俺達はまた、アルティメギルと戦っていた。
今回は、整体病院の駐車場だ。
整体って、患者にかなり触れなきゃいけないからな。
もしかして、このエレメリアンは…!?
「フハハハ! 我はアリゲギルディ!! 貴様らの耳たぶを触れさせてもらうぞ!!」
「勝手に言ってろ!」
今回のエレメリアンは、スワンギルディに比べてかなり弱い。
他のエレメリアン同様、
両手の爪が武器ではあるが、攻撃が甘い。
彼の
「私達ツインテイルズを相手に、随分と余裕なのね?」
「まさか。先日お前らと戦ったライオギルディとは違い、我はあまり傷付けたくはないのだ!!」
アリゲギルディが思い切り腕を振るも、ブルーにあっさりとかわされる。
「イエロー!」
「"オーラピラー"!!」
ブルーが後ろに跳んだと同時に、イエローはオーラピラーを上空へ照射する。
そして猛スピードで降下すると、アリゲギルディは電撃の捕縛陣に縛られてしまう。
「くそぉ… これでは耳たぶに触れられぬ!!」
「魅せてあげますわ、私の"
既にアリゲギルディに対して機銃を撃ち尽くし、イエローは身軽な状態となっている。
放り投げられた武装は、彼女の合図に従ってユナイトウェポンを形成していく。
「喰らいあそばせ---」
ユナイトウェポンがチャージをすると同時に、イエローは高く飛び上がる。
彼女がウェポンとアリゲギルディの直線上に到達すると、ヴォルティックブラスターのトリガーが引かれ、ユナイトウェポンは雷の砲撃を放つ。
彼女は雷の砲弾となり、彼に向けて蹴りを構える。
「---"ヴォルティック・ジャッジメント"!!」
雷の閃光は確実に彼を貫いた。
イエローはその勢いを殺すために、地面を滑っていく。
アリゲギルディの体には、全身から放電を放っている。
「む、無念… せめて、テイルレッドの耳たぶに触れたかっt---」
最後の言葉も途中までしか言えず、アリゲギルディは爆裂した。
爆発による煙が晴れると、彼がいた場所には空中で浮遊する
ブルーはそれを確認すると、入手すべく
(それにしても---)
ブルーは---愛香には変化は無かった。
今までブルーは、戦力が大きく空けられていてもなんとか勝ってきた。
ウェイブランスの槍さばきもさることながら、
ライオギルディとの戦闘で、彼女は圧倒的な力の差を見せつけられた。
そして一時的ながらも、彼からノックアウトを喰らった。
今まで負けた事が無かった彼女にとって、これはショックで落ち込んでいるはずだ。
「
『お疲れ様です、ツインテイルズ。今日は楽勝でしたね』
なのに愛香は、それに屈せずにアルティメギルと戦い続けている。
俺はまだ、アルティメギルに対して戸惑いを覚えているのに…
「ブルー、肩の傷は大丈夫ですの?」
「こんなの大したこと無いって。傷口に唾でも付けとけば治るでしょ」
イエローに傷を心配されるも、ブルーは腕を回して自身の頑丈をアピールしている。
もしかしたら、無理矢理気丈さを振る舞っているのか?
「…レッド、どうかした?」
じっと見ていたのか、ブルーは心配そうに俺の方を向いた。
「いや、俺は別に---」
「何かあれば、頼りなさいよ」
そう言ってブルーは
俺が何か言おうとすると、彼女は決まって避けるようになったのだ。
(一体、どうしたんだ…?)
