スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
今回もカナタさんがお暴れですよ!ww
さて。私たちがシーウォーターⅢを訪れてすぐに、宴が開かれました。私たちを歓迎してとのことです。なんかくすぐったいですわね。
失礼ながら、レーヴェⅡでの時のように毒殺の可能性を危惧しましたが、それはありませんでした。しっかりと毒見をしてましたし、陰謀、謀略に敏感なマリーさんがリラックスした様子で飲み食いしてましたから、本当に問題はなさそうです。
まぁ、それはそうですわね。毎回毎回、毒殺されそうになったら、たまったものではありませんわ。気が休まりません。
そんなわけで、私も肩の力を抜いてパーティを楽しんでますが、気になってることが一つ。
相変わらず、セーラさんの、カナンさんに対する態度がとげとげしいことです。私たちには親し気な表情を向けてくれるのに、カナンさんを前にすると、とたんに厳しい表情に変わるのです。カナンさんが何か話そうとしても、「あなたと話すことはありません」とばっさり。この二人の間には確かに、ただならぬものがありそうですわね。
さすがにその様子を見かねたマリーさんが、カナンさんに近づいて問いかけます。
「ねぇカナン? 一体過去に、あの人との間に何があったの? あの様子、ただごとじゃないわよ?」
でも、カナンさんは苦笑を浮かべたまま……。
「なんでもないよ……。昔にちょっと色々あっただけ……」
と返すだけでした。二人の対立は、かなり根深いようですわね……。マーメイ族とセイレーナ族との対立はもちろん、この二人の関係も修復してあげたいのですが……。
* * * * *
さて、宴が終わった後、夜中。
私はあてがわれた寝室で目を覚ましました。特に気配を感じたわけではないのですが、単に目が覚めたみたいです。
再び寝ようと思ったのですが、一度目が覚めたせいで、なかなか寝付けそうにありません。これはまいりましたわね……。
仕方ないので、ちょっと散歩に出ましょうか。
私はマリーさんたちを起こさないように気を付けながら、そっと寝室を後にしたのでした。
そして質素ですがきれいなマーメイ族の宮殿を散策していると、海岸沿いのバルコニーに、誰かがいるのを見つけました。
あれは……チカ姫ではありませんか? 彼女は海を見てため息をついてるみたいでした。
「チカ姫、どうされたのですか?」
「あ……ダイヤ……様?」
慣れない様子でそう言うチカさんに、ルビィと似たものを感じて微笑ましくなりながら返します。
「ふふ、ダイヤさんでいいですわよ」
「あ、それじゃあそれで! 私のこともチカと呼び捨てでお願いしますね!」
「はい。それじゃあチカさんで」
快活な様子で話してくるチカさん。どうやらこれが彼女の素のようですわね。
「それで、チカさんはどうされたのですか? 眠れないのですか?」
「うぅん、それもあるけど、ここ最近、リコちゃんやヨーちゃんと会えてないから、寂しいなーって」
「リコさんとヨーさん? お知り合いの方なのですか?」
私がそう聞くと、チカさんは明るい笑顔を浮かべてうなずくと、また憂いのある表情に戻って海を見つめました。
その様子から、二人がチカさんにとってとても親しく大切な人たちだというのが感じ取られます。
「うん。リコちゃんはセイレーナ族のお姫様で、ヨーちゃんはその侍女。私とは子供のころから一緒に遊んでた幼馴染なんだ。それからも時々お互いの里に遊びに行ったり、手紙のやりとりとかしてたんだけど、最近、二種族の間が険悪になってるでしょ? それで……」
「そうですか……。両種族の仲が元に戻って、会えるようになるといいですわね」
「うん、ありがとうございます……」
と、そこで気配がしました。その気配の方向を見ると、ひとりの女性が、私たちの部屋へと忍び足で近寄っているところでした。
あれは……カナタさんではありませんか。彼女、まだヨハネさんを連れ帰るのを諦めていなかったんですのね。
私はチカさんをバルコニーに残し、彼女の後を追いかけることにしました。
* * * * *
ヨハネさんを連れ帰ることを狙うカナタさんを尾行する私。
幸いというべきか、当然というべきか、彼女は私の気配に気づくことはありませんでした。ふふふ、修羅場をくぐってきて磨かれた私の潜入術を甘くみないでいただきたいですわ。
そしてもう少しで私たちの寝室にたどり着くというところで……。
「何をしているのですか?」
「ひゃあ!!」
声をかけると、カナタさんは本当に飛び上がってびっくりしたようです。反応がオーバーですわね。
「ででで出たな悪徳ハンターめ! ヨシコちゃんをお前たちの好きにはさせないよ~!」
「誰が悪徳ハンターですか失礼な」
そしてそこでカナタさんはすたこらと逃げ出しました。逃がすまいと私も追いかけます。
そして追跡を続けると、カナタさんの目前に一人の怪しい男が現れました! 手にレーザー銃を持っています。どうやらよからぬ輩のようですわ!
