心の奥に住まうモノ   作:レコ

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15話

 「くそ!何やっているんだ私は!」

 咲の違和感に気づけず、最悪の事態を招いた美玲はその場で立ち尽くしていた。

 読み違え。

 彼女の推測はスタート地点から間違っていた。

 何故、原因は咲の内部から発生したものだと決めつけていた?

 何故、原因が外部からの圧力だと気づかなかった?

 研究者らしからぬ感情的な衝動に苛まれそうになる。

 

 あってはならない見落とし。

 

 科学者とは、様々な前提条件を加味して思考し、仮説を作り上げ、確定だと言うために実験を行う。

 そこに入り込む、認識のズレ。

 自分の視界は、不確定要素を映していなかったのだ。

 

 「フン、大方今頃見て見ぬ振りをしていた違和感に気づいたのか。どうやら詰めが甘いという具体例はこのようなことを言うんだろうな?」

 美玲のすぐ側、解析用のコンピュータに寄り添う形で佇む私市は、哀れな美玲を睥睨しつつ残酷な言葉を叩きつける。

 

 「はは、こればっかりはその通りだよ。私は前提条件を間違えていた。くだらない固定概念や経験則で目が曇っていた」

 「自らの愚かな過ちを認めるのは結構だが、くだらない後悔や懺悔をする暇はなさそうだぞ?」

 そう言って私市は、彼らの正面を顎でしゃくる。

 そこに映る『非現実』。

 科学者として一番身近でありながら、それでいて最大の恐怖を孕む領域。

 彼女は不運にも土足で踏み込んでしまったのだ。

 「本当の本当に読み違いだったよ。素人の指摘で根本から見直す必要に気づかされるとはね」

 「彼との会話から察するに、彼女のアーキタイプの構成そのものを見誤ったようだな?」

 「ああその通りさ」

 悔しさや情けなさのあまり、手に力が入る。

 血が出るほど握りしめた拳の行き先に苦悩する美玲は、一語一句を絞り出すように吐き出す。

 「私が想定していたのは、『無意識領域におけるアーキタイプを言語連想法によって抽出、そこから作り出される設計図に変化を加える』というもの。あらかじめアーキタイプの前例としてパターンを集計し分析していたが、そこからずれていたんだ」

 「貴様が分析したアーキタイプのパターンを基に該当のアーキタイプを見つけ出し、改変を加えることで不可解な現象を食い止める、だったな。貴様曰く、そのパターンの()()を見誤ったのだな?」

 人間の深層心理における無意識は、いくつもの層で構成されている。

 何かという自我を中心とする『意識』、個人的な経験から成り立つ『個人的無意識』、そして人類京津にある『普遍的無意識』。

 意識、無意識の存在の有無についての議論は抜きとして、人間自身が気づいていない潜在的な要素はこのように分けられる。

 その為一括りに無意識と言っても、その中の領域によって性質はガラリと変わってくるのだ。

 「もともと考えていた抽出、そして改変方法として、『今回の引き金となったアーキタイプが所属する無意識領域を特定し、その領域ごと情報を塗り替える』という方法をとっていた。その方法に不備は無かったし問題も無かった。問題だったのは・・・」

 「その該当するアーキタイプの領域」

 彼女の言葉をつなぐように合いの手を出す私市。

 先ほどの冷めた視線とはまた別の、非常事態を受け入れた上での冷静な判断をするための観測者の目となっていた。

 「貴様はアーキタイプのパターンを集計し、分析するために、ある程度彼女が抱え込んでいるであろうアーキタイプを予測する必要があった。彼女の態度や言動、彼女がこの現象に巻き込まれた出来事から、貴様は『コンプレックスから成り立つ自己嫌悪』と仮定、所属するであろう無意識の領域のデータに関して処理をしていた」 

 「ああ。私が仮説として標的を絞った領域は『普遍的領域』。だがその読みが外れてしまったということさ」

 想像していたものとは全く異なるデータを吐き出し続けるデスクトップに、苛立ちの表情を隠せない美玲。

 それでも再度立て直すためにキーボードに指を伸ばす。

 圧倒的な美玲の指裁きであっても、吐き出し続けるデータの速度に敵うはずがない。

 それでも、美玲はパソコンに向き合う。

 「貴様の説明では、コンプレックスは個人の出来事による無意識、つまり『個人的無意識』の領域にある。しかし、今回の本当の原因はコップレックスとは又別のアーキタイプ、()()()()()()()()()()()()()ということだ」

 「その通り。そして彼女を苛む最大の原因は、コンプレックスを生み出した自分自身ではなく、コンプレックスである()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってことだったのさ!くそ、なんでそこまで考えが回らなかったんだ!?」

