スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
もしかしたら、ニジ〇クファンは嬉しいかも?
「ねぇ、二つの種族って?」
カナンさんから、『シーウォーターⅢの二つの種族の関係が悪化している』という話を聞いて、ヨハネさんがそう聞いてきました。
「シーウォーターⅢには、二つの種族が住んでいるのよ。一つが、カナンの種族、海より陸の生活に適応したマーメイ族」
「そしてもう片方が、逆に海の生活に適応したセイレーナ族だよ」
マリーさんと、カナンさんの説明を受けて、私が続けます。
「マーメイ族は海岸に集落を作って生活しており、セイレーナ族は海底に里を作って暮らしているのですわ。といっても、両種族の適応が進んでいて、今はそれぞれの適応力は誤差の範囲内でしかないんですけどね」
「へー、そうなんだ。その両種族が関係悪化してるってこと? 昔からそんな仲悪かったの?」
ヨハネさんがそう聞くと、やはりカナンさんもそれを憂いているのか、表情を曇らせて答えました。
「うん。聞くところによれば、かなり昔からいがみ合っていたみたい。とはいっても、戦いになることはなかったし、特に最近では、族長である王様のおかげもあって、かなり関係が良くなっていたって聞いたのに……」
やはり、自分の種族が困難なことになっていることに心を痛めているのでしょうか。カナンさんはとても沈んでいます。
こんな彼女を放っておくわけにはいきませんわね。そしてそれは、マリーさんも同じようでした。
「ダイヤ。カナンも連れて行きましょうよ。そして本当に両種族が険悪になっているのなら、私たちの手でそれを解決してあげまショウ!」
「そうですわね。こんなに沈んでるカナンさんを放っておくことはできませんし、力になれるなら力になりたいですものね」
「二人とも……ありがとう」
私たちにかすかに微笑みを見せるカナンさん。彼女に明るさが少しでも戻ってきてくれて、本当に良かったですわ。
と、そこでヨハネさんが。
「ねぇねぇ! カナンって、人魚になれるんでしょ? それ、一度見てみたい!」
「ヨシコちゃん、そんな失礼なことをぶしつけに聞くものではないずら」
「ヨシコじゃなくてヨハネ! それに、あんただって本心は見たいんじゃないの、ずら丸?」
「そ、それは……見たくないといえば嘘になるけど……」
後ろで何やらわいわい騒いでる、ヨハネさんとハナマルさんに思わずこっそりとため息。
そして、もう一度ため息をついて、カナンさんにお願いしてみます。
「カナンさん、というわけで申し訳ありませんが、人魚になっているところを見せてあげてもらえませんか?」
「もう、しょうがないなぁ……」
そしてカナンさんはまたため息をつくと、下半身を何かがさがさして、そして魚の下半身になったそれを見せてくれました。
透き通るように蒼いウロコに覆われた魚の尾。それを見て、もちろんヨハネさんとハナマルさんは大喜びです。
* * * * *
そして。
「ワープアウト完了! シーウォーター星域外縁部、シーウォーターⅣの衛星軌道上に出たわよ。ぴったりと計算通り」
「ワープドライブ、異常なしずら」
後ろから聞こえてくる、二人の報告の声。それを聞き、カナンさんにも聞いてみます。
「カナンさん、そちらの『シーウォーター』のほうはどうですか?」
「うん。こちらのほうも問題なしだよ」
向こうからも問題なしの報告がきました。よかったですわ。
それにしても、カナンさんは操縦から射撃管制、色々な観測、ダメージ管理と色々な作業を一人でこなしているから、本当にすごいし、大変だと思いますわ。私たちも、ヨハネさんたちが入る前は、二人でそれらを分担していましたが、それでも大変でしたもの。
何はともあれ、私たちの『
シーウォーター星域は、4つの惑星からなる小さな恒星系です。とはいっても、ⅢからⅣまではかなり間があいているんですけどね。
レーダーを見てみると、ⅢはⅣとは、恒星シーウォーターをはさんで反対側にある様子です。もう少し飛ぶ必要がありますが、それぐらいどうってことはないですわね。
と、その時です。なんですの? 星域の外から猛スピード接近してくるこの光点は。
そしてそれと同時に、通信が入電してきました。なんでしょうか、オフィスからの緊急連絡でしょうか? 嫌な予感がしますがつないでみましょう。ポチッとなですわ。
「見つけたよ~、ヨシコちゃ~ん!!」
「うわぁ! か、カナタ!?」
スクリーンに映し出された、ゆるくウェーブがかかった金髪の女性を見て、ヨハネさんが大慌て。
彼女の知り合いの方なのでしょうか?
