Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.79【用事はほどほどに】

やっぱ、こうなっているよね…

 

「痛々しいというか… よくこれで再開できたなぁ…」

 

校舎のところどころに、カバーがかけられている。

恐らく、破壊された箇所を隠すためなんだろうな。

範囲も範囲だから、凄い面積になってる。

一見『お化け屋敷みたい』といわれても、仕方ないくらいだ。

 

(これも理事長を始めとした、陽月学園スタッフの涙ぐましい努力なのかも…)

「ひっさしぶり、いおりん---♪」

 

感慨にふけっていると、後ろから思いっ切り叩かれた。

ヒリヒリ痛む頭を抑えながら振り向くと…

 

「…何でだろう、数日振りなのに。スッゴク懐かしい気がする」

「何寝ぼけてのよ」

「そうそう」

 

とやかく言われながらも、私は校門へと近付いた。

そしたら、その辺りで何やら騒がしい。

 

「…?」

「多分、アレよアレ」

「あぁ---」

 

私には分からないが、2人には見当がついているみたい。

 

「ま、行けばわかるよ」

 

まだ?マークがついていたが、取り敢えずついていくしかないか。

更に近付き、声もハッキリと聞こえてきた。

というか、この声って---

 

「何密着してんの!? これ見よがしにアピールしちゃって!」

「これは愛香さんにはできないでしょう? 精々、そこで歯ぎしりしてなさい!!」

「はぁ!? ふざけんなっての。再教育してあげるから、こっちに来なさい!」

 

必死に怒っている女生徒と、アッカンべーとした女生徒。

その中心は、少々困り顔な男子生徒。

これはもう、間違いない。

 

(何で、あんたらが…?)

 

朝だってのに、眩暈がしてきた。

もう保健室へ行こうかな。

それとも、他人のふりして逃げようか。

 

「この時間になると、いっつも見られるよ♪」

「今じゃ、この学園の名物なんだ。いおりんは朝早く登校するから、知らなかったでしょ?」

 

…うん。

知らなかったし、知りたくもなかったよ。

どうでもいい情報、ありがとね…

 

「(さぁて、見なかった事にしてさっさと---)」

「あ、伊織先輩、助けてください!!」

 

何やってんのよ、観束君---!?

お蔭で、選択肢がなくなったじゃない。

 

「…知り合い?」

「取り敢えず、指名されてるし。行ってみれば?」

 

ただでさえ、頭が痛いってのに…

でも無視はできないし、行きますか。

本当に、渋々といった感じで歩き出す。

しかも、私の周りは引いている感じで、誰も寄り付かなくなったし。

 

「…むぅ」

「先輩、コイツに一言言ってやってくださいよ!? いっつもアタシのそーじを奪って!!」

 

何というか、もう…

全く、彼女達は子供ね~

それだけ、観束君が好きって裏返しでもあるけど…

 

「そんなに所有権を主張するなんて。もしかして、襲っちゃった?」

 

その言葉に、周囲は凍りついてしまった。

…あれ、変なこと言った?

 

「ななな…」

「顔に似合わず、結構大胆」

 

クラスメイトも、もうボーゼン。

 

「何もせずにに主張するのはどうかと思うわよ。それだけ大切なら、そのくらいの覚悟は必要だと思う」

「えっと、それって…///」

 

寧ろ、それすら容認できないのならば、始めから主張するなっての。

 

「『アタシのそーじ』って言うなら、我慢も大切。もしそうなら、いつかは津辺さんのもとに戻ってくる。少しは彼を信じてあげても、良いんじゃない?」

 

津辺さんの肩を軽く叩き、私はさっさとこの場を去る。

ほんっと、どうでもいいから抜け出したかった。

 

「ちょっと、収拾はついたの!?」

「待ってよ、いおりん~」

 

☆☆☆

 

「…凄いわね、先輩」

「えぇ、私とは別ベクトルに進んでいます」

 

放心した観束君を放っておきながら、彼女達はそれぞれ感想をもらしていた。

それは伊織に対して、とある変なものを植え付けた結果となった。

だが、それを当人が知ることがあるのか…?

 

☆☆☆

 

「ぇ~… それでは---」

(あれ? 足立先生じゃない?)

