Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.57【激突、ツインテイルズ!!(前編)】

ツインテイルズ基地に、緊張が走る。

 

「強大な属性力(エレメーラ)反応を感知しました。これは、幹部クラスのエレメリアンですよ!?」

 

トゥアールが解説するが、俺達にとっては何ら問題ではない。

俺達がすべき事は1つ。

 

「幹部だろうが何だろうが、力の限りブッ潰す。ただそれだけよ!!」

 

わーぃ、頼もしい。

愛香---テイルブルーは、拳を握り締めて力強く宣誓する。

前のスタジアム戦では見せ場が無かったらしいから、挽回するうもりなんだろうけれど。

 

(唯乃…)

 

俺の頭の中は、まだ彼女の事で一杯だった。

 

(またお前に会った時、何て話せば良いんだろうな…)

 

テイルブレスを起動させ、「テイルオン」と叫ぶ時、ふとそんな事を考えていた自分がいた。

まったく、不思議なものだな。

 

「さぁ、転送しちゃって!」

「お願い致しますわ」

 

おっと、2人はもう転送装置に入っていたか。

俺もさっさと向かわないと!

 

「では---転送、スタートゥ!!」

 

おぃ、何でいつもより乗り気なんだよ?

そんな質問が発言できるわけもなく、俺達は光に包まれた。

そして俺達は基地から文字通り『転送』されたのだ。

 

 

 

 

(なんだよ、これ。暑苦しい…)

 

転送後、俺が感じたのは浮遊感と圧倒的な熱量だった。

まるでサウナ室に入ったみたいだ…

そんな合間にも、地上への落下時間(カウントダウン)は迫っていく。

 

「皆、姿勢確保だ」

「「了解(ですわ)!!」」

 

幸い、高度がかなり高かった。

だからこそ、姿勢を調整する時間ができた。

 

(あそこにエレメリアンが…)

 

でも、まだ確信してはいない。

姿を見るまでは。

 

(あの反応、確かポニーテールの属性力(エレメーラ)だったな)

 

ならば、唯乃の可能性は否定できない。

何故そんな回りくどい表現をしているかって?

唯乃以外にも、その属性力を持つ存在がいるからだ。

 

(テイルグリーン、そしてテイルホワイト)

 

後者は、あの謎のテイルギアと死闘を繰り広げた、猛者だ。

前者は未知数だけれど、彼女も警戒の領域から脱しない。

どちらにせよ、気を引き締めないと。

 

「そこまでよ、エレメリアンども!!」

 

ブルーが声を荒げる。

相手を威嚇するには、丁度いいかもな。

 

「って、あら…?」

「お前ら---!」

「あん時の!?」

 

高度が下がるごとに、その姿は鮮明になっていく。

俺達は、豆鉄砲を食らったかのような間抜け声を出してしまう。

でも、その姿には見覚えがあったんだから。

 

「マジかよ…」

 

ふと彼女達の事がよぎっただけなのに…

この流れだと、『たたかう』以外のコマンドが選択できなくなるぞ!?

 

「出たわね--- ツインテイルズもどき!!」

 

この時、ブルーの目が一際輝いていたのは気のせいだと、俺は信じたい…

 

☆☆☆

 

「うわちゃ~…」

「これはマズいで」

 

うん、わかるから。

私達はまさに、絶対絶命の中にいる。

何しろ、ツインテイルズと対峙しちゃったんだから。

 

「う~ん…」

 

流石に唸る。

何事も、退き際が大切だ。

タイミングを間違えてしまえば、大惨事は避けられない。

 

「(どうする?)」

「(これは---)」

 

ひそひそ話で、隣にいるホワイトと相談する。

戦うか、逃げるか。

 

「取り敢えず、ドロン!!」

 

ホワイトは、後ろに空間の裂け目を作ると、その中へ消えてしまった。

あぁっ、逃げた!?

私を置いて行くとか、それは無いでしょ!!

 

「…ん?」

その裂け目から、何かが出てきた。

この裂け目は、ワープホールみたいなものだから、こういった事もできるらしい。

出てきたのは、一枚の紙切れ。

ご丁寧に、4つ折りにされている。

開けてみると、こんな事が書かれていた。

 

『人生、何とかなる』

 

…マジか。

ロックな事が書かれていない。

ショックのあまり、手が震えていた。

絶対、ホワイトは基地で笑い転げているに違いない。

---私、倒れてイイデスカ?

 

「(ど、どうしたんだ? 何か震えているが…)」

「(たぶん、仲間に裏切られたのがショックなんでしょ)」

「(それは、御愁傷さまです)」

 

悲報。

私、『かわいそうな子』に認定されました。

項垂れる私を、追撃しないで…

 

「まぁ、逃がした方は後でとっちめるわ。覚悟は良い?」

 

見上げれば、ブルーは私のそばまで来ていた。

そして、ウェイブランスの矛先を私の喉元に突きつけていた。

チェックメイト、って奴か…

勿論、大人しく従う私じゃないけれど!!

