アニガサキ!-PASTEL COLLARS- 外伝 Episode of ランジュ 作:海色 桜斗
アホの(スクスタ)運営へ
ランジュのアイコン出来ましたー、ざまぁみろー
早くスクスタでも仲間にして、公式産のアイコン持ってこーい
海色太子
P.S
公式よりも私の方がランジュを愛していると、自負している。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
はい、どうも。世間はGWに入りましたね、作者です。
スクスタで配信された最新章26章については、最早私が以前に思った通りの栞子の時と大いに
「何でもかんでもポンコツ化すんなし!!」
……では、気を取り直して本編をお楽しみください。
(※自作したランジュのアイコン、初披露回でっせ。)
アニガサキSS劇場⑩「お台場の守護者と言えば・・・・・・?」
せ「璃奈さん、璃奈さん!突然ですが、お台場の守護者、と聞いて何を想像しますか!?」
璃「ええと・・・・・・やっぱり私達絡みで言ったら、ユニコーンガンダム?」
せ「確かにそうですね。ですが、ユニコーンガンダム以外にもお台場の守護者はいるんですよ!」
璃「へぇ、知らなかった。教えて、せつ菜さん。璃奈ちゃんボード『わくわく』」
せ「はい、喜んで!・・・・・・では、璃奈さんはこの作品を見た事はありますか?」
璃「これは・・・・・・『デジモンアドベンチャー』・・・・・・!」
せ「やはりご存じでしたか!えぇ、アニメ史を語る上で非常に重要な作品と言っても過言ではない、まさに名作中の名作ですよね!」
璃「私達は当時の世代じゃないけど・・・・・・今でも見てて凄く惹き込まれちゃう」
せ「分かります!!最近のアニメと比べると流石に画風が今風ではないのですが、兎に角クオリティが凄いんです!」
璃「うん、パートナーデジモンの進化演出は本当に凄かった。璃奈ちゃんボード『びっくり!』」
せ「では、璃奈さんには私が今言わんとしてることが、既にお分かりなのではないですか!?」
璃「もしかして・・・・・・この作品の舞台も此処お台場だって事?」
せ「はい、そうなんです!何と言う奇遇でしょう、私達の生まれ育った町であるこのお台場があのアニメの聖地でもあるんですよ!」
せ「何と言う巡り合わせ、何と言う浪漫ッ!くうぅっ、最・高です!!」
璃「じゃあ、せつ菜さんが言うお台場の守護者っていうのは、その選ばれし子供達とパートナーデジモンの事?」
せ「確かに彼等全員にお台場を救ったという実績がありますが・・・・・・このアニメを語る上で一番忘れられない存在は――」
璃「あ、私、分かったかも。せつ菜さんが思い浮かべてるのって――」
璃・せ「「――劇場版に出て来た、オメガモン・・・・・・!」」
せ「ですよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
璃「うん、やっぱりそうだった。私も劇場版のクライマックスは本当に良かった、って思う・・・・・・!」
せ「映画としては短い上映時間なんですが・・・・・・その少ない時間で伝えるべき情報がぎゅっと詰まった至極のクオリティですよね!」
璃「じゃあ、もしかしたら。栞子ちゃんの時に、奇跡の力でお台場のユニコーンガンダム像が動いたように、今度はオメガモンが来てくれるかも知れないね」
せ「なッ、何ですか、その神展開!?恐れ多くはありますが、もし実現したら一生の思い出ですね!」
璃「うん・・・・・・!璃奈ちゃんボード『キラキラーン!』」
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・・・・・・・・・・・・・・
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???『・・・・・・』
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???『――・・・・・・ココハ、ドコダ?』
