スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】   作:ひいちゃ

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さぁ、ここから一気にラストに向けて急展開ですぞ!

ヨハネを呼んだのは……?


#10

 それは、わたくし、ダイヤ・ブラックウォーターがAquaS(アクア)のメンバーと実家に里帰りした日の真夜中。

 

 その夜、わたくしはある物音で目が覚めたのです。これはもう、ハンターをやっていく中で身に着けたというか体に染みついた職業病みたいなものですわね。まぁ、これのおかげで助かったこともあるので複雑ではありますが。

 

 しかし、一体誰なのでしょう? この家に侵入するなんて只者ではなさそうなのは確かですね。この家には、ルビィの安全のために、警報装置やトラップをたんまりと仕掛けていたのですから。

 

 ……ルビィには指一本たりとも触れさせませんわ!

 わたくしはレーザー剣を手に取り、外に出ました。

 

 そして。

 

「動くなですわ!」

「ひゃあっ!!」

 

 わたくしが見つけた人影に音もなく忍びより、背後から剣を突き付ける、人影は聞き覚えのある声とともに、ぴょーんと跳ね上がりました。

 

 ……え、聞き覚えのある声?

 

「ななな、なにするのよぅ、ダイヤ!」

「え、よ、ヨシコさん? どうしてこんな真夜中にこんなところを歩いているのですか?」

「ヨシコじゃないヨハネ! ……誰かに呼ばれたような気がしたのよ」

「誰かに?」

 

* * * * *

 

 翌朝。

 

「心の中に聞こえる声?」

 

 和室で食べる朝食の席、ご飯を食べながらマリさんがそうヨシコさんに聞きました。ああもう、何かを口に入れたまま話すものではありませんわよマリさん。はしたない。

 

「うん。心の中に直接響いてきた、というか……」

「ヨシコちゃんの妄想ではないずら?」

「違うわよ! 本当に心の中に聞こえてきたんだから!」

 

 ハナマルさんはそう茶化してきますが、わたくしは真剣に話を聞いていました。

 何しろ、フォーリン族は、精神文明が非常に発達しているという噂を聞いたことがありますし、何か特別なテレパシーみたいなものを、ヨシコさんが受信してもおかしくはないと思うのです。

 

「どうしたのダイヤ? ダイヤも、ヨシコの話が気になるの?」

「だからヨハネだってば!」

「えぇ。彼女がフォーリン族であることを考えると、本当に何かありそうな気がするのです」

「わぁ、やっぱりダイヤはわかってくれるのね! さすがヨハネのリトルデーモンだわ!」

「あなたのリトルデーモンになったつもりはありませんわ」

「がーん!」

 

 そうヨシコさんと話したところで、わたくしは隣に座っているルビィのほうを向きました。

 

「そういうわけですので、ルビィ。わたくしはこの後すぐにでも、再びレーヴェⅢを発ちますわ。お留守番をお願いしますね」

 

 そう言うとルビィは、寂しさと気丈さを織り交ぜたような微笑みを浮かべました。あああ、たまりませんわっ。このままずっとこの家にいたいくらいです。いけませんいけません。わたくしには仕事があるのですわ。

 

「うんっ、お姉ちゃん。ちょっと寂しいけど、ルビィもブラックウォーター家の子だもん。お留守番がんばルビィ!」

「ありがとうございます。休暇が取れたら、みんなで遊びに行きましょうね」

「うんっ!」

 

 そして朝ご飯を食べた後、わたくしたちは家を出て、宇宙港に向かったのでした。

 

* * * * *

 

 宇宙港に着くと、AquaSの動力炉は完璧にオーバーホールされていました。さすがレーヴェⅢの技師様。レーヴェⅣや鋼の月(スタルモンド)の動力炉技師にも負けていませんわね。

 

 そしてわたくしたちは、さっそくAquaSに乗り込み、レーヴェⅢの宇宙港から飛び立ったのでした。

 

 さて。

 

