Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.48【イメチェンも、大切やな】

トゥアールはまだ、陽月学園高等部の校舎を走り回っていた。

ここに総二のテイルギアが反応を示していることから、彼がいるのは間違いない。

 

「しっかし、何処で道草食ってんでしょうか。もしや、ストライキ!?」

 

彼女は、最近の行動について何となく思い返す。

観束総二は、テイルレッドとしてアルティメギルと戦い続けてきた。

しかし、彼は彼女になってしまう。

それが密かにストレスとなってしまったのか。

だとすれば、彼は---

 

「しかしまだ、私のコレクションは完全じゃないのです!! 色んな意味でまだまだ総二様に頑張って貰わないと」

 

そしてようやく、彼女は反応元にたどり着く。

 

「ここって、屋上ですよね? もしかして、私が来るのを待っているのでは---」

 

そう思い、そっと近付いた。

屋上へつながるドアは、何者かによって、無くなっていた。

壁につながれていたはずの止め金が見当たらないことから、無理矢理こじ開けたのだろう。

ドアが無い為に身を隠せる場所が少ない。

トゥアールは、ドアのあった場所のすぐ脇に隠れる。

 

「一体、誰が---」

 

トゥアールはこっそり外の様子をうかがった。

だがそこにあったのは、彼女自身信じられないものだった。

 

「総二、様…?」

 

彼と一緒にいたのは、最近転入してきた結翼唯乃だった。

彼女は彼のすぐそばにいた。

そして、唯乃は観束総二に---

 

☆☆☆

 

「ベアギルディ… 一体何をしに出撃したのだ?」

「申し訳御座いませぬ!!」

 

怒りを通り越して呆れを見せるビートルギルティに対し、ベアギルディは土下座をしている。

ツインテイルズを葬ることはおろか、手下たる戦闘員(アルティロイド)を全てテイルブルーに倒されてしまった。

このような失態を曝したのは、スワンギルディに続いて2度目。

 

「まったく、意気揚々と出撃した男がよく帰ってこれたな」

「お前に言われたくはねぇ!!」

 

スワンギルディがベアギルディの肩を叩くも、彼は乱暴にはたいた。

…まぁ、数日前のスワンギルディもこんな感じだったため、そう扱われるのも無理はない。

 

「お前、修行して強くなったとか勝手にほざいているな。だったら、俺と勝負しろや!!」

 

彼の態度が気に入らなかったことに加え、作戦失敗のショックでベアギルディは冷静さを既に失っていた。

ベアギルディは拳を握りしめ、スワンギルディの顔面にストレートを仕掛ける。

 

「ふん」

 

しかし、それを見切ったのか、スワンギルディは左手の甲で受け流す。

そして右腕をそわせながら、ベアギルディに鋭いひじ打ちを当てる。

それはちょうど彼の左脇に直撃し、苦悶の声をあげる。

だがそれで終わらせる彼ではない。

スワンギルティは身体を回すと同時に彼の右足を払う。

相手が後ろ向きに倒れていくのを確認すると、右手の平を相手に向ける。

右手をベアギルディに差し出すが、寸前て止めたことで直接ダメージは当ててはいない。

 

「私が攻撃しないとでも…?」

 

刹那、ベアギルディの身体が吹き飛んだ。

周りで見ていたエレメリアンは、まるで信じられないといった顔をしている。

体格差のある相手を一撃で倒すなど、有り得ない。

そう感じているはずだ。

 

発勁(はっけい)--- 力点を操作することで、力を伝える技だ」

「ライオギルディ… 帰ってきていたのか」

 

そこへ、ライオギルディが解説を始める。

誰もしてくれとは言っていないが。

 

「スワンギルディ、少しは成果が出たようだな」

「えぇ、あのような出鱈目な修行でよく---」

「うん、それは俺も思うぞ。何しろ、繋がりが全く感じられないからな」

 

スワンギルディは自分の力をまだ認識しきれていないらしい。

手を開閉して、感触を確かめている。

ライオギルディは彼を褒めつつも、同情をしている。

しかし、出撃した時と比較して彼の顔つきは勿論、放たれる空気が異質さを伴っている。

 

「スワンギルディ、一皮剥けたな」

 

ただ一言、ビートルギルディも彼を称賛した。

側近たるスタッグギルディは、何も言わずただ拍手をしていた。

周りで傍観していたエレメリアンもそれに気付き、徐々に拍手の音を強めていく。

 

