スクールアイドルアニメで見たような二人が、銀河の深宙域を駆けまわります!【とりあえず完結!】 作:ひいちゃ
そしてAquaSの二人が、罠で大ピンチに!!
超光速航法(ワープ)を終え、わたくしたちの船、AquaS(アクア)は、目的地の星域にワープアウトしました。
「よし、ワープアウト。アーペンハイル星域に到着しましたわ」
「やっと着いたわね。さて……二人とも、大丈夫?」
マリさんが、後部座席の二人に声をかけます。その答えは……。
「うん、オラは全然大丈夫ずら。訓練の時は辛かったけど、今は全然平気になったずらよ」
「よ、ヨハネだって……ぜぇぜぇ……大丈夫よ……」
……すいません。全然大丈夫そうに見えないのですが。
「全然大丈夫そうに見えないわね。はい、ワープ酔い止めよ。まぁ、仕方ないわね。今回は、時間短縮するためにブースター使ったし」
そう言って、マリさんがヨシコさん……もといヨハネさんに、薬を渡します。それを飲むと、ヨハネさんは少しは楽になってきたようです。
そう、今回は、かなり時間が迫ってきたこともあって、ワープブースターを使い、本当ならば1週間はかかる距離を、2日に縮めて、アーペンハイル星域に飛んできたのです。
でも、そのおかげ(と、ヨハネさんの犠牲も)あって、なんとか期限内に目的地につけてよかったですわ。
……あら?
「なんか、エンジンの具合がちょっとおかしいですわね。やっぱりブースターを使った超高速ワープをした反動でしょうか?」
わたくしのその言葉に、わたくしの後ろの座席でコンソールを見ていたハナマルさんが答えてくれます。本当にいいオペレーターですわ。
「どうやらそうみたい。ちょっとガタが来てるみたいずらね。この仕事が終わったら、一度メンテナンスしたほうがいいかも」
「ぜぇぜぇ……。でも、このワープって、亜空間を通って移動時間を短縮する航法でしょ? そしたらこれを応用したら、亜空間に落ちたレーヴェⅡにも行けるんじゃないの?」
ヨハネさんがそう、話題を振ってきます。確かに、彼女の言う通り、ワープを応用して、亜空間のレーヴェⅡに向かうことは可能です。ですが。
「そう簡単にはいきませんわ。亜空間にいることは、人体にかなり重い負担がかかるんです。例えるなら、今ヨハネさんが味わったような苦しさが、亜空間にいる間、ずっと受ける、と言ったところでしょうか。ワープの場合は、短時間だから、生命が危険に陥るほどではありませんが、長時間いるとなれば、生命の保証はできかねますわね」
「それに、亜空間に突入するワープインと、亜空間からこの通常空間に出るワープアウトの同調の問題もあるわ。もし下手して同調に失敗すると、永久的に亜空間をさまようことになりかねないの。ヨシコもそれは嫌でしょ?」
「うぐ……それは堕天使の私でもきつすぎるわね……。というかヨシコじゃなくてヨハネ! ってか、そんなに人体に悪いんだったら、レーヴェⅡのみんなもやばいじゃない?!」
と騒ぎ出すヨハネさん。でも心配は無用だと思いますわ。
「心配はいらないと思いますわ。惑星にいる黒幕だって、それはわかってるはず。きっと悪影響を防ぐために、なんらかの対策を取っていると思います。自分だって死にたくはないでしょうからね」
「そ、そう……それなら安心したわ。ぐふ、安心したらまた少し具合が……」
まぁ、わかってもらえて何よりですわ。さて。
「それでは、そろそろ大気圏突入態勢に入りますわ。準備をお願いします」
「わ、わかったわ……」
「了解ずら!」
そして、AquaSは、惑星アーペンハイルⅢに降下していったのでした。
* * * * *
「それでは行ってきますわね。わたくしたち以外の者は決して船の中に入れないようにしてくださいましね?」
「うん、わかったずら!」
「ヨシコはどうする? 辛いなら、船の中に残っていていいわよ?」
