身体中に広がる熱と膨大な活力。それを感じながらも、義勇はただ感謝していた。
こうして、今世において実戦の中で"全集中の呼吸"を使うのは今日が初めてだった。それなのに、何故だか自分の体に一切負担を強いることのない呼吸の仕方が把握出来た。元々は剣技である水の呼吸の型を、ぶっつけ本番で体術の中に落とし込めた。
転生の際に神が新たな才を与えてくれたのかもしれない。
(……ありがとうございます)
そんな可能性を見出しながら、義勇は本当にいるのだとしたら、神に言葉が届くようにと祈り、内心で感謝を述べた。そして、今この瞬間に初めて前世で地獄のような経験をしていて良かったと思えた。
「くそ……あと少しで殺せたってのに、邪魔しやがって……!まあいいか。何にせよ、俺は約束を守ろうとしたってのに、お前らは約束を破った!坊主、お前の不必要な行動のせいであの女が死ぬぞ!おい、やれ!」
マスキュラーは自分のことを棚に上げ、白いイタチ姿の
白いイタチ姿の
「ッ、やめて!」
「血を見せろ、悲鳴を聞かせろ!あのガキ共を殺せなかった分までなァッ!!!」
どうやら、白いイタチ姿の
――義勇が動く。当たり前だが、自分の前で命が散るのを見逃すはずがない。前世でも自分が間に合わなかったせいで家族を失ったり、笑顔を無くした人々がいた。義勇の弟弟子であった炭治郎とて、その一人だ。
そんな人々を一人でも減らしたい。それこそが義勇の願い。人々の笑顔を守るのもまた、ヒーローの責務だ。
女性の首筋に鎌が到達するよりも前に、夜を駆ける狼の如く、眼光を発する勢いで肉迫した義勇。義勇の移動速度は常人では絶対に認識不可能だ。常人からすれば、彼が突然消えて目の前に現れたようにしか見えない。
同じ現象が白いイタチ姿の
彼が口を半開きにして唖然としている間に、義勇は鋭く手刀を振り抜いた。鳴り響くのは鈍い金属音。
「なっ……!?」
白いイタチ姿の
義勇から視線を外している間にも、当の義勇本人は次の行動に移っていた。
次に繰り出す技は、数ある水の呼吸の技の中でも最速とされる突き――
「水の呼吸・漆ノ型、雫波紋突き」
義勇の発する気迫は新たな光景を幻視させた。
静かな揺らぎない水面。そこに滴り落ちる一滴の雫。滴り落ちた雫により、水面には波紋が広がった。
「――カハッ!?」
その光景を幻視した時には、義勇の攻撃は既に白いイタチ姿の
もはや常人が目視も出来ない速度で繰り出し、波紋の中心を狙うように突き刺す……。それが水の呼吸の漆ノ型だ。
波紋が広がるのは、水面に衝撃が伝わったということ。それと同じようにして、突きの威力は命中した部位に浸透する。
鳩尾を殴りつけられたことで横隔膜の動きが一瞬止まり、呼吸困難に陥る。白いイタチ姿の
7歳の子供が、れっきとした大人の
「……怪我はないですか?」
沈黙を破ったのは、人質にされていた女性を気にかける義勇の声。
「だ、大丈夫よ……。ありがとう」
女性は呆気に取られながらも義勇に差し伸べられた手を取って、ゆっくりと立ち上がった。
ふと視線を下ろせば、危険が去ったのを本能的に感じ取ってか、笑顔を浮かべて義勇に手を伸ばそうとする赤ん坊の姿が目に入る。
(この子の命を、笑顔を守れて良かった)
小さな命を守れたことにホッとして義勇も微笑む。微笑みを浮かべたまま小指をその小さな掌に添えてやると、頼りなさげながらも小指を握ってくる。前世で子供を授かった時を思い出して、何とも表し難い愛おしさが彼の胸の中に溢れ返った。
「……姉さん、二人を頼んだ」
「わ、分かったわ……」
赤ん坊の頭を優しく撫でてやった後に微笑みを蔦子に向け、義勇は赤ん坊とその母親のことを蔦子に任せた。
「義勇……!貴方のことは止めないわ。でも、ちゃんと戻ってくるのよ……!」