今の俺は、それを知る手段が無かった。
「レッドぉ、私は今日は頑張りましたわ~」
ただ見上げるしかなかった俺に、イエローは寄りかかる。
今日のエレメリアンは彼女に集中攻撃していたから、いつも以上に疲れたのは当然か。
「あぁ、よく頑張ったな」
「レッド、そうではなくて…!」
俺は背伸びをしながら、イエローの頭を撫でる。
俺なりの労いの仕方であったが、彼女は不服そうに頬を膨らませる。
「今日はいつも以上に、御主人様に痛めつけてほしいのです…!」
「それなら大丈夫だな。お前も早く戻ってこいよ~」
イエローは平常運転だな。
うん、心配した俺がバカだった。
兎も角面倒事を避けるために、俺も
「ちょっ、待ってくださいまし~!!」
疲労で体が思うように動けないイエローは、置いてけぼりな形となったのだ。
こんな感じで少し変化はあるが、俺たちは何気ない生活を送っていた。
☆☆☆
鈴音達の基地。
(……)
『今回は安定しとるようやな』
唯乃は浮遊している。
彼女はレリーフの再調整を行うために、テイルギアを纏っているのだ。
リンの指示に従い、フェニックスラッシューターの試射や高速移動を行う。
『これで伊織がおったらなぁ…』
通信越しでも分かる程の深い溜め息をつく。
ここに今、彼女はいない。
伊織は唯乃の言葉によって、戦う理由を失っているのだ。
(俺様としたことが、少しばかり熱くなりすぎたぜ)
心の中で、唯乃は反省する。
もう少しまともな意見が言えなかったのか。
伊織を、あそこまで責める必要はなかったはず。
『テイルギア、及び装着者に異常なし。これなら、実戦でも大丈夫そうやな』
「あぁ。伊織に任せていた分、派手に暴れてやるぜ!!」
フェニックスラッシューターに取り付けられたレリーフは、淡く輝きを灯す。
唯乃自身のポニーテールも、呼応するように光り輝く。
その光景は、神々しいと表現するにふさわしい。
(アイツに会ったら、どうすっかな…?)
(折角の絵が台無しやで…)
そしてまた、唯乃は悪巧みを思いついたかのような、黒い顔をしていた。
ガラス越しに見ていたリンは、深く溜め息をついた。
☆☆☆
何時間、ベッドに横たわっていたのかな。
窓を見ると、外が暗い。
(…何やってんだろ、私)
未だに起きようとする気力が出ない。
寝返りを打ちつつ、
(何がしたかったんだろう…?)
思えば、今日まで状況に振り回されてばっかりだ。
こうして落ち着く事なんて、いつ以来なんだろう…
よし、今までの出来事を振り返ってみるか。
『者共、この気高きツインテールを捉えよ!』
慧理那やリンと歩いていたら、突然怪物が襲ってきた。
これが、エレメリアンとの初の遭遇だった。
私達は十字路にいたはずなのに、目覚めたら駐車場にいるのだ。
おまけに私とリンは何かで縛られていた。
そしてエリナは、ツインテールをほどかれてしまった。
その時は、エレメリアンの目的が
だから、エリナが無事であった事に安堵した。
でも、それで怒る人もいた。
『彼女のツインテールを、返しやがれ!!』
私達の前に現れたのは、とても小さな女の子。
なのに話口調は、男っぽい。
正直、戦わせるには幼いと感じられた。
かなりメカメカしいコスチュームを着ていたけど、その割には身軽そうであった。
そして、彼女の存在を主張するかのようにツインテールがなびいていた。
赤い髪が、戦う彼女の動きに合わせて華麗に踊っていた。
これが、『テイルレッド』との初めての出会いだった。
『ツインテール部に入ってくれませんか?』
銀色のストレートをした女の子---トゥアールさんにそう言われた時は驚いた。
その時、私は何処の部活動に入っていなかった。
家賃や定期券の代金を得るために、必死でバイトをしていたからだ。
だからこそ、そんな時間はないと断った。
でも、理由はそれだけじゃない。
私が、ツインテールと対になるポニーテールをしていたから。
部長を努めている観束君はツインテール好きだ。
下ろしているトゥアールさんは兎も角、私は門前払いされるに違いない。
だからあの時、私は断った。
『君たちは既に"運命"に巻き込まれている』
…ユウのこと、スッカリ忘れてた。
最近は会っていないから、なのかな。
彼と会ったのは、確か4月の終わりだっけ。
