Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.5【密かに観戦中】

あの怪物集団―――アルティメギルの宣戦布告があったのは、昨日のことだ。

あの映像は、空中にスクリーンとして映し出されただけでなく、テレビなど電波放送をもジャック公開していたらしい。

そして、映像に映っていた亀野郎は、テイルレッドによって始末された。

 

今日の朝。

私はいつもどうりの時間に起き、テレビをつける。

普段ならば、政治がどうだの芸能がどうだの騒いでいる。

だが、テレビに映っていたのは、

 

『名前を! 名前を教えてください!!』

『あ……テ、テイルレッドでs……うわ、ちょっと!』

『素敵です! お姉さまと呼ばせてください!!』

『妹に決まってるでしょ! ハァハァ、一緒に着替えっこしましょう!!』

『わーっ帰るぅ~道あけてぇ―!!』

 

なぜか大勢の女生徒に揉みくちゃにされている、テイルレッドの姿であった。

 

(………)

 

こんな場違いな映像を見せられたら、呆然とする。

実際、口が半開きだ。

 

(なんで、この映像にしたんだろう…)

 

女生徒のスマホによる動画か、若干のブレはあるが、ばっちり撮れている。

怪人とテイルレッド、両方の戦闘シーンと、揉みくちゃシーンが、である。

しかし、大量に使用されているのは後者だ。

昨日はアルティメギルによる被害も出たのだから、そっちに集中するはずなのに。

だが、そんなことはオマケ程度に扱われ、テイルレッドの特集がメインになっている。

そりゃまぁ、朝から辛気臭いニュースを流されるよりは良いけど。

 

『自分、あの幼女マジリスペクトっス』

 

サングラスをかけたドレッドヘアのスーツ男がインタビューされていた。

襲撃を受けた女子高の関係者らしい。

何だろう、実際に関わったのは一度きりなのに、巻き込まれた感を感じる。

 

『警視庁はこの少女に関しての情報を引き続き求めていく方針で―――』

 

この国の将来がマジでヤバいと、私の中で警鐘を鳴らしている。

警視庁、アルティメギルの情報をもっと集めようよ…

 

 

 

 

「朝っぱらから、テイルレッドばっかりや」

 

お昼休み。

一緒にお弁当を食べているリンから、そんな言葉が出た。

 

「もうウンザリやねんて、ホンマ」

「辛気臭いニュースよりはマシだよ?」

「せやけど…」

 

今朝のリンは、かなりお疲れ気味だった。

なんでも、家族全員で朝食の際そのニュースを見て、弟がテイルレッドのファンになったらしい。

「またロリコンが増えてもうた…」と悲しげにつぶやいていた。

テイルレッドの登場は、良くも悪くも世間に影響を与えているようだ。

 

「まぁ、テイルレッド一人にすごい人気なのは確かや」

「マスコット的な感じだからねぇ」

「しかし、ホンマに一人なんか?」

「どういうことなの?」

 

リンの疑問に、私は首をかしげる。

 

「いや、慧理那の話にもあったけど、バックに誰かが居るはずやろ?」

「あぁ、支援のこと?」

 

全校集会で、慧理那がそんな爆弾発言をしたな。

でも、それがどうつながるんだ?

 

「きっと、もう一人くらい新戦士が現れるんとちゃうか?」

「新戦士!?」

 

あんなのがまだいるってこと?

正直、勘弁してほしいョ…

もう関わりたくないのに。

 

「せや、一人で戦っとるとどうしても限界が来るしなあ」

「うん…」

 

それもそうだ。

今思えば、敵の規模は全く不明なのだ。

ずっと一人で戦い続けるには、厳しいはずである。

 

「それに、あいつはツインテールのために戦ってるようなもんや。きっと、それが(アダ)になるはず…」

 

リンも、あの時感じた違和感を持っているのか?

