文明の見上げていたヘリコプターには、三人の男女が乗っていた。そのうちの一人は、ヘリコプターを操縦していたが、まだ小学生とおぼしき男の子であった。頭には、野球帽を被っていた。
男女二人は、ヘリの窓から、島を見下ろしていた。蜘蛛の糸のような柄の服装をした、20歳そこそこの女性が、双眼鏡で別荘を見つめていた。
「……終わったわ。ジョルノ」
「勝ったようだね? 彼らは」
そう尋ねたのは、金髪で前髪が3つに巻かれている、20代半ばの青年だった。胸元がハート型に開かれた服を身に着けている。
「そのようね。遠目だけど、あの様子だと犠牲者は出ていない。完全勝利、ってところね」
「それは良かった……」
ジョルノは、シートに座り直した。
「本来なら、僕が行くべきだったのかもしれない。そう思ってもいたけども。徐倫、君のお父さんが、彼らが解決できるなら、そうさせるべきだと言うので」
「誰も死ななかったなら、それでいいんだけどさ」
パイロットの少年が、そう言い出した。
「あなたたち二人が行けば、あの人たちにそこまで危険を負わせずに、もっとスンナリ勝てたと思う。あなたたちは……プッチ神父ですら、倒したのだから」
「あの神父を直接倒したのは、君の〈覚悟〉だよ。エンポリオ」
ジョルノが、笑みを湛えてそう言った。
「あの時の君は、強大な敵を相手に、自分の〈覚悟〉で立ち向かった。それは、とても気高い、人の在り様だ。承太郎さんは、君のような人間がもっと増えてほしいと願っているんだ。そして承太郎さんは、彼らにその資質を見出していた。だから、あえて彼らに委ねたんだ」
「そうね。そして彼らジョーカーズは、あたしたちの助けなんかなくっても、自分たちの力でやりおおせた。あたしは、敬意を表したいと思う」
徐倫は、双眼鏡をジョルノに投げよこした。
「さて! せっかく日本に来たんだから、オイシイもの食べて帰りましょ。アンタ、イイお店知ってるんでしょ? 連れてって!」
「……なら、杜王町にとてもいいイタリア料理の店が」
「日本料理に決まってんだろーがッ! 自分がイタリア在住だからって、ソッチ方面を推してんじゃねーよ! 大体ね、あの町に行くと、同じ名前のヤツらが揉め出すから面倒くさいのよ!」
「漢字は一文字違うよ。彼らは」
「そんなモン知ったことか! 今日くらい、落ち着いてディナー食べたいの!」
「分かった。手配してみるよ」
やや困った顔はしたものの、ジョルノは頷いた。
そしてエンポリオは操縦桿を捻り、ヘリコプターを帰還させていった。