アークナイツRTA『感染者は方舟の仲間と共に』   作:量産型プレイヤー

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どれだけの力を手に入れても、より強大な力に淘汰されるだけだ


消え去る温もり

男は、彼が居なくなった事を利用して、あの土地を我が物顔で売り払った。

 

あれから、あたしはロストと会う前の生活に戻った。少し変化があるとしたら、寝る前に泣かなくなった。いや、泣けなくなったんだろう。

 

それからは、ひたすら訓練に明け暮れた。あれ程嫌だった嫌がらせも、今になっては何も感じなくなった。朝起きて、訓練所で訓練を行って、家に帰って、寝る。ひたすらあたしは、同じ行動をとり続けていた。

 

前と同じなのに、虚無感があたしの中を支配していた。それ程、彼のいる生活が充実していたからだろう。

 

彼はもういない。あたしが見捨てたからだ。あたしが弱かったからだ。

 

あたしはひたすら訓練を受け、見習い騎士になった。例え見習いでも、奴隷の身分だったあたしが騎士になった事が気に食わない連中からの嫌がらせが始まった。本来、階級に合った任務が充てられるはずだが、数段階上の任務を受けさせたり、任務を達成しても、昇格させまいと何かといちゃもんを付けてくる。何とか任務を達成したとしても、他の見習い騎士と比べてなかなか昇格できない...上の奴らが、昇格までの任務数を増やしているみたいだ。

 

それでもあたしは、何も言わずに任務に赴く。何度も死にそうになったが、それでも必死に生き残った。そんなことを繰り返していくうちに、あたしは一つ上に昇格した。階級が上がった分、危険な任務も増えたが、気にせずに任務にあたる。

 

 

 

 

 

あたしの階級が一つ、また一つと上がったある日、あたしを買った男が、何処か満足げな顔をしながら話しかけていた。

 

「おめでとう!階級が上がったんだって?お陰で仲間との賭けで大金が手に入ったよ。いや~君が正規の騎士になると皆思っていなかったから、負けを覚悟してお前に賭けてて正解だった!今とても気分がいいんだ、昇格祝いとして何かプレゼントをやるよ」

 

男が、こんな事を言うのは初めてだった。こいつの顔が見たくないあたしは、あるプレゼントを要求した。

 

カジミエーシュの都市郊外に一人で暮らすことだ。やけくそで言ってみたが、男はすんなりと了承して、家を用意した。

 

「あそこは都市中央から離れていて安いからな、お前がまた結果を出せたら、また何か貰えるかもな」

 

男はそう言っていたが、あたしにはこの家だけで十分だ。こいつの顔を見なくて済むならこれだけでいい。

 

こうして郊外で一人暮らしをする事になったが、住むところが変わっただけで、それ以外はいつものままだ。任務を受けて、報告をして、家に帰るだけ。

 

ここに居てもそれは変わらないと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

任務を達成したことを報告して家に帰ろうと歩いていると、雨が降ってきた。

 

 

傘を持っていなかったあたしは、人気のない公園に生えている、一つの大きな木の下で座り込んで雨宿りをした。

 

しばらくの間、ぼーっと雨が降る光景を眺めていると、こちらに近づいて来る足音が聞こえた。

 

足音のする方に顔を向けると、フードを被った謎の人物が立っていた。

 

「...私に何の用かしら~?」

 

「...久しぶりだね、セノミー」

 

あたしの本名を言われ、思わず立ち上がってしまう。本名を知っているのは片手で数えられる人数しかいない、それにあたしは、この声を聞いたことがある。なぜか安心感のある声にあたしは警戒する。

 

「ッ!!なんで私の本名を...それにその声、顔を見せなさい!!」

 

「...そういえばフードを深く被ったままだった。...これなら分かる?」

 

「!?その顔は...なんで...貴方は、まさか...」

 

忘れるはずがない。あたしに唯一優しくしてくれた。あたしの努力を認めてくれた。あたしにとっては、童話の王子さまの様な存在。

 

 

 

 

 

 

「ロスト...なの?」

 

「...そうだよ、あの日の約束を守れなくてごめんね」

 

謝るのはあたしのほうだ...あの日、彼を助けることが出来なかった。見捨てしまった。もう会えないと思っていた。

 

彼がいなくなって以降、流さなくなったはずの涙が、自然と湧き出てきた。

 