 

「!?」

 

私の周囲に、強力な反重力を発生させる。

重力で敵を沈められるなら、その逆もできるはずよね。

威力は最小限に設定しているから、彼女にダメージはない。

ただ、本能で後退したブルーの顔はいつになく険しい。

けれど、威嚇行為として取られたみたい。

 

「コイツ、さっきの奴と同種ね」

 

…まぁ、元・仲間ですけど。

さっきのは、私じゃないから。

そこんところ、履き違えないでほしいな。

 

「この私に喧嘩売るなんて、良い度胸じゃない」

 

それは違うんだって。

そう言い返したかったけれど、さっきのがあるからなぁ…

ここは黙った方が正解かもしれない。

 

「その余裕面が気に入らないわ。速攻で終わらせる!!」

 

そう言うと、私に突貫してきたブルー。

ただ、ランスを持つ手とは逆側を突き出していた。

殴り合い?

女の子にしては、かなりお転婆ね。

仕方ない、乗ってやりますか!!

 

「別に、余裕じゃないんだけれど…」

 

彼女の左ストレートに私の右腕を滑り込ませる。

そして、両者は殴り合う格好となる。

いわゆる、クロスカウンターだ。

 

「…?」

 

でも、打点がかなりズレていた。

ブルーの拳が私の頬にめり込んでいたのに対し、私のは彼女の顎を掠めていた。

いや、軽く当ったのかな。

 

(流し読みした知識、たまには役に立つんだ…)

 

我ながらビックリ。

こうもすんなりいくなんて。

ボクシングなんかで「顎は守っとけ」とか、よく言うけれど。

それは正しいと、今私の中で証明された。

 

「---ッ」

「(メッチャ痛---!!)」

 

ブルーの両足は、生まれたての小鹿みたい。

足をプルプルさせて、まともに動かせていない。

でもそれは、ある種自業自得なんだから。

彼女は猛スピードで私に突っ込んだ。

私は、あの場所に置いただけ。

彼女が今受けているダメージは、彼女自身のパワーなんだから。

 

「イエロー!!」

 

ブルーがその場を離れると同時に、機銃掃射の雨が降り注ぐ。

 

「楽しいショーの始まりですわ!」

 

ギャーッ、トリガーハッピー!?

直に見ると、滅茶苦茶怖い!!

あぁ、清楚な慧理那は一体どこへ行ってしまったの…?

 

「正気に、戻してやるか!」

 

もうツインテイルズにその意志は、無い。

なら、私の手で処すしかない。

 

「銃弾の嵐を突っ切るなんて…」

「しょ、正気じゃないですわ!?」

 

慧理那---テイルイエローに言われたくはない!!

そっちがヴォルティックブラスターなら、こっちは…

グラビティハンマーを回転させ、嵐を鉄鎚の防壁で突っ切るまで!!

 

「お仕置き!!」

 

届く距離まで近づいて、ハンマーの重みを利用する。

それで、イエローを打撃できた。

でも、彼女は事前に回避行動を取っていた。

後退され、ハンマーは空を切るだけ。

 

(あっ)

 

そのまま地面に亀裂を生じるはず。

でも何のミスか、手が汗(?)で滑った。

手にしていたハンマーはすっぽ抜け、飛んでいく。

 

「はわぅ!?」

 

ハンマーはイエローの顔面に激突。

イエローを沈黙させることには、一応成功した。

そして、ハンマーは何処かへ消えていった。

 

「まさか、イエローの回避予測まで見透かすなんて…」

「半端じゃないわ」

 

レッドとブルーが驚いているけど、私だってそうだから。

まさか、あそこで滑るなんて…

あらゆる意味で不可思議だわ、テイルギア。

 

「レッド、下がって」

 

この予感、まさか---!

気付いた時には、私は捕縛されていた。

オーラピラー…いつの間に!?

 

「エグゼキュート---」

 

そうか、イエローと交代したあの時に!

 

「ウェーブ!!」

 

眼前には、迫る死の槍。

あれが、今私を貫こうとしている。

私の体は、まともに動かせやしない。

そもそも破れたとしても、回避はできやしないけれど。

 

(兎に角、これじゃまともに話し合いに持ち込めない)

 

そのためには、力を示す必要があるね。

 

「---えっ?!」

 

到達する寸前に、ウェイブランスが制止した。

まるで何かに囚われたかのように。

そして、痛ましい軋みを生み出しながら形を失っていく。

数秒後、ウェイブランスがあった場所には何も残されてはいなかった。

 

「アンタ、今何を…?」

「ランスを、重力で握りつぶした」

 

今もそこにウェイブランスはあるんだけれど。

やりすぎて、もう見えないか。

 

「相手には、面倒ね」

「…」

 

余計火をつけたみたい。

コイツ、相手が強いほど燃え上がるタイプだ、絶対。

 

「落ち着け、ブルー」

「でも…」

 

