登校中、私は悩んでいた。
(あの話、結局なんだったんだ?)
ドラグギルディが倒された翌日。
すぐに別の隊長が現れ、例の空中スクリーンによる戦闘継続を宣言した。
確か、トラだったな。
ツインテイルズと戦闘を開始し、テイルレッドにはある意味優勢だったが、ブルーが静かに倒した…らしい。
なぜ、らしいかって?
今朝あたりにニュースでしていたみたいだけど、慌ててたので観てなかったのだ。
家に帰ったら、新聞で確認しなくちゃ。
しかし、あの時の台詞…
『遅かれ早かれ君達は巻き込まれる運命だった』
あの会社員―――ユウが言ってたことって…
「どうしたの? そんな深刻な顔をして」
「ふぇ!? いや~…最近、寝不足気味でね」
「ダメだよ、ちゃんと睡眠時間とらないと」
「アハハ、ゴメンね(汗)」
まさか友達に心配されるなんて。
どうやら、顔に出ていたみたい。
本当に、最近の私はどこかおかしい。
…一度、病院に行った方がいいかもしれない。
それも、精神科の。
一人暮らしがこたえたのかな?
放課後。
今日はバイトが無く、買う物も無いので久し振りにゆっくりできる。
廊下を歩いていると、慧理那とメイドさんがいた。
「慧理那、どこ行くの?」
「あぁ、伊織さん。これから新しくできた部活を見に行くところですの。良かったら一緒に行きません?」
「新しい部活って、もしかして…」
「『ツインテール部』ですわ」
あの噂、マジだったのか…
発足させた部長はともかく、部員はいるのか?
「でも、部活できる部屋なんかあったっけ?」
「今まで使われていなかった部屋を改造して、部室にするそうです」
さっきまで、一言も話さなかったメイドさんが答えた。
この人もツインテール、だね。
「メンバーは全て1年生です」
「ふぅん」
どうするかな。
帰っても、自習するしかない。
でも、そんなのはいつでもできるし…
「よし、行こうか」
私は、慧理那の誘いに乗ることにした。
見た目は、文化部と変わらない。
部室まで行く途中、その部の活動目的を聞こうとしたけど、部長に確認を取るため聞かないで欲しいと頼まれた。
それは構わないけど、変な目的じゃないよね? その部活。
慧理那は部室のドアを軽くノックした。
「生徒会長の
「えええっ!? ちょ、ちょっと待ってください!」
返ってきたのは、慌てた感じの『待った』。
まだ、整理ができていないのか?
「ど、どうぞ」
お、OKサインが出たか。
「お邪魔しますわ」
そうして慧理那は部室に入っていく。
部室は、長テーブルと折り畳み式パイプ椅子、ホワイトボートと、いたって普通な感じだ。
その中ににいたのは、三名ほど。
2人はネクタイとリボンの色から一年とわかるけど、もう一人は…?
ワイシャツが大きくはだけ、豊満な胸が見えている。
しかも白衣をつけたまま。
…あれ?
最近、見かけた気がするけど。
「そちらの方は、確か今日編入手続きをされた女生徒が一名いると聞いていますが、その方ですか?」
「はい。俺の親戚で、海外から引っ越して来たんです。すいません、正式に登校する前に、一度校内を案内して欲しいってせがまれて……」
やはり慧理那も気にしていたか。
しかし、転入生ね…
生徒にしては、雰囲気に合わない。
男子の説明を聞いて、一応は納得したがどこか
「そうですの。今日は隅々まで見学して、陽月学園を好きになってくださいましね」
慧理那は、会長らしい振る舞いで返した。
しかし、手にしていた書類を見て、部室は真剣な空気に包まれた。
「申請のあった部活新設の書類を見て、少し気になりまして。直接確かめて新設許可を出させていただこうと思い、こちらへ伺いました」
「わ、わざわざすみません」
まだ、部活は発足していないわけか。
「部活内容は、ツインテールを研究し、見守ること、とありますが」
「間違いありません」
部活動の名前を考えれば、当然か。
しかし…
「
「大好きです」
「なぜ、ツインテールが好きなのです? それも、部活動にするほど」
「ツインテールを好きになるのに、理由が要りますか?」
質問に質問を返した部長は、会長を見続ける。
その目からは、一点の曇りがない。
本当に、ツインテールが好きなのか…
その間、白衣を着た女生徒がやたら私を見ていたのは気のせいか…?
でも、「…これは…!?」なんていってたし。
「そうですか…ええ、分かりましたわ」
普段の慧理那にしては、歯切れが悪い。
それに気が付いたのか、リボンを着けた女子が聞いてきた。
「活動内容が問題ですか?」
「いえ。問題ありませんわ。ツインテールを愛する部活なら、ツインテイルズの応援にも繋がると思いますし」
まぁ、それも活動の一つとして入っているか。
でないと、設立の理由としては今一つだったかもしれない。
「…あら? 観束君。いくら部室の中といっても、派手なアクセサリーは校則で禁止ですわよ?」
そう言われて、部長は慌てて右手を隠した。
着けていたっけ、そんなもの?
「お嬢様、そろそろお時間です」
「ええ。それでは、ツインテール部のこれからの躍進を期待していますわ、皆さん」
メイドさんの言葉に、慧理那は軽く
そして私は、慧理那と共に部室を出た。
「ねぇ、慧理那。アクセサリーなんか着けていたっけ?」
部室を出た後、慧理那に確認をしてみた。
「ええ、よく見かけるものでしたから間違いありませんわ」
う~ん…
私は特に気にしていなかった為、それすら判断できなかった。
しかし、慧理那が嘘をついているとは思えない。
(どうなってるんだ…?)
色々な意味で、あの部活が気になって仕方がない。
☆☆☆
アルティメギル基地。
補充部隊の隊長・タイガギルディが倒され、その部下のみが生存している。
いかに数が多くともそれらを指揮する隊長がいなければ、ただの塊に過ぎない。
「…フン」
そんな状況を”怨み”―――ユウは少し離れて見ていた。
(ここには、まともな奴はいない)
一応、ドラグギルディ部隊の参謀であるスパロウギルテディが残った部隊のまとめ役をしている。
しかし、効率ばかり求めて、今まで部下の育成をしてこなかったアルティメギル。
それが、多数の”戦力外”を生み出す結果となってしまった。
このままでは、更に戦死者が出ることは火を見るよりも明らかである。
(アイツなら、撤退を考えているはず)
そう思っていたが、また新たな部隊が来たとの情報が入った。
それも、犬猿の仲で知られている2部隊が、だ。
(何を考えている…?)
彼の思いとは異なる展開へと、動き出そうとしていた…