「さて、話を切り換えるとしよう」

 

ビートルギルディの合図により、拍手は弱まる。

同時に、会議室内に常在員として配備された戦闘員(アルティロイド)は戦闘不能となったベアギルディを運んでいく。

彼の体重はアルティメギルでもトップクラス、戦闘員(アルテイロイド)が10体でようやく持ち上がるほどである。

現に彼らがベアギルディを運ぶ際、足元が震えていた。

 

「今までの戦いを参照して、お前たちも何処か思う節があるはずだ」

 

その言葉に、皆は押し黙る。

彼らツインテイルズには、全て敗北を喫している。

これまでに、幾体ものエレメリアンが葬られてきたことか…

先例のベアギルディのように、いたずらに兵を消耗させることはできない。

出向くなら、それ相応の覚悟をせよ。

ビートルギルディはそう暗喩しているのかもしれない。

 

(とはいえ、手放しにするわけにもいかねぇ)

 

ライオギルディは腕組みをしつつ、そう思案する。

ツインテイルズは着実に力をつけているものの、まだ芽を摘むことはできる。

先日彼が戦って、直感的にそう感じた。

だがそれでも、不安要素はある。

 

(テイルグリーン… ツインテイルズに比べればまだまだだが、下手すれば俺達を滅ぼしかねないぜ)

 

段違いな重量のハンマーを軽々と扱い、ライオギルディを翻弄させた。

戦い方は素人同然であるが、足の踏み込みなどは将来性がある。

修行次第では、ライオギルディをも上回る存在になるやもしれない。

 

「次に出るものはおらぬか!?」

 

そうビートルギルディは提示するものの、誰も率先するものはいない。

もはやテイルブルーは「会ったら即逃げろ」的な存在となってしまった。

たとえツインテイルズ全員がそろったとしても、敵前逃亡するエレメリアンが続出するだろう。

 

「ならば、この私が---」

「スト-ップ!!」

 

スタッグギルディが挙手しようとしたが、突然遮られてしまった。

檀上席から現れてきたのは2つ首を持つエレメリアンである。

 

「まさか… ケルベロスギルディ!?」

「ツインテイルズに倒されたはずでは?」

 

その姿を確認するやいなや、会議室はまたも騒然となった。

序盤はツインテイルズに善戦するも、あと一歩のところで倒されてしまったエレメリアン。

その戦いの最中でオネェ言葉になっていくが、さほど気にしていなかった。

 

「…本気かい、オルトロスギルディ?」

「無論だ」

「遊びでやっているわけじゃないのよ」

 

スタッグギルディが問い詰めるも、2つの顔はそれぞれ誠意を見せていた。

 

「えっ… もう一人はどちらに?」

「何を馬鹿な」

「私達はここよ」

 

スワンギルディは慌てて周りを見渡すも、オルトロスギルディは親指を自身に向ける。

見れば、2つの口が別々のタイミングで開けている。

 

「オルトロスギルディは、1つの体でありながら2つの意思を持つ。とても珍しいエレメリアンだ」

 

また、ライオギルディが補足説明をする。

しかしここは混乱していたエレメリアンが多数いたため、ツッコミはなかった。

 

「ケルベロスギルディとは何の縁もない」

「むしろ、あんなオネェは御免よ」

 

オルトロスギルディは腕組みをしながら、そう嘆息する。

体の右首が真正面を向き、左はそっぽを向いたことから、別人格を持っている事に間違いはなさそうだ。

 

「自ら出てきたからには、勝算はあるのか? 直接戦うならば、戦闘員(アルティロイド)を---」

「まぁ、自由にやらせろや」

 

ビートルギルディが念押しをしてくるが、ライオギルディが右手を半分ほど挙げることで制止させる。

どうやら太鼓判を押されているようだ。

 

「むしろ、戦闘員(アルティロイド)がいるだけ邪魔だ」

「私の勇姿に火傷しても、知らないわよ」

 

胸を反らし、高らかに笑い飛ばす。

その様な態度に一末の不安を感じるが、ここは本人の主張性を尊重する。

 

「出撃まで、暫しの猶予を与える。それまで準備をぬかるな!!」

「了解」

「アイアイサー♪」

 

ビートルギルディに敬礼すると、オルトロスギルディは会議室を後にした。

再び静寂が支配する。

 

