【完結】自称名探偵の変態妄想処女(20)に目をつけられた件 ~お巡りさん、こいつです~   作:虫野律

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終わりと始まり

朝影(あさかげ)諒太(りょうた)

 

 

 陽平さんの自殺を発見した日の翌日、僕は理愛のアパートを訪れた。

 さっき「もうすぐ着く」ってRINEを送ったら「鍵開けとく」と飾り気の無い文章が返ってきた。だから鍵は開いてるはず。

 

 玄関のドアノブを捻ると抵抗無く扉が開く。お邪魔します。

 

「来たよ」

 

「んー」

 

 理愛は部屋着でゴロゴロしてた。時刻は16時過ぎ。きっと朝からこんな感じだったんだろうね。

 

「アイス買ってきたよ。食べる?」

 

「……チョコミント?」

 

「勿論。理愛、それしか食べないじゃん」

 

 理愛にはチョコミント、僕には抹茶だ。

 理愛が起き上がり、スプーンを取りに行く。狭いアパートだからすぐにミッション達成。スプーンが渡される。

 

「ありがと」

 

「うん」

 

 蓋を開けた理愛がボソッと言う。

 

「……ちょっと溶けてる」

 

「あちゃー。今日暑いから」

 

 すぐそこのコンビニだから大丈夫だと思ったんだけどなぁ。

 僕も蓋を剥がし、食べ始める。理愛もなんだかんだで普通に食べてる。

 

 黙々とアイスを胃に送り、残り僅かになったところで理愛が唸り出した。

 

「うーーー、くやじぃ! 犯人にどや顔で推理を披露(ひろう)したかったー」

 

 結構、引きずってる。僕は切り替えが早い方だからそんなでもないけど、理愛は違うみたいだ。

 

「仕方ないよ。そういうこともあるよ」

 

「そうだけどー」

 

 幼い見た目で口を尖らせる姿は完全に子どものそれである。これでタメなんだから信じられない。普段の偉そうな感じも崩れてるし。

 

「うー、うー」

 

「……ふふ」

 

 面白いね。

 

「次の事件はもっと頑張るってことで切り替えよう」

 

「うー、う……次?」

 

「うん。僕と居ればすぐに次の事件に巻き込まれるからね」

 

 僅かな沈黙の後、理愛がハッとする。

 

「……もしかして、正式に私の探偵事務所で働く決心がついたのか!?」

 

「普通に友だちとして一緒に居ればって意味」

 

「なんだ。そっちか」

 

 しょんぼりしてる。なんていうか素直だよね。

 ……うん、満足。

 

「……大学優先でもいい?」

 

「!? いいぞ!」

 

「じゃあ働く」

 

「うわぁーい! これで殺人事件がやって来る!」

 

 なんてね。

 本当はアパートに来る前からこの話をするつもりだった。理愛のことは嫌いじゃない。今回の事件で余計そう思わせられた。

 

 理愛は無邪気に喜んでる。

 

「ところでちょっと思ったんだけどさ」

 

「うん? なんだ?」

 

 すっかり偉そうな感じが復活してるよ。

 

「理愛ってどや顔で下ネタ言ってるけどさ」

 

「うん?」

 

 なんとなーく。

 

「多分、処女だよね」

 

「!? ななな何を言うか! しょしょ処女じゃねぇし!」

 

「ふーん」

 

「……ぅぅ」

 

 自然と頬が緩む。

 

「ふふ」

 

 楽しいな。

  

 

 

 

 

 

 

 




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