それは、遂にやってきてしまった。
レングザント帝国にエルフが訪れたのだ。
そして、王室で夏目氏との面会前に、侯爵家で桜崎氏と面会する予定となったようだ。
いや、それだけならまだ良かったのだが、どうやらポティマスも来ているようなのだ。
この時点ではまだ大丈夫と思っていたのだが、試しに鑑定をした時に血の気が引くのを感じた。
『鑑定不能』。
『鑑定が妨害されました』ではなく、『鑑定不能』。
これはシステムの範疇にないことを意味する。
この星で、これが適用されるのは、対管理者か魔術妨害結界によるもののみ。
つまり、今のポティマスのボディはグローリアみたいな機体で、魔術妨害結界も展開しているということになる。
当然、以前仕掛けた認識疎外の術は弾かれる。
この時点で、俺はかなりあわてて動いた。
具体的には、速攻で攫ってきた。
幸い、ポティマス達は一度帰って、その後真夜中にコッソリ不法侵入&暗殺の予定だったようで、特に戦闘になったりせずに済んだ。
その後、攫われた本人から猛抗議を受けたが。
まぁ、当たり前だ。
彼は既に5歳。当然、自意識を確立し、今世の両親や家の使用人とも、ある程度関係性を築いていたのだ。
それをいきなり攫われたら普通警戒する。元クラスメイトだと知ったとしても、多少警戒が薄れるとはいえ、抗議もするだろう。
そんな訳で、その晩の彼の屋敷での様子を見てもらった。
その結果、ある程度まだ警戒しているようだが、一応納得してもらえたようだ。
また、彼と今後どうするかについて話し合った。
「選択肢としては2つ。
1つはここに残って、俺と過ごす。その場合は、お前も修行して1人でも生きて行けるようにする。その後はまた自分で決めろ。
もう1つは、ある人達の下に行ってもらう。その人達は転生者の保護も行ってくれているだろうから、おそらく受け入れてくれるだろう。まぁ、向こうに行っても修行するのは変らないだろうがな」
「おそらくって曖昧だな、オイ。大体そのその人達って何者だよ?」
「魔王様と神様。」
「え?」
「なお、神様の方は俺達と同じく転生者だ」
「えぇ・・・・・・。」
まぁ、真言教の方に送っても、ポティマスが本気で桜崎氏を始末しに来たら、防ぎきれないだろう。
また、場合によっては真言教側も彼のことを危険視してしまうことも、考えられる。
むしろ、かつて記録にある桜崎氏の転生特典と同じスキルの保持者が起こしたことを考えると、そちらの可能性が高い様に思えてくる。
閑話休題。
そんな訳で、桜崎氏にはしばらく考えてもらうことにした。
俺の方は魔王様御一行様に挨拶に行こうと思う。
どちらにしろ、いつかは魔王アリエル氏と白織氏には顔合わせして置かなければならなかっただろうし、渡りに船というやつだ。
幸い、今の彼女達の居場所も把握している。
というか、普通に魔王城付近で生活しているのだ。
なので、会いに行くだけならば簡単なのだ。
そんな訳で、行ってみよう。
因みに、彼の誕生はクラスで2番目に遅いです。
(なお、一番遅いのが、卵の状態で長いこと過ごしていた「漆原美麗」なので、自我の確立という意味では最も遅い)