「いつも思うが、あれでよく喧嘩しねぇな」

「たぶん、それは暗黙の了解だと思うぞ…」

 

ライオギルディは空気の読めない発言をするも、スワンギルディにダメ出しをされてしまう。

 

☆☆☆

 

ツインテイルズ基地。

ここには、私と一輝君、観束君、愛香さん、慧理那、トゥアールさんが。

そして何故か、観束君のお母さんである未春さんまでいた。

…もはやお約束となった、コスプレで。

 

「さぁて、何から話をするべきか…」

 

愛香さんは天井を向いて、何か思案している。

それはツインテイルズの皆も同じはずだ。

ただでさえ居づらいのに、時間は緩やかにしか進まない。

頬を伝う汗が、私が緊張している事を教えてくれた。

 

「まず、自己紹介してほしいんですが…」

 

そんな時、弱々しく挙手したのは一輝君だ。

そう言えば、ツインテイルズの皆と会うのは初めてだっけ。

一番大切な事に気付かなくて、ご免なさい。

 

 

 

 

数十分かけて紹介し終えた後、ようやく本題へと切り出した。

それは数ある内の1つに過ぎないのだけど。

 

「アルティメギルを相手に、よく生き残れましたね」

「いゃ~、あの時は本当に死ぬと思いましたよ」

 

トゥアールが心配そうに尋ね、一輝君が息を大きく吐いて答える。

私も、未だに信じられない。

我ながら、かなり無茶したと思っている。

 

「そこにいるリン先輩の弟さんは兎も角---」

 

ジト目を一輝君に向けるが、それはほんの数秒ほど。

目線はすぐに私に向けられる。

 

戦闘員(アルティロイド)と戦える力を、何故か伊織先輩が?」

「…あれくらい、武芸者ならできそうだけど?」

「桜川先生ですら、歯が立たなかったのよ!?」

 

…まぁ、そう不思議がられても仕方ないよね。

思い返すと、確かに先生は戦闘員(アルティロイド)には勝てなかった。

でもそれは、単純に打撃しか行っていないからじゃ…?

私のように、柔道や合気道で相手のバランスを崩すなり、相手の力を流せば勝てるんだけど。

 

「………」

 

あれほど時間は経ったのに、観束君は動かない。

自己紹介の時は話してくれたけど、その後は積極的に参加してくれない。

結局エレメリアンが現れた時にも来てくれなかったし。

何かあったのかしら…

 

「ですが、2人に大した怪我が無くて良かったですわ」

 

慧理那が心配そうに私と一輝君を見ていた。

実際服はかなり汚れているし、ところどころ破れている。

だけど、身体には特に重大な怪我はしていない。

強いて言えば、一輝君が体を張ってエレメリアンから守ってくれたときにできた、右腕の擦り傷程度かな。

それももう、未春さんから貰った絆創膏が貼られている。

ただ、何処で売っていたのか、絆創膏のデザインが可愛すぎる。

何かのキャラクターのデフォルメがプリントされたものだ。

 

「俺は別の意味で怪我しそうだ…」

 

でしょうね、心の傷が。

特に今はまだ夏服で登校しなきゃいけないから、袖で隠せることはできない。

ある意味、学校で人気者になれる。

擦り傷自体はそれほど大きくないから、1日だけ我慢すれば大丈夫でしょ、きっとね。

 

☆☆☆

 

王室の茶会(ロイヤル・ティー・パーティ)にて。

その廊下の真ん中を堂々と歩く者がいた。

 

「---いかん。ストレスで倒れそうじゃ」

「その発散として、丸1日アニメ見る方がどうかと思うで」

 

目にどす黒いクマを作ってしまったダークグラスパーが嘆息混じりの愚痴をこぼすが、彼女のオカンを兼ねる相棒であるメガ・ネに正論を突き付けられる。

いくら気分転換とはいえ、生活リズムをも犠牲にするのは成長期である彼女の体を考慮すれば良くないのは明白だ。

 

「やれやれ… 侵攻部隊へ向かうにも書類を書かねばならんとは面倒な」

「首領直属の戦士だった頃は楽らしかったけどなぁ。今度は皆にウチを紹介してぇや」

「あぁもぅ、わかったわかった」

 

その書類の提出先が、またダークグラスパーの気持ちを萎えさせる。

 

