スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】   作:ひいちゃ

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さぁ、いよいよ大詰めですぞ!


#09

 セイレーナの宰相が革命で捕まって、これで残るは長官だけと一息ついたのもつかの間、駆け込んできたヨーさんによってもたらされたのは、その長官によって、リコ姫が連れ去られたという報せでした!

 

「リコが連れ去られたってどういうことなんだい、ヨー!?」

「それは……うぅ……」

 

 カナンさんがそうヨーに聞きますが、彼女はかなり消耗している様子で、答える余裕もなさそうです。

 ……仕方ありませんわね。

 

「待ってくださいカナンさん。ヨーさんはかなり消耗しているみたいですし、ここの混乱の収拾は、革命派のリーダーにお願いして、一度地上に戻りましょう。話を聞くのはそれからでも遅くないですわ」

「そ、そうだね。気が付かなくてごめん……」

 

 そして私たちは、革命派のリーダーの方を見つけ出して、後のことをお願いすると、ヨーさんを抱えて地上に戻っていったのでした。

 

* * * * *

 

 そして地上に戻った後。マーメイ族の里にある小さな病院……というより医院にヨーさんを休ませていると、ヨーさんが運ばれてきたことを知らされたのか、チカさんが大急ぎで駆けつけてきました。

 

「ヨーちゃん! みんな、ヨーちゃんは!?」

「チカさん、落ち着いてください。消耗しているだけで、大事はありませんわ」

「そっか……よかった~……」

 

 そう言って、安堵した表情を浮かべて肩の力を抜いたチカさんに、そっとカナンさんが椅子を進めました。

 それから少しして、ヨーさんが目を覚ましました。

 

「あ……カナンちゃん、チカちゃん……。ここは……?」

「ここは、マーメイ族の里の病院だよ。倒れたヨーをここまで運んできたんだ」

「そうなんだ……ありがとう……」

「大丈夫? 痛いところはない?」

 

 そう心配そうに聞いてくるチカさんに、ヨーさんはうなずいて弱々しい笑みを返しました。

 

「うん。少しくらくらするけど、大丈夫……」

「それでヨーさん。一体何があったのですか?」

「うん、それは……」

 

 ヨーさんが語るところによると、このようなことだそうです。

 あのニュースで革命が起こり、王宮が対処に困っているところに、長官と宰相がやってきたんだそうです。

 二人はこの事態をどうにかして、マーメイ族を倒すために、ある場所に軍勢を派遣するよう、王様を説得したのですが、王様は首を横に振らなかったと。

 それでしびれを切らした長官は、自分の軍を王様の部屋に突入させ、催眠ガスでその場にいたみんなを昏倒させ、その場にいたリコ姫をさらっていった、と……。

 

 その時、ヨーさんは王様の部屋の外にいたのですが、そこから漏れ出た催眠ガスを吸って昏倒したようです。それで気がついたら、既に人々が王宮に突入していたということでした。それでもみくちゃになったりなんだりして、消耗しちゃったみたいですね。

 

* * * * *

 

「なるほど……それで、ヨーさん。彼らがどこへ行こうとしたかはわからないんですの?」

「うん。中と外の喧騒が大きくて、そこまでは……」

「うーん……」

 

 そう言って考え込む私とカナンさん。そこに小さい影がこっちにやってくるのが見えました。

 

「あれは?」

「あっ、リコちゃんのツブヤキドリだ。長官のところから逃げ出してきたのかな?

 

 そのツブヤキドリという小鳥は、ヨーさんの手に留まるとつぶやきだしました。もしかしたら、リコさんが連れ去られた場所のヒントでしょうか?

 

「木は緑で美しく

 んーと香りもいい匂い。

 大丈夫だと

 んーっと、息を吸い込むと気持ちいいの。

 野原の草の香りも

 四肢がリフレッシュするようで

 的に当てられそう」

 

「うーん、なんだろこれ? 詩みたいだけど、全然わからないね」

 

 と、カナンさんが頭を抱えます。もしかして、これは暗号なのでしょうか?

