『新たに出現した、テイルホワイトを名乗るツインテイルズについてどう思われますか?』
『テイルブルーのような蛮族さは無いものの、冷徹無慈悲な攻撃… ある種、テイルブルーよりも危険な存在であると判断します』
とあるテレビ局のワイドショーにて。
そんな辛口コメントが、多数寄せられている。
やっぱり、あれはマズかったか…
「
その当人は、
少しは世間の反応に、気をつけてよ…
『しかし、相変らずテイルグリーンはボケに走ってましたね~』
『エレメリアンとの絶妙なコント、まさしくあれは芸人魂でしたよ。若いお笑いタレントに見習ってもらいたいと思いました』
…おぃ。
私はボケに走ったわけじゃない。
あれはあれで、命が掛かった殺し合いなんだから。
(人の気持ち、まるで分かってないじゃない!)
この時、テイルブルーの気持ちを改めて知った。
貴女も日々、こんな気持ちで戦っていたのね…
「今ウチらの手元にある
「
そう、私達が所有している数は、限りなく少ない。
アルティメギルの戦いを優位に進めていくには、まだ足りない。
「いや、ツインテイルズから奪った
3個も5個も、対して変わらないと思う。
ツインテイルズは、
もしあの時、
「
(…?)
私はテイルブルーから奪っただけで、実際にその効果は知らない。
確か彼女は、私のヴォルティック・ジャッジメントを吸収してエネルギーにしていたっけ。
でも、それがどうしたっての!?
「この
うゎ~、面倒ね。
よくあるのよ、漫画やアニメで重要な事をもったいぶって話すキャラクターが。
「じゃあ、その真の力を発揮するにはどうするのよ?」
「それはお前の仕事やで」
自分で考えろってか。
ヒントもなしに。
リンの奴、出撃させた事にまだ怒っているのかな…
☆☆☆
アルティメギル基地。
その会議室にて、全てのエレメリアンが集合していた。
「テイルホワイト、何と無慈悲な…」
「正確な攻撃、そして無駄のない動き。テイルブルーと同等の怪物だぞ!?」
新たに出現したツインテイルズ---テイルホワイトについて、物議が交わされている。
そして何よりもエレメリアンを困惑させたのは---
「それよりも、ツインテイルズがお休みとは、どういう事だ!?」
「テイルレッドには、しばらくは会えぬと申すか!?」
「おのれ~、折角彼女に自慢のコレクションを渡そうと思ったのに…」
ツインテイルズが『おやすみ』を取った。
そして、代役としてテイルグリーン、テイルホワイトが相手をする。
この事実が、アルティメギルを揺るがせていた。
「これは、
そう呟くは、ワスプギルディ。
彼もまた、ツインテイルズの報告に冷静さを欠かされた者の一体である。
(しかし、テイルグリーンにときめく自分がいる。何故---!?)
彼は自分自身の異常さを、感じていた。
強敵に会いまみえた、感情の高ぶりか?
(いや、違う。これは…!?)
じんわりと温かく、しかし心を直接射抜かれたような錯覚を覚える。
この様な感情は、彼が今まで感じた事はなかったのだ。
(いずれにせよ、会えば分かるであろう)
そう遠くない未来、彼は予感していた。
彼女とは、敵として会うだろうと。
「喧しいぞ、貴様ら!!」
騒然としていた会議室を黙らせた。
その声の主は、ダークグラスパー。
その脇にメガ・ネもいた。
「テイルグリーンだろうとテイルレッドだろうと、我等アルティメギルの目的は変わらぬ。この星にツインテール属性を芽生えさせ、十分育ったところで一気に刈り取るまでじゃ」
ここまで状況が変化しても、一切ブレがない。
その存在は、エレメリアンには絶大な効果を生んだ。
彼女の言葉に、エレメリアンは押し黙る。
「先ずは、わらわ達で試すまで」
「まさか--- ダークグラスパー様が出撃をなさると!?」
宣言に戸惑いを示したのは、ビートルギルディ。
彼女が進んで出撃するなど滅多にないことであるからだ。
「大丈夫やて。ウチも付いとるさかい」
「しかし…」
メガ・ネプチューンのフォローに心配するスタッグギルディ。
だが、ダークグラスパーは彼らの心配を全て無視した。
「ツインテイルズであろうと、テイルグリーンであろうと… アルティメギルの道を阻む者は薙ぎ払うまでじゃ」
彼女の武器、ダークネスグレイブをわざわざ取り出し、空を切る。
それは彼女自身に対しての、決意表明なのか。
彼女は後ろを振り返りもせず、会議室を後にする。
☆☆☆
ツインテイルズ基地。
「ムムム…」
モニター画面と睨めっこをしているトゥアールがいた。
既に30分は経過しているので、心配になる。
後ろからそっと叩いてやるか。
「だいじょ---」
「ぬわっひゃあっ!?」
大丈夫か、という前に変な声が聞こえた。
驚きの声だと思うが、その発音はどうだろうか…?