「ヨハネ、知っている人なの?」
「う、うん。レーヴェⅡにいた頃、とてもお世話になっていた従姉のお姉さんなんだけど……。でも、なんでこんなところに!?」
すると、カナタさんは笑顔のままこたえてくれました。でも、その笑顔に、殺気のようなすごみがあるのは気のせいでしょうか……?
「それはもちろん、ヨシコちゃんを悪漢たちの手から救いだして、レーヴェⅡに連れ戻しに来たんだよ~。さぁ、一緒に星に帰ろう~」
「あれ? でも、あの宰相が『ヨシコ姫は悪者の手によって、恒星レーヴェに船ごと突っ込まされて亡くなった』って発表してなかったかしら……?」
そのマリーさんの言葉に、カナタさんの表情がわずかに険しくなったような気がしました。
「そんなの信じるわけないじゃ~ん。ヨシコちゃんがあんなことで死ぬわけないと直感で思ってたから、あちらこちらの星を巡って情報を集めて、ヨシコちゃんが悪いハンターにつかまって、ハンター稼業をさせられてるってかぎつけたんだよ~」
「なんかよくない尾ひれがつけられてるみたいですけど!?」
思わずガラにもなく、そう叫んでしまいます。『悪い』ハンターなんて、冗談じゃないですわ。
でも、そんな私の言葉も、今のカナタさんには届いてないみたいです。
「さぁ、ヨシコちゃんを解放してもらおうかな~? さもないと、実力行使で解放してもらっちゃうよ~」
「むぅ……」
思わずうなる私に、ヨハネさんがすがるような声色で言ってきました。
「に、逃げて逃げて! 私、まだ堕天を極めてない……もとい、もっとハンター稼業したり、広大な宇宙を旅していたいの!」
「あらあら~。ヨシコちゃん、すっかりその二人に洗脳されちゃったんだね~。でも大丈夫。すぐに元に戻してあげるから~」
「洗脳されてない! 洗脳されてないから~!」
あらあら、これは本当にどうしたものでしょうか?
「いったん逃げましょう、ダイヤ」
「マリー! ありがとう、やっぱりマリーは私の一番のリトルデーモンだわ!」
「……やっぱり、カナタに引き渡しちゃいましょうか」
「そ、そんな!?」
「それはともかく、星域内でチェイスするのは危険だから、いったん星域外に出ましょう。そこでまいたあと、大回りでシーウォーターⅢに出ればいいわ」
マリーさんの提案に、私もうなずきます。
「わかりましたわ。カナンさんもいいですか?」
「うん、了解だよ! ……ダイヤたちも大変だね」
そしてAquaS号とシーウォーター号は星域外の小惑星帯にフルスピードで飛んでいったのでした。もちろん、カナタさんとやらの船も猛スピードで追跡してきます。
* * * * *
小惑星帯の小惑星の中を、私たちの船と、カナンさんのシーウォーターは鋭い動きで小惑星をかわしながら逃げ回ります。さすがカナンさん。出会ってからの二年間で鍛錬を続けてきたのか、見事な操縦テクですわ。
一方のカナタさんも、私たちを逃がさないかのように、時には小惑星に衝突しながらも必死に追いかけてきます。その様子から、ヨシコさんを大事に思ってる気持ちが伝わってきますが、それでも捕まるわけにはいきません。
一度小惑星帯に出てから、Uターンして再び小惑星帯に突っ込みます。そしてまたもチェイスを追いかけていくうち……。
「あら? カナタの船、なんか止まっちゃったみたいよ?」
「ほんとね。あまりに一杯衝突したから、動力炉か何かに不具合が発生したのかしら?」
スクリーンを見ると、確かにカナタさんの船が停止して、ぷかぷか浮いています。あれは、自分で停止したのではなく、動力炉が緊急停止して止まったようですわね。でも……。
「爆発もないみたいですし、大した不具合ではないでしょう。今のうちに、シーウォーターⅢに向かいますわよ!」
