かなり短すぎますが、そこはご了承くださいませ。
俺は胸騒ぎを感じていた。
ただ、それの正体が何なのかは、わからない。
「何やってんだ、総二。早くしろ」
「あ、あぁ…」
俺の前を歩いていた唯乃に注意された。
気がついたら、俺は歩くスピードを緩めていたのか。
「ノリが悪いなぁ。ほれ」
そう言って、唯乃は俺の手を掴んだ。
そして強引に引っ張っていく。
「おぃ、急に引っ張るなって---」
「今日は俺様との『デート』なんだ。お前も楽しんでくれなきゃ、こっちも困る」
決して俺には顔を向けず、淡々と話す唯乃。
繋がれた手からは、小刻みに震える感触がした。
それに、緊張もしているのか汗が手に…
(俺のために、無理をしているのか…?)
元々慣れていない事を率先しているのだ、無理もないか。
(仕方ない、付き合ってやるか)
ブルーとイエローだけで、本当に大丈夫なのか?
確かに、色々と後ろめたさはある。
だが、こんな穏やかに過ごせるのはいつ以来だろう。
「ムググ…」
最後にどうしても行く場所がある、と唯乃は言った。
それが何故、キッチンコーナーなんだ…?
「あれはデザインがイマイチだな。これは良いんだが、俺様の懐がなぁ…」
キッチンコーナーを色々と回っているが、未だにGOサインが出ない。
「お前も料理するのか?」
「いゃ、ルームメイトが作っている。それで、何かお礼がしてぇと思ってな」
ルームメイトか。
俺はずっと実家にいるから、そんなのはほぼ無縁だった。
今はトゥアールがいる。
俺も、彼女に何か買えば良いかな。
まぁ、それは後日だな。
誕生日とか、彼女の個人情報は全くと言っていいほど知らないし。
「とはいえ、フライパンは不味いわな…」
「これなんか、どうだ?」
いまだに悩み続けている唯乃に、救いの手を差し出す。
俺が持ってきたのは、鍋など熱いものを掴む時に使う鍋つかみ。
緑をベースとしているけど、これしかなかったのだ。
「おっ、良いなそれ」
だが、案外気に入ってくれたみたいだ。
適当に選んでみたのだ、もしかしたら気に入らないとも思ったから。
「待たせたな」
無事に買えた唯乃は、その戦利品を見せる。
通常の包装にしては、やたらと装飾があるが…?
「『お世話になっている奴に渡したい』って言ったら、後ろを気にしながら包装してくれたんだ」
首を傾げながらもそう説明する唯乃。
だが、俺にはその理由が何となくわかった。
「兎に角、プレゼントが買えて良かったな」
「あ、あぁ…」
何故かぎこちなく答える唯乃。
その顔は僅かに赤くなっていた。
「---用はねぇ。帰るぞ」
そうして唯乃は、先に店を出てしまう。
こんな感じで、俺達のデートは終わってしまうのだった。
☆☆☆
「ほれ」
リンが操作すると、私の周囲に光が集まりだした。
まさか、もう転送するつもり?!
「まぁ、頑張りや」
爽快な笑顔で送り出すリン。
私には、物凄く怖いや。
(仕方ない、頑張りますか)
諦めがつくと、私の体は勝手に転送が始まっていた。
「さて、エレメリアンは---」
転送完了。
私はすぐさま、敵を捜索しようと思った。
だけど、何かおかしい。
私の回りは、遮蔽する物がない。
しかも、何故か落下している様な…
「って、落ちてる!?」
姿勢をとろうとしても、ハンマーのせいで上手くできない。
リンめ、こうなる事を予測して…
(怨んでやる~!!)
ハンマーの重量に引かれ、私は頭から落ちてる。
見えるのは、謎の暴風によって包まれたスタジアム。
エレメリアンとツインテイルズが交戦している場所だ。
(まさか、この中に突っ込むの…?)
誰も答えては、くれないよね…(涙)
気が付けば、もう暴風に突っ込みかけている。
目にゴミが入らない様に、目一杯閉じた。
「さ、寒い~!!」
風が全身を通り過ぎていく。
外部からの攻撃を遮断するフォトンアブソーバーでも、これは無効化できないらしい。
というか、風邪引きそう…
(そろそろ抜けたかな…?)
私を叩きつける風が弱まってきた。
恐る恐る、目を開けてみるか。
「---は??」
見えた、けどこれは不味い。
ちょうど、エレメリアンとツインテイルズが接近している。
そこへ私が落ちる可能性は、めっちゃ高い。
とりあえず、巻き添えはさせたくないな。
☆☆☆
「うわぁぁぁどおぃいてぇぇ?!」
緊迫感を台無しにするような、情けない悲鳴が何処からか聞こえた。
空から聞こえてきたので、顔をそちらに向けてみる。
「なんだあれは」
「落ちている、だけ…?」
オルトロスギルディですら呆れるほどに、カッコ悪い登場である。
なにしろ、ハンマーに振り回されるかのように重力に従って落ちていくのだから。
地面に落ちる数秒前、ハンマーを手放して姿勢を確保しようとする。
だがそれは間に合わなかったようで。地面にお腹から着地した。
それこそカートゥンのように、人の形にくり貫かれた跡が地面に刻み込まれた。
未だ土煙が立ち込め、落ちた人が無事かどうかは確認できない。
(大丈夫、かな…?)
(前にも見たことがありましたわね)
ツインテイルズをも心配させる
それはかなり迷惑な行為であり、逆に度胸があるとも言える。
結果的に、その殺伐とした場に刹那の静寂を生み出した。