Which do you love ?   作:ズケズケ

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Episode.82【ツインテイルズ、到着】

属性力(エレメーラ)を検知。これは--- 幹部クラスですよ!?』

 

トゥアールの知らせは、いつも通り。

ここまではそうだ。

でも、これがいつものじゃないと気付いていれば…

 

「分かった。俺も後から行く!!」

 

俺は外にいた。

とはいえ、買い出しではあるけれど。

先に買っておいた食材を家に持って帰らなきゃ。

 

『え? 何ですこれ…』

「どうした!?」

 

急に彼女のトーンが変化した。

 

『テイルグリーンが、既に交戦を開始してます。しかも、ピンチです!!』

「…チッ」

 

なんでこうも、先輩は先回りしている?

俺達には、何も言ってくれなかったのに…

仲間じゃないのか!?

 

『ブルーとイエローは基地内にて、準備完了です。先に向かわせますか?』

「いや、もうすぐ家に着く。それまで待ってろ!!」

 

ったく、何で先輩はこうもトラブルメーカーなんだよ!!

どういう体質なんなんだ…

 

 

 

 

 

「---」

「現在確認しているのは、2体のみ。うち1体がテイルグリーンと交戦しています」

「もう1体は護衛か、それとも援軍を抑えるための駒か…」

「いずれも倒すまでですわ」

 

ツインテイルズ基地。

そこで、トゥアールからの詳細を聞かされた。

画面には、テイルグリーンとエレメリアンが戦闘している。

でもそこには、有利な状況は無かった。

 

(スタジアムで見た、あのエレメリアンか…)

 

ダークグラスパーとは異なる、黒さをまとうツインテイルズ。

そいつと、互角に渡ったあのエレメリアンだ。

 

(万が一、俺が戦うとなれば---)

 

勝てるのか?

俺自身の、ツインテールに賭けて。

きっと、奴はそうじゃない。

属性力(エレメーラ)を有しているけれど、そうじゃない。

もっと強い、何かを---

 

「聞いてるの、そーじ!?」

「うわあっ!?」

 

いかん、没頭していたか。

 

「まったく… いい? あたしとイエローが取り巻きを抑えるから、アンタはボスをお願い」

「…了解」

 

ズイズイと人差し指で鼻を押しながら、そう()()に話してくれた。

俺には、凄まじい威圧感しか感じられなかったが…

あの時は、了承するしかなかった。

 

「今日も張り切って倒すわよ!!」

「愛香さんは、それだけが取り柄ですから」

「何ですってぇ~!?」

「早く行かないと、いけないのでは…?」

 

転送装置の前は、混雑していた。

ちゃんと、人数分あるのにな…

 

「ほれ、とっとと入って」

「わかったから、押さないでよ、その胸で!!」

 

目の前の光景を見ていると、緊急事態だってこと忘れそうだ。

 

(…何かを忘れて?)

 

その時、違和感の正体に気付いた。

さっきから重いと思ったのは、買い物袋か!!

 

「ゴメン、ちょっと待って!! 買い物袋を母さんに渡してから---」

「私がどうかして?」

 

なんつータイミングだよ。

しかも、(ニュー)の軍服着ているし。

 

「頼まれてた食材、買ってきたから」

「あぁ、ありがと♪ これで何とかなるわ」

 

それはそれで構わない。

…けれど。

 

「母さん… まさかそれで店内を?」

「意外と好評だったのよ、これ。もう、明日からウチの制服にでもしちゃおうかな」

 

勘弁してくれよ。

いつからウチは、コスプレ喫茶になった!?

 

「そう言えば、総ちゃんの学校にもコスプレがあるんだっけ?」

「正確には『コスプレ部』だけどね」

 

それがなんだってんだ。

正直、襲撃事件で忘れたいんだが…

 

「総ちゃんに是非、入部させたいって。名刺もらったの」

「マジかよ…」

 

そう言って手渡された名刺には、ちゃんと記されていた。

所属する部活や部長の名前が。

てか、来てたのは部長かよ!?

 

「…あれ?」

 

やけに分厚いと思ったら、名刺が複数も。

ちゃんと数えたら、もう1枚あった。

 

「これは?」

「伊織ちゃんにも渡してくれって。一度見て、気に入ったらしいのよ」

 

先輩はともかく、俺に名刺を渡すとは?

よくわからん。

 

「戦闘が終わったら、連絡しても良いんじゃない?」

 

しまった。

俺達は今、向かおうとしていたんだ!!

