スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】   作:ひいちゃ

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さぁ、いよいよ最終回ですぞ!


#13

「ウミちゃん、艦隊再編、完了。いつでもいけるよ」

「はい。それでは、旗艦戦隊と第1、第2戦隊は敵の前面に展開。敵の攻勢からアースグリムを守ってください。第3、第4戦隊はそれぞれ左右から敵陣に攻撃。敵のかく乱をお願いします。アースグリムは作戦開始後、ただちに主砲・宿木の弓(ミステルテイン)の発射準備を行います。始めてください!」

 

 ウミ中将の号令のもと、艦隊はただちに行動を開始した。艦隊の一部がアースグリムの前面に展開、壁を作り、他の戦隊が左右に分かれ、生体戦艦艦隊へと襲い掛かっていく。

 

 対する生体戦艦艦隊も負けてはいない。左右からの一撃離脱戦法に対処しながらも、正面の敵に向かっていく。

 

 その攻勢は激しかったが、先ほどまでに比べると、勢いは弱かった。左右からの攻撃に対処しなければいけない分、正面への火力が弱まっているのだ。

 さらに、ウミ中将の部下たちもかなり有能かつ勇敢であり、強力な生体戦艦艦隊に果敢に立ち向かっていく。

 

 ウミ率いる防衛宇宙軍第9艦隊は、性能、数ともに上回る敵軍と対等に渡り合っていた。

 

 だが、これではらちが明かないと判断したのか、生体戦艦艦隊は戦術を転換したようだ。左右の敵への対処を放棄し、全ての戦力の前面に火力を集中したのである。

 

 左右の遊撃部隊が攻撃を加えるものの、生体戦艦艦隊の勢いはとどまるところを知らない。その火力の前に、正面の防衛宇宙軍艦隊の壁に穴が次々と開いていく。

 

「ウミちゃん、第2戦隊旗艦、ノーデンス撃沈だって……」

「くっ……。さすがに敵もバカではないようですね。第2戦隊の残余は、この旗艦戦隊の指揮下に組み入れます。その線で再編してください」

「了解だよ」

 

 そう言っている傍で、アースグリムの脇の僚艦が生体ビームの直撃を受け、轟沈する。

 

 生体戦艦艦隊の猛攻の前に、防衛宇宙軍艦隊は苦戦の中にあった。今はなんとも踏みとどまっているものの、このままでは一気に瓦解してしまうのは目に見えている。

 

 そこに! ついに、待ち望んでいた報告がもたらされた!

 

「ウミ提督! ミステルテイン、発射準備完了しました!」

「よし、各艦、砲火でアースグリムに近づく敵を阻止しつつ、ミストルテインの射線上から退避! それが済み次第、ただちにミストルテインを発射します!」

 

* * * * *

 

 わたくしたちのAquaSの脇にあるアースグリム、その前面に展開していた艦隊が左右に分かれだしました。どうやら準備ができたようですわね。

 

「ウミさんが一撃を放った後、フルスピードでベヘモスに突入しますわよ! 準備はいいですわね!」

「えぇ、こっちはいいわよ!」

「エンジンの出力もバッチリ!」

 

 二人の報告を聞き、わたくしは操縦桿を握りしめました。そして。

 

 アースグリムの艦首が展開し、中から小型とはいえ要塞砲クラスの威力がありそうな大型のビーム砲が姿を現しました。あれが、アースグリムの主砲『宿木の弓(ミストルテイン)』です。

 

 本来、アースグリムはあの『ミストルテイン』を装備した状態が計画通りの完成した姿なのだそうです。ですが、色々の要因で建造が遅れ、装備できないまま実戦に投入されてしまったとか。ミストルテインがついに装備されたのは、それからはるか先、深宙域への入植初期のころだったそうですわ。以上、『深宙域ジェーン年鑑』からの抜粋でした。

 

 さてさて、艦隊が射線を開けたと同時に、ミストルテインから、あのベヘモスの高出力ビームに劣るものの、それでもどの戦艦のビームにも勝るほどの太さのビームが放たれました!