 「それで、本当の要因は分かったのか?」

 「情けないことに少年のおかげでね。それに()()姿()もそれを忠実に再現しているさ」

 そう言うと、美玲は私市に正面の光景を見るよう促す。

 

 緊急事態に襲われる彼らの目に映ったのは・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間は、自らの理解を超えた現象に遭遇すると、理解不能のあまり意識が飛ぶことがある。

 頭が真っ白になる、という表現通りに思考に空白が生じるというものだ。

 これは以前に、美玲との初遭遇にて弱音は経験済みだった。

 そのときは理解不能と言うよりも、突然の出来事過ぎて理解が及ばなかったという表現の方が適切ではあった。

 しかし、今回はスケールが違う。

 違いすぎる。

 理解不能というよりも、頭が理解を拒否している感覚。

 何もかもが意味不明で、視覚情報を主に信じる本能的機能であっても、その眼球ですら疑いたくなる。

 それほどまでの『未知』

 それほどまでの『恐怖』

 一般高校生では馴染みのない死への恐怖とはまた別の恐怖。

 ()()()()()()()()()()という、先が見えない洞窟に一人無理矢理放り込まれた恐怖であった。

 あまりの『非日常』に意識を朦朧とさせながら、弱音は直前の状況を思い出す。

 美玲の指示書に書かれた単語、正確には言語連想法に則り無意識を刺激するための言葉のナイフ。

 それを口にした瞬間、弱音は正体不明の力に弾き飛ばされていた。

 槍のように局地的かつ一点に集中した力ではなく、巨大な飛翔物がぶつかってきたような、全身そのもので受け取ったというべき物理的衝撃。

 声にならない叫びを上げた少女、その背後から。

 どうやら吹き飛ばされたのは彼だけではなかったようだ。

 彼の倒れ込んだすぐ側では、ついさっきまで座っていた簡易椅子が歪んで使い物にならなくなっており、広範囲に広がった衝撃で粉塵が巻き上がっていた。

 そんな視界が悪い中で、それでも分かる存在があった。

 理性ではなく、本能で。

 理論ではなく、直感で。

 その存在をひしひしと伝えてくるナニカ。

 頭ではなく、生物としての本能的機能からの危機感に従うように、弱音はゆっくりと立ち上がろうと試みる。

 それに応じて彼の視界も段々と晴れてくる。

 やがて、全ての元凶が顔を出す。

 

 

 陽炎のように不鮮明で

 プロジェクションのように人工的

 見ている世界がホログラムと化して、ピクセル単位でブロック状に崩れていく。

 やがて『日常』を構成されていたブロックが自らの意思を持つように集まり、ゴポゴポッと湿っぽい音を残して『非日常』を作り出していく。

 

 

 全ての発端となった、橋での出来事。

 ビデオの再放送を見ているかの如くの既視感。

 だが、異なる部分が一つだけあった。

 

 作り上げられる姿()

 

 まるで一つのゴールが明確にあるのか、迷いもなく一つの輪郭を形成していく。

 カタカタカタカタカタカタカタカタッッッ!!とお互いのブロックが踏み台として、まるで決められたルートが見えるように迷いなく立体的な存在を形成していく。

 

 「な、なんなんだ・・・・・・!?」

 

 緊張で乾いた口で、弱音は肺から息を絞り出す。

 片手を地面についた状態でも、声を出せたのは僥倖だったか。

 極限状態で筋肉が強ばっていたのが和らいだのか、ふらつきながらも完全に立ち上がることができた。

 そして視界が高くなったことにより、この現象の核が段々と明確に鮮明に浮かび上がってくる。

 未だ視界が揺らぐ中で、彼の瞳に飛び込んできたのは

 

 

 手足をその場に縫い付けるほどの効力を持った『視線』であった。

 独特な光を放つ、対の黄金のような瞳。

 黒光りする、生々しい鱗。

 弱音を押し潰さんとするほどの、太く長い胴体。

 そして、獲物を品定めをするかのようにチロチロと揺れる二股に分かれた真っ赤な舌。

 弱音を睥睨するように、彼の遙か上から頭を垂れるその姿はそう

 

 「()()・・・・・・・・・!!」

 

 爬虫類を代表する、捕食者。

 人間の生理的悪寒を引き立て、あらゆる神話において数々の残虐な惨劇を引き起こしてきた存在。

 蛇であった。

 

 圧倒的な存在を前にして思わず倒れそうになるが、それでも弱音は膝に力を入れてる。

 恐怖に対抗するため、弱音は真っ正面に全ての元凶を見据える。

 そして、彼の存在感で分からなかった、弱き守るべき存在が一つ。

 本当に救ってやらなければいけない者を、彼は改めて認識する。

 大蛇が囲うように蜷局を巻く、その中心。

 意識を失い、手足を放り出した形で宙に浮かぶ一人の少女。

 