彼との再会が嬉しいのと同時に、彼が攫われてしまった後悔で一杯だったあたしは、思わず彼に抱き着いてしまった。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいあの日あなたを助けられなくてごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「大丈夫だよセノミー、だから泣かないで」

 

ロストは、昔のようにあたしを慰めようと抱きしめながら、優しく撫でてくれた。

 

あたしが泣き止むまで、ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしが泣き終えた事を確認したロストは、攫われる前に住んでいる家について聞いてきた。あの家がもうなくなってしまった事を伝えると、少し落ち込んでいた。どうやら泊まる場所を探しているようだ。

 

「!な、なら、あたしの家に泊まらせてあげるわ」

 

あの男と顔を合わせない事だけが良い点だった家が、こんな形で役に立つとは思わなかった。

 

「...いいの?」

 

「ええもちろん!その代わりに、その...良ければ、昔のように一緒に料理を作りましょう?」

 

泊まれる事を聞いた彼は、嬉しさの余り、あたしに抱き着いてきた。昔は同じ位の身長だったが、今では彼の方が高い。そのため自然と彼の胸の中に顔をうずめてしまう。泣いていた時は気にしていなかったが、彼からはとてもいい匂いがする。そんなことを考えていると、体が火照ってくるのを感じた。

 

彼が抱きしめるのをやめると、少し残念に思ってしまう。

 

彼は早速あたしの家に向かおうとするが、生憎あたしは傘を持っていない。

 

「いきなりの雨だったから傘がなくて・・・入れてもらえるかしら~」

 

そう言うとロストは、自分の傘の下にあたしを入れて、二人で雨の中を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

「我が家にいらっしゃい!歓迎するわ!」

 

彼は一言「お邪魔します」と言って家に上がっていく。あのころとは立場が逆転している。

 

「雨で寒かっただろうし、お風呂を沸かしたわ~。先に入ってねぇ」

 

先にお風呂に入ってもらうことを伝えた後、脱衣所で服が擦れる音がする。その際に、あたしは、邪な考えをしてしまった。彼はこれから服を脱ぐ...一日着ていた服は彼のにおいがとてもするだろう。人としそんなことをしてはいけないと理性が訴えかけるが、本能がそれを拒否していた。

 

「あっ服はそこの籠に入れておいてね、洗っておくわ~」

 

そう言った後、あたしは脱衣所の扉に耳をあてる。彼が服を脱ぎ終え、お風呂場に入りシャワーを浴びる音を確認したあたしは、ロストの服が入っている籠をリビングに持って行った。

 

 

 

 

 

 

「す、少しぐらいなら...大丈夫かしら?」

 

あたしは自分の欲望のままに身にまとっている服を脱ぎ、彼の服を使って■■行為をした。彼の服に顔を埋める。途端に、とてつもない幸福感が頭の中を駆け回り、下半身が熱くなる。

 

 

「ふっ♥ふっ♥ふーっ!?♥お゛っ!!♥♥お゛~~っ!!♥♥」

 

彼の雄の匂いを沢山吸った服を嗅ぎながら、あたしは達してしまった。

 

「すっ凄いっ♥ふっ♥ふっ♥もっと♥もっと嗅ぎたい♥」

 

それでも満足しなかったあたしは、そのまま■■行為を続けた。

 

気が付くと、彼がお風呂場から出て着替えている音が聞こえた。

 

あたしは慌てて服を着てごまかした。

 

「あっあ、ああロスト!?いやこれは、その、そう!服のポケットに何か入っていないか確認していただけよ!」

 

そう言うとロストは、あたしがお風呂に入る事をすすめてきた。

 

「そ、そうね、じゃあさっさく入ってくるわ~」

 

お風呂の中でもしてしまったのを、彼は知らないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたわ~あら?下準備してくれたのね、助かるわ~」

 

お風呂から出ると、彼が食事の下準備をしていてくれいた。後の作業は二人で行い、出来上がった食事を二人で食べ、その後寝ることになった。

 

しかしあたしの家には自分用の大きめのベッドしかない。

 

「ごめんなさい、ベッドは私のしかないの...」

 

それを聞いた彼は

 

「大丈夫、寝れればどこでもいいよ」

 

と言って床で寝ようとしたので慌てて止めた。

 

「そ、その、良ければ一緒に寝ないかしら。昔は良く二人で寝ていたでしょう?」

 