私とリンが歩いていたら、後ろから声をかけてきた。
ここでは話せないと言うことで、近くの公園に場所を変えた。
そこで見せられたのは、一般人だった私にとって『非日常』でしかなかった。
それを見せた上で彼から言われたのが、それだった。
未だにその意味がわからない。
それに、アルティメギルについてもかなり詳しい口振りだったし。
彼について考えたら、余計わかんないや…
『魅せてあげますわ!』
…慧理那。
私は1年間友達として付き合ってきたけれど、彼女のことはよくわかっていなかった。
生徒会長としてではなく、『神堂慧理那』として見てもらいたかった。
だけど、テイルイエローとしてそれが解決されてからは遠い存在になったな。
私も最近は、彼女とは部活動でしか会わなくなった。
ノートパソコンを介して彼女の戦いを見てきたけれど、こっちの方が慧理那らしいや。
顔を見ていれば、よくわかる。
…私はどうなんだろうか。
必至に闘ってきたけれど、私なりの『大義名分』は今までなかった。
見つかるのかな、私なりの『戦う理由』を。
今の私は---
『我らアルティメギルは、貴様らツインテイルズに負けぬ強靭な戦士を育成する!!』
私が驚いたのは、アルティメギルの発言じゃない。
その発言者が、カブトムシ型エレメリアンだったことだ。
小さい頃から虫は嫌い。
特にカブトムシは駄目だった。
小学校の時、近所の子たちと虫とりに無理矢理連れていかれたことがあったな。
あの子たちはきっと、私の怖がる様子を見たかったからなのかも。
それで私は、虫とりをされて色んな虫を見せられた。
捕った虫を私の顔に近付けて、自慢気に話していた男子。
でも私は、怖くて話を聞いていなかった。
後退りして、少しでも虫と距離を置きたかったのだ。
だけど、ある子がカブトムシを掴んで私に見せた時、私は狂乱していたみたい。
何で『みたい』かは、正直私は知らない。
男子たちは、「カブトムシ以外のと、反応が全然違った」と言っていた。
カブトムシには、何の罪も無いのに…
---ジジジ…
…あれ?
何かが割り込んできたっぽい。
脳内に映る影像(?)は一面ノイズだらけになった。
----お願---誰…か--
少しずつ、影像が鮮明になる。
同時に、助けを求める幼子の悲痛な声が聞こえてきた。
これって---
「…へ?」
気が付いたら、私は別の場所にいた。
あまりの展開に、私は戸惑ってしまう。
「何これ…!?」
すぐに異臭を感じた。
視界も少し悪い。
周りを見渡すと、私のすぐそばに燃えている車があった。
そのわきには、既に息を引き取った中年男性がもたれていた。
「ケホケホ… とにかく離れなきゃ---」
そう思ったけど、私は車の陰に隠れた。
そうしたのには理由がある。
(あれは、カブトムシ…!?)
後ろ姿しか確認できないけれど、あの一本角は…
まさか、本当にそうなの?
(でも、確かアルティメギルが侵略を始めたのは最近だったはず)
忘れもしない。
空中に浮かんだスクリーンで、赤いエレメリアン---ドラグギルディが世界に宣戦布告をした日を。
そんな事を考えている間にも、カブトムシは私と距離を離していく。
しかし、不意に立ち止った。
(何やってんのかしら…?)
彼に気付かれないように、しゃがみ歩きで外側に回る。
ちょうど彼の横顔が見える場所まで時間はかかったが、たぶん気付いてないはず。
「(相変わらず、暗くてよくわからないや)」
辛うじて見えるのは、カブトムシの前に幼女がいる事だけ。
両者の顔は見えない。
彼は幼女の前にしゃがみ込むと、彼女の頭に触れた。
ただ頭に手を乗せると言うよりは、撫でるように触れていた。
「ちょっと待って。今のって---」
先程のは、私に心当りがある。
じゃあ、彼は---
そこまで考えが行き着いた時、唐突に追い出される感触がした。
「---!!」
気付けば、私はベッドから上体を起こしていた。
どうやら、いつの間にか寝ていたみたい。
服も汗で湿って、かなり気持ち悪い。
「…着替えよ」
いつまでも湿った服は着ていられない。
そう思った私は、別の服を取り出しにベッドを後にした。
伊織の回想シーンが大半…
本当ならば、別の登場人物が出るはずだったんですが。
私の文章力の無さ、故ですかね?