スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】   作:ひいちゃ

18 / 24
#04

 宴会の翌日。いよいよ私たちの仕事が始まりました。

 シーウォーターⅢに浮かんでいる多くのスペースデブリ。宇宙海賊や悪徳開発業者などが違法投棄したそれを処分していくのが、私たちの仕事です。

 

 私たちとカナンさんは、AquaSに乗り込み、衛星軌道上に出発します。改めて見ると、あるわあるわ。開発プラントの残骸やら宇宙船の部品やらがわんさかと。中には、地表に堕ちたらかなりの被害を生みそうなものまであります。

 

「さて、それじゃはじめましょうか、カナンさん」

「そうだね。ちゃっちゃっと、でもしっかりとやっていこう」

 

 そう言葉を交わしながら、私とカナンさんは船に備え付けられている宇宙服を着こみました。うん、さすがカナンさん。宇宙服を着ている姿も、様になっていますわ。

 

「それじゃ行ってきますわね。ハナマルさん、ヨハネさん。周辺の監視やナビゲート、よろしくお願いしますわ」

「うん、任せてずら!」

「このヨハネの魔眼に見通せないものなどないわ。安心して」

 

 その二人の声に見送られ、私たちはエアロックから宇宙空間に飛び出しました。

 

* * * * *

 

「よいしょっと。このあたりはこれで最後ですわね」

 

 デブリの一個をコンテナに押し込んで、私はそうつぶやきました。

 本当にすごいですわね、このデブリの量は。一つのエリアだけなのに、コンテナがいっぱいになってしまうとは。

 

 まぁ、このあたりは深宙域の辺境領域。レーヴェ惑星同盟共和国の統治が届かない無法地帯なのですから、色々やり放題されても仕方ないかもしれませんが……でもあまりにひどすぎますわ。

 

 さて、次のエリアに行きましょうか。でも本当に、すごいデブリの量です。これは一日では終わりそうにありませんわね。数日はかかると見込んだほうがいいかもしれません。さて。

 

「ヨハネさん、次のコンテナを出してくださいまし。それと、こちらのコンテナの回収をお願いしますわ」

「わかった。待ってて!」

 

 そのヨハネさんの返事とともに、AquaSから空のコンテナが射出されました。それと同時、そちらのほうへ満杯のコンテナを押し出します。コンテナは慣性でそのままAquaSのほうへ飛んでいき、そして船に回収されていきました。

 それじゃ、続きをはじめましょうか。

 

* * * * *

 

 そして数時間後。

 

「ダイヤ、疲れてきたね。もうそろそろ、今日の仕事はおしまいにしようか」

「そうですわね。私もそろそろ終わりにしようかと思っていましたわ。続きはまた明日ですわね」

 

 そして私は、満杯になったコンテナを、またAquasのほうに押し出すとカナンさんと合流し、船に戻っていきました。

 この回収したデブリを詰めたコンテナはこの後、手配しておいたデブリ回収業者(もちろん悪徳じゃないところです)に引き渡す予定です。

 

 さて、AquaSに帰還した私はシートに座ると、船をシーウォーターⅢに帰還させたのでした。

 

 そして宇宙港に到着すると、宰相様の元へ報告に向かいます。かなりくたくたですけど、ブラックウォーターの娘たる者、そして何よりハンターたる者、一日の仕事が終わるまで気を抜くことは許されませんわ。

 

 宰相様の部屋には、宰相様と、それとチカさんとセーラさんの姿がありました。彼らを前に私たちはカーテシーであいさつしてから報告します。

 

「今日の仕事、無事終了しました。まだ一杯あるので、明日以降も引き続き作業いたしますわ」

「了解しました。よろしくお願いいたしますぞ」

「お疲れさまでした」

 

 その私に、宰相様とセーラさんからそう声をかけてくれました。ですが、セーラさんがカナンさんのほうを向くと、表情が硬くなります。

 

「……お疲れさまでした」

「う、うん……」

 

 感情のこもってない言葉に、カナンさんの表情が曇ります。やはり、二人の確執はかなり深そうですわね。

 

* * * * *

 

 一方そのころ、長官府に潜入を果たしていた私、マリー・フィールダーは、警備員に見つからないように隠れながら、彼らの目を盗みながら、建物内を調査していました。

 

 目指すは、コンソールルーム。そこからアクセスして、よからぬ情報をGetするのが目的デース!

 

 しかし、不思議な事が一つ。長官府の中は警備されていることは警備されているんだけど、その警備の度合いが長官府という重要施設とは思えぬほど緩いのよね。さすがに「どうぞ侵入してください」と言ってるようなものってほどゆるくはないんだけど、これぐらいなら、ある程度、潜入の経験を積んだ人なら、簡単に潜入できるんじゃないかしら?

 

 まぁ、楽に潜入できるのならそれに越したことはないけどね。

 

 ……と思っていたことがマリーにもありました。

 

 無事にコンソールルームに潜入し、コンソールをクラッキングしようとしたその時!

 

 ヴゥー! ヴゥー!!

 

 警報ブザーの音がこの部屋……いや、この建物全体に鳴り響きました! Oh!!

 

 さらに。

 

「引っかかったぞ! 逃がすな!」

 

 とこちらに近づいてくる声。これはいけないわ!

