スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
「行きますわよ、準備はいいですか?」
「ええ、気にせず思いっきりやってくれていいわよ!」
「行きますっ!」
マリさん……マリー・フィールダー……の承諾を得て、わたくし……ダイヤ・ブラックウォーターは、愛船のAquaS(アクア)号を急発進させました。周囲の小さながれきを弾き飛ばしながら、船は大空へ飛び立っていきます。
しかし、さすがはわたくしの相棒、ここまで共にこの船で深宙域を駆けまわったマリさんです。急発進にも関わらず、悲鳴をあげることなく。
「ずらぁ~!!」
あれ? 今、変になまった悲鳴が?
大気圏を突破したところで、わたくしはマリさんの方を向いてお願いしました。
「マリさん。さっき、なんか悲鳴がしたような気がしたのですが、部外者がいないか、船内をチェックしてみてもらえますか?」
「了解……Oh? 船倉に生体反応あり? ちょっと行ってくるわね」
「お願いしますわ」
そして席を外したマリさんは少しして、フォーリンの女の子を連れて戻ってきました。
「密航者を発見したわよ。かわいい密航者さん♪」
「ずら……」
その密航者とは……ヨシコ姫の侍女のハナマルさん!?
「ハナマルさん、なんでこの船に!?」
「お、おら、ヨシコちゃんがまた誘拐されたって聞いて、気が気でなくて、二人の後を着いてきて、船に乗り込んで……」
そこまで聞いて、二人でため息をつきます。
「……どうする、ダイヤ?」
「本当なら一度地上に戻って彼女を降ろすべきなのですが、そんな暇もありません……。このままいくしかありませんわね。ハナマルさん、密航の件については不問としますが、あなたの生命の保証はできませんわよ。よろしいですわね?」
「わ、わかったずら……」
そしてわたくしは正面に視線を戻すと、今のタイムロスを取り戻すべく、再び船を急加速させました。
「ずらぁ~~!!」
* * * * *
さて。(ハナマルさんの悲鳴を聞きながらの)急加速のかいあり、わたくしたちはレーヴェⅠの周辺空域で、誘拐犯の船に追いつくことができました。
すると、その船から脱出ポッドが放たれたではありませんか!
「脱出ポッド? どういうつもりなのでしょうか?」
「Oh My God! あの船、急加速を始めたわ! まずいわね、このままじゃ恒星レーヴェにダイブよ!」
「ずらぁ~!?」
もしかして彼らは、船ごとヨシコ姫を恒星レーヴェで丸焼きにするつもりなのですか!?
「ど、どうしよう、ダイヤさん、マリーさん……!」
「むぅ……」
と、そこに。
「ダイヤ、AquaSをそのまま奴らの船の後ろにつけて」
ふと見ると、マリーさんが、ブラスター砲の照準器兼トリガーを起こして構えていました。いけませんわ、目がマジです。あれは鷹のように獲物を撃ち抜こうとする目ですわ!
「ま、マリさん、まさかあの船を撃ち抜くつもりなのですか!?」
「そ、それはいけないずら、マリーさ~ん!」
「違うわよ! エンジンを撃ち抜いて止めるとともに、進行方向を恒星レーヴェへの突入からずらすの! マリーに任せなさい!」
そう言うと、マリさんは再び船を狙い始めました。……ここは彼女に任せるしかないようですわね。
わたくしもハナマルさんも、固唾を飲んでマリさんを見守ります。それはほんの数秒だったかもしれませんが、わたくしたちにはそれが一時間にも一日にも感じたのです。そして。
「ロック・オーンっ!!」
トリガーを引くマリさん。そして、AquaSからブラスターが放たれました! その光線は船に狙いあやまたず飛んでいき、見事に船のエンジンを撃ち抜きました。そしてそれと同時に、着弾の衝撃で船のコースが、大きく恒星レーヴェへの突入コースから外れました。
「今よ、ダイヤ! あの船に接弦して!」
「わかりましたわ! ハナマルさん、何かにしがみついててください!」
「ずらぁ~~!!」
ハナマルさんの返事を聞かずに、わたくしはAquaSのアフターバーナーを全開にして、奴らの船に接近しました。
そして無事に追いつき、接弦。わたくしとマリさんは、船の中に乗り込んだのです。
すると、やはりというべきか、船の中には誰もいませんでした。ヨシコさん以外には。
何はともあれ、この船がどうにかなる前に、彼女をAquaSに連れ帰らなくては。
「ヨシコさん、ヨシコさん」
「ん……あっ、リトルデーモンダイヤにマリー!」
「前にも言ったように、あなたのリトルデーモンになった覚えはありませんが」
「がーん!」
「それはともかく、大丈夫ですか? 具合の悪いところはありませんか?」
「え、えぇ……。少し頭がくらくらするくらいで……って、どうして私、宇宙船の中にいるの!?」
「話はあとです。わたくしたちの船に乗り移りますから、念のため、この宇宙服を着てください」
「わ、わかった……」
と、ヨシコさんがわたくしから手渡された宇宙服を着始めたところで……。
ブーッ! ブーッ!
