アークナイツRTA『感染者は方舟の仲間と共に』   作:量産型プレイヤー

27 / 30
それは決して、忘れる事の出来ない出来事


変化が訪れた日

予定していたどうり、朝日が昇り始めた頃に目が覚める。

 

今もなお、私を優しく包んでくれていた彼から離れる。もう迷いはない、後はただ行動に移すだけだ。

 

ロストを起こさないよう静かに家から出る。

 

さあ、始めようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数台の液晶モニターと幾つかの装備品が置いてあるとある一室。前もって借りていた部屋で私は、モニターを食い入るようにして監視していた。

 

『アレ』を運んでいる部隊の通る運搬ルートの至る所に配置した監視カメラの映像を確認し、映り込むのを静かに待っていると、仕掛けていたカメラの一つに動きがあった。

 

そのカメラの映像に注目すると、10人程の規模で人気のない裏道を警戒しながら移動している集団が映り込んでいた。

 

記憶しているルートのパターンから該当ものを見つけた私は、装備を身に付け、それを隠すように薄いマントを被り、部屋を後にした。

 

外は混雑するほどではないが、大勢の人で賑わっていた。人混みに飲まれないように避け、小さな小路から裏路地に入る。

 

薄暗く複雑な道を歩き、部隊の進行方向から私は姿をあらわした。

 

 

 

 

 

「やあ、数日ぶりだね『   』?」

 

 

 

『   』...彼女は戦友であり、エクシアの姉であり、私の...命の恩人だ。

 

 

 

「実は私ね、やっとやりたいことが見つかったんだ」

 

 

 

その彼女を

 

 

 

「だからさ、『   』には悪いんだけど」

 

 

 

私は

 

 

 

「ここで君たちには死んでもらうよ」

 

 

躊躇いもなく守護銃で撃ち殺した。

 

 

 

 

 

辺りに散らばるのは、血液と加熱された空薬莢。

 

後は目的だった『アレ』が使えるかどうか試そうかと考えていた最中、

 

「誰だ...て、君か。なんでこんな所に?」

 

後ろからの気配を感じ、とっさに銃を背後に向けると、今は一番会いたくなかった彼...ロストがいた。

 

どうやら商店街から小路に入った所を偶然見られてしまったらしい。

 

「さっきの銃声は...モスティマ?なんで銃を構えてるの?どうしてこの人達は血を流して倒れているの?」

 

少し遅れて、エクシアがやって来た。

 

「姉、さん?起きて!?返事してよ!?ねえ!?起きてよ!?...モスティマが、やったの?答えてよ...答えてモスティマ!!」

 

「そうだよ、これは私がやった。私の目的のためには、君のお姉さんを含めたこの人達を殺す必要があった」

 

涙を流すエクシアからの鋭い視線を感じながら、困惑しているロストに歩み寄る。

 

「もう私にはこいつは必要がない。それに、君が持っていたほうがよさそうだから、これは君に託しておくよ」

 

今まで愛用していた守護銃を、エクシアの姉を殺した銃を投げ渡した。

 

「悪いけど、今二人を相手する時間も惜しいから、私は行かせてもらうよ」

 

地面に落ちていたアタッシュケースの中から、二本のアーツユニットを取り出し、この場を去ろうとした。その瞬間。

 

「ッ!」

 

背後から投擲された剣を避け、ロストに目をやると。

 

武器を手にし、必死な表情でこちらに向かってきていた。

 

彼の周囲の何もない空間から出現してこちらに向かってくる武器を避けながら、二本のアーツユニットを使用し攻撃する。

 

...このアーツユニットを使っていると、どこからか声が聞こえる気がする。

 

謎の声はアーツユニットを私に教えてくれているようだ。

 

黒い方は当たると相手を硬直させ、白い方は動きを鈍くさせて吹き飛ばすらしい。

 

声の主は二本を同時に使えと言ってくるが、今は片方どちらかに集中して使用しなければまともに攻撃することができない。無茶だと考えていると。もう直ぐ慣れると返事をして来た。

 

するとどうだろうか、不思議と使い方が身体になじんできている不思議な感覚に陥った。

 

「なかなか耐えるね...けど、これはどうかな!」

 

そのおかげで先ほどよりも手数を増やすことができ、幾つかの有効打を与えられたように思った。しかしロストにアーツ攻撃が当たる寸前、原理は不明だがいきなり彼の横へとそれてしまった。

