すいません、さーせん。理由は進撃最終話ショックで何もやる気が起こらないからです。あと、進撃の絵を書くのに暇な時間を割きたいと思ってるんですよ。
本当に関係ないですね、申し訳ございません。また一杯書くので、今週と来週はお許しください
真っ暗闇だった視界が広がると……私は、花に囲まれていた。
赤、青、黄、白……そこには様々な花たちが共存していた。
だが、何故か色鮮やかさを感じることはできなかった。
……何故だろう……?
覚醒不足のぼんやりした頭では答えに辿り着けず、私はひとまず身体を起こした。しかし、身体を起こしたことで私は理解することができた。
それは、
「ここは……?」
私が今いるこの空間には、太陽の光……全ての光を歪ませるほどの霧がいっぱいいっぱいに広がっていたからであると。
居心地が悪い……妙な場所だ。
それが私の率直な感想であった。でも、いつまでも立ち止まっているわけにはいかないので私は前に足を進める。
すると、涼しげな水音が耳に入ってきて、その先に更に進むと花畑の道を割る大河が現れた。
水面が黒く……底無し沼のように終わりがない、と思わせられるほどの光がない大河が、である。
それに、私は……少しだけ、ほんの少しだけ恐怖を感じた。そのため、川には踏み入らず、その場で足を止める。
そうして、立ち往生した私は困惑する頭の中で、つい対岸の方に目を向けてしまう。
「――い――お――――――い――」
すると、そこには……こちらに手を振る人影がいたのだ。
誰かが甲高い笑い声を上げながら、私を……
「お――い――! お――――い――!!」
呼びかけていたのだ。
とても濃い霧のせいで、姿は見えなかった。ただ、ぼんやりと見えるシルエットから騎士の方であると思われる。
そして、その人(?)は、対岸側からこちら側に飽きることなく、大振りで手を振り続けていた。
「……?」
ならば、きっと私に少なからず縁がある人なのだろう。
そう思った私は、対岸側に立つお方の姿を見定めるため、注視した。すると、徐々に霧が薄くなっていき、対岸側の景色が澄み渡っていく。
「あっははははは! ははははっ! お――い――!」
そこで私は対岸側にいる人物が誰なのか、ようやく気がつく。
その人が漆黒の鎧を見に纏い、自身の首を大事そうに片手に抱えるデュラハンのベルディアであることに。
「ベルディア……さん……?」
「――――よ――――」
同じ魔王軍幹部であり、アンデッドでもある彼とは……あれ……?
でも、どうしてベルディアさんがこの場にいるんでしょう……? だって、彼は……討伐されたはずじゃ……!
その考えに至った私は、生気の通っていないアンデッドであるのにも関わらず、背筋が凍りついた。
そして、目線を戻して、もう一度彼を見据えた。浄化されたはずの男を。
「――い――よ――――こ――」
しかし、私は後悔した。
その先にいた男の目がとても悍ましく、芯から身体を硬直させられる悪寒が生み出されていたからだ。
その鋭い紅の視線を送りながら、男は私に同じ言葉を紡ぐ。
そして……今度はそれがしっかりと聞き取れてしまった。
「こいよ! コッチ、コイヨッ!!」
「……っ!?」
◇◆
「……ハフゥッ!?」
「……あ、起きた」
よかったぁ……。今朝からピクリともしなかったから、もうダメかと思っちゃったよ。無事に起きてくれてよかったぁ……。
瞼を大きく広げ、飛び起きたウィズを私は確認すると、ダクネスをタンクとしたドレインタッチの循環を止める。
ただ、ウィズは突然視点が切り替わっているのだ。彼女は困惑している様子で。
「ここは……?」
「安心してウィズ。もうアルカンレティアに着いてるから」
身体を汗でぐっしょり濡らしていた。
そのため、私は手近にあった布を手に取り、彼女の顔を拭ってあげる。
アンデッドでも汗を掻くんだねぇ……。しかし……尋常ではない量だな、これ。もしかして……怖い夢でも見たのかな……?