「あぁ、総二様でしたか…」
「一体、何やってたんだ?」
トゥアールの側に移って画面を見るが、サッパリわからない。
「テイルギアの強化を験してみました。前回テイルグリーンに完敗しましたので…」
それでか。
確かに、俺も彼女には攻撃はおろか触れる事すらできなかった。
エレメリアンに苦戦はしても勝ってきた俺達だけれど、ここまで敗北は経験したことがない。
「しっかし、不思議ですよねぇ。テイルギア自体は、私が開発した物とほぼ同性能ですよ!?」
俺に訴えかける様に、上目使いで俺に説明する。
テイルギアが同性能、ならば違いは装着した者だな。
「俺ができる事はあるか?」
トゥアールに顔を近付け、俺は彼女にそう言った。
俺は彼女の力になりたい---!!
「---ッ」
トゥアールは俺の視線から逸らした。
口元も横一線にして、決して開けようとはしない。
何が、彼女の判断を鈍らせているんだ?
「…何故---」
「?」
「何故、唯乃さんと『恋人』になったんですか!?」
それか。
答える方としても、それは難しい。
「付き合っていたのに、急に別れるだなんて。無責任な男です!!」
気付けば俺は、トゥアールに平手打ちされていた。
乾いた音が部屋に響く。
俺の頬に彼女の手の平が当たる。
そのコンマ数秒後に、痛みが認識する。
俺が状況をやっと把握できた時には、もう彼女はいなかった。
俺が後ろを向くと、スライドドアは閉じようとしているところだった。
(俺は彼女に、何と答えるべきだったんだ?)
ヒリヒリと痛む頬をさする。
無責任、か。
確かにそうかもしれない。
あれだけツインテール好きを豪語しておきながら、『彼女』はポニーテールだった。
ツインテイルズにとっては、裏切り者なのかもな。
(でもそれは、お前らを守るためでもあった)
今更弁解しても、仕方ない。
一度壊れた関係を戻すのは、難しいものだ。
「俺はどうすべきなんだよぉ!?」
やり場のない怒りが、俺を支配する。
どうしてこうも、俺を不幸にさせるんだ!?
☆☆☆
「---さて」
ダークグラスパーとメガ・ネは降り立つ。
そこはかつて、彼女が『善砂闇子』としてライブした会場である。
「ホンマにテイルグリーンちゃんが来るんかいな?」
心配そうに尋ねるメガ・ネだが、無視に徹底するダークグラスパー。
しかし彼女は、ある方向へ顔を向ける。
つられてメガ・ネも向けた。
「先客じゃ」
「あらまぁ」
ゆっくりと近付く一つの影。
それは、白いツインテイルズである。
「宴には、まだ早いのじゃが…」
「許可が出ていないのに、宴も何もありはせん」
テイルホワイト。
エレメリアンを瞬殺した、凄腕のツインテイルズ。
まだ
色々とつっこみたいところが、満載である。
「ならば、実力行使じゃ。殺れ」
ダークグラスパーが左手を挙げると、メガ・ネは両手の指をテイルホワイトへ向ける。
ダークグラスパーがその手を振ると、メガ・ネは指先から無数の銃弾を放つ。
テイルホワイトは特に回避する事もなく、その攻撃を受ける。
彼女だけでなく地面へと着弾することにより、テイルホワイトは煙に包まれる。
だが、テイルホワイトはその銃弾の雨と煙を悠々と進む。
「何故、余裕で進められる?」
「威嚇射撃を避ける必要は、あらへんて」
ダークグラスパーは、その威嚇射撃をしたメガ・ネに視線を向ける。
メガ・ネは「堪忍なぁ」と、彼女に謝罪していた。
これを見る限り、彼女に使命を果たす気はないらしい。
「テイルグリーンはどうした? まさか、貴様一人で勝てると思っておるのか!?」
「ま・さ・か。そこまでウチは愚かやない」
ダークグラスパーの疑問に、テイルホワイトは余裕な態度である。
彼女は空間切断能力を使用すると、上空に切れ目が生じた。
「ひにゃあぁぁッ!?」
切れ目から落ちてきたのは、緑の鎧を纏ったもう一人の戦士である。
またも体全体図で着地し、派手に地面を壊す。
毎度ながら、もう少し格好のつく出方を出してほしい。
敵でありながらそんな事を思うダークグラスパーとメガ・ネ。
「今回の主役はテイルグリーンや。少なくとも今は--- ウチの方が強いさかい」
「格好つけるなら、もう少し労りなさいよ?!」
それなりにシリアス感を出そうとしたホワイトだが、グリーンの突っ込みで台無しである。
グリーンも、いい加減受け身を取っておいてほしい。
そうすれば、ボケる形にはならないのに…
「テイルグリーン、お主も苦労しておるのう…」
思わず彼女に、労いの言葉をかけてしまった。
互いにストレスを抱える者同士、何かしらのシンパシーを感じ取れたのだろう。
「で、何でダークグラスパーがいるのよ!?」
今さらながら、突っ込みをかけるテイルグリーン。
急にホワイトから連れて来られたので、それも致し方ないとは思うが…
「今日は、お主の実力を知りたいのじゃ」
「私の…?」
「見せてもらおうか。ツインテイルズを凌駕する、その力を!!」
瞬間、ダークグラスパーは自身の得物・ダークネスグレイブを振る。
放たれたのは、横一線のエネルギーの刃。
ホワイトは見切って、グリーンは転がりながら慌てて回避する。
目標を外した闇の刃は柱に激突し、へし折ってしまう。
「ちょっと、周りを見なさいよ!?」
もし一般人に当たりでもすれば、重傷どころではない。
その心配を危惧するテイルグリーンであるが、返答は至ってシンプルである。
「ここは、イベントでもない限り人は滅多には寄らぬ」
「加えて、ウチがこの周囲に対して人払いをしといたから。思いっきり暴れられるで」
ダークグラスパーに続いて説明するテイルホワイト。
何故、彼女がそれをする必要があるのか?