 ウミさんの『ミストルテイン、発射ああああぁぁぁぁ!!』という叫びが聞こえてくるようです。

 

 そのビームは、射線上の生体戦艦たちを薙ぎ払い、そしてベヘモスに突き刺さりました。大きな爆発が上がり、肉片が飛び散るのがここからでもわかります。

 

「いきますわよ!」

 

 そう言ってわたくしは、操縦桿を引き、AquaSのアフターバーナーを全開にします。船は、まさに矢のようにベヘモスに突進していきました。

 

 幸いながらに生体戦艦たちは、今のミストルテインの一撃で混乱状態に陥っているようです。こちらに攻撃を仕掛けてくることはありませんでした。

 とはいえ、のんびりしているわけにもいきません。今は混乱しているとはいえ、やがては立ち直ってくるはず。そうなる前にカタをつけなくては。

 

 道をふさぐように漂ってくる生体戦艦をかわしている暇はありません。立ちふさがる生体戦艦には、マリさんがブラスターの連射をお見舞いして破壊し、さらに突進します。

 

 かなりベヘモスに接近してきました。見ると、ベヘモスの外壁に大きな穴が。あそこから中に入れるようですわね。しかし!

 

「傷がふさがっているぞ。急げ! 完全にふさがる前に、体内に飛び込むのだ!」

「言われなくてもですわ!」

 

 わたくしは、エンジンのリミッターを解除し、AquaSをさらに加速させました。そのおかげもあって、完全に傷がふさがる前に、穴に飛び込むことができたのでした。

 ……とはいえ、飛び込んだ直後に穴はふさがってしまいましたが。これは、事件を解決するまでここから脱出はできないということですね。

 

 さてさて。体内に飛び込んだわたくしたちは、さらに内部に進軍するべく……。

 

「これは……装甲車? すっごーい、こういうのもあるんだ!」

 

 ヨハネさんが、それを見て、目を輝かせています。そのヨハネさんに、マリさんが得意そうな顔を見せます。

 

「ふふん、これがマリーたちのとっておき、突入装甲車『Saint Snow』よ! さぁ、乗って乗って!」

 

 そして三人で車に乗り込みます。エンジンに火を入れると同時に、ハッチを開きました。すると案の定、外には超生物教(グレイツ・ブラザーズ)の奴らがたくさん待ち構えていました。ですが。

 

「そんなもので、このSaint Snowを止めることはできませんわよ!」

 

 敵の銃撃をはじき返しながらSaint Snowを急発進させると、マリさんが周囲にレーザー機銃を乱射します。周囲の敵はその銃撃にたちまち薙ぎ払われていきました。

 さらに機銃を乱射。また奴らが隠れていないとも限りません。船の安全確保のためにも、念入りに倒しておかなくては。

 

 そして敵の姿が完全に見えなくなったことを確認すると、わたくしは再びSaint Snowを前進させました。

 

* * * * *

 

 それからも、敵と遭遇しては、それを排除しながら前進していきました。

 ですが、好事魔多し。

 

 ドゴォォォン!!

 

 激しい音と共に、車内が大きく揺れました。

 

「これはもしかして……地雷ですの?」

「どうやらそうみたい。今ので、キャタピラがやられちゃったわ。もう進めないわね」

「ど、どうするのよぅ?」

 

 そう不安そうにヨハネさんが聞いてきます。もちろん、そんなのは決まってますわ。

 

「装甲服を着て、徒歩で行きましょう。幸いにも、目標ポイントはそう遠くないようです。ですわね、バハムート?」

 

 そう聞くと、ヨハネさんの肩に乗っているバハムートはこくりとうなずきました。

 

「うむ。ベヘモスの思考中枢のある空間へはもうすぐだ。少なくとも、クタクタになることはあるまいよ」

「それでは、さっそくピクニックにレッツゴーしましょ!」

 

 そしてわたくしたちは、車に備え付けてある装甲服を着こむと、『Saint Snow』を出て前に進んだのでした。

 

* * * * *

 

 そしてついにわたくしたちは、そこにたどり着きました! 本当にバハムートの言う通り、さほど時間はかからなかったです。

 

 そしてそこには……。

 

「ミゼル!」

「ミゼルではない、ミシェルだ! ここまでよくたどり着いたな。だがここまでだ。お前たちを屠って、この私がこの深宙域を支配してくれよう!」

「そんなことさせないわよ、リェール!」

「リェールではないミシェルだ! うぬぬ……やれ!」

 

 ミシェルの号令一下、彼の前に待機していた超生物教の信者たちが襲い掛かってきました。わたくしたちは剣や銃を手に、奴らと戦いを開始します。

 