レッドがブルーの前に出て、それを制した。

オーラピラーの効果時間は短いのか、すぐに解放された。

ずっと締め付けられていたから、ちょっと痛い。

 

「テイルグリーン、だったな? 俺達と組む気はないか?」

「ちょっ、アンタ本気!?」

 

レッドの口から、予想内で予想外の提案が出た。

ブルーにとってそれはどちらなのか、皆目見当はつく。

 

「イエローを一撃でダウンさせたのよ!? 危険よ」

 

彼女の全門解放(オールレンジ)は危険だから、処置しただけなんだけれど。

一番危険なのは、ある種彼女かもしれない。

 

「だからこそだ。グリーンの力は、エレメリアン討伐に大いに活用できる。このまま敵として認識されるのは、お互い悲しいだろ」

 

確かに。

私としても、友と争うのは避けたい。

それに彼らとは共通の敵がいるじゃない。

アルティメギルが。

 

「俺を信じてほしい。一緒に来てくれ」

 

差し出されたその手に、嘘偽りは無かった。

彼が信じるツインテールと同じような、純真さ。

自然と、私の手は動いていた。

 

(そうホイホイ動いて良いの?)

 

だけれど、彼女の目は笑っていた。

でも、体は私の意思に反している。

もう少しで、手は繋がれる---

 

「危険ですわ!」

 

私の手は弾かれていた。

何者かが、私の手を撃ったのだ。

 

「イエロー? 何で!?」

「何故でしょうか? 今の私は---」

 

私にヴォルティックブラスターを向けている。

そして、もう片方の手は、何故か顔半分を隠していた。

けれどそれが外されるのを見て、私達は驚愕した。

 

「猛烈に怒っていますわ」

 

額から、出血していた。

もしかして、私のハンマーが…!?

 

「グリーン、ご覚悟を!!」

 

もうそこからは、乱射しかなかった。

ミサイル、レーザー、弾丸、etc。

全てが出鱈目だったため、収集がつかない。

 

「だから言ったでしょ、危険だって!」

「でも…」

 

あちゃ~、これで悪者扱いされたか。

 

「アンタのせいよ、テイルグリーン! 何とか---」

「何とかする」

 

ブルーに言われなくたって!!

慧理那の暴走は、親友の私が止めるまで。

 

(重力障壁、展開。集束開始)

 

私の正面に障壁が展開される。

同時に重力砲(グラビティ・キャノン)を発動させる。

こんな事、本当はしたくはなかった。

だけど…

 

「落ち着け---!!」

 

重力の塊を、おもいっ切り打ち込む。

撃ちだされた重力砲(グラビティ・キャノン)は、真っ直ぐにテイルイエローへと向かう。

それは全ての武器を焼き尽くす熱線。

やがて、イエローの体を飲み込んだ。

 

「…あれ?」

 

こんなに、威力あったっけ?

確かに塊は『おもいっきり』叩いたけど。

自分でしておきながら、怖くなった。

 

「何やってくれたのよ!?」

 

急にブルーが来て、私の体を揺すり始める。

異常なまでに力強いから、止めてほしい。

景色が歪んで気持ち悪いから…

 

「何とかしてとは言ったけれど、ここまですることないじゃない!?」

 

たぶん泣いているだろうけど、私には見えない。

彼女の感情より、私の脳へのダメージが深刻かと…

 

「ブルー、止めろ!」

 

えっ、何?

そう思ったとき、私は殴られていた。

 

「イエローの暴走を止めるには、あれしかなかったはずだ!」

「何よ、唯乃の次はコイツを擁護するの!?」

 

まだ、意識がふらついてる。

殴られた痛みより、まだ揺さぶられた感じが勝っているようだ。

…気持ち悪い。

 

「良いわ。イエローの敵討ちよ。観念なさい!!」

 

…やっぱり、唯乃の言う通り、先に倒すべき相手になったみたい。

 

☆☆☆

 

「何じゃ、これは…」

 

アルティメギル基地の会議室はどよめきに包まれている。

それは、大型モニターに映された映像にある。

 

「ツインテイルズ同士が決裂だと!?」

「どんな展開やねんて」

 

ビートルギルディやメガ・ネもまた、驚きを隠せずにいた。

 

「よく見れば、ツインテールの戦士達がポニーテールの戦士に喧嘩を吹っかけているようにも見えるけれど…」

 

ただ、スタッグギルディはこの展開を冷静に判断する。

 

(これが"怨み"の言っていた事なのか…?)

 

それは誰にもわからない。

しかし、彼の言っていた事は解りそうな気がする。

 

「ここがツインテイルズの境目だな。皆の者、今回は待機し、観戦に徹底せよ!!」

 

「応!」と周りのエレメリアンも、賛同する。

そして、皆の意識はモニターに注がれる。

戦いはまだ、序章に過ぎないのだ。

ここで見誤るわけにはいかない。

 

「面白い。あやつに乗ってみるのも、一興じゃな」

 

ダークグラスパーも、ふんぞり返りながら流れを見守る事とした。

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