「カナタさん、お伏せになってください!」
「ふへ? うわぁ!」
私の警告にきょとんとしていたカナタさんでしたが、男が銃をこちらに向けると、とっさにその場に倒れこみました。さすがに彼女も場数をこなしてきたみたいですわね。見事な動きですわ。私も物陰に隠れ、その数瞬後にレーザーが私のいた場所を貫通しました。
負けじと私も撃ち返します。
かなりの銃撃戦が続きましたが、犯人は私にばかり気を取られ、足元には気が付いていませんでした。それが彼の致命傷となりました。
「そーれ!」
いつの間にか這いつくばりながら、犯人の足元に近寄っていたカナタさんが、足払いをかけて男を転ばせたのです!
この隙を私は逃しはしません! 全力で男に駆け寄り、銃を突き付けて制圧したのでした。
* * * * *
そして、宴が行われた大広間。
襲撃犯はそこで、取り調べを受けていました。どうやら彼は、チカ姫の命を狙っていたようです。
あそこで見つけられてよかったですわ。あの時、チカ姫はバルコニーで一人でしたから、下手したら暗殺されていたかもしれません。カナタさんに感謝ですわね。
そのカナタさんですが、他の人達が来る前にすたこらさっさと逃げてしまいました。逃げ足も速い方でしたのね。
さて、いよいよその襲撃の背景を取り調べようとなった時に……。
「お待ちくださいませ」
黒いスーツに身をまとった、いかにもやりてな、でも胡散臭そうな若い男がやってきました。
彼を見て、マーメイ族の宰相様が口を開きます。
「おぉ、フォクス殿」
このフォクスとかいう者、他の重臣の話では、両種族をまとめ、このシーウォーターⅢを統治している長官府の職員で、長官府とマーメイ族との連絡役をしている人物とのこと。
そのフォクス氏は、宰相様にこう言ってきました。
「ここから先の取り調べは長官府のほうで行います。どうか、その男の身柄を引き渡していただきたい」
「あ、はい、わかりました」
それを聞いて私は「ん?」と思いました。カナンさんや他の方の話では、各種族は、長官府の監督こそあるものの、自治権を与えられて自治を行っているとのこと。なのに、捜査権や司法権もないのですか?
それに、引き渡しの要求も一方的みたいですし、男からの情報をもらすまいとしているようにも見えます。
……何か怪しいですわね。
私はマリーさんに小声でこうお願いしました。
「マリーさん、あの男と長官府とやらには、何か怪しいものを感じます。長官府に忍び込んで調査してみてはもらえませんか?」
「えぇ。私もそう思っていたのよ。わかったわ」
私はうなずくと、再びフォクス氏と襲撃犯のほうを見続けていたのでした。
次回は、10/9 12:00に公開の予定です。お楽しみに!