「ぬおぉぉぉぉ!?」
「ガアアアアア!!」
鬼と人が互いに雄叫びを上げながら獲物をぶつけ合う。
「ちょ、おま、少しは手伝えよ!!」
「ムリ。こっちの龍、ガチで瀕死だわ。こっち専念しないとマズい。」
・・・・・・何故こんなことになったのか。それを語るには少し時を遡る必要がある。
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それはいつもの様に狩りに行こうとした時のこと。
「頼みたいことがある」
その人は唐突に俺たちの拠点の中に現れた。
と同時に、俺は唐突に来た転移の兆候にしていた警戒を少し緩める。
「お初にお目にかかります、管理者ギュリエディストディエス氏」
「知っていたか」
「まぁ、貴方は有名ですから」
「そうか。だが、彼の方はそうでもない様だが?」
そこでジュリウス氏の方を向くと、何だか罰が悪そうに縮こまった彼がいた。
「何かすみません」
『あー、そっか。
「ええっ!?」
『イヤ、念話で話してるのに声上げるなよ』
管理者については教える際、最低限サリエル氏は教えたが、ギュリエディストディエス氏・・・うん、長いな。ギュリエ氏については教えてない。
それ故に彼は童話で語られる『黒龍様』についてしか知らなかった。
『マジで龍の親玉の?』
『うん、まぁ、そうだね。一応、管理者でもあるはずなので、そんな接触してくることなんてほとんどないはずなんだけどなぁ』
「そろそろ、話して構わないか?」
「アッハイ。どうぞどうぞ」
いや、でもマジで何の用だ?全く心当たりがないのだが?
「実はだな、今とある場所で君達と同じ転生者が暴れていてな。その彼を止めて欲しいのだ。」
「ハァ?そんなの自分でやれば良いのでは?」
「ジュリアス氏、管理者は言わばGM。基本的にそういったことには不干渉なんだよ」
「いや、自分でやらずとも眷属にやらせれば・・・・・・」
「それは既にやっているのだ。だが、彼の成長速度がすさまじくてな。今や足止めにしかなっていない状況だ」
「ええ・・・・・・」
あー、来たのか。
「そう言えば、少し前にオーガの特異個体の話が出てたような?」
「ああ、その討伐対象が今回の相手だ」
「マジかよ」
「・・・・・・あー、把握した。成程ね、そいつ憤怒スキル持ってる。しかも、既に神話級の龍と普通に戦えるレベルとは」
良かった、ここら辺は原作どおりだね。
少し時期が早すぎる気もするけど、それは俺がいることによるバタフライエフェクトって奴かな?
「フム、そこまで分かるものなのか?」
「そこが俺のスキルの効果ですから」
「ともあれ、早く行こうぜ。憤怒スキルってことはそいつ暴走してんだろ?早く止めてやろうぜ」
「ほう、何か方法があるのか?」
「さぁ?だが、お前なら何かあるだろ?」
「・・・・・・ハァ、人前で何で言っちゃうのかなぁ?」
そりゃまぁ、ありますけどね。しかもよりにもよって
「ゴ、ゴメン」
「ハァ、全く。・・・まぁ、ともかく早く行くことには賛成だし、準備が出来次第行くつもりです。」
「ああ、そうしてくれ。移動については・・・問題ないか?」
「はい、大丈夫です。」
「そうか。ではこちらも別口にも依頼するつもりだ」
「そうですか、分かりました」
「では頼んだ」
そう言って、彼は去って行った。
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そうして、冒頭に至る。
「お前、治癒なんて片手間にできるだろう!?」
「普通ならな!内臓グチャグチャ、骨バキバキ。おまけに結構な具合にシェイクされてる。まだ原型保ってるのが奇跡だよ!!この状態じゃ、下手すりゃその治癒が原因で御陀仏なんてことになりかねない!!」
「クソが!!」
並列意思が使えればまた別だったんだろうが、今
「取り敢えず、援護はするから治療終わるまで時間稼いでくれ!」
「畜生!!やってヤラァ」
うーん、口調荒れてるなぁ。
まぁ、流石にステータスで1万超えてるのがMPだけな彼ではあんまり持ちそうもない。
「さて、早めに片付けるとするか」
それでは、