 頭を悩ませて考える私たち。そこに、チカさんが何かに気づいたようで、助言を出してくれました。

 

「ねぇ、もしかしてこれ、縦読みにするんじゃないかな?」

「縦読み?」

 

 あ、もしかしたらそうなのかも。

 各文章の先頭の文字をひらがなにして読んでみると……。

 

 きはみどりで~

 んーと~

 だいじょうぶだと

 んーっと息を~

 のはらの~

 ししが~

 まとに~

 

「き……ん……だ……ん……の……し……ま。禁断の島だって!?」

 

 そこで、カナンさんが大きな声をあげました。大変なことなのでしょうか?

 

「知っているところですの? 何か大変なことみたいですが」

 

 私の質問に、カナンさんはうなずくと、真剣な顔をして話し始めました。

 

「うん。マーメイ族の伝承にあるんだ。はるか沖にある小島。そこには、神様が作ったすごいものが眠っている」

 

 カナンさんの後を、チカさんが続けました。

 

「だけど、それを動かしたら大変なことが起こるから、絶対にそこに行ってはダメだって。私も、お父さんやセーラさんから口うるさく言われてたよ」

「セイレーナ族でもそれと同じような言い伝えがあったよ。でも、リコちゃんがそこに連れていかれたなんて……」

 

 そんな大変なことだったのですね。でも、神様が作ったすごいもの……もしかしたら、先史文明の遺産が眠ってたりするのでしょうか? なら、ぐずぐずしてはいられませんわ。長官がそれを手にしてしまったら大変です。

 

「それではこうしてはいられませんわね。ただちに、AquaS(アクア)で禁断の島に向かいましょう!」

「うん!」

 

 そしてカナンさんと二人で立ち上がったところで、ヨーさんが声をかけてきました。

 

「あ、二人とも、ちょっと待って」

「どうしたのですか?」

「セイレーナに伝わってる言い伝えには、まだ先があるの。『禁断の島からの歌声はあらゆるものを惑わす』って。気を付けてね」

 

『あらゆるものを惑わす』……ただ事ではないようですわね。でもそれならなおのこと、急がなくてはいけませんわ。ヨーさんの助言を胸に刻んでいくとしましょう。

 

「わかりましたわ、教えてくださり、ありがとうございます」

 

* * * * *

 

 そして私とカナンさんは、AquaSに乗り込み、フルスビートで禁断の島へと向かいました。

 島の座標は、カナンさんが知っていたので問題ありませんでした。

 

 なんとしても、長官が先史文明の遺産とやらを手にする前に、それを阻止しなくては!

 

 気を急いて、急ぎに急ぐ私たち。でも、それは遅かったのです。

 ヨハネさんがそれを報告してくれました。

 

「ダイヤ、島の座標から何かが出現するわ!」

「なんですって!?」

 

 モニターに目を向けます。映し出されている島。そこから土煙が立ったと思うと、中から何かが出現してきました。あれは……塔?

 

「あれはもしや……、禁断の島に眠っているという遺産……?」

「間に合わなかったですの!? なんてこと……!」

 

 しかし、それだけではなかったのです! その塔から、何かが流れてきました。

 これは……もしや、リコ姫の歌声……?

 

「な、なんでしょう、これは……。頭がぼーっとして……」

「うん。も、もしかしてこれが遺産の力……?」

 

 そのカナンさんの声をBGMとして、私の意識は深い霧の中に沈んで行ってしまいました。

 いけませんわ、このまま……では……。

 

* * * * *

 

 ハローハロー、こちらヨハネ! 大変なことになっちゃってるわ!

 

 突然、塔が現れて、歌声が流れてきたと思ったら、ダイヤとカナンがぼーっとしちゃって、船を急降下させたの!

 もしかして、この歌には洗脳効果があったりするのかも!? ヨハネが無事なのは堕天使の加護?

 

「うーん……。ヨシコちゃん、きっとそれは堕天使の加護ではなくて……フォーリン族がもつ精神耐性のおかげだと思う……ずら……」

「ヨシコじゃなくてヨハネ! というか、あんたも洗脳されかかってるんじゃない!」

 

 あーもう、どうにかしないと! このままではヨハネたち、海面に墜落して海の藻屑になっちゃうわ!

 ヨハネは、ずら丸にビンタして気合を入れると、ダイヤのところのコンソールを操作して、外部音声入力と、それから通信回線を切った。これであの歌声の効果はなくなるはず!

