第4の月16の日
あの自己紹介から数日は、はっきり言って退屈だった。
具体的にいえば、学園での生活に慣れるため、スローペースで授業を行い、午前中で終わる。
そんな感じの上、【紅蓮の騎士団】や【純白の騎士団】は、と言うよりセントラルキャピタルで教育を受けている【超新星】のメンバー全員が学校が終わり次第、何かを探しに出ているらしく付き合いが悪い。
何を探しているかは検討もつかない。
その上、訊ねても、
「こっちの問題だから」
の一言でバッサリと切り上げられてしまうのだ。
こちらを信用していないのか、他の勢力に知られたくない何かなのか、おそらく後者であろう。
(もっとも、この前将二が『あんの化け物、どこ行きやがった』と叫んでいたので生物であろうが…)
「じゃあ、早速で悪いけど、今から実技を行うわ」
思考に耽っていたオレはともかく、他の全員も驚いたように教師を見る。
「あの…、先生?聞いてないんですけど…」
「うん、私も今言ったしね」
昨日言うの忘れてたのよね~、と笑いながら言う先生に、
(この学園の教師、ホント大丈夫か!?)
と全員が思ってしまう。
そんなこちらの考えをよそに、
「まぁ簡単な事よ。デジモンが1体だけ出てくるから、それを倒せばいいだけ」
説明を始めてしまった。
(しかもそれ、短略し過ぎだろ!!)
言うは易し、とはよく言ったものである。
相手が何が来るかは全く判断がつかない上、こちらはまだ成熟期までしか進化できないのだ。
完全体が出てくればこちらに勝ち目などない。
「あぁ、言い忘れる前に言っておくわね。この授業は毎日やるけど、1日に1人しかしないから。誰か理由が分かる人いるかしら?」
もちろん手が挙がる人はいない。
教師もそれを見越していたのだろう。一回頷いてから、じゃあ、理由を言うわねと前置きをしてから、
「1つは、単純に機械が耐えきれないのよね~、3回位しか。2つ目は他の人から戦い方を学ぶ為よ」
技は盗むもの、なるほど戦闘好きな教師らしい教え方だ。
「って言うのは建て前で、実際壊すと私の給料から引かれるからね」
前言撤回、やはり自分勝手だ。
若干感動しかけた空気をブチ壊した教師を見ていたが、
「で、誰か自分がしたいって人はいる?いないなら出席番号順で行くけど?」
「行け、切り込み隊長」
ボソッと誰かが呟いた。
「ちょっと待って、誰今呟いたの!?」
因みに『切り込み隊長』とは、オレの肩書きである。
それはさておき、ツッコミを入れるためにうっかり立ち上がってしまった。
その為、
「ほぉ、切り込み隊長ねぇ~。じゃあ、龍希が今日実習ね」
教師、倉田はニヤニヤしながらこちらを見ていた。
あ、失敗したと思ったときには既に遅く、全員が実習室へ移動し始めていた。
同日 D実習室
「それじゃあ、始めるわよ?」
先生、それ始める前に言いましょう。
既にこちらへと歩いてきている黄色い亀のようなデジモンを眺めながら龍希はそう呟いた。
「えっと、あのデジモンは…」
そう言ってD-モバイルのデジモン図鑑で確認する。
トータモン
世代:成熟期
鋭いブレードの生えた甲羅で武装した陸亀タイプのデジモン。甲羅も本体も高密度で形成されているため、見ためより重く、歩く度に凄まじい地響きを起こす。また、鳴き声は金属的で甲高く"騒音デジモン"の異名を持っている。通常の歩行動作は極めて遅いが、手足を引っ込めて円盤状になり回転すると、通常の10倍以上の速度で移動できる。
(デジモンコレクター参照)
「要するに、うるさくて、遅い奴でいいんだよな…。行くぞ、ブイモン!!」
『うん、いつでも大丈夫だよ、龍希』
お互いの準備を確認すると、D-モバイルを構える。
「デジモンコール、ブイモン!!エボリューション!!」
『Digimon Call』、『Evolution』という文字が立て続きに表示される。