 早くここを出ないと捕まっちゃう!

 

 マリーは大急ぎで、コンソールルームから出ました。それと同時に、曲がり角から出てきた兵士とばったり!

 銃をバラライザー(麻酔弾)モードにして撃ち、その兵士を昏倒させると、彼が出てきた曲がり角を曲がって、再びランナウェイ!

 

 逃避行を続けるマリー。そこでわかったことがあるの。

 兵士たちが『引っかかったぞ』って言ってたってことは、奴らはわざと警備を緩くして、罠をはっていたってこと。きっと、長官のことを探っている者がいることに感づいて、そしてその不埒者(彼ら視点)をひっとらえるつもりだったのでしょう。

 

 でも、今はそんなことより、今は屋上まで逃げて、ここから脱出するのが先よ! レッツ・エスケーイプッ!

 

* * * * *

 

 私たちが私室(ちなみにカナンさんは別室です)でくつろいでいると、コンコンとノックする音が聞こえてきました。そして、ドアの向こうからかわいらしい声。

 

「チカです。入ってもいいですか?」

「えぇ、かまいませんわ」

 

 ドアを開けると、そこには飲み物の乗ったトレイを持ったチカ姫の姿が。

 

「飲み物を持ってきてくれたんですね、ありがとうございます。でも、召使いの方にもってこさせてもかまいませんのに」

「いえ、ここはやはり王女の私が持ってくるべきだと思いまして……なーんて。実は、ダイヤさんたちに宇宙の話を聞かせてもらいたくて、セーラさんに無理を言って代わってもらったんです。えへへ」

 

 そう言って、はにかみながら笑いチカ姫……チカさん。あぁ、とってもかわいらしいですわ。まるでルビィみたい。

 でも、そういうことなら……。

 

「それなら、持ってきてくださった飲み物に見合うような素敵な話を一杯しないといけないですわね。どうぞお入りになってください」

「はーい」

 

 チカさんを部屋に招き入れると、ソファーに腰掛けた彼女に、これまでに繰り広げた仕事や冒険の話をしてあげます。それを聞いていたチカさんはキラキラと目を輝かせています。そんな姿も、とても愛らしいですわね。飲み物に見合った話はできたようですわね、よかったです。

 

「そうなんだぁ……すごいなぁ。カナンちゃんが宇宙に飛び出していった理由もわかるよ~」

「カナンさんが?」

 

 私が聞くと、チカさんはこくんとうなずいて、カナンさんの話をしてくれました。

 

「うん。セーラさんから聞いたんだけど、ダイヤさんたち、二年前にもこの星を訪れたんでしょ?」

「えぇ」

「私はその時、セイレーナ族の里のリコちゃんのところに泊まりに行ってたから知らなかったんだけど、そこでカナンちゃん、ダイヤさんたちと一緒に当時起こってた事件を解決して、それでその時に宇宙のすばらしさに魅了されて、星を飛び出して行ったんだって」

「そんなことが……」

 

 カナンさんがハンターになった行きさつについては知らなかったから、これには驚きましたわ。彼女がハンターになったと聞いたのは、私たちが二年前の事件を解決して、シーウォーターⅢを出て行った数か月後のことでしたから。

 ……ん? もしかして……。

 

「もしかして、セーラさんがカナンさんに冷たいのは、もしかしてそれで……?」

 

 どうやら図星のようです。私が聞くと、チカさんは少し表情を曇らせてうなずき、こたえてくれました。

 

「うん。カナンちゃんがみんなには無断でこの星を出て行ったから、それで次期後継者の座が、第二王女である私に回ってきて、それで……」

「なるほど……」

「私はカナンちゃんが楽しんでくれればそれが一番だから、譲られたことは恨みにも思ってないけど、セーラさんのほうは……」

「そうですか……」

 

 セーラさんにとっては、自分と親しかったカナンさんが、自分にとっては妹のような存在のチカさんに大変な次期後継者の座を押し付けて(しかも自分たちには無断で)宇宙に飛び出していったことが許せなかったんでしょうね……。

 

 なんとか二人を和解させてあげたいですが……。

 

* * * * *

 

 一方そのころ。マリーは大ピンチの中にいたわ。

 もう少しで屋上というところで、四方を兵士たちに囲まれてしまったの!

 

 そこに現れた一人の男。どうやらこいつが、長官みたいね。

 

「まんまと引っかかってくれて嬉しいぞ、こざかしいハエめ」

「お褒め戴いて光栄ね。マリーをどうするつもりなの?」

 

 と、そこに不思議なメロディが流れ出しました。それを聞くうちに、なんか頭がくらくらして……。

 

 いけないわ、これはなんかとてもよくないものよ!

 でも、時既に遅く……。

 

 鳴り響くメロディ、ぼやけていく視界の中、長官の声が響きます。

 

「あの遺跡から再現したもので、完全ではないが、それでもお前のような小娘一人を洗脳するには十分だろう。さぁ、お前にはこれが十分に働いてもらうぞ。はっはっはっ!!」

 

 遺跡……? 一体なんの……?

 

 それを問いただす暇もなく、マリーの視界は完全に闇に閉ざサレテ、シマイ……

 

 




次の更新は、10/16 12:00の予定です。お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。