「それでヨハネさん。あなたを呼んだ相手の場所について、心当たりはありますの?」

「えぇ。なぜか座標を指定してきて、そこまで来い、みたいなことを言ってたわ」

 

 そう答えてヨハネさんが教えてくれた座標は、レーヴェ星域からかなり離れたところでした。そこに何があるというのでしょう? ともあれ、行かない選択はありませんわね。

 

「それではさっそく、飛んでいくことにいたしましょう。ハナマルさん、ワープ準備お願いしますわ」

「了解ずら! 動力炉出力上昇、座標設定OK、時空同期……OK。いけるずらよ」

「それではいきますわよ! ワープ!!」

 

 そしてAquaSはワープに突入し、そしてワープアウトしました。

 そこから通常航行で進んでいくと……。

 

「これは……マインドミラー?」

 

 AquaSの前には、巨大な鏡の遺跡が浮かんでいました。

 これこそが、超生物(グレイツ)由来の遺跡で、最も有名なもののひとつ、マインドミラーです。

 マインドミラーはその名前の通り、このような巨大な鏡。大きさは小惑星ほどもあります。尋常ではないのは、この鏡は発見されてから今まで、一度も傷ついたり、くもったりしたことがないのです。学者たちの間では、おそらくは発見される前も、それこそ何者かに生み出されてからずっと傷ついたり、曇ったりしたことがなかったのではないか、と言われています。

 そしてもう一つ。この鏡、浮かんでいるのに、どうやっても動かすことも、方向を変えることすらもできないのです。まるでその空間に完全に固定されているかのように。

 そう言ったことから、この遺跡は超生物が作り出したものではないか、とも言われているのです。

 

「本当にすごいわよね。確か、フォーリンの伝承では、超生物が自分たちとの交信のために作った、と言われてるのよね?」

「え、えーと、そうだったかしら。ねぇ、ずら丸?」

「もう……ヨシコちゃんは勉強嫌いだから困ったものずら。うん、マリーさんの言うとおりずらよ。フォーリンがこの深宙域の全域に住んでいたころ、超生物様が神託を与えるためにこの深宙域のあちこちにこの鏡を作ったんだって」

 

 ヨシコ……ヨハネさんって、勉強が嫌いだったのではね。それはいけませんわ。今度、わたくし自らみっちりと勉強を教えて差し上げねば。

 さて、今ハナマルさんのおっしゃったことが、先ほどの特異性の他に、この鏡が超生物由来のものと言われている理由です。フォーリンの伝承に、『超生物が自ら、この鏡を作った』とあるからなのです。実際、フォーリンの文献には、『かつてフォーリンは、この深宙域にあまねく住んでいた』『フォーリンはとてつもなく巨大で強大な生物を神としてあがめていた』と書かれていたそうですわ。

 

 と、その時!

 

 突然、鏡が輝き始めました! な、なんなのですの!?

 

 戸惑うわたくしたちの前で、鏡は不規則に輝きを放ち、そして、コクピットを白い光で染め上げたのです。

 

「なんなんですの!?」

「Oh、No~~!!」

「ずらぁ~!!」

「い、一体なに!? 堕天使長からのお誘いーーーー!?」

 

 そして……

 

* * * * *

 

 気が付くと、わたくしたちは不思議な空間の中にいました。

 

「ど、どこなのでしょう、ここは……?」

「さぁ、マリーにもわからないわ……」

「ずら……」

「ふ、恐れることはないわ。きっとこれは、ヨハネの主、偉大なる堕天使長からのお呼びなのよ……」

 

 そう言ってかっこつけるヨハネさんに、ハナマルさんがジト目を向けます。

 

「ヨシコちゃん、こんな異常事態にそんな中二病を炸裂させるものではないずら」

「中二病じゃないし!」

 

 そうヨハネさんが言った、その時です。

 

「その通りだ。よくぞ来たな、アースマン(地球人)とフォーリンたちよ」

「ずらっ!?」

 

 声のしたほうを見ると……。

 

