Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.58【激突、ツインテイルズ!!(後編)】

「さ、覚悟はいいかしら?」

 

絶賛ピンチです、私。

こんな時にホワイト---リンは何をしているのよ!?

通信も一方的に遮断されているし。

 

(戦うしかないの?)

 

でも、手持ちの属性玉(エレメーラオーブ)手属性(ハンド)ともう1つ。

絶望的以外に、この状況を表現しようがないなぁ…

 

「落ち着けよ、ブルー! ここで内輪揉めしても仕方ないだろ!?」

「いつグリーンが、私達の味方になったあぁぁぁ!?」

 

レッドの必死の説得も、まるで効果なし。

まぁ、私はツインテイルズではないから当然ですけど。

…というか、置いてけぼりにされてる?

 

「兎に角、殴らせなさい!!」

 

殴りたいだけ、なんじゃ…?

ズンズン近付いてくるブルーは、阿修羅以外の何者でもない。

アルティメギルやマスコミに、恐れられて当然だね。

その前に、手を打ちますか!!

 

「うらあぁっ…?」

 

完全に殴る体制に入る前に、彼女の貧相な装備に触れる。

うん、特に感触はない。

完全に真っ平らね。

 

「何すんのよ!?」

「何って、攻撃だけど?」

 

左手に、さり気なく属性玉変換機構(エレメリーション)を打ち込んだから。

属性玉(エレメーラオーブ)は、勿論手属性(ハンド)

その力はダイレクトに伝わり、ブルーは吹っ飛ばされる。

ちなみに、彼女の胸を揺らすことは無かった。

 

「その力… 私の知らない属性玉(エレメーラオーブ)ね」

「いや、一回見たはずなんだけど」

 

確かライオギルディ戦で、見せたはずよね?

記憶間違いじゃなければ、の話だけれど。

 

「取引しましょう」

「はぃ…?」

「貴女は持っている全ての属性玉(エレメーラオーブ)を差し出して。それで、貴女をツインテイルズの仲間にしてあげる」

 

随分と急な展開だね。

しかし、取引と来たか…

 

「それで、私達は手を引く。悪くないでしょ?」

 

余計な戦闘を避けたいのは、お互いに思っているはず。

それで、仲間として認められるなら悪くはない、よね…?

でも、それならどうなるの?

 

「仮に属性玉(エレメーラオーブ)を差し出したとして---」

「ん?」

「私は引き続き、その力を行使できるの!?」

 

もしツインテイルズの仲間になれるなら、彼女達が集めてきた属性玉(エレメーラオーブ)を私も使えるようになるのかな…

彼女達が死闘で勝ち取ったように、私もエレメリアンを倒したことでその証を得た。

つまり、属性玉(エレメーラオーブ)の共有はできるか。

私はそこが気がかりだった。

 

「(トゥアール、どういう事だ?)」

『(たぶん---)』

 

向こうは向こうで、そうすんなりとは行かないみたい。

ツインテイルズからすれば、怪しい奴らとしか認識されていないもの。

下手すれば、アルティメギルの仲間ともされているかもしれない。

 

「それは、流石に無理じゃないかな…?」

 

…何ですと?

つまり、私は一方的な損失ってことに。

 

「仲間に迎えるとしても、しばらくは様子見だね」

「それにまだ、イエローの分がまだなのよ」

 

頬を掻きながら苦笑いで答える、テイルレッド。

両手を鳴らして第2ラウンドよとでも言いたげな、テイルブルー。

 

「ハハハ…」

 

やっぱり、駄目か…

それに必死で獲った属性玉(エレメーラオーブ)は、そう簡単に手放したくはない。

少しでも甘い提案に頷きかけた、私が馬鹿らしい。

 

「大人しく、お縄につきなさい!!」

 

ブルーは一瞬で距離を詰めると同時に、お腹目掛けて正拳突きを仕掛ける。

それを左手で払い落とすと、彼女は軽く重心が崩れる。

私は左腕を彼女の腕に添わせながら回転、事前に折り曲げた右肘でがら空きな脇腹に当てる。

 

「やっぱり、貴女方の仲間にはなれない」

 

右肘に力を込めると、地面を踏み砕かれる。

その威力はブルーが軽く吹き飛ぶほどのものであった。

今度は属性玉(エレメーラオーブ)の力ではなく、テイルギア自身の出力がそうさせた。

テイルギアは、装着者の実力や意志に大きく作用されるらしい。

だからこそ、この力は私自身の力でもある。

 

(まだよ!!)