 

あんな事態はあったが、それでも日常は変化しない。

折角、授業が減ると思ったんだけれどなぁ。

それでも、幾らかは変化があるみたい。

彼の代わりに、別のクラスを担当していた先生が教壇に立っていた。

 

「足立先生なんだが… 休暇届を出されたみたいでな。しばらくは、私が担当してもらう」

 

その先生の報告に、生徒は喚起した。

何しろ、足立先生の授業は厳しいから。

生徒からの評価は、めちゃくちゃに低かった。

 

「おいおい… そんなに私が嬉しいのか?」

 

違います。

足立先生に比べれば、貴方の方がマシであるだけです。

その事実、果たして告げて良いモノか…

 

「だからと言って、授業のペースは下げんぞ。さて---」

 

そんなこんなで、授業は普段通り進んだ。

僅かながらに、ズレを孕みながら。

まぁ、そんな事どうでもいいけれど。

放課後になったら、部室に顔を出しますか。

多分、皆も同じ気持ちだろうしね。

 

 

 

 

「---ぁ」

 

襲撃された時に、想定すべきだったか。

少なくとも、複数の教室が爆破された。

その事実は、確実に私達の生活を崩されたと。

 

「酷い有り様ね…」

 

見事に、ツインテール部は破壊されていた。

部室のそばに、焼け焦げた立札が転がってた。

それが余計、悲惨さを物語らせていた。

 

(何で、こんな辺鄙なところを…?)

 

そう考えていたせいで、誰かが来ることに気付かなかった。

 

「やはり、お前も来ていたか」

「桜川先生…」

 

そっか、顧問だったよね。

 

「襲撃した部隊については、分からず仕舞いだ。どうやら、裏で手廻していたらしい」

「そうですか…」

 

ただのテロリストではないとは、思っていたが…

これは、後々響きそう。

 

「それにしても、何故ここを爆破したんだか… 彼等の目的が明白でない以上、私達が知ることではないがな」

 

(もしかして彼等は)

 

そう考えたとき、スマフォが振動した。

それに気付いて取ってみれば、『アドレシェンツァに集まって』とチャットが。

もしかしなくても…?

 

「にょわっ!?」

 

今度は違うバイブレーションが。

画面には、『観束総二』と表示していた。

彼からとは、珍しいこともあるもんだ。

とにかく、出なかったら不味いわ。

 

「はい---」

『助けてください、大至急!! でないと、俺---』

 

なんとなく、展開は読めた。

別に放っておいても構わないけれどねぇ。

それはそれで、観束君の信頼を裏切るし。

 

「気は進まないけれど、行きますか…」

「では、私はお嬢様の護衛に戻ろう」

 

ここで桜川先生と別れ、私は急いで向かった。

 

☆☆☆

 

「今回の作戦は成功。これで、ツインテイルズの活動は大幅に制限できたはず…」

「成る程。あれは、お前が内側から引き起こしたもんだったか」

 

廃工場。

そこは、伊織達ポニーテールのツインテイルズが拠点としていた場所でもある。

ただし、今回は基地へは入らず、錆びた鉄柱にもたれかかる。

リンはそこで、スマフォの画面を見ながら、静かに呟いた。

 

「足立先生--- どこでウチを嗅ぎ付けたんで?」

 

それを遮るかのように、彼は割り込んできた。

リンからは若干見えにくいが、声からして誰かはわかる。

そして、彼女は苛立っていた。

気配を無くした上で移動していたはずが、まさか…

 

「それはどうでも良いこった。それよりも、まだお前には裏がいるだろう?」

「ツインテイルズは予想以上に働いた。これでは、彼等の分も減ってしまうからな。だからこそ、彼女達にチョーカーを付ける必要があったんや」

 

恐らく、彼には全て筒抜けであった。

そう予測した彼女は、()()本音を話した。

それは別に言っても構わないという理由が大きいが、別の根拠も存在する。

 

「随分とおしゃべりだな。まぁ、強迫する手間は省けて助かったが」

 

予想外な反応に、肩をすくめる足立。

相変わらず、薄気味悪さを浮かばせたままだ。

 

「さて、俺をどうする? 俺を殺したとしても、既に情報は筒抜けだ。お前には何のメリットがないってこった」

 

そうして高らかに嗤う足立に、リンは動いた。

右拳に力が入り、認証コードを発動させ---

 

「…?」

 

なかった。

確かに口はそれを唱えようとはしていた。

だが、それは形とはならなかったのだ。

 

「喉元まで出おったけど、倒すにはアカンわ。お前では、小さすぎて手柄にならん」

「なっ…!?」

 

ガシガシと掻きつつ、リンは吐き捨てた。

そしてそのまま、彼女は去ろうとしている。

 

「待て待て待て!! 俺を放っておいて良いのかよ!?」

「戦って損するんは、ウチの方や」

 

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