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「――な、何ですって・・・・・・!?」
「高咲侑、貴女が帰ってくるのは少なくとも一週間後の筈・・・・・・何故!?」
スクールアイドル同好会のメンバー達が侑との再会に喜びを爆発させる中、理事長は自身の同好会を潰すという目的の為に一番邪魔になる存在が予想よりも早く帰っていたことに驚きを隠せずにいた。
「――それは、私が許可したからですよ。現理事長殿」
「お前はッ・・・・・・そうですか。元から全て貴方の策略の内と言う事ですか、前理事長」
そんな彼女の目の前に現れたのは、侑を含む音楽科転入試験生たちに同行し、共に留学先の地へ足を運んでいたおじいちゃん先生・・・・・・基、虹ヶ咲学園前理事長その人だった。
「既に高咲さんを含め、全ての転入希望生徒には特例で研修を切り上げ、帰還させました」
「勿論、彼等には既に短期留学修了の印と音楽科への転入許可を発行していますとも」
「貴女のしてきた数々の悪行も此処までです。さぁ、この老いぼれと共に舞台上から降りましょうぞ」
この地へ帰還するために生徒達と飛行機へ乗り合わせた時、彼の覚悟は既に固まっていた。
今回の騒動・・・・・・確かに自分は、只不幸が祟って追いやられた被害者なのかもしれない。だが、だからと言って自分がまだこの学園の一教師として存続出来ていたにも拘らず、数年に及ぶ彼女の愚行を黙って見て来た罪が裁かれなくなるというのはあまりにも不当。故に彼は、彼女を辞職へ追い込むと共に後見人となる新理事長を採用し、自身もその立場から退場する事にしたのだ。
「はッ、何を言うかと思えば!今更、貴方が何を言おうと全てが無駄、行動が遅すぎたのよ!」
「えぇ、全く以てその通りで御座いますな」
「ですが、今のこの身を賭してでも出来ることがあるのなら。私はそれをやり遂げる迄です」
現理事長がこの場で何をどう思おうが、全てを覚悟している彼を如何にか出来る術はなく。
「ぐっ・・・・・・一時撤退よ!」
「けれど、まだ諦めた訳じゃないわよ。精々、今の仮初の平和を愉しむといいわ!!」
状況不利と判断するや否や予め周りに待機させておいた委員会の下っ端たちを連れて、早急にその場から立ち去る理事長。だが、その姿を見送りながらも、彼は決して追いかけようとはしなかった。
「・・・・・・あの、せんせ――じゃなくて、理事長さん?」
「先生で構いませんよ、高咲さん。少なくとも今の私は只の一教師に過ぎませんので」
「は、はぁ・・・・・・」
自分の短期留学の付き添いの先生がまさか現理事長によって退任させられた前理事長だったとは思いも寄らず。侑は彼に、恐る恐る話しかける。一方、話かけられた彼は何時もの穏やかな笑みを湛えて、彼女に優しく返答した。
「老い先短い私をそこまで気に掛ける必要はありません」
「君達には先ず、彼女と言う先客の問題から解決する必要があるのではないかな」
そう言って、彼はベンチに座って俯いたままのランジュを見やる。それにつられるようにして侑も彼女の様子を横目で一瞥した。
虹ヶ咲スクールアイドル同好会を一時的とはいえ活動停止寸前まで追い詰めた、高咲侑の目には打倒するべき敵と映っても仕方のない所業をしてきたランジュ。勿論、他の同好会メンバーのみならず、侑の大切な幼馴染みである上原歩夢さえも危険な目に合わせようとした分、それに対する恨みや苛立ちが完全になかった訳ではない。彼女は、少し間を開けて考え、そして再び口を開いた。
「あ、そっか。ランジュちゃん・・・・・・でしたっけ、スクールアイドル部の」
「えぇ。今回の君達の一連の騒動、その中心人物こそ彼女です」
「今回ばかりは他の部活動の生徒も何人か被害に合ってはいるが、中でも特に被害を受けた君達にとっては何よりも打破すべき宿敵・・・・・・そうではないのかね?」
前理事長の言わんとしている事は全く以て正しいのだろう。だが、侑は思う。その判断は果たして、スクールアイドルを巡るモノとして本当に正しい事なのかと。