ふふ……だとしたら、ウィズは可愛らしいなぁ。
「な、なんだか……綺麗な川の向こうでベルディアさんが楽し気に手を振っていました」
……とはならなかった。
私は彼女の呟きを耳にして、一瞬身体がピシリと固まってしまう。
え……? だ、だって……それって……さ、三……い、いや、口にするのもやめておこう。
う、うん。きっと、ただ丁度そんな夢を見ただけであろう。
そうして、私が意識を切り替え、記憶から抹消させているとウィズが身体を起こして一礼をしてきていた。
「ありがとうございますカズミさん」
しかし、そのお礼を受け取るのは私ではない。
私はウィズのお礼に小さく横に首を振り、隣に座るダクネスへと目線を向ける。
「お礼ならダクネスに言ってあげて。私はパイプになってただけだからさ」
そう言うと、ウィズはほんわかに微笑し、私の隣に座るダクネスに再度お礼を言い直していた。
あぁ……ウィズはほんとにいい子だなぁ……。なんて癒される子なのだろうか? 女神か天使かな? それに比べて……
「まったくアクアめ。……ウィズに謝りもせずに勝手に遊びに行っちゃって。しかも教団本部なんかに……うぅ、不安だ」
「まぁ、大丈夫だろう。めぐみんもついて行ってくれたし、問題は起きないと思うぞ」
そう? そうかな?
私の溢しをダクネスは苦笑混じりに受け止めてくれる。そして、私の肩に手を置いて安心するように真摯に接してくれた。
ほんと、この子は常識外れな性癖を除けば、まともなのが……憎むに憎めないところだ。
私は、そんなダクネスにお礼をして、俯かせた顔をあげる。すると、ウィズが、
「私はもう大丈夫ですから、お二人は街を見てきてはいかがですか?」
自分のことは気にせず、観光をしてくれと促してきた。
そんな病み上がりというか、黄泉がえりのウィズを一人にするのが私が心配であると伝えても、彼女は大丈夫ですよと答える。
ので、私もダクネスもウィズのお言葉に素直に甘えることにした。
旅先の観光にまで冒険者の装備で行くつもりはないので、私たちは各々身軽な服装に着替える。
服装に迷った私は、リーンとお揃いで購入したお気に入りの緑のワンピースを着ることにした。
リーンと一緒になって、吟味と熟慮を重ねたペアルックである。
私の場合は左端に白いラインがあるのだが、それがリーンには右端にあるのだ。
つまり、何が言いたいかというと、密着するほど二人が並んで立てば、白のラインが合わさってハート型になる面白味が高い服であるということなのだ。
そのため、私は彼女との絆が感じられるこのワンピースがお気に入りであった。
ちなみに、ダクネスは黄色のスカーフにブラウンのパンツと彼女には珍しいカジュアルな服装である。
そして、着替え終わった私たちは共にアルカンレティアの街を散策に出た。
「見ろカズミ! 噴水があるぞ!」
「ほんとだ、綺麗だね」
「あぁ、なんと美しい女神像だ」
詐欺ね。
街の中央に位置する広場には噴水が設置されており、様々な人の待ち合わせ場所、憩いの場所と化していた。
そして、噴水の中央には、美しくも凛々しい女神像が鎮座させられていた。その女神像には、水の女神アクアとこの世界の文字で刻まれており、私は実物とはかけ離れた創作に唇が曲がってしまう。
それから、私とダクネスが広場から移動しようとした、その時だった。
「きゃあっ!? あぁ……りんごが……!」
私たちの前方にいたりんごの籠を持った女性がバランスを崩し、籠から中身をぶちまけてしまったのだ。
「大丈夫ですか?」
すかさず、私とダクネスは女性に駆け寄り、彼女の手助けを始めた。
私たちは、彼女と一緒になって、りんごを拾い集める。
「ありがとうございます! おかげで助かりました!」
そうして、拾い終わると女性は礼儀良く頭を下げて感謝をしてくれた。
それだけで善行をしたことに自身の心がポカポカ温まるのを私は感じる。
「あの……何かお礼をさせては貰えませんか……?」
しかも、彼女は行為でそれを示そうともしてきてくれていた。
ただ、りんご拾い如きでそこまでしてもらう必要がないと私が、その女性に伝えようと……
「この先に、アクシズ教団の運営するカフェがあるんです。そこで私とお話ししませんか?」
「……結構です」
したが、やめた。私はダクネスの手を取って、とっととこの狂信者から離れることにする。
が、それをその女が許すわけもなく、私のお腹に背後から抱きつき、腕を回してきた。
「まぁまぁ、お待ちになってください……! 私、実は占いが得意なんです! お礼に占わせて頂けませんか!!」
「け、結構です……! ちょ、や、は、離れて……!? せ、セクハラ! セクハラですよこれ!?」
私の腰にしがみつく手を振り解いて、何とか逃げようとすると、女性は私の手首を力強く掴んできた。
ちょ、い、痛い……!?