あの戦場へ…

 

「兎に角、行ってくる!!」

「頑張ってね~」

 

俺は急かされる形で、転送装置へ飛び込んだ。

テイルブレス、ちゃんと軌道もさせなきゃ。

 

(伊織先輩を助けなきゃ)

 

帰る理由もある。

言わなきゃならないこともある。

それらを果たすためにも、俺は---

 

☆☆☆

 

「ウチが行きゃええやん、って思うやろ? それはできん相談や。何でやって? そんなん、手助けしたら、アイツのためにならんわ。それに、手助けできるほど暇かって言われたら、そうでもないんよ。森の茂みでわからんけれど、人がぎょーさんおるわ。それも、武装した奴らがな。テイルグリーンだろうがエレメリアンだろうが、戦闘が終了すれば、そのどちらかをかっさらうつもりなんやろ。ウチは知らんけど。まぁ、その人らが同グループやったらええんやけれど。見てみぃ、ウチと向かい側と斜め右、斜め左と全部が違う。絶対に同じグループなわけあらへん。こんなん、後が滅茶苦茶なるんは見え見えってわけ」

 

「あぁ、一気にしゃべってすまん。結局、ウチが何をしているか、っちゅう話やろ? 別にボケーっとはしてへん。けど、動きもせん。向こうに何か動きがあれば、話は別やけど。つまりは監視や。ここがアンタの見せ所や、って言う奴もおるかもしれん。けれど、ウチは意地でも動かん。まだや、まだ---」

 

☆☆☆

 

「おや、お客さんようだ」

「…ふん」

 

そこにいたのは、エレメリアンと人間。

そして---

 

「グリーン!?」

 

倒れていた、テイルグリーンがいた。

深く肩に剣が刺さり、動けないでいる。

 

「やぁ、いらっしゃい」

「アンタ… 何のつもりよ? アルティメギルは、人間に危害を加えないんでしょ!?」

 

そうだ。

事実、エレメリアンがあそこまで攻撃したところは見たことがない。

 

「抵抗しなければ、だ。やはり貧乳を有するものは、理解度もないんだな」

「なんですって…」

 

ブルーは、やはり『貧乳』というワードには敏感だ。

 

「そもそも、これだけエレメリアンを滅ぼしておいて、君たちが報いを受けないわけないだろう? 幹部たちもそろそろ痺れを切らしている」

 

並のエレメリアンが放つオーラじゃない。

それに、言葉の節々に威圧感を乗せている。

 

「こうでもしなきゃ、アルティメギルは真の意味で覚醒はしない」

「そうでしょうよ」

 

彼の言葉を遮るように、女性は割り込んだ。

 

「私達は属性力(エレメーラ)をある程度は吸収した。でも、それだけでは満足しない。私達エレメリアンが進化を遂げるためには、更なるものが必要なのよ」

 

そうして彼女は、感情を爆発させると共に、変化した。

いや、変身と言った方が良い。

 

「エレメリアンにも感情がある。いいえ、人間の心から生まれた以上、人間よりも感情は高いわ。だからこそ、私達は多くの属性力(エレメーラ)を集め、感情を更に高めるのよ!!」

 

それは、サンタ服。

しかも女性用だし。

人間態に殆ど近い、いや人間じゃないの?

スタイルも良いから、目のやり場に困る。

 

「えぇ?! 結局はアタシに喧嘩を売ってんのね!?」

 

勘違いしているぞ、ブルー。

 

「もういいわ。アタシがあの女をぶっ飛ばす!! イエローとレッドは奥の奴をお願い」

「「わかった(わかりましたわ)」」

 

ともかく、これで構図はできた。

俺はアイツを倒す---

 

「では、私からプレゼントをあげましょう」

 

急にテンションを変えてきた。

キレ気味だったのに、今度は子供に接するような明るい感じだ。

 

どこからか取り出したのは、プレゼント箱。

よくクリスマスで渡されるものだ。

それが空中で破裂した。

 

「…え?」

「嘘ですわ」

 

その煙から出てきたのは、意外だ。

まさか…

 

「リヴァイアギルディ?! クラーケギルディまで!!」

 

かつて、俺達が倒したはずのエレメリアンだ。

しかも、よりによって幹部。

 

「残念だけど、彼には--- "怨み"殿には近付けはしない」

 

不味い。

よりにもよって、3 on 3かよ!?

 

「テイルレッドは私が。後はよろしく」

 

そう彼女が告げると、幹部エレメリアンは前線へ動いた。

リヴァイアギルディは、テイルイエロー。

クラーケギルディは、テイルブルーへと向かう。

 

「邪魔なの。だから死んで」

「お前に倒されてたまるかってんだ!!」

 

まっすぐに拳を叩き込む。

その威力は俺を弾くほどだ。

地面を深く削って、ブレーキをかける。

 

「俺は仲間を助ける。だから、そこをどけ!!」

 

ブレイザーブレイドを取り出し、最大速度で切り付ける。

だが、それはふさがれてしまう。

 

「その力で? よく大それた事を」

 

クリスマスで飾られる、モミの木?

それに似た感じの武器を手にしている。

 

「出直してちょうだい」

 

押し返すと同時に、前蹴りで押される。

よろめいていた隙を、彼女は武器の先端で突いてくる。

ブレイザーブレイドを構え直し、滑らせて回避させた。

 

「へぇ。小さいのに、かなりの腕前ね」

 

随分と軽口なんだな。

俺は密かに、怒っていた。

 

「でなきゃ、ここまで生きてねぇよ」

 

でも、何も反論するわけにもいかない。

こちらも軽口で返す。

 

「そんなちっぽけなプライドじゃ、すぐに負けるわ」

 

今度も突きで来るのか。

だが、こんな見え見えの攻撃は---

 

(速ッ!?)