色々と疑問符ばかり付くテイルグリーンであったが、今は敵に全力を出すことに集中した。
片膝を着きながらも何とか立つと、既にダークグラスパーはいた。
巨大な鎌の背を腹部へと強烈に押し付けられたかと思えば、遠心力によって吹き飛ばされてしまう。
グリーンはまともに受け、壁を突き破っていく。
「ホームランじゃな。後は頼むぞ、メガ・ネ」
そう言ってダークグラスパーは、できた穴へと潜り込んだ。
広場に残されたのは、テイルホワイトとメガ・ネプチューンMk.Ⅱのみ。
「さぁて、ウチはどないしましょ?」
「あいつらが帰ってくるまで、盆踊りでもせんか?」
何度も言うが、今回のメインはテイルグリーン。
彼女がいなくなった事で、彼女は急に戦う目的を半分失ってしまった。
そこでホワイトは、自分たちで出迎える準備をしようとメガ・ネに提案した。
「ほな、準備せなアカンな」
メガ・ネは指先の銃口をホワイトへ再び向ける。
狙いからして、今度は威嚇射撃ではあるまい。
指先が閃光する、銃弾が放たれた証である。
ホワイトはメガ・ネに、直接接近戦へと持ち込ませようとした。
彼女は自分に当たるであろう銃弾と、それ以外を瞬時に見極める。
必要最低限の動きでかわし、あるいはディメンションクローで弾く。
そして、ホワイトがメガ・ネの下に辿り着く。
下から振り上げによって、切り裂くつもりでいた。
「危ないわぁ!?」
メガ・ネはその鈍重な体に似合わず、華麗なバック転によって回避されるとは。
すぐに体制を直した彼女は、隙だらけなホワイトに銃弾の雨を浴びせる。
瞬時に劣勢へと追い込まれた彼女は、すぐさま次の手を打つ。
煙によって姿を見失ってしまったメガ・ネであるが、それは驚愕の顔(?)へと変貌する。
広場全体に、空間の裂け目を発生したからである。
"シュレーディング・ストライク"
裂け目から無数のテイルホワイトが飛び出し、メガ・ネプチューンMk.Ⅱを切り裂かんと狙う。
無数の爪に無数の壁。
メガ・ネには、この状況から脱する手段は失われたも同然である。
(こらアカンで)
ただしそれは、彼女が生身の体である場合の話である。
ホワイトの分身体の一体を貫き、そのまま飛ばす。
その後、一気に上昇をかける。
シュレーディング・ストライクは効果を失い、メガ・ネがいた場所にはテイルホワイトのみとなる。
その瞬間を、ダークグラスパーの相棒は見過ごすわけはない。
ホワイトに狙いを定めると、急降下を仕掛ける。
ホワイトは特に逃げるような真似はせず、まるでメガ・ネを待ち構えるかの様に立つ。
メガネウインガーは迷わず巻き込ませ、テイルホワイトごと壁へと突っ込んだ。
突っ込んだ場所は、屋内駐車場。
メガネウィンガーは壁を幾つも貫き、時に駐車している乗用車をも巻き込んだ。
そして屋内駐車場を抜け、再び屋外へと戻ってきた。
「無茶苦茶やな」
「アンタに言われる筋合いはないで」
互いに口を叩くも、長期戦へと突入している。
いや、彼女達の決着がつくまでは常に長期戦を意識しているはずだ。
テイルホワイトはすぐさま攻撃へと転ずる。
彼女の周囲にある乗用車は地面に溶け込むように沈んでいく。
同時に、ホワイトは接近していく。
メガ・ネは右半身を後ろにずらし、腕を構える。
十分に引き付けたところで、ストレートを放つ。
だが彼女のストレートでは、地面を打ち抜く事になるが…
メガ・ネが放ったストレートは、ホワイトが彼女の腕に乗る事で外された。
「グリーンの邪魔はさせんで」
メガ・ネの腕でステップを踏むと、顔面に向けて膝蹴りを繰り出す。
その膝蹴りは確実に顔面を捉え、ヒビを入れた。
テイルホワイトは、そのまま後ろへ飛び降りる。
威力が大きいためか、メガ・ネはろめきながらも何とか彼女に振り向いた。
メガ・ネは追撃を仕掛ける。
しかし、ホワイトはそれを防ぐ手段がある。
シュレーディング・クローを解除し、地面に片手を着く。
(さて、どう出る!?)