"属性玉変換機構(エレメリーション)双子属性(ツインズ)"

 

双子属性(ツインズ)

それは、オルトロスギルディが保有していた属性力(エレメーラ)である。

彼らが、人格を2つ所有していたことが所以なのか。

しかし、人格が違えど長く一緒に過ごしていれば、似てくる物がある。

それは好みや仕草などに表れる場合がある。

 

(なら、この属性玉(エレメーラオーブ)の効果は---)

 

私の後ろに、巨大な武器が出現する。

それはテイルイエローが使う、ユナイトウェポンと近似していた。

私が跳ぶと同時に、ウェポンはエネルギーを集束させる。

限界にまで集束された雷撃は私の背中に命中、そのまま私の体を押し出した。

 

「ヴォルティック・ジャッジメント!!」

 

まんま、イエローの完全解放(ブレイクレリース)を真似させてもらった。

そもそも、この属性玉(エレメーラオーブ)の効果がそうなのだから。

 

「チッ---」

"属性玉多重変換機構(エレメアディッション)貧乳属性(スモールバスト)被虐属性(マゾヒネスティック)"

 

やっぱり防御と来たか…

というか、さりげなく新機能使っているけれど。

属性玉(エレメーラオーブ)を2つ使えるって話、聞いてないよ!?

そんな事を考えている間に、私の蹴りは障壁に激突していた。

 

(何これ、吸われてる…?)

 

確実にダメージは与えているはずなのに、その威力が急激に落ちたような感覚がある。

…これは、ただの『貧乳の壁』じゃない!!

 

「貧乳の底力、見せてあげるわ…」

 

苦悶の顔で私の攻撃に耐えながらも、ブルーは何故か笑みを浮かべていた。

不思議に思っていると、障壁にできた亀裂が徐々に無くなっていくような…?

 

(まさか、被虐属性(マゾヒネスティック)の効果は!?)

 

敵の攻撃を受け止めて、それを自身のエネルギーに転換するの?!

これじゃ、ジリ貧も良いとこじゃない。

このまま硬直状態を維持させたら、確実に負ける。

テイルブルー、ここまで展開を読んでいたなんて…

いずれにしても、私がすべき事は---

 

「んぬぅおりゃあっ!!」

 

テイルギアの出力を限界にまで高める。

それを、ヴォルティック・ジャッジメントの威力UPにするだけ。

 

「ヌググ…」

 

その分、エネルギーの吸収は激しくなる。

それはブルーも、同じはず。

エネルギーと同時に意識まで刈り取られるような感覚がしたけれど、気合いで乗り切るまで!!

ブルーの正面に展開していた『貧乳の壁』は再び亀裂を生じさせる。

でもその速さは、初撃とは比較にならない。

やがて亀裂は障壁全体へと広がり…

 

「せいっはああぁぁ!!」

 

障壁を突破し、ブルーの体を捕らえた。

なにぶんテイルギアの出力を限界にまで高めたので、ブレーキというものを知らない。

気付けば、ブルーがいた場所から500mほどぶっ飛ばしていたのだ。

飛ばされる間に、彼女の体から聞こえては色々と不味い音が聞こえた。

…大丈夫だよね、彼女だし。

 

(…?)

 

地面を削りながらもなんとか止まったら、何かが落ちていた。

拾い上げてみると、それは属性玉(エレメーラオーブ)だった。

瞬時に頭に浮かんだのは、貧乳属性(スモールバスト)被虐属性(マゾヒネスティック)だ。

 

「(これ、さっきブルーが使ってた…!?)」

 

いずれにしても、貴重な戦闘道具にはなる。

彼女には悪いけれど、これらは戦利品として貰うね。

 

「俺1人でも、やってやる!!」

 

長剣---ブレイザーブレイドを構え、私に狙いを定める。

残るは、テイルレッドのみ。

手数はもう残り少ないけれど、戦いますか!

 

☆☆☆

 

「スマンな、伊織」

 

基地に戻ったテイルホワイトは、すぐさま変身を解除する。

鈴音へと戻った彼女は、すぐにモニタリングを行おうとしていた。

しかし、タイミング悪く着信が来てしまう。

 

(ったく、誰やねんて---)

 

面倒そうにスマフォを取るが、着信相手の名前を見て、硬直した。

その相手は、彼女にとってもっとも苦手とする者だったからである。

まさか、悪い知らせが来たのか…

 

「もしもし---」

 

その予感は、当たっていた。

通話相手と話す内に、リンの顔から余裕が消えていく。

相手の声は聞こえない。

 

「ッチ…」

 

乱暴に電話を切ると、リンは足早に基地を出る。

 

☆☆☆

 

そんなわけで、現在進行形でテイルレッドと対峙しております。

 

「…!」

「…?」

 

一向に手を出さないレッドに、疑問を感じた。

警戒しているにしては、やりすぎな気がするけど…

じれったいなぁ。

 

"属性玉変換機構(エレメリーション)手属性(ハンド)"

 

両手に属性玉(エレメーラオーブ)の力を蓄え、一気に距離を狭めていく。

それに合わせたかのように、レッドも突貫にかかる。

ブレイザーブレイドと拳、どちらが堅いか。

 

「はぁあああぁぁぁ!」

「うおぉぉぉおおお!」

 

下手すれば、私の左手は使い物にならない。

だけど、私はそれにかけたかった。

両者の力は均衡している。

その余波は、過去の戦闘の比ではない。

 

「悪いが、ブルーの仇を取らせてもらう!!」

「私、正当防衛だよね---!?」

 

誰かタスケテ---!!