「確かに、彼女の行動で虹ヶ咲の皆や同好会の皆の”大好き”が踏み躙られたのは事実です」
「私だって、同好会の皆や結子、歩夢を危険な目に合わせた事は許せません」
自分はその時、留学先の地へ旅立っていて詳しい状況をはっきりとは知らない。しかし、今まで夢というものが特にこれと言ってなかった自分に夢を与えてくれた彼女達を。そして、旅立つ自分の代わりに自分の代理を務めてくれた友達を苦しめた彼女の罪を許さない。けれど。
「彼女もまた、スクールアイドルが”大好き”なら」
「私は――高咲侑は、その気持ちを肯定してあげたい・・・・・・!」
例え、多くの罪を犯したとしても。彼女もまたスクールアイドルに憧れてスクールアイドルを目指したのなら、その罪滅ぼしは同じスクールアイドル活動で返すべき。それが、留学中にあった出来事を仲間達から聞いた上で彼女が言える、最適解だった。
Side:ランジュ
――頭の中で繰り返し響く声。アタシのライブに来てくれた人達が口々に言い紡ぐ。
「お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ」
歓声も上げず、ライブ会場でよくみられるあの光るブレードすらも持たずに。彼等は只々虚ろな目で見つめ続ける。アタシのライブを。
「お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ」
止めて。止めて止めて止めて止めて止めて・・・・・・!アタシをそんな風に見ないで!!
『ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
曲が奇妙なエラー音に紛れて聞こえなくなり、堪らずアタシはステージの上で膝を抱えて蹲る。
「お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ 自分だけが お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ そうやってまた お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ 許されるつもりか お前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だお前は邪魔だ」
だって、それはアタシが望んでやった事じゃない!!
「――ダカラオマエニハトクニツミハナイト?ナゼソウイイキレル」
「センノウサレテイルト、ツゴウノイイヨウニリヨウサレテイルト、オマエハキヅイテイタハズダ」
そうだ、最初から気づいていた。アタシはただこの人達に利用されているだけだと。でも、幼いころから身近にいたその人を、その人の存在を不要と断ち切れるほどアタシはまだ大人じゃない。だから、気付かないフリをした・・・・・・気づいていないフリをした。自分からこの罪に向き合うのが怖くて。
「ジカクシテイタノナラ、ソレガオマエノツミダ ダンザイサレテシカルベキアクトクダ」
「ツグナエ、モトヨリキサマハニジガサキニフヨウ――ランジュ、イラナイ」
「オマエニスガルキボウハナイ、ソノイノチツキルマデゼツボウニサイナマレツヅケロ」
「――ツグナエ」
「償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え」
「お願い・・・・・・止めて。もう・・・・・・止めて・・・・・・!」
「償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え償え」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーザザッ。
「――・・・・・・ッ!!はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・!?」
「あれ、ランラン?どうしたの、そんな急に立ち上がって?」