 

攻撃がそれるたびに、ロストの顔から疲労しているのが見て取れた。

 

そうと分かれば、手数を増やす事に集中しよう。

 

このまま攻めれば勝てるとアーツを放つ、アーツを放つ。放つ放つ放つ放つ放つ。

 

二本のアーツユニットを使用すればするほど、今まで背後に無かった『ナニカ』に力を吸われていたが、今の私は興奮していて気が付かなかった。

 

そして

 

 

私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

気が付くと、エクシアと私はロストに抱えられて街を全速力で駆け回っていた。

 

背後を振り向くと、そこには赤い大きな竜がいた。

 

七つの頭と十本の角があり、頭に七つの冠をかぶっていた。

 

その姿は、この二本のアーツユニットにまつわる伝承どうりだった。

 

ロストの腕をどかし、彼から離れて目の前の怪物を眺める。

 

怪物は周囲の建造物を壊しながら歩き回っている。騒ぎに駆け付けたラテラーノ護衛隊や公証人役場の人たちが交戦しているが、明らかに劣勢のようだ。重厚な鱗には傷一つつけることが出来ていない。

 

そうだ、もっと暴れろ。お前たちのせいで私はあんな目にあった。やっと復讐することが出来た。後は怪物が暴れ回る光景を眺めているだけだ。

 

ハルバードを手にして交戦していたラテラーノ護衛隊の隊員が、攻撃を喰らって吹き飛んで行き、段々とその数を減らしていく。

 

向かってくる弾丸を物ともせず、怪物は暴れまわっている。

 

彼らが一方的になぶられている所を眺めてると、先程のように猛スピードで、今度は怪物の方へ向かうロストが見えた。どうやらエクシアを避難させたようだ。

 

怪物から繰り出される攻撃を避け、近づいた際に切る付けると、浅くではあるが確かに傷を与えていた。

 

小さな傷ではあるが、着々と傷を負わせてくるロストを脅威と認識したのか、彼に攻撃が集中する。

 

数分後だろうか。彼が投擲した大剣が、怪物の角をへし折った。それが決定的だったのだろう。ロストが自らの命を脅かす存在と判断した途端、攻撃の過激さが増していった。ロストも次第に押されていき、向かってくる前足を避けた隙を狙われ尻尾を叩き込まれた。

 

受け身を取ることが出来なかったロストは地面にたたきつけられ、バウンドした所に追撃が入り吹き飛んでいく。

 

飛んで行くロストを見て、どこか落胆している私がいた。

 

どこか私の中の片隅で、彼があの怪物を倒すことが出来ると期待していたのかもしれない。

 

だがそんな期待は無意味だ。あの攻撃をまともに食らったんだ。良くて重症、最悪そのまま死んだだろう。そう自分に言い聞かせる。これでいい、これでいいんだ。

 

彼はいなくなるが、私は願いをかなえたんだ。なのにどうしてこんなにも苦しいのか。

 

こんな事をして、唯一の理解者のロストを殺さなくても、ただ彼と共に居るだけでも良かったんじゃないか?そんな後悔をしていると

 

 

 

 

 

 

 

ラテラーノ全域を照らす程の、暖かな光が私を包んだ気がした。

 

光が差す方へ目を向ける・・・するとそこには、サンクタ族のような大きな輪と、数々の銃が集まって出来た、一対の輝く翼を携えたロストが空中を浮かんでいた。

 

彼の背後からは、鉱物らしき物体で形成されている赤い人型の物体が、銃を手にして現れてくる。これもまた、ロストよりは小さいが頭上の輪と翼を持ってる。

 

ロストの手には、今までとは違って赤く染まった槍が握られていた。武器を構えた彼らは、怪物に向かっていく。

 

そこには、先程まで一方的だった立場が逆転していた。

 

放たれた弾丸は堅牢な鱗を削りとり、段々と鎧としての意味を無くしていく。

 

ロストが武器を振るい射出すると、怪物を切り裂き、身体の体の奥深くまで突き刺さっていく。

 

もはや怪物には勝ち目は無かった。必死の抵抗も虚しく、怪物は地に伏した。

 

 

 

「...アハハ!あっははははははは!凄いじゃないか!やはり君は私と同じだ!」

 

違うとしたら、彼は完成品で、私はただの出来損ないだ。

 