「相変わらず入りにくいのぅ…」

「イースナちゃん、人の事は言えへんて」

 

しかし、何時までもここにいるわけにはいかない。

彼女は覚悟して、目的の場所にあるドアをノックする。

だが、向こうからは何も反応が無い。

 

「勝手に入ってもよいかのう?」

「止めとき。向こうも用事があるさかい、時間を置けば---」

 

ドアノブを掴んで開けようとするダークグラスパーを、メガ・ネは彼女の肩を掴むことで制する。

しかし、ダークグラスパーが掴む前にドアは内側に開いた。

ここでは侵攻部隊が使っていたスライド式ドアでないため、自動で開くようなことはない。

2人が不思議がっていると、奥から声が聞こえてくる。

 

「入ってくれ」

 

その声は、ユウのものである。

彼も"怨み"として、ここに駐在している。

いや、ここが本来の彼の持ち場と言った方が適切か。

取り敢えず許可は出たため、2人はドアを抜ける。

 

「ようこそ、僕の部屋へ」

 

彼の部屋は、典型的な西洋の書斎である。

壁に置かれた本棚は全て書籍で埋め尽くされている。

その分野は幅広く、人間の世界では既に失われた物から最近の物まで一通りある。

そのどれもが異なる言語で書かれていることから、恐らくアルティメギルが滅ぼした世界の物だろう。

その書籍の奥にて、木製の机にて作業を行っている"怨み"を見つける。

 

「何をやってんの?」

「仕事さ。君みたいに、エロゲで時間を潰すほど、僕は暇では無いのさ」

「何じゃと!? あれも勉強の1つじゃぞ!!」

 

メガ・ネの問いかけに彼は目線を動かさずに答えた。

 

見れば、ノートパソコンに何かを高速で打ち込んでいる。

彼の正面に立って、両手を机に叩きつけながら抗議するダークグラスパー。

 

「話が進まんわ… イースナちゃん」

「む…」

 

話を切り換えるために、メガ・ネは目的の物を彼女に手渡す。

 

「侵攻部隊への監察許可証じゃ。お前に手渡せば終いじゃろう?」

 

ノートパソコンの脇に叩きつけるように、重要な書類を乱暴に置いた。

彼はそんな態度に歯牙を向けず、ただ冷静に対応した。

 

「"怨み"、お前は---」

「イースナちゃん、アカンて!!」

 

まるで無視されたような態度に業を煮やしたダークグラスパーは、即座にダークネスグレイブを取り出す。

メガ・ネが止めようとするも、彼女は限界にきていた。

 

「ヤッホー、来ちゃった♡」

 

ダークネスグレイブが"怨み"の首をはねようとした時、ドアが開いた。

それも、挨拶代わりのノックもせずに、ドアも乱暴に開けられた状態で。

 

「---チッ」

「あらまぁ」

 

そんな常識知らずは、さも自室のように慣れた足取りで近付いてくる。

その恰好は、現在の日本と比較すると少しばかり早い。

全体を赤と白に統一させ、下はミニスカート。

肩に大きめの白い袋を背負っている。

 

「---ウィッシュ。せめてノックはしろと、何回も言っているだろう!?」

「貴方の秘書でもあるんだから、一々そんな事する必要はないと思うなー」

 

そう、彼女は言わば『サンタクロース』の恰好をしていたのだ。

胸元もバッチリ開いており、そこから適度なバストが強調している。

何気にスタイルも良いので、男ならば目のやり場に困るだろう。

現にダークグラスパーからは、一層憎悪の目で彼女を見ていた。

 

「あら、貴女達は---」

「どうも、最近ここに配属されたダークグラスパーとメガ・ネプチューンmk.Ⅱや」

 

ここでも、彼女の対人スキルが活かされる。

初対面の者に対しても、偏見なく接することができる。

 

「そうなの。それじゃ、お近づきにどうぞ」

「これは… 箱?」

 

ウィッシュは背負っていた袋を探り、2つの箱を取り出した。

どちらもクリスマスらしい柄で統一され、金色のリボンで丁寧に括られている。

ただ大きさが異なり、一方はやたらと大きい。

一体何処に入れる場所があったのか…

大きめの箱はメガ・ネに、普通サイズの箱はダークグラスパーに手渡された。

 

「まぁ、開けてみて」

「そんなら、遠慮なく」

 