蔦子は、祈るように義勇の右手を両手で優しく包む。彼女の祈りを受け止め、義勇は頷きながら答える。
「うん、絶対に戻ってくる。姉さん達のところには誰一人として通さないよ。俺が居るからには、姉さんのことは守るから」
その微笑みは、蔦子や義勇の母である凛とは対照的に力強い命の輝きに満ちている。蕾である花が、春を迎えて花開く瞬間のようだ。
「……約束ね」
蔦子も微笑み返し、互いに指切りをする。
「行ってくれ」
その後の言葉はたった一言であれど、蔦子は全てを汲み取って、女性と赤ん坊を連れて出口の方へと走っていった。
「ゲホッ、ゲホッ……!くそっ、逃がすか……!」
呼吸困難から立ち直ったらしい白いイタチ姿の
しかし、飛び出した瞬間。再び彼の視界に義勇が立ち塞がる。
「!?テメェッ、いつの間に!?」
目の前にいる少年が先程までいた場所から瞬間移動したようにしか見えず、対峙する
「ゴファッ!?」
回し蹴りを受けた白いイタチ姿の
(おいおい……!いくら下っ端と言えど、
困惑しているのは、マスキュラーも同じことだった。ここに引き連れてきた
彼らが凪に敵わなかったのは道理だが……アマチュアのヒーローにすら敵わないはずの子供に一蹴されてしまった。
訳が分からなかった。自分が殴られて吹き飛ばされるわ、残った下っ端も一蹴されるわ……。自分のプランが崩れ去ったマスキュラーは、苛立ちを覚えた。
「ご大層なことだなァ、おい……!年端もいかねえってのにヒーロー気取りか!?」
殺せるはずのターゲットを逃し、味わえるはずの快楽が先延ばしになったことによる怒りをその顔に浮かべ、
憤怒に染まったその表情は、飢餓状態にある鬼を思わせた。
筋力が増加した足で踏み込んだことによって陥没した地面が、彼の増大した筋力の恐ろしさを物語っている。
義勇は、砲弾のように猛然と迫るマスキュラーにも恐れることなく立ち向かう。
己の視界から消え去ったのだと彼に錯覚させる程の速度で、義勇は駆ける。そして、1秒と経たずにマスキュラーの懐に辿り着いた。
マスキュラーからすれば、義勇が文字通り消えたように見える。だからこそ、彼は目を見開きながら辺りを忙しなく見回した。
どこから攻撃が来てもいいように備えるべく、地に足をつけようとしたが……それは叶わなかった。
「ぐはっ!?」
地面を一蹴りし、横っ跳びになるような形で突進した結果、無防備な状態にあったマスキュラーの腹部に義勇の放った乱打が炸裂したのだ。彼が着地するよりも前に。
海岸沿いにある無数の岩に打ちつける波のように激しく、荒々しい乱打。実際に波が体に打ちつけられたかのような痛みを覚えたマスキュラーは、肺の中の空気と涎を吐かされた。
(見えなかった……!この坊主が移動するところも、攻撃するところも、
マスキュラーは動揺を覚えた。これまで、多くのヒーローを嬲り殺してきたシリアルキラーとしての矜持が、山のように堅牢でぐらつくことさえもなかった矜持が、一気に崩れ去っていく予感がした。
目の前にいる子供は、既に凪の実力を超えているのではないかという疑念さえ抱く。しかし、それを認めることはマスキュラーの大人としての意地と
「調子に乗ってんじゃねェぞ、クソガキィィィ!!!!!」
上半身に纏われるは筋肉の鎧。腕に取り付けられるは筋肉の兵器。筋肉の化け物というに相応しい膨れ上がった上半身と両腕を持ったマスキュラーは、激昂を乗せて次々と力任せに拳を振り抜いた。
しかし。速さが劣る上に体格の差もある為か、義勇に攻撃が一切当たらない。
最低限のサイドステップで義勇は攻撃を躱すのみならず、激昂を乗せて迫る剛腕に軽く手を添えてはそれを払うことで攻撃を受け流していく。
その結果――
「うおっ!?な、何だ!?バランスがっ……!?」
攻撃が受け流される度に、マスキュラーは少しずつ体勢を崩していった。