そんな悲しき悲鳴も、誰の耳に届きはしない。

イエローはやり過ぎたと思うけれど、ブルーのは決闘だよね?

 

(兎も角、これは不味いよ?!)

 

そろそろ手に痺れが…

また、スベる予感が出てきたし。

 

「「あ」」

 

その均衡は、ついに破れた。

テイルレッドのブレイザーブレイドは外側に、私の手属性(ハンド)は内側へ逸れる。

ブレイザーブレイドは私の頬を()()()えぐった。

私の手属性(ハンド)はレッドの顔面を捉えた。

痛みをこらえ、拳を打ち抜くと彼女は吹っ飛んだ。

 

「勝手に仇にされて、たまるか!!」

 

右手に、重力砲(グラビティ・キャノン)を形成する。

イエローに向けた最大火力ではなく、ある程度にまで抑えた物だ。

イメージするとしたら、ポケ〇ンの『はどうだん』が一番近いかな。

それを思いっきり、レッドに向けて放った。

 

「このっ!!」

 

テイルレッドは瞬時にブレイザーブレイドをもう1本取り出し、重力砲(グラビティ・キャノン)を両断した。

斬られた重力砲(グラビティ・キャノン)はエネルギーの安定を失い、すぐさま大爆発する。

 

「(テイルグリーンはどこだ…?)」

『総二様、後ろです!!』

 

何で私が、彼女の後ろにいるかって?

そんなのは、言ってしまえばとっても簡単。

重力砲(グラビティ・キャノン)を撃つと同時に、彼女のいる場所まで走っただけ。

後は、爆発の煙に紛れて跳ぶ。

 

「もう遅い」

"属性玉変換機構(エレメリーション)手属性(ハンド)"

「…!?」

 

十二分に威力を上げた拳を、彼女の背中に叩き付ける。

 

「重力爆砕拳!!」

 

骨が何十本も折れたような音が響く。

これだと、もうレッドの意識はないかもしれない。

腕を振り抜くと、彼女は地面に激突した。

 

(って、このままじゃ私も地面とキスするんじゃないの?!)

 

敵の確認もそうだけれど、身の安全は忘れちゃ駄目だ。

そう思った時には、空中でのバランスを崩していた。

 

(痛った~い!)

 

顔面ではなく、まさかのお尻での着地。

いくらテイルギアが頑丈とは言っても、これはダイレクトに来た。

お尻から全身に、痛みが走る。

目尻に涙を浮かぶけれど、我慢よ私!!

 

「テイルグリーンさん」

 

ふと、誰かに呼ばれた気がした。

でもここには、私を除けばツインテイルズしかいないはず…

あぁそうか、ツインテイルズとの戦いによる疲労感が幻聴を招いたのか。

 

「テイルグリーンさん!!!」

「みぎゃあぁぁぁ!?」

 

思いっきり耳を引っ張られた上に、耳元で大声で呼ばれた。

やっぱり幻聴じゃない!!

耳を押さえつつ声の方を向くと、ヘンテコな仮面(マスク)を被った人がいた。

 

(…誰だっけ?)

 

仮面(マスク)は何となく機械っぽくてかっこいいけれど、それより下がアンバランスだ。

見れば、トゥアールさんの至福(?)姿だもの。

これじゃ、どうぞ正体を暴いてくださいなんて言っているような物だし。

 

「今回は、私達ツインテイルズの敗北です。しかし、次は絶対、貴女方の敗北は決定しています」

(諦めてんだか、そうでないんだか…)

 

敗北を受け入れているにしては、仁王立ちして堂々と言っている。

何ともハッキリしないなぁ…

 

「それに、その下品な胸を曝すのは、世間体が許さないですよ」

(アンタに言われたくねぇー!!)

 

私から離れ、倒れているテイルレッドに近寄る。

バストは、見た限り私と同じくらい。

今ブーメランが飛ばされましたよ、思いっきり。

 

「と言うわけで、アディオス!!」

 

レッドを脇に抱えたヘンテコ仮面は、突如光に包まれる。

その光が消えた時、既に彼女の姿は無かった。

 

(…何だったんだろ?)

 

よくわからない。

けれど、これで戦いは終わったんだ。

早く家に帰って、ゴロゴロしたいなぁ。

 

「---どうやって、帰るの?」

 

今までリンに任せっきりだったから、正直やり方を知らない。

それにここから家まで、かなり距離がある。

 

「これは… 2択だね」

 

野宿か、無理してまで帰るか。

未だに連絡が取れない身としては、私は今究極の選択をする羽目になっております。

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