 「日野!!」

 その正体を、意識を取り戻そうとその名を叫ぶ。

 しかし、自らの力を失った手足が動くことはない。

 代わりに帰ってくるのは、未知で構成された獣の咆哮。

 威嚇とも言える空気を裂く音は、彼のみならず、あらゆる方向にまき散らされる。

 音は衝撃波となり、不可視の攻撃として弱音に襲いかかってきた。

 「クッ!!」

 腕を盾に、今まで経験のない衝撃に耐える弱音。

 なんとか踏ん張ろうと体重を前に傾ける。

 彼の冷や汗が飛んでいく中で、数歩下がったところでなんとか静止する。

 先ほどのように体ごと吹っ飛ばされることはなかった。

 しかし、彼の心に安堵の文字は一切無い。

 美玲が曰く、あの正体はETCMが作り出した設計図という名の情報体。

 たかが電気信号が、『規則性が不明な謎の力』の肉付けにより、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 『大丈夫かい少年!?』

 理不尽に叩きつけられた力で転げ回っても外れなかったのは幸運か、彼の耳に美玲の切羽詰まった声が届く。

 良く聞こえるように人差し指で押さえながら

 「運良く生きてるよ。それよりも出現したぞ、例のヤツ!?」

 『すまない、見誤ったんだよ』

 短いかつ落ち着いた口調で紡がれた謝罪は、現状の深刻さを表すのには十分だった。

 『本来予測していた原因となるアーキタイプ、それがあの化け物の正体さ。私は目先のデータばかりに目を取られて彼女の身に起こった不可解な現象を考慮していなかったんだ』

 「どういうことだ?」

 ジリジリと化け物から後ずさりして距離を取る。

 正直意味はない行為だが、心を正常に保つための予備動作。

 ある程度の心の隙間を作り、美玲に問いかける。

 『手短に言おう、私はアーキタイプ云々ではなくそのアーキタイプが所属する深層心理での領域を見誤ったんだ。それに彼女の身に起きた不死身現象についても完全に無視していたんだよ』

 「はぁ?だから一体どういうことなんだよ!?」

 『つまり、彼女が死なないということも重要な意味があったということさ!不死身や生命力の塊といった条件も視野にいれるべきだったんだ』

 「あいつの身に起こった『死のうと思ったときに死ねない』という力そのものがアーキタイプに関連しているっていうことか?」

 『少年の前にいるのは、お嬢ちゃんのアーキタイプそのもの。つまりその大蛇はお嬢ちゃんが抱えるアーキタイプが具現化されたものであり、大蛇が振るう力も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!』

 アーキタイプは、人間が普遍的に持っている感情を指し、またそれらに関する印象やイメージを指す。

 弱音の目の前にある現象が、ETCMが読み取って作られた設計図のデータを基に形成されているのならば、当然()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということか。

 ETCMが作り出した設計図という電気信号に、『規則性なき謎の力』というオカルトが加わることで、現実世界に神話上の怪物をそのままの形で顕現させてしまった。

 神話上で語られる、偉大とも畏怖とも感じられる力付きで。

 「じゃ、じゃあ日野が死ななかったっていう力も、アーキタイプが具現化した副産物ってことか?」

 『副産物というよりも、お嬢ちゃんのアーキタイプの本質といってもいい。これでお嬢ちゃんのアーキタイプははっきりとしたよ』

 一度言葉を切り、一呼吸入れる美玲。

 今度は間違えないように。

 今度は見落としがないように。

 今度こそ、美玲は問題の核を捉える。

 

 『お嬢ちゃんに起きた現象の記号性は不死身、生命力。体を切り刻まれても獲物に食らいつく姿は古代の人々を驚かせ、その生命力に信仰や畏怖の念を抱かせ、医療の神の使いとされ崇め奉られている。特に神話上では絶対的な力を持つ怪物とされ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。蛇は時にその意味合いを含む様々な生き物に姿を変え、あるときは対峙される凶悪な魔物として、そしてあるときは包み込むような生命の源としての権能を振るってきた。竜、魔女、鬼。そしてこれらが表すアーキタイプは一つしかない』

 

 咲を苦しめてきた元凶

 それは

 

 

 

 『グレートマザー。偉大なる母。つまり()()さ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それが、あいつの本当のアーキタイプ・・・」

 大事なものを噛みしめるように、弱音はその言葉を受け入れる。

 母親

 自分に命を授け、絶対的な指針として導く存在。

 そして、逆らえないほどの呪縛も兼ね備える存在。

 切っても切り離せない繋がりに、咲は苛まれていたのか。

 『少年が言ったとおり、お嬢ちゃんの苦痛の原因は()()()()()()()だろう。自分の望む姿と母親がい抱く姿が食い違い、過度なプレッシャーや期待を背負わされていたんだろうね」

