アサルトリリィはアニメと漫画で見ていて、ゲームの方もすっごく好きで今作の製作に至りました。
これを読んでくれた皆様が楽しんでいただけるように願っています。
神庭女子藝術高校。
東京地区荻窪に校舎を構えるガーデン。
リリィひとりひとりの人生を大切にされ、ヒュージ討伐の活動も最低限しか強制しないという理念を持つ。
「出撃選択制」を採用していて、神庭女子藝術高校のリリィは参加する戦場を自ら選ぶことができる。
リリィとして独自の考えを持ちながら戦いに望む者が多く集まり、戦場に赴く際にはかなりの覚悟で参戦することからその働きは高く評価されることが多い。
校則は緩く、リリィとしても最低限の訓練を受ければ良いとされているが、所属リリィのスペックが高めで安定している所以でもある。
その音楽室から心地よい音色が響き、二人の少女がいる室内には穏やかな空気が漂っていた。
赤を基調とした制服が、彼女らを神庭女子藝術高校所属のリリィであることを証明している。
ピアノを弾いている少女のたおやかな銀髪は腰まで伸び、陽光に照らされてキラキラと輝いている。
全体的に整った体型はまさに黄金比と言え、モデルのスカウトが来てもおかしくはないだろう。
宝石のような金色は夕日と見紛うような鮮やかなもので、その瞳を見るだけで魅了されそうだ。
顔立ちも間違いなく美人の部類に入り、一度その笑顔を向けられれば惚れ惚れしてしまうほどに美しい。
約五分の演奏会が終わり、銀髪の少女は一つ息をつく。
パチパチパチ。
音楽室に小さな拍手がこだまする。
銀髪の少女がその拍手の主の方に目を向けると、淡い緑髪の少女と目があった。
その頬が朱に染まっているのは演奏に聞き惚れたからか、或いは…………
「さすがです叶多様! まさに天にも昇るような心地よさで、わたし感動しました!」
「えへへ。そんなに大したことはしてないよ、楽譜通りに演奏しただけだし…………」
叶多と呼ばれた少女は言葉で謙遜しているように思えるが、どうにもニヤニヤが隠せていない。
「それにどうせなら、
「そんな、
意地悪な表情を浮かべ、叶多に迫られる土岐紅巴は頬を先程よりも真っ赤に染めて力のない返事を返す。
紅巴の声はとても綺麗で、自身も歌が好きなはずなのに目立つことが好きではないという性格からか人前では歌ってはくれない。
そんな紅巴がとても愛らしい叶多だが、もう少しくらいは自信を持ってもいいだろうにと思う。
叶多は紅巴の眼前に詰め寄ると、顎をクイッと持ち上げる。
俗に言う「顎クイ」である。
しまりのない顔をしていた叶多はとうにおらず、妖艶な雰囲気を放っていた。
「叶多様!?」
互いの身体は完全に密着し、教室の端まで追いつめられた紅巴には逃げ場はない。
「紅巴ちゃんが自信がなくて困ってるみたいだから。ちょっとだけ、元気づけたくなっちゃった…………」
二人の唇は触れる直前まで近くなっており、紅巴は覚悟を決めたように瞼を閉じる。
すると…………
コンコン
「あ~…………あとちょっとだったのになぁ…………」
誰かがノックする音が響くと、叶多は紅巴から名残惜しそうに身体を離すと戸を開いた。
音楽室の入り口には叶多と瓜二つの少女が立っていた。
叶多の双子の姉の今叶星である。
叶多も所属する神庭女子藝術高校のトップレギオン、グラン・エプレの
「どうしたのお姉ちゃん? こんなところに来るなんて、珍しい」
「これ、あなた宛の手紙が届いてたわ。一柳梨璃さんって人からみたい」
「梨璃ちゃんから? なんだろ…………」
叶星が持っていたのは一枚の四つ葉のクローバーがあしらわれた封筒で、叶多はそれを受け取ると目を通す。
一柳梨璃。
二年前の甲州撤退戦に
その縁で彼女とは時おり連絡をするようになり、いろいろと相談にのっているのだ。
手紙の内容は、百合ヶ丘女学院に入学するという旨を主に近況報告や意気込みなどだった。
変わらない後輩に頬を緩めながら、ふと叶多はスマホのカレンダーアプリを開いた。
(浪人してでも百合ヶ丘に入るって言ってたし、よかったなぁ。百合ヶ丘女学院の入学式っていつだったっけ…………え、明日なの!? どうしよ、あの子やっていけるかな、補欠合格だったって手紙には書いてたし…………ああもう! 心配だわ!!)
叶多が一喜一憂していた頃、叶星は紅巴の様子がおかしいことに気づく。
「ぷしゅー…………」
すっかり腰が抜けているらしい紅巴は床にぺたりと座り込んでおり、顔からやかんのように湯気が吹き出している様子からまた叶多の過度なスキンシップが原因だろうと判断する。
紅巴はリリィ同士のゴシップ的情報に特化したリリィオタクで、特に叶多のことを強く好んでおり、叶多の姿を間近で見たいがために努力してリリィに転身、神庭まで転校してきたという筋金入りの少女なのだ。
叶星は一連の流れを見ていないが、おおよその察しはついた。
「はぁ…………じゃあ、私は行くわね。叶多も早く帰ってきてね」
なにかというと面倒事を引っ張ってくる妹に、呆れながらも叶星は微笑んでいる。
音楽室から叶星が出ると、残されたのは叶多と紅巴の二人。
叶多は人知れず、ある覚悟を決めていた。
「紅巴ちゃん、眠ってるところ悪いんだけど起きて?」
「はっ。いえ、わたしは眠っていたわけではなくてですね。その…………恥ずかしさと嬉しさが暴発してしまって…………」
紅巴の意識が浮上し、あたふたしながらも立ち上がった。
「うーん。よくわかんないけど、紅巴ちゃんが現在進行形で可愛いからいっか!」
「か、かわっ…………!!」
「紅巴ちゃん」
「ひゃ、ひゃい!!」
ガシッと捕まれた肩から叶多の手の感触と温もりが押し寄せ、多幸感に包まれていた紅巴であったが、更なる衝撃に見舞われることになる。
「私と一緒にハネムーンと洒落込まない?」
「え…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」
百合は正義だ…………
追記(修正)
一時アンケートで結梨が実の妹に……というものがありましたが、これは構成を考えているうちに双子でもなければ実妹は無理があると判断して義理の妹にします。