その巨体と腕は重りも同然。攻撃を受け流されて、力を逃がされた彼にとっては
彼がその場でよろけ、
しまった、と思った時にはもう遅い。
(水の呼吸・参ノ型――)
「流流舞いっ!」
川の激しい水流をその身に纏い、己が水流そのものであるかのように流れる足運びでマスキュラーの周囲を移動しながら、その顔を、腹を、腕を何度も殴りつける。
かつては、この型で十二鬼月……更に言えば上弦の鬼の一端、上弦の参であった猗窩座と高速移動を繰り広げながら打ち合い、無惨の攻撃を掻い潜ったこともある。マスキュラーが義勇の動きを見切れるはずがなかった。
「ゴブェッ……!」
何度も殴りつけられたことで顔中に痣やたんこぶが出来て、ボロ雑巾のような何とも無残な姿となったマスキュラーは地面に倒れ込んだ。
人体には、必ずどこかに脆い部分がある。義勇の殴打はそこを確実に捉えていた。それ故にマスキュラーの受けたダメージは大きい。
「ヒュウウウゥゥゥッ……!」
水の呼吸独特の、風が逆巻く音を思わせる呼吸音を発して構える義勇。その姿はマスキュラーにとって、自分の住処を
身の毛がよだつ感覚がし、体の芯が凍りつく。冷や汗が滝のように溢れ出して頬を伝う。瞳が恐怖で揺らぐ。マスキュラーは、生まれて初めての恐怖を体感していた。
余談であるが、義勇の水の呼吸の型を舞う鍛錬はここに来て功を奏していた。彼の体には、型を振るうことにおける「
その結果、今の義勇は水が逆らうことなく流れゆくのと同じように、呼吸することと同じようにごく自然と型を振るうことが出来ている。
それが
――もう、マスキュラーには勝ち目がない。
「はあっ……はあっ……!」
(あ、あり得ねえ……!なんで、ヒーローでもねえガキに俺が恐怖を……!?)
恐怖を感じている事実。それが未だに受け入れられない。肩で荒い息をしながら、そんなはずはない、と自分が恐怖を感じていることを必死に否定した瞬間。
「うぎゃあっ!?」
疾風怒濤。風のように速く、激浪のように激しく飛び出した義勇のドロップキックがマスキュラーの顔面に炸裂した。
何かが折れる音。これまで、彼が嬲り殺してきた他人から聞いていたはずの音が自分から聞こえてきたではないか。猛烈な痛みに顔を手で押さえた時、自分の鼻がへし折れているのが分かった。
恐る恐る手を離し、掌に目を落としてみると血が付いていた。……何も言われずとも分かる。マスキュラー自身の鼻血だ。
「ひいっ!?」
悠然と歩みを進める義勇に対し、マスキュラーは後退りした。義勇が前進すれどマスキュラーの方が後退する為、その距離が縮まることはない。
マスキュラーの心臓が高鳴る。しかし、それは他人を殺せる興奮によるものではなく、義勇に対する恐怖と緊張によるものであった。
義勇の足音一つすらも、彼にとっては猛獣の唸り声。義勇が一歩踏み出した瞬間、マスキュラーは肩を跳ねさせた。彼の恐怖に呼応して、筋繊維も巣に逃げ帰る蛇のように体に収められてしまった。
「く、来るな!来るなァァァ!!」
義勇に恐れをなしたマスキュラーが背中を見せて逃げ出した瞬間。
「そこの小さなリスナー、ちょっと
何ともハイテンションな声の持ち主から、義勇はその場を
「YEAHHHHHHHHHッ!!!!!」
義勇が声の聞こえた方を確認しながら、その場から咄嗟に退いたのを確認すると――大砲から砲弾が発射された瞬間の轟音も可愛いものだと思える程の音量を放つ、ロックンローラーが腹の底から出していそうなハイトーンボイスが放たれる。……単なる大声と言うのは相応しくない。それは、もはや音の衝撃波である。
義勇はその場から退いたおかげで被害はなかったものの、逃げ出そうとした瞬間にあったマスキュラーは耳を塞ぐ暇もなく、諸に音の衝撃波を喰らってしまった。
「うがぁぁぁぁぁ!?」
(なんて声量だ……!)