目を覚ます。いや、正確には漸く色々と混濁した何かから意識が一時的に抜け出した様な感覚。視線を自分の周囲のあちこちに向けると如何やら此処は同好会の皆が開催を宣言していたゲリラライブイベント、その設営テントの中のようで――アタシのすぐ近くに愛がいた。
「愛・・・・・・?本当に、愛、なの・・・・・・?」
「えぇー、当然じゃん。ていうか、もう大丈夫なの?」
「トラックの中では全然目が覚めなかったのに、会場に着いたら急に目を覚ましてさ」
「でも、何かすごく心此処に非ずみたいな顔してるからずっと心配してたんだ」
彼女の、いつか見たあの時の優しい声と笑顔がアタシに向けられる。うん、良かった本当に本物の愛だ。アタシが、本当に心の底から友達になれてよかったと。そう思えた彼女のままだった。
「ご、ごめんなさい、愛。心配かけちゃって・・・・・・」
彼女については、アタシがただ単純にこの学校で新しい友達を作れるか不安だったから誘った。「部室棟のヒーロー」と呼ばれて皆から親しまれる、その所以は彼女の大らかさにあるもの。ある日噂で聞いた彼女がとある1年生の子を大層気に入っているらしいとの事。大勢の友達を持ちながら、その子にも気を配れる人情味あふれた優しさ。その優しさの恩恵が少しでも自分に向けられて欲しいと。そう願ったから、連れ出そうとした。
――結果は大失敗。逆に、アタシが彼女を大多数の人から強制的に奪ってしまっただけだった。
「別に気にしないでいいって!それより――」
「おーい、皆!ランランの意識が戻ったみたいだよ~!」
大丈夫、ちゃんと話せば同好会の皆も分かってくれるよ、と。そう付け足して、同好会の仲間のいるであろう野営テントの外へパタパタと出ていく愛。嗚呼、良かった。アタシはまだちゃんと愛されてる。見放されてなんかないんだ。
そして、そんな愛の呼びかけに応じて、テントの中へ入ってきたのは果林と栞子と・・・・・・ミアだった。
「何だ、起きれたのか。ボクとしては、てっきり死んだもんかと思ってたよ」
「ミア・・・・・・何でここに?」
「ボクは今休暇中だぞ、何処で何してようがボクの勝手だろ」
「それは、そうだけど・・・・・・」
「ま、仮に今死なれても困るんだけどね」
「ミア・・・・・・!」
「特に給与面の支払いとか、すっぽかしたままあの世にトンズラされるのは御免だよ」
あ、あれ・・・・・・?何か珍しく心配してくれるなぁと思ったらそう言う事?もぅ、酷いなぁ。
ミア、に関しては特に交流関係が特別あった訳じゃない。ただ、ママの伝手でテイラー家の人と出会い、歳も近いという事でアタシが自分一人だけが大人のプロに囲まれる寂しさを少しでも和らげたかったから、作曲のプロとしてスカウトした。
――あの時は強引さに身を任せて気づかなかったけど。まさか、関係性が友達以下のままだとは。
「あら、起きたのね。手間もかからなくてタイミングも良い、こっちとしては大助かりよ」
「果林・・・・・・」
「何で来てくれたの・・・・・・アタシの事、嫌いなんじゃなかったの?」
次に、アタシは果林にそう尋ねた。愛と部の方に来てくれた時に、果林だけが最初から当たりがキツくて。確かに洗脳されていたとはいえ、アタシのやっていた事はそれなりに酷い事だったから嫌われるのも当たり前と言えば当たり前。けど、その思いを抱えてるはずの彼女が、来てくれたのだ。
例えそれがどんな意図だったとしても、アタシはその事実が素直に嬉しかった。
「えぇ、そりゃあもう。貴女のせいで、一時期はエマと会えなかったんだもの」
「じゃあ何で・・・・・・?」
「・・・・・・貴女が回復してくれなきゃ、この問題が何時まで経っても終わらないままだからよ」
果林の答えは、世間知らずのお嬢様であるアタシが聞いても実に納得できる理由だった。付き合いがあまり長くなくたって分かる、彼女は愛みたいに優しくはない。けど、かえってその厳しさは時に相手への思いやりにもなる事を彼女は知っている。
「・・・・・・アタシに責任を取れ、って事?」
「分かっているなら話が早いわ。そ、貴女の行動は多かれ少なかれ他者の考えを否定していた」