 激しい戦い。わたくしとマリさんは、アクロバティックな動きを交えながら、激しい大立ち回りを演じます。まるで敵の目を引き付けるように。

 ですが、敵も負けてはいないようです。数が多いうえに、普通の人間とは思えぬほど、耐久力も高いようなのです。これはミシェル氏、奴らに麻薬を盛りましたわね。

 

 それから戦うこと数十分ほど。わたくしたちは、疲れて肩で息をしていました。しかし、敵のほうはまだ4人ほど残っていて、まだまだ元気そうです。とはいえ、もう十分目的は果たしたんですけどね。

 

 そのわたくしたちを見て、ミシェルが不敵な笑いを浮かべます。

 

「どうやらそこまでのようだな。私のことをバカにした罪、その身をもってあがなってもらおうか」

 

 しかし……。

 

「それはできかねますわね」

「えぇ。それに、十分な時間稼ぎはできたもの」

「なに?」

 

 それと同時に、周囲を激しい揺れが襲います。そしてその中に響く厳かな声。

 

「わしを操り、宇宙に害をなさそうとした奴らよ。覚悟はできておろうな……?」

「こ、これは……!?」

 

 そ、その声を聞き、ミシェルがうろたえます。そう、これがわたくしたちが疲れ果てるまでに大立ち回りをした理由なのです。

 

 入口のほうで待機していたヨハネさんが声を上げます。

 

「やったわよ、ダイヤ、マリー! 目を覚ましてくれたわ!」

「うむ、よくやったぞ、フォーリンの娘よ」

 

 そう、ヨハネさんがベヘモスと交信して、彼が目を覚ますまでの時間稼ぎをするのがあの大立ち回りの目的だったのです。もちろん、奴らの目をヨハネさんからそらすために、注目を集めるため、というのもあります。

 

 さて。その声の後、壁から肉でできたレーザー銃のようなものが現れ、生体レーザーで、超生物教の奴らを撃ち抜いていきます。

 奴らが倒れていく中、ミシェルは慌てて部下たちを見捨てて逃げ去っていきました。

 

「人の子よ、お前たちには迷惑をかけてしまったようじゃのう」

「えぇ。でも、正気に戻ってくれて何よりですわ。これでこの事件も無事に解決というところですね」

「そうね。ミシェルを逃がしてしまったのは痛いけど」

 

 すると、厳かな声は、笑ったような感じで言いました。

 

「なぁに、心配はいらぬ。あの男には、わしを操ってくれたお礼をせぬとのう」

「?」

 

* * * * *

 

 そのころ、ベヘモスの周辺宙域。ベヘモスから脱出していく、一機の小型艇があった。

 

「お、おのれ、小娘どもめ……。だが、この技術を利用すれば……」

 

 そう吐き捨てるミシェルだが、彼は気づいていなかった。彼の小型艇のすぐ下に、死神の鎌が現れたのを。

 次の瞬間、彼の視界は真っ白に染まった。

 

「な、なんだ!? うわあああああ!!」

 

 そして彼は光に呑まれて完全に消滅した。

 

* * * * *

 

 ミシェルの小型艇の真下に光の塊があらわれると、それは光の柱となって小型艇を飲み込み、消滅させました。その様子をわたくしたちは、ベヘモスから発進したAquaSの操縦席から見ていました。(Saint Snowは、ベヘモスのはからいで無事に回収することができましたわ)

 しかし、あれは……。

 

「二大国時代に、火炎直撃砲(フレーメン・ゲットローフェン・ゲヴェーア)というすごい兵器があると聞きましたが、それまでできるとは、さすがは超生物(グレイツ)、なんでもありですわね……」

「本当にね……」

 

 そう開いた口がふさがらないわたくしたち。そこに。

 

「あっ、二人とも。次元歪曲反応あり。ベヘモスが亜空間に沈もうとしてるわ!」

「え?」

 

 本当です。宇宙に静かに割れ目が広がり、その中にベヘモスが沈んでいきます。生体戦艦たちも、防衛宇宙軍との戦いを中断し、その割れ目の中に戻っていきます。

 

「どうやら、今回の事件で疲れたみたいで、眠りにつくって言ってるわ」

「そうですか……。次に会う時は、こんな物騒なことにならないのを祈りたいですわね」

「そうね。バハムートも、力を貸してくれてありがとう」

「なぁに、礼には及ばぬよ。全ては、我が同胞を救うため。それに何より、この事件を解決したのは、お前たち人間の力によるものだ」

 

 そうちびバハムートが言うと、その姿が揺らぎだしました。

 

