アークナイツRTA『感染者は方舟の仲間と共に』   作:量産型プレイヤー

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私がここまで他人に興味を持ったのは、君が初めてだ。


天使と少年は出逢う

暫くの間、彼を揺さぶっていると彼が目を覚ました。

 

「あ、起きたみたいだね。大丈夫かい?気を失って倒れていたようだけど」

 

寝ていた身体を起こし、一度辺りを見回した後、こちらの顔を覗いていた。

 

「あの...貴女は?...」

 

「人に名前を尋ねる際は、先に自分の名前を名乗ってくれないかい?」

 

「...ロスト、です」

 

「私はモスティマ。起きたばかりで悪いんだけど、君はどうしてそこで気絶していたんだい?」

 

「自分は旅をしていて、気が付いたら意識を失っていた...」

 

「そうかぁ...いつの間にか意識を失っていたのか~」

 

噓はついていないようだ。...さっき見た『アレ』については何も知らないのかな?まあ出会ったばかりであまり質問するのもあれだし、今は触れないでおこう。

 

「あの、ここはどこですか?」

 

「ここかい?ラテラーノを少し離れた荒野だよ、まあ歩きで大体三日くらいかかるかな」

 

「そうですか。助けてくれありがとうございます。俺はラテラーノに向かう予定なのでこれで失礼します・・・?」

 

感謝を伝えてすぐさま離れようとした、彼の肩を後ろから掴んで引き留める。

 

「まあまあ、そんなに焦らなくてもいいじゃないか。丁度私もラテラーノに帰る最中で、車で向かっていた。これも何かの縁だ、良かったら一緒に乗って行かないかい?」

 

「...いいんですか?」

 

「勿論。丁度話し相手が欲しかったんだ」

 

「ありがとうございます、モスティマさん」

 

「さんはつけなくていいよ。それと敬語も」

 

「...ありがとう、モスティマ」

 

「それじゃあ助手席に乗って。シートベルトも着用した?それじゃあ出発するよ」

 

彼を乗せ、車のエンジン音をと共にこの場を去った...

 

 

 

 

 

ラテラーノに向かう道中、私は彼の旅での出来事を聞いていた。旅を始めてわずかしか経っていないらしく話の数は少なかったが、とても楽しかった。

 

聞いていて驚いたのが、オリジムシを食していることだった。

 

「オリジムシを食べたことがある?あんなゲテモノを食すなんて随分とぶっ飛んだ頭をしているね...それで、オリジムシの感想はどうだったんだい?詳しく聞かせてくれ」

 

そう言うと彼は、紙にオリジムシの調理方法を書き込んでいった。

 

最初はふざけていると思っていたが、あまりにも真面目に解説していて、彼は本当にオリジムシを食した事が伝わった。

 

少し変わっている彼と話しながら、車はラテラーノに向かっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラテラーノに着いたのは、既に日が沈んだ夜中だった。

 

ロストは私にお礼を伝え、すぐさま車から降りようとしたので彼の手を掴んで引き留める

 

「今から泊まる場所を探すのは大変だろう?一人暮らしで丁度話し相手が欲しかったんだ、暫く私の家に泊まっていかないかい?」

 

最初は遠慮していた彼だったが、私が笑顔で説得したのが功を奏したのか渋々といった表情で泊まっていく事になった。...私が説得している間、終始ひきつった表情をしていたが、私の後ろに何かあったのかな?