 

一瞬で間合いを詰まれた。

躱せるまでの余裕が、もうない。

横に構えていたブレイザーブレイド。

それで突くしか、咄嗟には思いつかなかった。

 

「だから、弱いの」

 

ブレイザーブレイドとモミの木。

通常ならば、俺の武器が勝つはずだ。

だが、現実は違った。

 

(嘘だろ…)

 

ブレイザーブレイドの先から砕け、その勢いは止まらない。

反射で横へ躱して、難を逃れた。

手元にあるのは、剣の意味をなさないブレイザーブレイドのみ。

 

「これでわかった?」

 

ニヤリと微笑む彼女。

確かに、武器といい動きといい。

これまでのエレメリアンとは一線を引く。

だからといって…

 

「いいや、まだだ!!」

 

諦める俺じゃない!!

 

☆☆☆

 

「わたくしなりの、おもてなしですわ!!」

 

イエローは全弾をリヴァイアギルディへ放つ。

しかし、彼は巨大な触手を器用に使い、全て防いでしまう。

更にその触手を伸ばし、彼女をなぎ払う。

 

「気持ち悪いけど… 黄泉返りは更に気持ち悪いのよ!!」

 

ランスで刺突を繰り返すが、クラーケギルディは華麗に躱す。

しかし、ただ躱しているだけではない。

 

「待ちな--- ガフッ!?」

 

クラーケギルディを追いかけようとする。

だが、突如地面から触手が無数に生え、彼女を貫いた。

 

「こんなの… あるかぁ!!」

 

だが、ブルーは無理矢理体を動かしてちぎった。

身体中に刺さった触手が、動く度に叩くが気にしてはいられない。

遠距離攻撃がない以上、ブルーは接近戦へ持ち込むしかない。

それを知ってのか、クラーケギルディは再び無数の触手を向けた。

 

(…使いたくはなかったけれど---)

"属性玉多重変換機構(エレメアディッション)唇属性(リップ)唾液属性(スロバー)"

 

かつて、異世界で見せた『青き悪魔』。

その再現が、今なされようとしていた。

 

「でりゃあああ!!」

 

口元にエネルギーを集中させ、一気に放つ。

その威力は触手を全て空中で焼くほどに、だ。

そして、一刀両断するがごとく地面へ叩き付ける。

しかし、そこにクラーケギルディの姿は無い。

エネルギー波は過ぎた後に、幾つもの穴が生じていた。

 

「まさか… 潜った!? イカなのに!?」

 

気付いた瞬間に、地響きが。

周りに気配を感じるが、本体は見えない。

そして、クラーケギルディは彼女の真下から、体当たりをかました。

 

「生意気な…」

 

弾き飛ばされさイエローは体制を整えられない。

リヴァイアギルディに抑えられ、身動きが取れないでいた。

それでは飽きたか、彼はテイルイエローを片手で持ち上げる。

フルアーマーである、彼女をだ。

 

(今更ですけど、本物のリヴァイアギルディなのかしら!?)

 

未だに話そうともしない。

ウィッシュの命令を、ただ忠実にこなす。

まるで、自動人形(オートマタ)だ。

 

(このような奇術、まさかエレメリアンは---)

 

急に離したかと思えば、腹部に強烈な痛みが。

リヴァイアギルディの触手によって、再び弾かれたのだ。

その先には、テイルブルーがいた。

 

「イエロー、大丈夫?」

「これは思ったよりも… 厳しいですわ」

 

倒れていたイエローを、ブルーは支える。

互いの背を預け、ブルーとイエローは警戒していた。

ブルーの正面にはクラーケギルディが、イエローはリヴァイアギルディがいる。

かつては逆の立場として、彼女達は撃破していた。

 

(アタシの槍じゃ、あの触手は防げない)

(私の武器では、貫通さえ困難ですわ)

 

互いの武器は長所でありながら、短所ともなっていた。

ウィッシュが作り出した存在というのも、大きい。

彼女が投げたプレゼント箱は、渡す相手の思考を読み取る。

そして、それに応じた『プレゼント』を与えるのである。

 

「ここは、1つ交換してみる?」

「ナイスアイデアですわ!!」

 

何故その思考が出なかったのか。

そう決断するや、互いの反対側へ駆ける。

 

「お返しよ!!」

 

リヴァイアギルディの触手での刺突を紙一重で避け、オーラピラーを放つ。

 

「不味いですわ--- なんて嘘です」

 

クラーケギルディの無数の触手により、テイルイエローは粉々にされた。

だが、彼女は全武装を外し、それを回避。

ホルスターには、しっかりとヴォルティックブラスターが備え付けられている。

 

「"エグゼキュートウェーブ"!!」

「"ヴォルティックジャッジメント・クレッセント"!!」

 

両者の一撃、は確実にエレメリアンを捉えた。

エレメリアンはその威力に、耐えきれないようだった。

体が白く発行して、氷が砕けたかのように消えた。

 

「やったわ」

「上手くできましたわね」

 

これで、彼女達を塞ぐ存在はない。

急ぎテイルレッドの援護へ---

 

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