檜山仁(ひやまじん)の炎に押され、このままじゃあ逃げ場を失う。
俺はその前に右側に転がり回避する。
「避けたか」
正面からまともにやっても勝てない。
それに急激に増すあの炎に対応も難しいだろう。
檜山仁(ひやまじん)は余裕そうな表情で右手に紅色の炎を宿していた。
生身の俺があの炎に当たったらただでは済まないだろう。
その証拠に俺が壁まで追いやられた壁は丸い穴が空けられていた。
それにあの炎は熱さを感じなかった。熱さを感じる前に痛みを感じる。
肌がピリッとする感じが離れていても感じれる程に……
檜山仁(ひやまじん)の炎は普通の炎と比べてスピード、威力、殺傷力が桁違いだ。
「そろそろ決めるぞ」
檜山仁(ひやまじん)はそう言うと右手を右から左にスライドさせる。
何がしたいんだ?
何も起こらない。
俺は周りを見渡す。
俺の右側には丸く小さな球体の紅色の炎があった。
(何だ……これ?)
その球体は所々光を放つ。
嫌な感じがする。
俺はとっさに
左側の壁に叩きつけらる。……体が痺れる。立ち上がれない。
俺はさっきまで居た場所を確認する。
そこには地面はえぐられ、天井は吹き飛んでいた。
……何て威力だ。
俺じゃあ、檜山仁(ひやまじん)の攻撃は防げない。
悔しい、悔しい、悔しい……認めたくないが檜山仁(ひやまじん)は強い。
最後まであの炎の正体が分からなかった……
俺の人生もここまでか……
俺の眼には涙が溜まっていくのを感じる。
俺はそんな中で舞(まい)と玲奈(れな)さんの日常の日々を思い返していた。
……まだ……だ。
俺はゆっくりと体を起こす。
どうせ、終わるなら足掻いてやる。
檜山仁(ひやまじん)はこの廃工場に来てから一歩も動いて無いと思う。
あいつは典型的な遠距離タイプ、だとしたら接近戦は苦手のはずだ。
だが、檜山仁(ひやまじん)にはあの紅色の炎がある。
俺が近づく前に攻撃を当てられては……
嫌、方法はある。
俺は
「まだ、やる気か?」
檜山仁(ひやまじん)……俺は負けない。
俺は
「一体、何がしたいんだ?」
「……お前に勝ちたい」
「?……言ったはずだ。この世界は弱肉強食だ。強者だけが、この大地に立つことが許され、弱者は地べたに倒れ伏す……だからこそ俺は強者で居続ける」
……何だ?檜山仁(ひやまじん)の勝利の執念は……
けど俺も負ける訳にはいかない。
俺には帰る場所がある。