スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
さぁ、今回、いよいよ事件が起こりますよ!
アクションも盛りだくさん(のつもり)です!
わたくし……ダイヤ・ブラックウォーターとマリー・フィールダー……が宴の会場となる屋敷に入ったころには、もう準備が終わり、宴会が始まる直前でした。
どうやら、宴会は立食形式のパーティで、決められた席というものはなく、他の参加者も、思い思いのところに立っています。わたくしたちも、適当な壁際に立ちます。
そのわたくしたちに、先ほど出会ったハナマルさんが飲み物を渡してくれました。それを優雅に受け取ります。
「ダイヤ、相変わらず振る舞いがしっかりしてるわね。さすがブラックウォーターの長女だわ」
「子供のころ、ブラックウォーター家の者として恥ずかしくないよう、みっちりと仕込まれてきましたから。それがこんなところで役立つとは思いませんでしたわ」
と、わたくしたちが話していると、壇上にフォーリン族の長老さん、ミシェル宰相、そしてヨシコさんが姿を現しました。
そして長老が長い演説を披露したあと……。
「それでは、姫様が無事に救出されたことを祝って……乾杯!」
『乾杯!』
そしてパーティが始まりました。わたくしも、さっそくグラスに口をつけようとしたら……。
「これは……ダイヤ、ちょっと待って!」
マリさんが、小声でわたくしを制止してきました。どうしたのでしょう?
「どうしたのですか、マリさん?」
「それは飲んじゃダメ、毒が入ってるわ。おそらく遅効性ね。これを飲んだら、きっとベッドの中で永遠に覚めない眠りにつくことになるわよ」
それを聞いて、思わず、わたくしの顔がこわばってしまいます。危ないところでしたわ。権謀術数の世界に生きていたマリさんに感謝ですわね。
「でも誰がこんなことを……」
「それはわからない……。ただ、マリーたちの存在が邪魔になる者の手下ということは間違いないでしょうね」
ちょっと遠回りな言い方ですが、彼女の話は、ミシェル宰相の仕業だということを示唆していました。ああ、なんということでしょう。『陰謀が私たちを待ってる』という彼女の言葉が、実現することになるとは。
「でも、ということは、このことは内緒にしていたほうがいいかもしれませんわね」
「えぇ。ここでこのことを言ったりしたら、間違いなく犯人は、私たちにグラスを渡してきたハナマルに責任を押し付けてくるわ。それよりは、多分、犯人は今夜あたり行動を開始するでしょうから、それまで待つことにしましょう」
「わかりましたわ」
そしてわたくしたちはこの場は表向き何事もなかったかのように、パーティを楽しみました。
* * * * *
一方、レーヴェⅡとレーヴェⅢの間にあるアステロイドベルト。そこで待機しているレーヴェ防衛宇宙軍・ウミ艦隊旗艦アースグリム。
「レーヴェⅡに?」
その艦橋で、副官のコトリから報告を受けていたウミがそう聞き返した。
「うん。レーヴェⅡの周辺宙域に次元振動が感知されてるの。微弱なものだけど」
「一体どういうことなのでしょう……? でももしかしたら……」
「もしかしたら?」
そう聞いていたコトリに、ウミは以前に聞いたある報告のことを話し始めた。
「共和国政府がレーヴェⅡへの植民を検討していたとき、事前に調査を行っていたことは知っていますよね?」
「うん。その調査中にフォーリンと遭遇して、彼らを尊重して植民や開拓は中止したんだったよね」
「えぇ。その調査の時に、レーヴェⅡに超生物(グレイツ)由来の古代文明の遺跡が発見されたと報告があったそうです。詳しいことは不明ですが、次元操作関係のものではないかと」
「ということは、もしかして、この次元振動は、その遺跡と関係が?」
「今のところは何とも言えませんが……。でももしそうだとしたら、とんでもない次元災害が起きるかもしれません。本艦隊は引き続き、この近くに待機することにします。レーヴェⅡの周辺空域は引き続き、モニターしていてください」
「わかったよ」
そうコトリに指示を出すと、ウミ中将は再び正面のモニターに映るレーヴェⅡに視線を戻した。
* * * * *
さて、その深夜。
わたくしたちは、割り当てられた個室で寝たふりをしていました。マリさんの言う通り、犯人たちは今夜きっとことを起こすはず。その時にすぐ動けるようにです。
そして、その時は来ました。
ガチャと扉が開く音がして、何者が部屋に入ってくる気配がしました。わたくしたちは息をひそめて寝たふりを続けます。もちろん、手はレーザーソードを握ったままで。