「要するに、貴女の行動はただの勧誘とか価値観の共有でもなく、単なる脅迫でしかない」
「脅迫は誰の理解も生まなければ、一方的に相手を傷付けるだけなのよ」
彼女はれっきとしたプロである。スクールアイドルではなく、あくまでモデルではあるが。それでもその時の経験が活動全体を通して活きない筈がない。きっと、その厳しさをアタシは求めたんだ。洗脳されている状態にあっても、彼女の噂を耳にしない日はなかったのだから。
『ねぇ、知ってる?3年生の、朝香果林さん』
『あ、知ってる知ってる!私、あの雑誌定期購入してるからずっとファンなんだよね!』
『分かるぅ~!カッコよくて、美人で、スタイルも良くて・・・・・・あんなの絶対虜になっちゃうよね!』
廊下ですれ違った同級生たちがそんな話をしていた。憧れの上級生、もしそんな人が学年の垣根を越えてアタシの友達になってくれたら。そう考えたら、彼女を何が何でもスカウトしたくなった。プロの彼女には、絶対に此方のプロの環境の方が似合うだろう、気に入ってくれるだろう、と。
――まぁ、結局。それはただの自分勝手な憶測に過ぎなかった訳だが。
「ランジュ、無事ですか!?」
「シオ・・・・・・うん、何とかね」
最後に。アタシがこの中で唯一胸を張って”親友”と呼べる、大切な幼馴染み。うん、彼女に関しては知り合った経緯で特に迷惑はかけていない、と思う。でもきっと、彼女には今までそれ以外の部分で少なからず迷惑を掛けてきたのだろう。本来なら、呆れて途中で目の前からいなくなってもいいはずなのに。シオは何時だって、アタシの隣にいてくれた。
――カッコ悪いな。アタシ、一応シオよりも1つ年上のお姉ちゃんのはずなのに。
「・・・・・・ランジュ、体調が大丈夫そうなら私のお願いを聞いてくれますか?」
「お願い・・・・・・?ふふっ、いいわよ。シオがそこまで言うなら、聞いてあげる」
普段からしっかりしていて頼み事を滅多にしてこないはずのシオが、アタシにお願いをしてきた。あ、もしかしたら今なのかもしれない。彼女に、シオにお姉ちゃん面してあげられるのは。アタシは、無言でこくりと頷くと、シオが嬉しそうに微笑んで。
「ランジュ、貴女には是非――でもらいたいのです」
あれ・・・・・・?今、シオの声が何か一瞬だけ変なノイズ音のせいで、聞き取れなかった。
アタシは、シオに聞き直してみる事にした。
「あ、ご、ごめん、シオ。ちょっとボーっとしてたみたいで聞き取れなかったわ」
「ええ、本当に大丈夫なんですか?・・・・・・分かりました、もう一度言いますね」
「お前は要らないお前は要らないお前は要らないお前は要らない ランジュ、お前は要らないお前は要らないお前は要らない 貴女には お前は要らないお前は要らないお前は要らないお前は要らないお前は要らないお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らないお前は邪魔だお前は要らない」
「――此処デ、死ンデ貰イタイノデス」
Side END...
「では、ライブの成功を祈っているよ」
「はい、先生・・・・・・!」
その頃、ランジュと愛、果林と栞子とミアのいる野外テントの外では前理事長と侑の会話が終わり、前理事長が護衛役を引き受けたμ’s・・・・・・ムーンカテドラルに連れられて学園内へと向かおうとしていた。
「それじゃあ頼むよ、希くん達」
「任せといてくださいな、理事長様」
前理事長が後ろを振り返って虚空に呼びかけると、今まで姿が見えなかった彼女達が刹那の内に姿を現す。最早、スクールアイドルと言うよりかは忍とかくノ一とかその類である。
「それじゃあ、ここで班分けしよか。長谷部君とことりちゃんは学園に着いた後も引き続き護衛、ウチと穂乃果ちゃんと海未ちゃんは獠ちゃん追っかけながら他メンバーと合流ね」
「どうせアンタん中ではもう決定事項なんだろ。いいですよ、付き合いますよっと」
「うん!私、理事長様のお役に立てるように頑張るね!」
「絵里ちゃん達、本当に来てくれるのかな・・・・・・忙しくないのかな???」