「ヨシコじゃなくてヨハネだってば……。大丈夫よ。だいぶ良くなってきたし、こんなところでダウンしていては、堕天使として失格だわ……ぐふ」
そう言って立ち上がるヨハネさんですが、やはり少し辛そうですわね。どうしたものでしょうか……。
「Oh、それじゃヨハネは船に残って、私たちのサポートと、船の安全確保をお願いね。それもハンターとして大事な仕事だから」
「残念だけど、わかったわ、任せてちょうだい……。それと……ありがと」
ちょっと不満というか残念そうな様子でしたが、大事な仕事と言われて、ヨハネさんも納得したのでした。さすがマリさん。ヨハネさんを扱うのが上手ですわね。
そしてわたくしたちは船を出たのでした。
* * * * *
依頼人がいるのは、アーペンハイルⅢの研究所オフィスだということで、わたくしたちはそこへ向かいました……が。
「ちょっと待って、ダイヤ。あれ、戦いの煙じゃない?」
「そうですわね。それに銃声が聞こえてきますわ。急ぎましょう!」
そしてわたくしはレーザーソードを、マリさんは大型レーザーガンをかまえ、研究所に走っていきました。
急いでよかったです。研究所では、警備員と、黒ずくめの奴らが激しい銃撃戦を繰り広げているところでした。まだ制圧されてはいませんが、今のままではいずれ、黒ずくめの奴らに研究所が制圧されてしまうのも時間の問題でしょう。幸いにして、奴らはまだこちらに気づいてはいない様子。今から奴らを襲えば、勝てるかもしれませんわね。
そこまで考えて、わたくしは横のマリさんに目配せします。その彼女も同じ考えだったのか、こくんとうなずきます。さすが我が相棒ですわ。
そしてマリさんが銃を構え、わたくしはレーザーソードを構え、奴らに突進していきます。さすがに足音で向こうも気づいて振りまきましたが、遅すぎますわ!
「せいっ!!」
気合一閃! わたくしはレーザーソードで、奴らのうちの一人を切り裂きました。気づいた別の男がこちらに銃を向けますが……。
「ロック、オーンっ!!」
マリさんのレーザーソードで腕を撃ち抜かれて銃を落とし、さらに次の一発で胸を撃ち抜かれて倒れました。
わたくしたちの突然の襲撃で、黒ずくめの襲撃者たちは動揺し、混乱しているようです。それを悟ったのか、警備兵たちも、猛反撃を開始しました。
そして戦いは、こちらに優位に進み、奴らはついには撤退していきました。
この戦いはこちらの勝利、と思っていたのですが、実はこの撤退には、一つ別の理由があったことを、わたくしたちは知らなかったのです。
* * * * *
わたくしたちが武器をしまうと、研究所の中から、一人の男がやってきました。白衣を着たその男は、どうやらこの研究所の所長のようです。そしてその通りでした。男はぺこぺこと頭を下げながら話し始めました。
「おぉ、AquaSの皆さん、助けてくださって、ありがとうございます! ここの所長のアーヴァンクと申します」
「いえ、こちらこそ、来たのが遅かったみたいで申し訳ありませんわ」
「いえいえ。皆さんのおかげで奴らは撃退できました。一つ問題がありましたが……」
「問題?」
マリさんがそう聞くと、アーヴァンク氏は少し表情を曇らせて言いました。
「はい。実は、こちらとは別の方角からも彼ら……超生物教(グレイツ・ブラザーズ)のテロリストたちがやってきて、超生物(グレイツ)の細胞サンプルを奪われてしまったのです……」
『超生物ですって!?』
あ、思わずマリさんと声が重なってしまいましたわ。
「はい。実はここから離れたところにある遺跡から、私たちが『カトブレバス』とコードネームをつけた超生物の化石の一部が見つかったのです。それでその細胞のサンプルをここに持ち帰り、研究していたのですが……」
「それが悪用されたら大変ですわ。もしかして、依頼というのは……」