「OK!」
そして私たちは、再び目的地であるシーウォーターⅢに進路をとり、この場を後にしたのでした。
カナタさんの
「おのれ~、覚えていなよ~」
という恨み節を聞きながら……。
* * * * *
と、ちょっと大変なことがありましたが、それでもなんとか、私たちはカナタさんを振り切ってシーウォーターⅢにたどり着きました。
……でも、ここシーウォーター星域に可住惑星はシーウォーターⅢだけなのに大丈夫でしょうか?という気が猛烈にしますが、きっと大丈夫でしょう、たぶん、おそらく。
さて、シーウォーターⅢの離陸床に着陸すると、私たちは船を出ました。AquaSの隣には、シーウォーターが着陸し、そこからカナンさんも出てきます。
そして、向こうのほうから二人の人影がやってきました。17才くらいの年頃の女の子と、私たちと同じ年ごろの女性です。女の子はカナンさんを見かけると、嬉しそうな笑顔を浮かべて彼女のほうに走っていきます。そして、カナンさんの胸元に飛び込みました。
「カナンちゃん!」
「チカ!」
嬉しそうに互いの名前を呼びあう二人。カナンさんの知り合いの方でしょうか?
そして、年上のほうが追い付くと、咳ばらいをしてチカと呼ばれた女の子に注意しました。
「こほん、チカさん。ハンターの方がいらっしゃったのですから」
「あ、ご、ごめんね、セーラさん。えーと、こほん。ようこそシーウォーターⅢへ。マーメイ族第二王女で次期族長候補のチカ・マーメイといいます。今回はよろしくお願いします」
チカさんはそう丁寧にあいさつすると、セーラと呼ばれた女性のほうに顔を向けます。
「えーと、これでいいんだよね?」
そう聞くと、セーラさんは優しく微笑みました。そして、チカさんの頭をなでながら口を開きました。
「はい、お見事です。……チカ姫の侍女を勤めさせていただいております、セーラ・スノーフレークと言います。どうぞお見知りおきを」
そう言うと、セーラさんは見事なカーテシーで一礼しました。ブラックウォーターの次期後継者でもある私にはわかります。
……彼女、なかなかやりますわね。
そして私も、一礼して自己紹介します。
「よろしくお願いします。AquaSリーダーのダイヤ・ブラックウォーターですわ」
「同じくAquaSのマリー・フィールダーよ。よろしくデース!」
「ヨハネ・セラフィよ。よろしくね、リトルデーモン」
「ハナマル・フラワースずら。あ、リトルデーモンという言葉は気にしなくてもいいずら」
「どういう意味よ!」
ちなみに、二人が名乗っているのは、ハンター稼業のさいの偽名ですわ。
さて、私たちを見渡したセーラさんは、最後にカナンさんのほうに目を向けました。
その視線にはかなりトゲが含まれているような気がしました。それを感じ取っているのか、カナンさんの表情もかなり曇っています。
「えーと、私は……」
ですが、セーラさんはカナンさんの言葉を遮るように言い放ちました。
「あなたの自己紹介など聞きたくないのですが。良くここに戻ってこれましたね、第一王女様」
「……」
その言葉に、カナンさんは表情を曇らせたままうつむいてしまいました。さすがにそれを見かねたのは、チカさんがセーラさんに注意します。
「ちょっと、セーラさん!」
「申し訳ありません、チカさん。ですが、私はカナンさんをまだ許してはいませんので」
その様子に、カナンさんとセーラさんとの間には、かなり深刻な何かがあるのを私は感じました。そして思います。
……この仕事、ただで済みそうにありませんわね。
ちょっとセーラさんがきつくしすぎたでしょうか……?
Saint Snowファンの皆さん、ごめんなさい(汗
さて、次回は10/2 12:00に更新の予定です。お楽しみに!