それから、瞳をギラギラと蒼く輝かせ、私の掌を凝視して……
「今、占いの結果が……! 結果……、が……」
「ちょ、ちょ……!? ほ、本当に何なんですか! って、きゃあああああ!? なんで私の手で頬ずりするの!? え、きも、キモいですって!?」
口籠ると彼女は何故か私の手に頬ずりをしてきたのだ……! のだ!?
はぁ……!? いや、ほんとになんで!?
え、なんで!? いくら同性とはいえ、え!? ちょ、キモいですって!? やめてください!! と、私が抗議の声を上げるが、彼女は頬ずりをしては時折、私の掌の匂いをクンクンと嗅ぐのだ。
嫌悪感と羞恥心で、気が狂いそうになる。そうして、私がとうとう我慢の限界が到来し、瞳に涙を溜め始めると……
「すまない、私はエリス教の信徒でな。彼女を勧誘する気なら、一言断ってからにしてくれ」
私の手首を掴む女性の手を掴み、ダクネスが助け出してくれた。そして、胸元から小さな紫色のひし形のペンダントを取り出し、女性に見せつける。
そして、それを目に入れたアクシズ教徒の女性は……
「カッア…… ぺっ」
苦虫を噛み潰したような強張った表情をすると、喉から痰を吐いた。さらには眉毛を吊り上げ、ダクネスにメンチを切る。
あ、あたおかすぎる……アクシズ教徒……!
その異質さと太々しさに驚愕した私とダクネスが固まっていると、何故か……
「これ差し上げますので、ぜひ、いえ! どうか、どうか! 召し上がってください!!」
何故か……!?
本当にどうしてか……!?
女性は振り返ると、私にりんごの入った籠を丸々手渡してきたのだ。
え、本当になんで……? ……えっ!? なんで!?
しかし、恐怖が勝ってしまっているため、私は女性に言われるがまま籠を素直に受け取る。情けないが……身体をプルプルと震わせながら。
そうして、私が受け取ると、女性は満足そうにあふれんばかりの笑顔を浮かべて、
「ありがとうございます!! 寵愛の信徒様!!」
意味不明な肩書きで、感謝をされてしまった。
……は? え、ちょっ……。
それから、女性は私に大変綺麗なお辞儀をすると。
「ガァー……ぺっ」
もう一度ダクネスの足元で唾を吐き、そのままさっささっさぁと去っていった。
いや……いやいやいや……!
「ちょ、ダ、ダクネス……? 気にしちゃダメだよ? アクシズ教徒はエリス教徒に嫉妬してるだけだから! ね? だから、そのお守りは隠しておいてよ? もう、あんな扱い受けたくは……」
身体を硬直させたままの傷心のダクネスを慰めるため、私が気遣い彼女の手を取ると、
「……んっ……! ァンンッ……!」
嬌声を上げ、身体を火照らせていた。
しかも、ビクビクッと身体を敏感に感じさせていた……。
「……」
「ンッ……そ、そんな目で見ないでくれ。よ、余計に……ぃぃ……」
……。
ウチのクルセイダーは、いつだってブレません。
……寵愛の信徒様……? 寵愛の香り……? あ、愛に愛に報いなければ……、の、脳がふる(以下略)
今回も少ない文字数ながらも読んでくださった方々ありがとうございました。感想など頂けると嬉しいです。
次回の更新は……今月中は期待しないで下さい。進撃沼にまた入っちゃったので。さーせん。本当にさーせん。