ブイモン⇒エクスブイモン
最初の表記でオレのパートナーであるブイモンが現実に現れ、エクスブイモンへ進化した。
「準備いいわね、それじゃあ、始め!!」
えっ、まだ始まってなかったの!?と全員が心でツッコミを入れると同時に、
「“エクスレイザー”!!」
エクスブイモンの胸元にあるXの模様から青白いエネルギー波が放たれる。
開幕と同時のため、相手に回避する暇すら与えず、エクスブイモンの必殺技が直撃した。
「よし!!」
「やった!!」
オレとエクスブイモンが喜びの声を挙げるが、
「グォォォォ!!」
と言う唸り声を挙げながら、こちらへ突っ込んでくる。
その体や甲羅には一切の傷が見られない、完全に無傷だ。
ゲッと、間に合わないと思いながらもエクスブイモンがガードを試みる。
ところが、相手が思いの外遅かった、いや、遅すぎたのだ。
お陰でガードどころかガードを解いて、上空へと飛ぶことで完全に回避してしまえた。
「そう言えば、硬いって書いていたような…」
「いや、硬すぎだろ!!どうする龍希?」
空中で訊ねるエクスブイモンに、ちょっと考えてから、
「“エクスレイザー”を連続で撃てる?」
「あ、あぁ。三連射なら…。だが、どうする?」
「空中からトータモンの背中めがけて連射して!!」
おう、と返事してからXの模様からエネルギー波を発射、言われた通りに背中を直撃させた。
さらに続けざまにエネルギー波を放とうとしたとき、トータモンがすさまじい勢いで回転を始めた。
何だと疑問に思いながらも、エクスブイモンはエクスレイザーを発射、それは地面を抉った。
エッと周りが驚きの声を挙げる。
うるさい、こっちだって驚いているんだと思いながらも、先ほど以上の速度で移動を行うトータモンを睨みながら、
「ヤベェ、どうしよう…」
不敵な笑みを浮かべながら、そう呟いた。
言動が一致してないが、正直言って負けるイメージが浮かんでこないのだ。
そう思ってる間にアクションがあった。
なんと回転しながら飛んできたのだ。
何度ゲッと思ったか分からないが、またも思ってしまう。
っと言うか、
「亀が空飛ぶなぁ!!」
と叫びながら、エクスブイモンが背中をぶん殴った。
その際、ピキッと言う音と共にボキッと音がした。
それが原因かトータモンの回転が乱れた。
が、そのパンチは予想を超えた結果をもたらした。
なんとトータモンの背中にはヒビを入れたのだ。
が、代償も予想外だった。
エクスブイモンが殴った方の手が折れたのだ。
が、その苦痛を耐え、
「撃て、エクスブイモン!!」
「“エクスレイザー”!!」
…若干悲鳴気味だが、エネルギー波がトータモンの背中、ヒビの部分に見舞った。
その一撃でトータモンは地面に叩きつけられ、居た場所に『eliminate』と言う文字が浮かんでいた。
「はい、そこまでよ。じゃあ、今日はここまで」
小倉先生はそれだけ告げると、実習室を出ていった。
オレはははっと渇いた笑い声を上げて、
「なんとか勝てた」
そう呟くことしかできなかった。
龍希(以降龍)「やっときたぁバトル回~」
緑香(以降緑)「本当に~」
龍「本当は作者、これを1話にしようとしたんだが」
緑「世界観がつかめないだろうって後に後にしたら…」
龍緑「予想外に伸びました…。」
龍「とのこと、さらにオレとブイモン、エクスブイモンのイラストを載せようとして余計に時間を食った挙げ句の果てに諦めたと言う」
緑「本末転倒を起こし、掲載が遅れ」
龍緑「大変申し訳ありませんでした」
龍「次回はもっと早く掲載できるので」
緑「私の活躍、ぜひご覧ください♪」
龍緑「それでは次回に会いましょう」
追記
Digimon Coll:デジモンを呼び出すコマンド
Evolution:デジモンを成熟期にするコマンド
eliminate:相手を戦闘不能にした際、浮かび上がる