 

再びロストを乗せ、自宅へ向けて車を走らせる。

 

 

 

 

数十分程経って、私の住んでいる家にたどり着いた。一人暮らしでは少々持て余し、しかし2人暮らしでは少々手狭な広さの家だ。

 

彼を自宅に招き入れ、お互いにシャワーを浴びて汗を流し、リビングで談笑していた。彼について一つ確認したかった私は、マグカップに注いだホットココアに睡眠薬を混入させて彼に差し出した。マグカップを受け取ったロストは疑う事無く、睡眠薬入りのココアを吞んでくれた。

 

リビングで話していると、彼は睡魔に襲われたようで、テーブルに突っ伏した。

 

「大丈夫かいロスト、長旅で疲れてしまったのかい?そこで寝るより、そこのソファーに横になった方がいいよ」

 

私はロストの肩を支えてソファーに寝かせると、瞼を閉じ、規則正しい呼吸をして眠った。

 

「...会って数日しか経ってない人を信用するのは不用心すぎないかい?」

 

まあおかげで、彼をじっくりと観察することができる。私は熟睡しているロストの身体に触れる。

 

細いながらも、引き締まった筋肉をしている。

 

そして、身体からアーツが微弱ながらも放出されていることがわかった。普通の人間だったなら、このわずかに漏れ出ているアーツを感じ取ることは不可能だが、あいにく私は普通じゃない。彼はどうやら感染者のようだ。

 

全身を隈なく触れていると、あることに気が付いた。彼は全身に源石が埋まっている。ただ触れた限りでは体内には結晶が発生していないようだが、彼の骨のある部分に指をを押し込むと、漏れ出ているアーツを先ほどよりも強く感じることができた。

 

そして、アーツの放出量が常に一定を保っている。体を徐々に蝕んでいく鉱石病、人の体内で肥大化していく結晶は総じて不安定な状態が多い。安定するのはサルカズ族のやつらでもごく少数だ。自然に安定する可能性はないに等しい。

 

そうなれば彼は、人の手によって生み出されたことになる。そう自分の中で結論付けると、胸の高鳴った。

 

彼は私と同じ。誰かの目的の為に生まれた存在。彼なら私の事を理解してくれるだろうか?彼なら私の理想に共感してくれるだろうか?そんな考えで頭の中が埋め尽くされた。

 

ひとまず確認することは済んだので、乱れれてしまった彼の服装を整える。

 

改めて彼の顔を拝む。安心しきった柔らかい表情で、スヤスヤと寝息を立てている。不思議と彼の寝顔を眺めていたい衝動に駆られたが、明日は彼にラテラーノを案内しようと考えていたので大人しく自室に戻る。

 

 

 

 

 

翌日、ロストより一足早く起きた私は、いつもの朝食を1人分多く作った。ある程度準備が済んだ私は、ソファーで未だに寝ているロストを起こそうと一声かけようとしたが、どうやら起きていたようだ。

 

「おはようロスト、昨日は疲れてたみたいだね。話している途中で眠たそうにしていたからソファーに運んだんだけど、寝かせてあげたらすぐに眠っていたよ」

 

寝ぼけているロストの手を引いて椅子に座らせて、二人で朝食を取った。

 

食べた後、二人で使った食器を洗い終えると、すぐさま着替えて一人で都市に向かおうとしたので、彼の手をつかんだ。

 

君はすぐに一人で動こうとする...折角私と同じ人を見つけたんだ、君の趣味嗜好を知るためにも二人で出かけるべきだ。

 

「慌てない慌てない、一人で観光なんて寂しいじゃないか。折角なんだし私がラテラーノを案内してあげよう」

 

君に選択肢はない。

 

に が さ な い 。




不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったので初投稿です。高齢ドライバーにはきおつけよう!危うく足を持ってかれる所でした。

誤字報告してくださった方、ありがとうございます!サンクタ族のメンバーが足りていないというドクターにあるまじき行為をしてしまいました。ユルシテ

投稿遅くなって申し訳ナス!部活の大会が近かったりでヘロヘロだったり、ラオルで遊びまくっていたので遅くなりました。

危機契約#4来ましたね...皆さん頑張りましょう!

後、お気に入り登録が499件と、夢の500まで残り1と寸止め状態です。ウレシイ・・・ウレシイ・・・でもキリが悪いから(500)イかせてください!オナシャス!

ロボトミーの方を少し書きたくなったので次回の更新は遅くなるかもしれないです。

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