照明が赤く点滅を始め、警報が鳴り始めました。
それと同時に通信機からハナマルさんの声が。
「ダイヤさん、マリーさん! た、大変ずら! 警報ディスプレイに、『接弦している船のエネルギー量、急上昇を確認』と出てるずら~!」
「なんですって!?」
「さすが超生物教(グレイツ・ブラザーズ)の奴らね! こうなることも想定して、接弦されたら自動的にエンジンを暴走して自爆するようにしてたんだわ! 早くEscapeしましょう!」
「そうですわね! ヨシコさん、宇宙服は着ましたか!?」
「え、えぇ……!」
「それじゃ、Let's Escape!」
そしてわたくしたちは大急ぎで、船のエアロックに走り出しました。そしてAquaSに戻ると、急いで、船を急発進させます。
「きゃあ~!」
「ずらぁ~!!」
そして安全圏まで到達できたかというところで……。
チカッ!
ドグオオォォォン!!
超生物教たちの船はまばゆい光を放って、爆散しました。ふぅ、危ないところでしたわ。
「ふぅ……間一髪でしたわね」
「えぇ……。スリル満点すぎたわ」
わたくしたちが安堵のため息をついている横では……。
「うわぁん、ヨシコちゃ~んっ!」
「きゃっ、ずら丸! あんたもこの船に乗ってきたの? そしてヨハネ!」
「よかった、よかったずらぁ~!」
「こんな危ないところまでやってくるなんて呆れたわ。でも……ありがと」
ヨシコさんとハナマルさんが抱き合って喜びあっていました。微笑ましいですわね。
本当に、妹のルビィと会わせてみたいですわ。きっと、三人とも仲良しになることでしょう。さて。
「これで一件落着……とはいきませんわね」
「そうね。レーヴェⅡに戻って、あの宰相にお礼参りしなくちゃ」
しかし、それはある大きな事情により、頓挫することになるのでした。
* * * * *
わたくしたちの船、AquaSがレーヴェⅡの周辺宙域に到達すると、『停船せよ、さもなくば攻撃する』のフレーズとともに、見覚えのある一隻の宇宙戦艦が。ウミ中将の旗艦『アースグリム』ですわね。
さっそく船を止めると、アースグリムから通信が入ってきたので、通信回線を開きます。
『レーヴェⅠのあたりで、戦闘があったようなのですが、どうかなさったのですか?』
「はい。実は……」
と、わたくしたちは、ここまでのことをウミ中将に正直に話します。ミシェル宰相の関与のことはあえて話しません。彼の関与は間違いないと思うのですが、物証がありませんからね。
「……というわけなのです。証人もおりますわ」
『なるほど……。それは、レーヴェⅡの調査をする必要があるようですね。まず、共和国警察にこのことを……』
と、そのとき、通信モニターの向こうから警報音が聞こえてきました。何かあったのでしょうか?
『どうしたのですか!?』
『大変です! レーヴェⅡから次元振動反応! 巨大な次元地震が来ます!』
『なんですって!? 総員、対ショック用意! 電磁流体力場、フル出力! ダイヤさん、船をアースグリムに接近させてください! 多分その船では次元振動の直撃を受けたらひとたまりもありませんよ!』
「わ、わかりましたわ! ヨシコさん、ハナマルさん、念のため、何かにしがみついておいてください!」
「わ、わかったわ、それとヨシコじゃなくてヨハネよ!」
「わ、わかったずら!」
わたくしは大急ぎでAquaSをアースグリムに接弦しそうなほど接近させました。おそらく、船をアースグリムの電磁流体力場で守ろうというのが、ウミ提督の意図なのでしょう。それを済ませると、わたくしたちはシートに捕まり、その時に備えます。
そして。
『3……2……1……きます!』
その声とともに、震度7に匹敵する激しい揺れが、船を襲います。わたくしたちは、シートにしがみつきながらそれに耐えるしか、術を持ちませんでした。きっと、アースグリムの電磁流体力場の外にいたら、ひとたまりもなかったでしょう。
「きゃっ……!」
「くっ……!」
「きゃあ~!」
「ずらぁ~!!」
そしてやがて、どうにか揺れ……次元地震は終わりました。ふぅ、なんとか助かりましたわね。
しかし、その直後、わたくしたちはとんでもないものを見たのです。
「ふぅ……なんとか助かりましたわね……」
「ちょっと待って、ダイヤ、あれを見て!」
「れ、レーヴェⅡが……」
「なくなってるずらぁ~!!」