耳を押さえながら地面に蹲って悶絶するマスキュラーと依然ビリビリと震える大気から、義勇は音の衝撃波を放った者の声量に舌を巻いていた。
「今日も喉の調子は絶好調だな。つか、リスナーからの通報でいざ駆けつけてみたら、なんかとんでもねえことになってんだけど……?」
そんなことを呟きながらやってきた男は、トサカのように天高く逆立った金髪をしていた。
更に特徴的なのは、鈍い金色のレンズが付いたサングラスに、ヘッドホンと首元のスピーカー。
耳元にまであるピンと立てられた襟付きのジャケットと黒い長ズボン。彼の服装全てが人気のあるDJを思わせる格好だった。
「……もしかしてよ、あの
戸惑いながら、DJのような格好の男は義勇に尋ねる。
義勇は、後からお叱りを受けるであろうことを承知した上で屈託なく頷いた。
「Wow……。マジかよ……!……凪さん、どんな英才教育施してんの……!?」
たった今、顔を引き攣らせた彼から父のヒーロー名が出てきた。これで、DJのような格好の男がヒーローであることは間違いないと証明された。
(え、援軍のヒーローが来やがった!)
めまいが起きたようにして頭がぐわんぐわんと揺れる感覚を覚えたマスキュラーはやっとのことで立ち上がると、産まれたての子鹿のように震える足でフラつきながらこの場を去ろうと試みる。
普段の彼ならば、きっと恐れずに立ち向かうことだろう。新たな標的が現れたことに興奮しながら。
しかし、今回は違う。今の彼は義勇との対峙を経て心がへし折れてしまっていた。このままでは刑務所行きになることを確信してしまっていた。逃げることさえ出来れば、これからも他人を殺せるチャンスはあるはずだ。
マスキュラーとて、リスクを背負った状態で確実性のない選択肢を取る程の馬鹿ではない。言われるまでもなく、確実性のある選択肢を取る。
この場から何としても逃げ出したい。そんな一握りの願いを胸に、必死に距離を取ろうとするが……。守るべき市民を恐怖に陥れる存在をヒーローが野に放っておく道理などない。DJのような格好の男と共に現場に駆けつけた、もう一人のヒーローが動いた。
「マイク、まだ仕事は終わっちゃいないぞ。事情聴取は後からでいい。気を緩めるな」
DJのような格好の男をマイクと呼んだ男が、忍者の如く駆ける。闇に溶け込むかのような全身真っ黒の服に、首元にはマフラーのようにして長い包帯にも見える何かを巻き付けていた。
金色のゴーグルの下から放たれる紅い眼光が、狩猟者の如くマスキュラーに狙いを定め、射抜く。
その男の服装と、逆立つ無造作に伸ばされた黒髪、他の男性と比べると幾分か手入れの施されていないように思える髭。義勇には、彼のような見た目をした男をどこかで見た覚えがあった。
もう一人の男は、地面を駆けながら首元に巻きつけた包帯のようなものをマスキュラーに向けて振り放った。
(っくそっ、なんでだ!?"個性"が使えねえ!?)
