまでだ。次までに、鍛えておけ!」

 

俺が遊ばれている間に、グリーンとライオギルディの戦いは終わっていたようだ。

特撮にありそうな捨て台詞を吐いて、ゲートへと消えていった。

 

「どうなったんだ? グリーンが勝利したのか!?」

『どちらかといえば、向こうから逃げた感じです』

 

俺もそれが気になった。

ブルーを一撃で倒す程の実力者が、グリーンに対してはそこまで本気を出していないように感じた。

グリーンのデータが無いこともあるが、アルティメギルはそれでも本気で向かってきたはず。

 

「レッド?」

「…! あぁ、後は警察が何とかするさ。早く戻ろう」

 

考えに集中していたので、イエローが横にいたことに気付かなかった。

戦闘が終わった以上、長居は無用。

俺とイエローは紐属性(リボン)をしようとしたが、ブルーは動かなかった。

 

「貴女、何者なの…?」

 

彼女の目線の先には、まだグリーンがいた。

終わったことによる緊張の糸がほぐれたのか、それとも…

 

「テイルレッド」

「…俺か?」

 

急に俺を名指しされたので、少し戸惑った。

 

「貴方が守りたいのは何なの?」

「ツインテール以外、何があるってんだ!?」

 

そんな質問をされたので、自信げにそう答える。

俺はツインテールが好きだ、その思いは決して揺るがない。

 

「…そう」

 

興味なさげに返事すると、建物の向こうへと跳んでいった。

 

『何だったんでしょうね?』

 

通信でトゥアールがそう話すが、それは誰にもわからない。

ただ、彼女のポニーテールは美しくも、悲しさを見せていた。

少なくとも、俺にはそう見えた。




最近はバトルばっかりです。
なので、ちっともストーリーが展開していない気が…
いい加減彼女を出さないと、怒られそう。

『俺、ツインテールになります。』8巻読みました。
これで、ツインテイルズ全員が強化しましたねぇ。
さて、伊織はどうなるか?!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。