ウィッシュの言葉に従い、2人は一斉に箱を開ける。

 

「うわっ!?」

 

ダークグラスパーが持っていた箱からは、何かが飛び出てきた。

予想していなかった彼女は驚き、尻餅をついてしまった。

恐る恐る箱を見てみると、何やらバネ状の何かが出ていた。

 

「これは--- ビックリ箱」

「えへへ、ビックリした?」

 

バネの先には、デフォルメされたテイルレッドがつけられている。

幼稚な仕掛けに、彼女は項垂れる。

対照的に、ウィッシュは胸の辺りで小さくガッツポーズを作る。

 

「ケホケホ… 何やったんや、今の?」

『---ぇ??』

 

メガ・ネの方はどうだったか、皆は彼女の方を向いた。

だが、その姿に皆は固まってしまった。

 

「どないしたん? ウチの顔に何か付いとる?」

 

不思議そうに尋ねるメガ・ネ。

だがその様子に、更に皆は黙り込んでしまう。

いや、背中を向けてはいるが、小刻みに震えている。

 

「---」スッ

 

"怨み"は無言で、人間サイズの手鏡をそっと渡す。

メガ・ネはそれを受け取ると、すぐに自分の顔を写した。

箱を開けた時に黒い煙が出たので、それが付いたのではと思ったからだ。

しかし鏡に写るのは、期待を裏切るものである。

 

「何やコレ。パンチパーマか…?」

 

メガ・ネは頭に付いた物を訝しげに触れる。

そこには、機械の頭にはおおよそ似合わないパーマが出来上がっていた。

それは、ただ単にパンチパーマのカツラを乗っけただけという表現が相応するだろう。

 

「ぬぐぐ… これ、なかなか取れへんわ」

 

機械の力を持ってしても取れないとは…

ウィッシュが渡したプレゼント箱には、何らかの力を宿しているようだ。

 

「あらら…」

「これ、どうすれば良いのじゃ?」

「僕も流石にこれは…」

 

三者三様にお手上げの様子である。

メガ・ネだけでも強烈なキャラクターを誇るのに、更にオカン属性まで加わってしまった。

ある意味お笑いタレントとして、彼女は有名になれるかもしれない。

 

「まぁ、悲観してもしゃあないわ。しばらくはこれで我慢するわ」

 

彼女も彼女で、切り替えが早い。

メガ・ネも、諦めたのか---

 

「(しっかし、これはピッタリと違うか)」

 

手鏡で自分の顔を見ながら、微妙にパーマをいじっていた。

…案外、気に入ったようである。

 

 

 

「さて、書類審査だが---」

 

トラブルが治まってしばし。

"怨み"はようやくダークグラスパーが提出した書類に初めて目を通した。

彼が書類を読んでいる間、ダークグラスパーとメガ・ネは黙っていた。

ちなみにウィッシュは、拳骨を喰らって彼女達の隣で正座されている。

彼女は涙目になってはいるが、そこは当然スルーだ。

 

「許可する」

((ホッ…))

 

無事に許可が降りた事に2人は安堵する。

しかしその後の発言により、それは見事に崩壊した。

 

「だが、僕も一緒に行こう」

「へっ?」

「何じゃと!?」

 

まさか、彼も同行するとは。

それ程にまで事態は緊急を要する、という事なのか。

 

「ツインテイルズは、もうあの部隊だけでは手に負えないほどにまで強くなった。これ以上の看過はできないだろう」

「ならば、わらわのみが直接行けば良いだけのことじゃ」

「そのツインテイルズに余裕を見せて負けたのにか?」

 

彼に主導権を握られたくないダークグラスパーは自分の力を誇示するも、あっけなく看破されてしまう。

今の彼女には、ただ唸ることしかできなかった。

 

「あのぅ、私も一緒に…」

「お前には、私の代わりとして残ってもらう」

「そんな殺生な---!!」

 

僅かながらの希望にすがろうとしたウィッシュだが、留守番を頼まれてしまう。

まぁ、自身のサプライズが招いた結果として当然であろう。

"怨み"は彼女達を引き連れて自室を後にする。

彼の部屋にいるのは、正座させられたままの、ウィッシュのみとなった。

 

(どうなるんでしょう、私…)




久し振りに長くなってしまった。
それに、ところどころ抜けた表現も見える、気がする…
大丈夫かな---?
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