スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
事態は急展開を迎えました。
人工衛星の破片が落ちた事件。セイレーナ族の宰相は、これを『マーメイ族の破壊工作』と言いがかりをつけて、マーメイ族との断交を宣言。攻め込んできたのです!
既にマーメイ族の里近くの砂浜には、セイレーナ族の軍が上陸してきていました。それもかなりの数です。これはぶつかり合ったらただではすみませんわ。まさに戦争です。下手したら、互いの種族の絶滅戦争にまで発展してしまうかもしれません。
その知らせを受けて、マーメイ族の王宮でも……。
「王様、セイレーナ族の軍が砂浜に上陸、この里に迫ってきております!」
「むむむ……こうなってはやむをえまい。ただちに戦いの準備を……」
私たちが王宮に駆け付けると、そのような相談がなされているところでした。
そんなことをさせるわけにはいきません! 私とカナンさんは急いで王様の元に急いで駆け付けました。
「待ってくださいまし! そんなことをしては、互いの種族の関係は修復不可能なまでに悪化して、終わらない戦いをするはめになってしまいますわ!」
「そうだよ、父さん。チカはセイレーナ族のことも好きだったじゃないか。そんなことになったら、チカも悲しむよ」
「カナン、ダイヤ殿、だが……」
苦悩する王様に私は自信を込めて言ってあげました。ここは、ハンターの出番ですものね!
「私たちにお任せください。ハンターの戦い方をお見せしますわ。そして、双方の犠牲を少なくして、彼らを追い払ってみせましょう」
* * * * *
私とカナンさんは、里上空のAquaS号で、地表の様子を観察していました。
上陸したセイレーナ族の軍勢は、怒涛の勢いでマーメイ族の里へ迫っていきます。ですが、戦意はさほど高そうには見えません。彼らも、この戦いには抵抗があるのでしょう。
あ、作戦通り。彼らの先頭の一団が、里の手前に掘ってあった堀に落ちましたわ。あの堀は、命に係わる怪我をするほど深くはないものの、そう簡単に抜け出せないぐらいの深さに掘ってあります。あそこから脱出するには難儀することでしょう。
「それでは、次の作戦に行きましょうか。カナンさん、ネット弾の用意はいいですか?」
「うん、いつでもいいよ!」
そのカナンさんの声を聴くと、私は船を降下させます。その中、カナンさんはトリガーを握り、狙いを定めています。
「発射!!」
カナンさんがトリガーをひくと、AquaSからミサイルが発射します。それが途中で弾けると、大きなネットが広がり、セイレーナ軍の人たちに覆いかぶさります。ネットには鳥もちが仕込んであり、哀れ、その餌食になった人たちは動けなくなってしまいました。
「まだまだ行くよ!」
再びネット弾を発射! 再び、多くのセイレーナ族の人たちの動きを封じることができました。
それを確認した私は、王宮のほうに通信を入れます。
「今ですわ! ときの声を!」
そして、里のほうからときの声が上がり始めます。もちろん、この場にマーメイ族の兵士たちがいるわけではありません。砂浜に隠してあるスピーカーから、録音したときの声を流しているのです。
そのときの声の轟音を耳にしたセイレーナ族たちは、狙い通り大混乱を起こしました。
戦意が少ないところに、落とし穴やネット弾で混乱に陥ったところにこれです。ひとたまりもないでしょう。
セイレーナ族の兵士たちは、指揮官が止めるのも聞かず、我先にと海に逃げていきます。落とし穴に落ちた人やネット弾に捕らえられた人たちも、なんとかそこから脱出して、やはり逃げていきます。
ふぅ、これでなんとかなりましたわね。
* * * * *
と、そこで。
何かに気づいたらしいヨハネさんが声をあげました。どうしたのでしょう?
「ねぇ、ダイヤ? もしかしてあの指揮官、マリーなんじゃない?」
「え?」
彼女に言われて、カメラ映像をその敵の指揮官に切り替えます。確かに、その指揮官の金髪には覚えがありました。
やはり、それに気づいたハナマルさんも動揺したようにつぶやきます。
「ほ、ほんとだ。多分あれ、マリーさんだと思うずら。でも、どうして……?」
「もしかしたら洗脳されたのかもしれませんわね……。どうにかして助け出さなければ……」
そう言う私を後目に、マリーさんらしき指揮官は、兵士たちに続いて、海の中に潜っていきました。
* * * * *
そして戦いが終わった後。
私たちは王宮で、マーメイ族の族長である王様からお礼を言われていました。
「おぉ、よくやってくださった。ダイヤ殿、カナン! そなたたちのおかげで里は守られ、セイレーナの者たちに禍根を残さずに済んだ。礼を言うぞ」
「いえ、当然のことをしたまでですわ」
「だけど、油断はしたらダメだと思うよ。また彼らが攻めてくるかもしれないし、守りを固めたほうがいいと思う」
「そうですわね。がっちり守りを固めておけば、それが抑止力となって、彼らも簡単に攻めてこれなくなるでしょうから」
「わかった。さっそく手配しよう」
そして王様との謁見を終えた私たちは、王の間を出ました。そこで、カナンさんが声をかけてきます。
「そういえばダイヤ。マリーのほかにも一つ、気になってることがあるんだ」
「なんですの?」
「セイレーナ軍の中に、水陸両用の装甲車があったんだよ。彼らが撤退した後、乗り捨ててあったんだ」
「それは……確かに気になりますわね」
このマーメイ族の里を見てもわかる通り、両種族の文明はそれほど進んだものではありません。ヨハネさんの種族、フォーリン族と同じぐらいか少し劣るぐらい。まだそんな兵器を作って使えるほどではないのです。
ということは、何者かからの支援があったから、ということ。それは……。
「長官府がセイレーナ族に手を貸していると考えるのが妥当ですわね。マリーさんが長官府に潜入していたことも考えると、彼女を洗脳したのも長官府なのかもしれません」
「うん、私もそう思うよ。それに、だとすれば彼らがこのままで済ますはずがないとも思う。おそらく次の手は……」
「えぇ、気を付けたほうがいいですわね」
そう、彼ら……というか長官府とセイレーナ族の宰相がこのままで済ますはずがなかったのです。
私たちの予感は、この数日後、見事に当たったのでした。
次の更新は、11/6 12:00の予定です。
どうぞお楽しみに!