蛇のように迫る包帯のようなものから逃れる為に"個性"を使おうとするも使えないことにマスキュラーは戸惑う。使えない理由はというと……包帯のような何かを振り放った男が、
マスキュラーはその事実に気づかないし、気づけもしない。DJのような格好の男も黒ずくめの男を巻き込まない位置に立ちながら、再び大気を震わせる程の音量がある声を放つ為に思い切り空気を吸った。
捕らえられる。誰もがそう思ったはずだ。だが……想定していた通りにはならなかった。
突如、マスキュラーの肉体を
「な、なんじゃこりゃ!?うおおッ!?」
マスキュラー自身も何が何だか分かりきっていない様子であり、その靄が彼を完全に覆い尽くした次の瞬間には……彼は跡形もなく忽然と消えていた。
「What!?消えた!?どこに行ったんだ……!?どうする、イレイザー。追うか?」
DJのような格好をした男が、黒ずくめの男をイレイザーと呼んで尋ねる。
尋ねられた黒ずくめの男は、瞬きをしながらゴーグルを外して答える。逆立っていた髪が垂れ下がり、狩人のような雰囲気から気怠げな様子を感じさせる雰囲気に変化した。
「いや、居場所も分からずに追うのは合理的じゃない。あの黒い靄も何者かの"個性"かもしれないしな」
答えた後に、黒ずくめの男は義勇の方を見た。
「……一応聞いとく。さっきの巨体の
DJのような格好の男に尋ねられた時と同じように、義勇は屈託なく頷く。
義勇が肯定したのを見た黒ずくめの男は、ため息を吐きながら空を仰ぎ、両目に一滴ずつ目薬を差した。……戦いの中で目を酷使したのだろうか。
「成る程な……。……家族は?」
恐らく彼自身も察してはいることだろうが、男は義勇の目の前にしゃがんで訊いた。
「……父と母は、俺達を守って死にました。唯一生き残った姉が向こうに」
何一つ隠さずにそう言った義勇の瞳と俯き気味にそう述べた姿からは、年端もいかない子供とは思えない哀愁が漂っていた。勿論、こんな哀愁漂う振る舞いをするのは、彼が精神年齢的に言えばれっきとした大人だからというのもある。
だが、男達が精神年齢のことを考慮出来るはずもない。親の死はここまで子供を変化させてしまうのか、と彼らは大きなショックを受けた。
「義勇!義勇〜!」
「姉さ……っ!?」
戦いが終わり、危険が去ったのを見越した蔦子は慌てて駆け寄ると義勇を抱きしめた。
「良かった……。義勇が無事で良かった……」
擦り寄るようにして義勇の無事を喜ぶ蔦子は、家族としての愛情に溢れている。
これからは家族水入らずの時間。他人が邪魔する道理などない。
生き残ったことを喜び合う二人を見た黒ずくめの男は微かに頬を緩めて笑うと、荒っぽくではあるも義勇の頭を撫でた。
「生き残ったお姉さんのこと、大切にしてやれよ」
相手側は覚えていないかもしれないが、黒ずくめの男の方は
普段、気怠げで素っ気ないように見えながらも、周囲からは「なんだかんだ甘い」と言われる彼の性格が出た瞬間であった。
長い付き合いで彼の性格を知っているからこそ、DJのような格好の男もファンキーさを残した微笑みを浮かべた。
「おい、イレイザー。あのボーイとは知り合いかい?」
「知り合いも何も少し話したろ……。覚えてないか?俺が、ある子供の"個性"の有無を確認する為に病院に呼び出された時。三年くらい前だ。その時に会った"痣者"の子」
「Wow!"痣者"たァ、これまた珍しいな!そうか、凪さんの息子は"痣者"なのか……。で、"個性"はどうだったんだ?」
「あの子の体の型が、そもそも無個性の人間のそれらしかったからな。病院としちゃ、あの子の"痣"が"個性"である場合を考慮して俺を呼んだんだろうが……結果として、"痣者"の体質で発現していた"痣"だったって訳だ」
「成る程な。体の型が無個性の人間でいる以上、"個性"は確定的にないと言っても過言じゃないもんな。"痣"も消えはしなかったが、異形型でもなかったと」
「そういうことだ」
義勇は、嬉し涙を流して自分を抱きしめる蔦子を抱きしめ返しながら、会話を交わして事件の後処理に向かう二人のヒーローの背中を見送ったのであった。
ヴィジランテの方、全く読めていませんので最後に出てきたヒーロー達やその他諸々に矛盾が生じているかもしれません。もしもそうであった場合、この作品独自の設定と思ってくださいませ。
冨岡義勇英雄伝:再編集をこれからどうしてほしいですか?
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このままで続けてほしい
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義勇さんだけが活躍する作品の方が見たい