メガ・ネの真上に先程の広場で見せた、あの裂け目が生成される。
そこから出てきたのは、沈んでいた乗用車。
あれで、メガネプチューンMk.Ⅱを、押し潰す算段か。
重力の法則に従い、乗用車は狙い通りに彼女へと向けて落ちていく。
(あれで倒せる相手やない)
しかし、僅かに怯んでほしい。
そうも願っていたが、それは呆気なく裏切られる。
先程の
あれこそ、
バイクに似た
苦虫を潰したかの様な表情をするテイルホワイトは、予測地点へと連続して乗用車を投下していく。
自立走行も可能なメガネストライカーは、華麗なハンドル捌きでかわしていく。
「避けんと、危ないでぇ?!」
乗用車を全て使いきったのか、投下してこない。
勝負を畳み掛けるために、メガ・ネは最大加速でテイルホワイトに突っ込む。
だがホワイトは回避する素振りを見せず、クローをもまだ出してこない。
そしてメガネストライカーは、ホワイトに激突した。
「今さらやけど、何でテイルグリーンちゃんなんや!?」
「何の話やねん?」
メガネストライカーの馬力には、やはりテイルギアでは勝てないのか。
抑えようとするホワイトだが、端から見ればやはり負けている様にしか見えない。
「ホワイトちゃんなら、ダークグラスパーちゃんを一瞬で倒せるやろ。何でそないな手柄を、わざわざヘッポコ戦士に託すねんて?」
「ヘッポコ、か…」
メガ・ネの疑問を直に投げ掛けられ、テイルホワイトは微笑した。
確かに彼女は、ツインテイルズと比較すれば戦闘経験の差は歴然。
そんな彼女達に勝利をもぎ取ったのは、運であることが大きい。
加えて、
「だからこそテイルグリーンには、命を賭けた戦いの中で成長せなアカンのや」
メガネストライカーの猛攻が、不意に止まる。
後輪は回り続けているが、少しも前へとは進まない。
見れば、メガ・ネの体が浮いている。
つまり、テイルホワイトはメガ・ネの巨体を持ち上げているのだ。
「テイルレッドが一番危険なら、それを潰す存在は必要やからな」
テイルホワイトは、メガ・ネの体を掴んだまま、ジャーマンスープレックスを与える。
上下反転で地面に叩きつけられた彼女には、大ダメージは避けられない。
メガ・ネは横に倒れ、地面を滑走する。
そして、駐車していた別の乗用車に激突することでようやく止まった。
「イツツ… ならウチは、テイルホワイトを倒してこの不毛な戦いを終わらせなアカンのや」
人型へと戻ったメガ・ネは頭を抑えながらも、自分の任務を再認識させる。
その決意に、テイルホワイトはわざとらしく尋ねてみる。
「不毛?」
「ウチらアルティメギルに必要なのは、ツインテール属性だけ。不純物は、できる限り取り除きたいねん」
硬直化した屋外駐車場。
再び緊張が周囲を支配するも、それは崩れ去る。
その元凶は、ライブ会場から起こる。
その方向を見れば、邪悪なエネルギーの柱が天に放出しているではないか。
これはただ事ではあるまい。
「一時休戦や、メガ・ネ」
「せやな」
ただ一言、互いに交わす。
それを合図に何をすべきか、互いに解っている。
メガ・ネは、すぐさま
テイルホワイトは、その操縦席に乗り込む。
「しっかり掴まっとき!!」
メガ・ネはブーストを起動して、その現場へと向かう。
その道中、エネルギーの柱は消滅していた。
ライブ会場の上空へと到達するも、そこはまた戦場以上の何かである。
スタンドにいるのは、ダークグラスパーで間違いない。
ならば、テイルグリーンは何処か!?
だが彼女はいない。
その代わりに---
「何やねん、あれは---!?」
禍々しいオーラを纏う『化け物』がいた。