 

 あーーー、やばいやばいやばい! 急がないと! ヨハネは、ダイヤたちにビンタしながら声をかけ続けたわ。

 

「ダイヤしっかりして! ほら、マリーがまた無駄遣いしそうになってる!」

「う、うーん……マリ―さん、だから無駄遣いはあれほど……はっ!」

 

 そこでダイヤはやっと気が付いてくれたみたい。そしてこの船が置かれている状況を確認すると、大急ぎで船を急上昇させてくれたの。ふぅ、助かった……。

 

「危ないところでしたわ。ありがとうございますヨハネさん。おかげで助かりましたわ」

「ふっ、堕天使であるこのヨハネなら、このぐらい当然よ……」

 

 そこで、同じく我に返ったらしいカナンが、真剣な顔をして言った。

 

「でもどうにかしないと、あの島に近づけないよ……。それに下手したら、星のみんなにも……」

「そうですわね。なんとか対処方法を考えなくては……」

 

 そしてAquaSは反転。マーメイ族の里に引き返したのでした、まる。

 

* * * * *

 

 私の危惧は当たっていました。

 

 里に帰ってみると、里の人たちはみんな、あの歌声に洗脳されて、腑抜けになっていたのです。

 ある人は歌声をありがたがって、平伏して礼を繰り返し、またある人は食べ物をもって禁断の島へ泳ぎに行こうとしています。

 

 もう、里は大混乱ですわ。きっと、セイレーナ族のほうでも同じことになっているでしょう。

 

 チカさんやヨーさんも例にもれず、洗脳され、二人して禁断の島へ泳いでいこうとしていました。もちろん、当身で気絶させ、その間に船にあった、高性能なノイズキャンセルヘッドホンをつけて事なきを得ましたが。

 

 でも、どうしたものでしょう? このままでは、この星の人達全てが、あの長官のしもべになってしまいます。

 

 私たちは、正気に戻したチカさんやヨーさん、それと同じく洗脳されかかっていた王様やセーラさんを船の中に収容した後、ブリッジであの歌声の解析を行っていました。

 

「うーん、急がないといけないんですのに……。どうにかしなくては……」

「うーん、うーん……」

 

 必死に解析を続けます。もう里の人たちはすっかり、しもべになっていました。ここで長官が「互いに戦いあえ」と命令したら最後、この星の人たちは絶望的な状況になってしまいます。その前になんとしても対策を立てなければ……。

 

 寝る間も惜しんで解析を行う私たち。そして!

 

「わかったよ! あの音波は、特定の周波数の音波を発することで相殺することができるんだ!」

「そうですか! それはよかったですわ!」

「ただ……その音波は、人工的なものではダメなんだ。つまり、人間の歌声じゃないとダメなんだよ。しかも、録音でもダメみたい」

「なるほど……ということは、誰かに歌ってもらって、その間に長官を倒すしかないですわね。それで、誰の歌声かはわかっていますの?」

 

 私がそう聞くと、カナンさんは複雑な表情でうなずきました。

 

「うん。チカやヨー、セーラに歌ってもらった結果、チカの声がぴったりってことがわかったよ」

「そうですか。後は彼女が歌ってくれたらいいのですが……」

 

 ですが、それは奇遇のようでした。彼女に相談してみたところ……。

 

「うん、歌う! 歌うの好きだし、みんなを洗脳から救うためだったら喜んで歌うよ!」

 

 と快諾しました。これでなんとかなりそうですわね。

 ですが、そこでチカさんは一つ条件を出してきたのです。

 

「でもね、一つ、お願いがあるの」

「お願い? 何でしょうか、聞けるものなら聞きますが」

 

 そこでチカさんは一息ついて。

 

「お願い、必ずリコちゃんを助け出してください!」

「わかりましたわ。ブラックウォーターの名に賭けて、彼女を無事に連れ帰ってみせます」

 

 また一方では、セーラさんがカナンさんと向かい合っていました。

 

「チカさんは私が必ずお守りします。だからどうか、マーメイ族の人たちを、いえこの星を救ってください」

「うん、わかったよ」

「お願いします。それから……チカさんを守ってくれて、ありがとうございました」

 

 さぁ、いよいよ決戦ですわよ!

 

 




さぁ、いよいよ次回は最終回です!

ダイヤさんたちの最終決戦にご期待ください!

※次の更新は、11/20 12:00の予定です!
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