「そんなに近づかなくてもいいだろ。毒が効いたのなら、もうそいつらは天上(ヴァルハラ)に行った頃だ」
「そうだけど、確認のためだよ。結構きつい顔だけどべっぴんさんだな。殺すのがもったいなかったぜ」
おあいにく様。わたくしたちはまだ天上にも地獄にももちろん煉獄にも行っていませんわ。それに、きつい顔だけどは余計です。
そう思いながら、わたくしは跳ね起き、反身のレーザーソードを振るい、刺客の手から銃を弾き飛ばしました! その横では、マリさんがキックをぶちかまし、刺客を吹き飛ばしています。
「お、お前ら! 毒で死んだんじゃなかったのか!」
「おあいにくさまでしたわね」
「マリーたち、そんなお人よしではないのよねー。残念でした」
そう言うと、わたくしたちは、峰うちで襲撃者たちを気絶させ、手早く縛り上げました。もちろんさるぐつわも忘れずに。よく見ると、彼らの服のえりには、超生物をかたどった紋章が縫い付けてありました。あの宰相、超生物教(グレイツ・ブラザーズ)の過激派とつながっていたのですね。
と、そこに。
別のところでガタンゴトンと音がしました。
「どこからでしょう?」
「嫌な予感がするわね。行きましょう」
そしてわたくしたちは武器を手に、部屋を後にしたのでした。
* * * * *
そしてわたくしたちが物音の源の場所に行くとそこには……。
「お、お前ら、どうして生きてるんだ!?」
そう驚く、黒ローブの男。どうやら彼も、超生物教の手の者みたいですわね。襲撃者は四人。しかも、そのうちの一人がかついでいるのは……。
「おい、ここは俺たちが防ぐ。お前らは、早くその娘を連れていけ!」
「わ、わかった!」
そう、ヨシコ姫です。抱えられてるのは気づかないほどぐっすりと眠っています。どうやら彼女も、眠り薬を盛られていたみたいですわね。
彼女を運び去ろうとする二人を追おうとするわたくしたちを阻止するかのように、残り二人がレーザーガンで応戦してきます。まずは彼らをどうにかしなければですわね。
マリさんがレーザーガンで応戦する中、わたくしはベルトから四角形のあるものを外しました。そしてそれを投げて……。
「マリさん、目を閉じて!」
「OK!」
ピカッ!!
あたりをまばゆい光が包みます。そう、超強力な照明弾ですわ。
襲撃者たちが目がくらんでいる間に、わたくしは目を閉じたまま、突撃し、レーザーソードを振るいます。彼らの位置はだいたいの気配でわかります。ハンターオフィスで訓練を積んできたのと、その後数々の修羅場をくぐってきたのは、伊達ではありませんわ。
そして光が止むと、二人の男たちがわたくしの刃を受けて、血を流し、のたうち回っています。気の毒ですが、その傷では助かりそうもありませんわね。ご愁傷様です。
と、そこに数人の供を連れた長老さんがやってきました。
「い、いかがなされたのですか、これは!?」
「超生物教よ。超生物教の狂信者が、ここを襲い、ヨシコを連れて行ったの!」
「な、なんですと!?」
それを聞いて長老さんは、卒倒しそうなほど驚愕しています。まぁ、気持ちはわかりますわ。
「ヨシコさんをさらった賊は、わたくしたちが追いかけます。長老さんたちは、わたくしたちの部屋にいる奴らの捕縛と、この館の警備をお願いしますわ! 多分大丈夫だと思いますが、まだ賊が紛れているかもしれませんから」
「わ、わかりました! 姫様のこと、よろしくお願いしますぞ!」
その言葉を最後まで聞くことなく、わたくしたちは、その場を走り去りました。
「ダイヤ、奴らはどこに向かうと思う?」
マリさんの言葉に、わたくしは走りながら考えを巡らせます。
「そうですわね……。この星でことを起こした以上、彼らとしてはこれ以上ここにいるのはリスクが高すぎますわ。とすれば、ここから逃げ出そうとするのは当然でしょう」
「ということは、宇宙港ね。急ぎましょう!」
* * * * *
そしてわたくしたちが宇宙港にたどり着くと……。
「Oh! 一歩遅かったわ!」
彼らの宇宙船がちょうど飛び立ったところでした。しかもご丁寧に、わたくしたちのAquaS(アクア)号の発着床を破壊したうえで。
こうすれば、VTOL式の宇宙船なら飛び立つことはできないと考えたのでしょう。でも残念でしたわね。
「さっそく乗り込んで、後を追いますわよ、マリさん!」
「OK!」
わたくしたちの船、AquaS号は、VTOL式と滑走式のハイブリッドなのです。発着床が破壊されたぐらいでは、どうということはありません。
わたくしたちはすぐさま船に乗り込みエンジンに火を入れ、宇宙港から出発したのです。
ある密航者に気づかないまま……。