(…予想通り、かな?)
ツインテイルズの基地へと向かった。
急いで来てみたけれど、ガッカリだわ…
「うごああああ!?」
「そーじに付きまとうんじゃねえぇぇ!! この、女狐があ!!」
案の定というか、日常的というか…
骨が軋む音をBGMに、トゥアールさんは思いっ切り決められていた。
あれは確か…、コブラツイストだったか。
「すみません、先輩。これを収めるには桜川先生と先輩しかいなくて…」
「私は便利屋かなにかか!?」
事故処理力の無さに、思わず突っ込んでしまった。
とはいえ、傍観者のままはいけないよね。
「"喧嘩両成敗"!!」
「「ごばあっ!!?」」
テイルギアの出力を最低限に抑え、両者を押さえつけた。
勿論、接近はせずに重力で。
彼女達は時折痙攣しながらも、大事には至らないはず…
(ここにもいないんだ、リン)
実は、学校でちょろっと彼女の姿を見てから、一度も見ていない。
色々と聞きたいことがあったんだけれど。
またどっかで、楽しんでいるでしょう?
「あてて… 助かりましたよ。この野蛮は、もう私では止められないので…」
「アンタが余計なんでしょうが!!」
聞いてて、凄いイライラする。
黙っていれば、勝手に…
「もう一度、お灸を据えましょうか?」
「「いえ、結構です!! はい、仲直りしましたっ!!!」」
こうでもしなきゃ、最近は収拾がつかないらしい。
そして、観束君を振り切って暴れだした、と。
つくづく、この2人の関係性が分からない。
「(それにしても、集合率が減ったわね…)」
パッと見るだけでも、わかる。
ここにいるのは観束君、トゥアールさん、津辺さんと私だけ。
桜川先生は、会議や職務で仕方ない。
慧理那も生徒会長という立場だからこそ、容易に来れない。
リンはどうだろう?
一応生徒会の書記だけれど、最近は殆ど姿を見せないらしい。
何でも、親戚関係が騒がしいから、だって。
「部長なんだから。しっかりしなさいよ、観束君!?」
「…」
部長も部長で、すっかり変わった。
なんというか、私が部長みたい。
折角のツインテール部なのに…
どこをどう間違えたら、こうなった?!
「だけれど、部室が使えなくなったのは痛いわね」
「ここまでエレメリアンが出現しないの幸いですが、すぐに出動できなくなりましたからねぇ」
確かに…
もし海外でエレメリアンが現れたとしても、彼女等はすぐにはできない。
一応、アドレシェンツァに本部がある。
でも、それで全てはカバーしきれない。
「部室があったからこそ、私達は何不自由なくこれたんです」
「…」
すぐにどこかの空き教室が使えたら…
そう思っていても、できはしないだろうね。
部室として使っていた部屋の大半を爆破された。
復旧工事も、思っていた以上に進まない。
まぁ、理事会で何かしらのトラブルがあったのだろう。
「私じゃ、どうにもならないわよ。せめて、リンがいたら」
何かしらの知識がある彼女なら、打破できるかもしれない。
だってテイルギアですら、幾つも作ったんだし。
「打つ手なし、ですか…」
トゥアールさんの言葉が、空間に響いた。
「まぁ、落ち込んだってしょうがない。私達が今できることをしようか」
機転を効かせるために、彼等に発破をかけてみる。
けれど、皆から覇気が見られない。
この先、大丈夫かな…
☆☆☆
リンが足立と対峙していた頃---
「僕の言葉、彼女はどう受け止めたのかな?」
「…」
廃墟の上に腰掛ける男性と、それを複雑な心情で見る女性がいた。
いや、表現するには恐ろしいといった方がいい。
「しかし、彼等があれ程までに働くとは。これで、ツインテイルズの活動は大幅に減少しました」
「確かに、ね。元々、
彼は相変わらず、無表情。
だが、それでも微かな喜びは感じ取れる。
彼女は、それが不満で仕方ない。
「あの強大な力、流石に彼女達がずっとは持てないのは明白。だからこそ、彼等に手助けを行い、偶像化を手助けしたので?」
それが疑念。
アルティメギルの理念に反しているからだ。
彼等はツインテイルズを英雄とさせ、
そして最後に、根こそぎ奪う。
「私はそう思えません。むしろ、障害となるのでは?」
「まぁね」
ここで初めて、彼は答える。
「あのままじゃ、一辺倒だ。僕の
「---」
その時、彼女自身の
だが、それが何かは分からない。
「あまり間を空けても、意味がない。今夜に当てるとしよう」
彼は立ち上がり、彼女へそう告げた。
「どうする、君は?」
「私は---」
予感がした。
だが、ここで別れれば---
「お供します。"怨み"殿一人にはさせません。」
「分かってたよ」
彼は諦めつつも、微笑みながら彼女の頭を撫でた。
やっと彼女の顔に、変化が起きた。
「さあ、行こうか。ツインテイルズの命日へ」
そして、彼らは消えていた。
☆☆☆
「彼から観戦チケットだと!?」
その言葉を皮切りに、周囲はざわめく。
「まさか…」
「どういう算段だ?」
それが普通ならば。
サッカーや野球など、スポーツならばここまで動揺はしない。
「まさか、エレメリアン戦なんて」
「しかも、ツインテイルズの殲滅も書かれている」
まさか、本当に…!?
それが全員の感想であった。
(彼は何を考えている?)
☆☆☆
(---)
どこぞともしれない場所。
無論、GPSでも確認はできない。
(---)
つまり、そこは何も存在しない。
だがそこに、その事実を無視する存在がいた。
(---くるとすれば、そろそろやな)
つまり、空間を支配できる者。
彼女の周囲には繭がある。
「感動の再開となるんか、それとも…」
ディメンションクロー。
敵を空間ごと切り裂くことで倒す、防御不可の切り札。
その空間切断能力を応用することで、この様なこともできる。
「まぁ、手助けはできんわな。これはあいつの問題やし」
そして別の空間へ入れることは。
「それよりか、足立先生はっと---」
クローで再び空間を切断する。
その切り裂かれた空間には、また別の景色が映し出されていた。
そこには、くたびれた服を着ている男性が一人走っている。
何か急いでいるようだ。
(カバンの類もない。さっき会ったのとはさほど変わらんなぁ…)
彼と会った際に、彼は手ぶらの状態で来ていたはず---
「いや、確か足元にカバンが置かれてたはずや!?」
慌てて別の空間へとつなげる。
そこには、変わり果てた物が映し出されている。
「あ-ぁ…」
言葉とは裏腹に、落胆した様子は見られない。
「さて、見物けんぶつ♪」