 「・・・・・・・・・」

 選手を目指して努力する姿。

 努力が身を結び、晴れて選手としてトラックを走り回る姿。

 そして、怪我でプレーできなくなった惨めな姿。

 その落差が、積み上げた功績が、母親からの圧力として襲いかかる。

 一番身近な人からの、不可避の力。

 ()()()()()()()()()()()()()()ほど、ほどくのが難しい。

 日頃から身の回りの人間を大切にする者ほど、なおさらだ。

 

 「・・・・・・・本当のアーキタイプは分かった。今から設計図のデータにあるアーキタイプのデータは改変できるのか?」

 『それは難しいところさ。私が本来用意していたデータは『個人的無意識』の領域データ。対してお嬢ちゃんのアーキタイプであるグレートマザーは根本にある『普遍的無意識』の領域。私の手元に『普遍的無意識』を線引きするためのデータは持っていないんだ!』

 「じゃあどうするっていうんだ!?」

 「道はひとつだ。それh

 

 

 美玲は、この状況を打破するための方法を提示しようとした。

 しかし、彼女の言葉は途中で遮られることとなる。

 弱音の鼻のをこするかという距離感にて。

 美玲と二言程度交わしていた、時間にて瞬間の内に。

 彼の意識や認識を置き去りに、視界いっぱいに迷彩柄が広がっていた。

 それが蛇の鱗模様と気づいたのは反射神経に近い。

 だが、大蛇が弱音に向かって凶器となる尾を振るってきたとは理解できなかった。

 頭で追いつけないほどの判断を下すのは、ほぼ本能に近い。

 その本能トやらに従うように、弱音は気づかないうちに後ろに倒れ込んでいた。

 後方に倒れる一瞬の間に、彼の頭上ギリギリで凶器が通り過ぎていく。

 彼の認識が元の時間に戻った時には、壁のクレーターが綺麗に出来上がっていた。

 

 「なッ、ッハァ!」

 自然と止まっていた呼吸を吹き返す。

 今更になって冷や汗が吹き出る。

 実体験の恐怖。彼は改めて現状を把握しようとした。

 それがどれだけ『非日常』に溢れていたとしても。

 倒れ込んでいる状態から、弱音は顔だけを挙げる。

 そして、見えてくるのはクレーターを作り出した張本人。

 非日常の塊は、弱音を視線で捉えていた。

 蛇に睨まれた蛙。

 日常ではあり得ない、圧倒的弱者としてこの言葉を使う羽目になるとは思いもしなかった。

 

 「オイ!改めて本当にどうにかなるんだろうな!?」

 『やれることをやるだけさ、しかし確証はないけどね!』

 「じゃあ俺は何をすればいい!?俺に何が出来る?」

 

 お互いに切羽詰まった状態。

 特に弱音に関しては冷静な判断を行える状態にない。

 思考不能の頭は置き去りにして、弱音は美玲の指示を仰ぐ。

 全てはこの残虐な今を打破するため、彼は行動を行うほかない。

 

 『時間稼ぎだ』

 「はぁ!?」

 『できるだけ時間を稼いでくれ!』

 専門家である美玲からの指示は単純明快であった。

 だが、実現できるかどうかは未知数。

 実物大の未知を目の前にして、堂々と言えるか否かというほどの無理難題。

 

 「・・・それで突破口が開けるんだな?」

 『今からお嬢ちゃんのアーキタイプを分析し直す。お嬢ちゃんの深層心理のデータから改めて『普遍的無意識』のデータのパターンを収集、そこから分析を行い領域を特定する!この作業を行っている間、少年はこちら側に意識が向かないように立ち回ってくれ!!』

 「何言っているんだよ!お前が言っていた元のデータだって集計や分析に一日二日じゃ終わらないんだろ!?ETCM本体の電源を落とすじゃダメなのか?」

 『それはあまりにも危険だ。今のお嬢ちゃんのETCMは、お嬢ちゃんの深層心理に深いところにつながっている可能性が高い。観測しているだけとはいえ、脳の神経系に繋がりは皆無じゃないんだよ。もしここで強制シャットダウンを行えば、お嬢ちゃんへのフィードバックが計り知れない。最悪神経障害や廃人になってもおかしくないんだ!!』

 「クソッ!やるしか方法がないってことか!!」

 あまりにも少なすぎる可能性。

 美玲の話は難解な言葉が溢れているからこそ、現実味を嫌でも感じさせられる。

 あるかもどうか分からない、僅かな希望にすがりつく。

 そんな過酷な現状において、弱音は立ち上がる。

 

 未知の怪物と目が合った。

 あまりにも現実とはかけ離れた闘争が、今始まる。

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