「さて、我も少し疲れた。少しの間、眠りにつかせてもらおうか。お前たちから受けた恩は、ずっと忘れぬぞ」

 

 そう言うと、ちびバハムートの姿は消えていきました。ふぅ……。

 

「これで全て終わりましたわね……」

「えぇ……。本当に、波乱万丈な事件だったわ」

「そうね。それじゃ、アースグリムのずら丸のところに戻りましょう、リトルデーモンたち」

「あなたのリトルデーモンになった覚えはありませんわ」

「がーん!」

 

 そしてわたくしはAquaSを、防衛宇宙軍艦隊へと向けたのでした。

 

* * * * *

 

 そして。鋼の月(スタルモンド)のハンターオフィスの前。

 

「二人とも、クラス昇級おめでとう!」

「ヨハネさんも、D級に昇級おめでとうですわ」

 

 そう、今回の事件解決の功績でわたくしとマリさんはB級に、ヨハネさんはD級に昇格したのです。ハナマルさんは残念ながらZ級のままですが。

 B級になると、もっと多様な案件に関わることができますし、ヨハネさんもD級になれば単独での仕事ができるようになります。いいことですわ。

 

 そうそう、ウミさんも今回の事件のことで、中将から大将に昇級の話が出たのですが、彼女としては引き続き前線に立っていたいということで断ったそうです。彼女らしいですわ。

 

「それで、ヨハネはこれからどうするの? マリーたちと分かれて、独立してソロのハンターとして活動することもできるけど」

 

 マリさんがそう言うと、ヨハネさんは首をぶんぶん振って言いました。

 

「いいえ。このままあなたたちと一緒に行くわ。あなたたちと一緒にいると、もっと色々なものに出会えそうな気がするから。それに、ずら丸を放っておくわけにもいかないしね」

「マルの保護がいるのは、ヨシコちゃんのほうではないかずら~?」

 

 ハナマルさんが意地悪そうにそういうと、ヨハネさんは顔を赤くして言い返しました。

 

「そ、そんなことあるわけないじゃない! それとヨハネ!」

 

 わたくしはそんな二人のやりとりを微笑ましく眺めながら、なだめるように言いました。

 

「まぁまぁ。それではこれからもよろしくお願いしますわね、二人とも」

「えぇ、こちらこそ!」

「よろしくずら~!」

 

 そしてわたくしたちは、再びAquaSを駆り、深宙域に飛び立っていったのでした……。

 

* * * * *

 

 一方、そのころ……。

 

「本当にあそこで手を引いてよかったのでしょうか、ボーゼル大司教様?」

 

 小型艇のコクピットに座る部下に、ド・ボーゼル・ヴィリエは答えた。

 

「かまわぬ。あの男に、ベヘモスが御せるわけがないのはわかっていた。もちろん、我らでもな。超生物は我らの手に負える存在ではない。そのような危険なものに簡単に触れるべきではない」

「では……」

 

 部下が返すと、ボーゼルはローブのポケットからカプセルを取り出し、にやりと笑った。

 

「あの男が確立した、超生物の細胞から生体兵器を作る技術、我らにとって有益な道具になるとは思わぬか? わしはわしで色々と考えているのだ。偉大なる超生物様のために、な」

「ははあっ……」

 

 その部下の返事を聞き、ボーゼルは目を閉じながらも、口元に不敵かつ邪悪な笑みを浮かべていた。

 

(だが、超生物のことなどどうでもいい。題目でこいつらを操り、そしてこの技術で、再び我ら……地球教を甦らせてみせる。そしてわしがその長として、深宙域どころか、この宇宙を支配してやる。その時が楽しみだ。くくくく……)

 




読んでくださり、ありがとうございました!

そもそも、これを書き始めようとしたきっかけは、ギルキスの『New Romantic Sailors』を聞いて、中の人がAqoursのダーティペアの新シリーズが出たらいいなぁ、と思ったことでした。

そこから、前作のブラ公シリーズが完結したこともあり、Aqoursのスぺオペものを書いてみようかな、となり始めたのがこの話なわけです。

当初はギルキスの三人のうち二人がメインにする予定だったのですが、いつの間にかダイヤさんとマリーの二人がメインにw

さて、これでとりあえず一区切りですが、要望があったり、書く気が沸いてきたら、第二期も書くかもしれません。外伝も書くかも?
その時は不定期になるとは思いますが、その暁には楽しんで……いただけたら幸い。

それでは、改めて、ありがとうございました!
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