「ずらああああああああ!?」

 

 ハナマルさんがすっとんきょうな声をあげました。

 そう、超巨大な生物が目の前にいたのです。その大きさはもう、表現ができないほどですわ。少なくとも、惑星よりははるかに大きいです。

 

「私はバハムート。お前たちが超生物と呼ぶ生物たちの……お前たちの言葉を借りれば王に当たる存在だ」

「超生物の王……。それはなんとも……」

「ほんと、たまげたわね……」

「ふ、それで堕天使長様、このヨハネに何か命じたいことがあるのかしら?」

 

 と、これまたヨシコさん(いけませんわ、気が動転して本名で呼んでしまいましたわ)が命知らずなことを! い、いけませんわ。下手したら、わたくしたちはみんなまとめてバハムートのごはんになってしまうかもしれないのに!

 

「安心するがいい。そんなつもりはない。私はそもそも、食事を必要とする存在ではないのでな」

 

 こ、心を読んだのですか? さすが超生物ですわ……。

 

「さて、お前たちを呼んだのは他でもない。お前たちがレーヴェと呼ぶ太陽系と、我が同胞の危機について伝えたかったからだ」

「レーヴェ星域の危機……もしかして、レーヴェⅡが異空間に沈んだことと関係が?」

 

 わたくしがそう尋ねると、バハムートはそれを肯定してうなずいた……気配がしました。

 

「その通りだ。かの星の近くの宙域には、我が同胞が眠っている。だが悪しき者たちが、その眠りを覚まし、操ろうとしているのだ」

「なんですって!? それはReallyですの?」

 

 またしても、バハムートがうなずく気配。

 

「レーヴェⅡには、その同胞……ベヘモスの眠りを強制的に覚ますためのものが遺跡として眠っている。奴らは、それを使って、ベヘモスの眠りを覚まそうとしているのだ」

「そ、それは大変ずら。それを許したら、レーヴェⅡどころか、レーヴェ星域がみんな、ベヘモスさんの餌になっちゃうかもしれないずら~!!」

「本来ならば私がそれを阻止するために動くべきなのだが、それはできない。私の体ははるかに大きい。その私が動けば、深宙域どころか、この宇宙に甚大な悪影響を与えてしまいかねないのだ」

 

 なるほど、それはわかります。表現ができないほどの巨大さですものね。そんな存在が通常空間にあらわれて色々動いたりすれば、宇宙がとんでもないことになってしまいかねませんわ。

 

 そこで再び、バハムートがうなずく気配がしました。

 

「そういうことだ。なので今回の件は、お前たちに解決をゆだねることしかできないのだ。そこで私は、超生物との感応力が高い、その娘を通じて、お前たちをここに呼んだ、というわけだ」

「わかりましたわ。依頼ではありませんが、その依頼、引き受けさせていただきましょう!」

「レーヴェを超生物教(グレイツ・ブラザーズ)の好きにさせるわけにはいかないものね! そのMission、引き受けるわ!」

「ま、マルも頑張るずら!」

「お任せなさい、リトルデー……うぐっ」

 

 ハナマルさん、ヨハネさんが変なことを言う前に口をふさぐの、ナイスタイミングですわ。

 

「私はここを動くことはできないが、その娘を触媒とすることで、我が精神を現実空間に投影し、助言を与えることはできよう。よろしく頼んだぞ……」

 

 そしてあたりは再び、暗闇に包まれました。

 

* * * * *

 

 そして気が付くと、そこはAquaSのコクピットでした。目の前には相変わらず、マインドミラーが浮かんでいます。

 それにしても……。

 

「本当にすごい体験をしましたわ。これは夢ではありませんわよね」

「えぇ、夢じゃないわよ。だって……ほら」

 

 わたくしの言葉に、ヨハネさんが掌にのった何かを見せてきました。

 それは……手のりサイズの小さなドラゴン? なぜでしょう、わたくしにはそれはとても見覚えがあったのです。

 

「もしかして……バハムート?」

 

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