これから君は、このラテラーノという一つの国を救った英雄として人々に広まる。

 

多くの人に尊敬され、恐れられるだろう。君は一生英雄という色眼鏡を付けて見られるだろう。

 

英雄としてのロストではなく、ただのロストとして接することができるのは私だけだ。君はきっと心苦しい思いをして、誰かにすがりたくなる。

 

そんな時、私は君が伸ばす手を掴み、君を支えてあげる。そして私だけでは生きていけないようにしてあげよう。

 

「...お前が、モスティマだな?」

 

私の周りは、銃をこちらに向けた公証人役場の職員で囲まれていた。

 

「お前は同胞を殺した。こちらに同行してもらおうか」

 

体を拘束され、連行される。

 

ロストの輪と翼は消えて、地面へ落下していく。落下地点には、彼と初めて出会ったときと同じ様に黒い渦が浮かんでいた。

 

あの渦も中に入って旅立ってしまうのだろう。だけど私はあきらめないよ。必ずロストを探し出して手に入れて見せる。

 

そんなことを思いながら、黒い渦へ向かって落ちていくロストから目を離してしまった。だから見逃してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

自分の背丈程の大きさを持つ大剣を背に携え、低く、ゆったりとしていて、どこか感傷的な歌を歌いながら、渦に飲み込まれる彼の後を追うように飛び込んでいくのを。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

モスティマに強奪されたアーツロッドの暴走によって引き起こされた『ラテラーノ騒動』。突如として現れた怪物は、一人の少年によって倒され、都市に平穏が訪れたに見えた。

 

しかし、この出来事が、多くの火種を生むこととなってしまった。

 

 

 

 

ある人が言った。

 

彼は主、或いはその使いであると。

 

彼の強大な力が手に入れれば、全ての願いが叶うと。

 

彼こそが救世主であると。

 

 

ある人が言った。

 

あの怪物こそが主の使いであり、それを倒した彼は悪しき者であると。

 

主を信仰する我らが、この悪しき者を討たなければならないと。

 

 

ある人が言った。

 

彼は我々と同じ存在であると。

 

彼こそが人類の到達点であると。

 

彼を捕獲し解剖して研究すれば、全ての人々が彼のようになれると。

 

 

 

数々の思想を掲げた人達は、大規模な2つと中・小規模の数多くの組織を作り上げた。

 

異なる思想を持つ組織群だが、一つだけ共通する部分がある。

 

怪物を倒した彼を手に入れる、ただそれだけだ。

 

怪物の居た場所には、真紅に染まった無数の槍が色褪せる事なく、このラテラーノの大地に突き刺さっていた。

 

持ち主が離れてもなお、化け物を討つ力が残ったその槍は、各組織に分け与えられた。

 

こうして、ロストという名の少年によって救われた人々は、彼に対する解釈の違いから対立を生み、やがて大きな争いとなっていく。

 

 

 

こうして生まれた火種は、やがて大きな炎となり、方舟に乗る者たちに襲い掛かるであろう。

 

問われる選択肢は二つ

 

襲い掛かる火を払いのけるか、彼をその火に贄として捧げるか

 

この選択からは、決して逃れる事は出来ない。

 

 

 

 

 

 


 

おまけ

 

 

・ロスト君信仰派

 

大規模な派閥のうちの一つ。ロスト君手に入れて国を自らの手中に収めようとしている。否定派を敵視している。

 

 

・ロスト君否定派

 

大規模な派閥のうちの一つ。主に関係あるのは怪物の方で、ロスト君は悪い存在と考えている人の集まり。ロスト君手に入れてみんなの前で処刑しようとしている。

 

 

・進化派

 

ラテラーノで秘密裏に行われていた研究所の思想がもとになっている。モスティマをいじった生き残りを中心に次第に中規模ぐらいの人が集まった。ロスト君手に入れて解剖したいと思っている。

 

 




思っていたよりも悩んだので初投稿です。

シージコラボの協力するやつ、相方さんに迷惑かけそうで怖くて触ってないです。気軽にやっても大丈夫なんですかね?

後、また活動報告でアイデアを募集します。後半のロスト君関係の組織名です。こういうのカッコイイ名前浮かばなくて募集しました。

何なら作者が出した三つの組織とは他の組織のアイデアがあったらウレシイ・・・ウレシイ・・・。名前とどういう思想を基に行動しているか教えてほしいゾ...お待ちしてナス!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。