「はい。彼らから研究所と『カトブレバス』の細胞サンプルを守ってほしい、と依頼するつもりだったのです……。AquaSのお二方、改めて依頼いたします。もしあの細胞サンプルが悪用されたら大変なことになります。彼らから細胞サンプルを奪還してもらえないでしょうか? もし奪還が無理であればお二人の判断で処分していただいても構いません。必要なら追加料金もお支払いいたします」
「いえ、追加料金はいりませんわ。それが悪用されたら一大事というのはわたくしたちにもわかりますもの。当初の料金で引き受けますわ」
そう言うと、アーヴァンク氏は、またぺこぺこと頭を下げてきました。そこで、はっと何かに気づいたようです。
「そうだ。実はその遺跡からはもう一体、『カーバンクル』という仮称の超生物も発見されているのです。こちらはほぼ完全な状態で、休眠状態になっているのですが……。セツナという研究員の一人が、『カーバンクル』が発見されてから、その遺跡で『カーバンクル』の研究を続けていたのですが、そこに超生物教の奴らが襲ってきて、私たちは彼女を置いて撤退してしまい、奴らはその遺跡を拠点にしてしまいまして……」
「オーノー! それは大変じゃない!」
「はい……。幸いというべきか、『カーバンクル』が発生された区画は、遺跡の地下のかなり奥深くのエリアだったので、奴らは彼女に気が付いていない可能性がいくらかあると思うのですが……できれば彼女の救出もお願いできますでしょうか?」
「わかりましたわ、そちらについても最善を尽くしましょう」
わたくしがそう答えると、アーヴァンク氏はほっとした表情を浮かべました。そして。
「そちらは、追加報酬は……」
「残念ながらありですわ」
「やっぱり……」
* * * * *
「というわけですわ。AquaSは念のため、ポイントの上空で待機させておいてくださいまし」
「わかったわ。あとそれと一つ気になることがあるの」
アーヴァンク氏からエアカーを借りたわたくしたちは、出発の前に、通信機でAquaSのヨハネさんとハナマルさんにここでのことを話していました。そこで、ヨハネさんから報告があったのです。
「なんでしょうか?」
「この星の太陽……恒星アーペンハイルなんだけど、恒星レーヴェのような通常の恒星とは違うスペクトルが含まれてるみたいずら。分析の結果、人体に悪影響をもたらすものではないみたいだけど……」
スペクトルが……。それが何を意味するかわかりませんが、気に留めておく必要はありますわね。
「わかりましたわ。報告ありがとうございます。これからも、何かあったら知らせてください」
「了解。気を付けて行ってきてね」
「頑張ってずら~」
そして通信を切り、わたくしたちはエアカーに乗り込んだのでした。
* * * * *
問題の遺跡は、研究所から離れたジャングルの中にありました。木々をよけ、猛獣たちを銃で撃退しながら、その遺跡までやってくると、やはりアーヴァンク氏の語っていた通りです。遺跡の入り口の前には、黒ずくめの男たち……超生物教のテロリストたちが二人、見張りについていました。
「行きますわよ、マリさん。準備はいいですか?」
「もちろん!」
わたくしはベルトのポケットから閃光弾を投げました。まばゆい閃光の中、奴らが目がくらんでいるところに、わたくしは剣を手に突入します。そして一人を袈裟斬り! もう一人は、マリさんがレーザーガンで仕留めました。
見張りを排除したわたくしたちは周囲を警戒しながら遺跡の中に入ります。と、そこに……!
「へへへ……このままで済むと思うなよ。お前らも地獄へ落ちやがれ……!」
そしてマリさんに撃たれた男の人が、床のタイルの一つを強く叩き、絶命します。
すると。
ガラガラガラ!
なんと、足元の床が崩れだしたではありませんか! 罠ですの!?
「きゃーーーー!」
「オーノーーーー!!」
かくしてわたくしたちは、地下に転落していったのでした……。