いずれにせよ、とっとと終わってほしいものだ。

 

 

 

 

帰り道、とはいっても普段使っているコースでは無い。

今日は、学校が終わってからバイトなのだ。

バイト先は、住んでいるところからかなり離れている。

その上、家とバイト先は正反対の方向なので、面倒である。

こんなことなら、家から近いバイト先を選ぶべきだった…

まぁ、勤務条件と高収入に釣られた、私のせいだけど。

 

誰もいない道。

さっさとバイト先に行こうとしたとき、よく知っている人がいた。

 

(何なの、この高確率での遭遇さは)

 

テイルレッドが、いたのだ。

相手は、狐のようなシャープな姿。

あれも、アルティメギル…?

しかし、距離があるせいか声は聞こえてこない。

 

「直ぐに終わるでしょ」

 

そう言って、立ち去ろうとしたけど、両者に変化があった。

狐は長いヒモを出し、何かを作り出した。

ツインテールができ、徐々に形をとっていく。

できたのは…

 

(…テイルレッドの人形?)

 

そう、テイルレッドによく似た人形だった。

それも、等身大サイズの。

だが、次の狐の行動によって激しく混乱することになろうとは…

 

テイルレッドの人形が出来上がった後、狐はダンスを始めたのだ。

しかも、何気に上手い。

そして、テイルレッドは何故か(ひざまず)き、錯乱状態!?

音声が無いので会話は想像するしかないが、絶対想像しない方がいい気がする…

 

(なんで人形を破壊しないんだ…?)

 

錯乱状態になったのは、狐があの人形を作りだしてからだ。

そして、あの人形は狐がずっと持っている。

人形を攻撃手段として使わない以上、攻撃するチャンスはいくらでもある。

ならば、その人形をさっさと破壊してしまえば、狐を始末できるのに。

 

『それに、あいつはツインテールのために戦ってるようなもんや。きっと、それが(アダ)になるはず…』

 

ふと、脳裏にリンの言葉がリフレインする。

まさか… 人形がツインテールをしているから攻撃できないってこと!?

でも、リンの推測通りなら、ツインテールを破壊するという選択肢は無いはずだ。

まさか、こんな早くにピンチが訪れようとは…

 

(あわわ… どうしよう)

 

そのとき、突然雷が落ちたような轟音が鳴り響く。

 

「キャッ!?」

 

思わず、耳をふさぐ。

この距離でも結構聞こえるもんだな、と無意識に感じていた。

その轟音と共に現れたのは、

 

「青い…戦士?」

 

テイルレッドはフォルムカラーが赤がメインであるのに対し、その戦士は全体が青い。

背丈も、レッドよりずっと高い。

年齢で見れば、高校生…か?

なぜ疑問詞が付いたかといえば、

 

(女の子…だよね?)

 

そう判断したいけど、はっきりとはできなかった。

何故ならば、女性ならあるはずの胸が、ほとんど無いのだから。

レッドのような幼児ならまだわかるが、あれはどう見ても…

真っ平である。

 

しかし、そんなことはお構いなしと新戦士―――青いので、テイルブルーにしよう―――は左手から何かを取り出した。

その後、ブルーの身体が薄緑色に発光する。

狐が持っていた人形は、その光を浴びてダサくなっていく。

 

(どういう原理!? あの光で人形が変化するなんて)

 

私の記憶容量(キャパシティ)を大幅に超えた光景が、今私から少し離れたところで行われている。

ブルーは、狐が持っていた人形をあっさりと破壊する。

そして、慣れた手つきでどこからか槍を取り出す。

狐を青色の円柱で捕縛した後、それごと貫いて倒した。

 

騒動が一段落したと思えば、今度は向こうから報道陣が。

テイルブルーは報道陣に向けて、ピースみたいなものをして何か言った後、背中から羽を出して飛び去った。

恐らく、「私を紹介して」と言ったのだろう。

新しい戦士は、マスコミにとっていい情報のはずだ。

 

(……)

 

しばらくその場にいたけど、バイトに行く途中だったのを思い出した。

まずい、早く行かなきゃ。

そう思って、着けている腕時計に目をやる。

 

「あ…」

 

もうとっくに、遅刻は決定していた。




伊織は遠くで見ていたため、戦闘シーンはかなり抜けた感じですね。
戦闘シーンは書きたいけど、主人公が本格的に戦うようになるのはまだまだ先です。
引き続き、コメント募集しています。
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