「...それだとセノミーがゆっくり寝れないんじゃないの?」

 

そんなわけない、むしろ今まで以上にぐっすり眠る事ができるだろう。

 

「大丈夫、きっといつもよりぐっすり安眠できるわ。さあほら!」

 

彼を強引にベッドに連れ込み、彼の胸板に顔をうずめる。

 

「...出来れば、頭も撫でてくれないかしら?」

 

ロストは、あたしのわがままに文句を言わずに撫でてくれた。

 

「ああ~いいわぁ・・・こうして、昔も頭を撫でてもらっていたわね~」

 

昔の事を思い出しながら、彼に撫でてもらっている。

 

昔は弱かったあたしだったが、今度は違う。少しだが力が付いた。この力で、今度こそはロストを守って見せる。あたしにとって忠誠を誓える唯一の相手。騎士としての自分を、余すことなく彼に捧げる。

 

 

 

心の中でそう誓いながら、瞳を閉じて眠る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、目覚めると隣に彼がいない。台所から良い匂いがするので、朝ご飯を作っているのだろう。

 

「ふぁ~おはよう、ロスト」

 

彼に挨拶を済まして、朝食を頂く。食べている最中、彼が都市中央に行く事を話していた。

 

「あら、ならあたしも一緒に行くわ~丁度食材を買い足しに行こうと思っていたところなのよ~」

 

これなら合法的にデートが出来ると思って同行する事を伝えると、一緒に行ってくれるようだ。

 

朝食を食べ終え、身だしなみを整え二人で家を後にする。

 

 

 

都市中央に着いて、彼は武器屋に向かった。そこで所持していた素材を売却した後、武器の設計図を購入していた。

 

「武器じゃなくて設計図なの?変わっているのね~」

 

彼は鍛冶師なのにかしら?でも道具は持っていないみたいだし...まあ気にしなくてもいいかしら。

 

彼は用事が済んだようで、あたしにどこに向かうか聞いてきた。

 

あたし達は食品を買いに向かった。二人で何を作るか話しながら食材を選んでいる様子は、まるで夫婦のようだった。

 

 

 

 

粗方ほしいものを買ったあたしたちは、そのまま家に向かって歩いていた。

 

「荷物を持ってくれる人がいて助かるわ~つい沢山買っちゃったわ~」

 

そんなたわいのない会話をしている時、唐突に『ソレ』は現れた。

 

足元の黒い渦の様な物から、触手が伸びてきた。

 

触手はあたしの体に張り付き、引きずり込もうとしている。

 

「嫌ァ!?離して!?」

 

突然の事に、あたしはパニックに陥っていた。

 

すぐさま触手から逃れようともがくが、なかなか離れない。

 

「セノミー!!じっとしてて!!」

 

彼の声を聞いて、少し落ち着きを取り戻したあたしは、指示どうり動かないようにしていた。

 

するとロストは、何処からか取り出した素朴なデザインの剣で、あたしの周りの触手を切り飛ばした。

 

自由になったあたしを抱えた途端、黒い渦の外に放り投げた。

 

「痛ッ、!?ロスト!つかまって!」

 

地面にぶつかる痛みを感じつつ、すぐさま彼に手を伸ばそうと必死になっていたが、

 

「嫌!ロスト!ロスト!!」

 

あたしの手が届くことはなく、そのままロストは渦に飲み込まれていった。

 

 

 

忠誠を誓い、今度こそ守ろうと心に決めていた。

 

あたしはまた、何も出来なかった。




自分の性癖が漏れ出してしまったので初投稿です。あれぐらいの表現だったら大丈夫でしょ(適当)最悪書き直せばヘーキヘーキ。

uytrewqさん、誤字報告ありがとナス!

モスティマ姉貴の黒鎖と白鍵ってどこで手に入れたんですかね?ラテラーノにあったのかそれ以外なのかによって展開が少し変わるから誰か教えて(他力任せ)一応自分で調べたんですけど、んまぁ、そう、よくわからなかったです(無能)

あっそうだ(唐突)この小説を下さっている読者様方のお陰で、UAが二万、お気に入りが300を突破することが出来ました。これからも激遅更新で頑張らせていただくので、これからもよろしくお願いしナス!

一週間で3~4話ほど投稿出来る投稿者は一体どんな頭の中をしているんですかね?
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