「合間を縫って皆来てくれるようですから。あまり無理をさせないようにお願いしますね、穂乃果」
次の指定場所までの作戦概要を話し合い、車を発進させようとした・・・・・・その時。
「――嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
テント内から聞こえてきたのは、耳を劈く様な悲鳴。それが上がると同時に、周辺で待機していた同好会メンバーとNLNSメンバー達がテント前に一堂に会した。
「結子、今のって・・・・・・!」
「うん、間違いない。彼女・・・・・・ランジュだ」
先程、愛や果林達が入っていった野外テント。少し耳をすませば微かに楽しげに話す団欒の様なものが聞こえてきていたその中で何があったというのだろうか。彼女達は急いでテントの中へ入る。すると。
「――止めてっ・・・・・・!止めて止めて止めて止めて止めて!もう来ないでッ・・・・・・!!」
「ちょ、ちょっと!?アタシ達、ランランに何も酷いことしてないじゃん・・・・・・ねぇ、止めてよ!?」
「sit...まさか此処まで悪化してるなんて。中途半端な状態でいたことが仇になったか・・・・・・!」
「一体何が・・・・・・!?ランジュ、落ち着きなさい・・・・・・!!」
「ランジュ、さっきから一体何を――あ、皆さん!ランジュが、ランジュの様子がおかしいんです!」
――室内を見て、全員が唖然とした。テント内に設置されていた簡易ベッド、その上に掛けられていた毛布類は全て床に散乱し、敷布団も強い力で引き裂かれたような傷があちこちに出来て、新品同然だったのがもうボロボロにされていて。果林達が用意したであろう、お見舞い用のパイプイスは4人分全てが薙ぎ倒され、ありとあらゆる物が散乱している荒れ果てた状態になっていたのだ。
「何があったの・・・・・・栞子ちゃん!?」
「そ、それが私達にも分からないんです。私がランジュに私のライブを見てほしいと言った途端、こんな感じでいきなり半狂乱状態で暴れ出してしまって・・・・・・!」
「駄目ッ、来ないで!!いや・・・・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女は手にした枕をブンブンと振り回しながら、宥めようと接近を試みる愛と果林を一向に近寄らせなかった。涙が溢れて、ぐしゃぐしゃになった顔で、何かに怯えるように、一心不乱に。
「あ、そういえばさっき――ミアちゃん!」
原因が分からない以上、対策のしようがないのは明らかだ。だが、結子は先程テント内に入った際に聞いたミアの言葉が引っ掛かり、その言葉の真意を彼女に問う。
「お喋りな委員会の犬から聞いたんだけどね」
「ランジュに施された洗脳は、呪いとかトラウマを利用して強い洗脳を掛けるっていう、その術式自体が単独でも作用するように仕組まれた、とある古い術式を利用してるんだ」
「だから、今それがアイツの中に生まれた一筋の希望・・・・・・みたいなものを検知して。それに掻き消されそうになったから、生存本能でアイツのトラウマに強制アクセスしてこうなってる、と思う」
掛けられた時間が長ければ長い程、その術式は強く心に爪痕を刻み込み、最終的には幻聴や幻覚によって掛けられた者の精神を崩壊させるまで導く。謂わば対象の『心』に寄生する術式。
完全に消し去るには、その術式が与える効果を撥ね退ける位の強くて大きな希望の光を彼女に灯してやらなければならないのだと言う。
「それで、その希望に光とやらはあの子に何を見せたら灯るの!?」
「ボクが知る訳ないだろ。大体洗脳されてて探りようがないアイツの腹の中なんて、さ」
全く以てその通り。では、一体誰が彼女が過去に背負った何らかのトラウマを掻き消せる程の光を示せるのか・・・・・・そこまで考えて、結衣はふと前に聞いた彼女の言葉を思い出す。
『――貴女もシオと同じでお堅いのね。同じ学年なんだし、普通にランジュでいいわよ?』
『大丈夫よ、アタシは絶対に貴女もシオも彼女達も助けてあげられるわ』
残念ながら、私が彼女と会話したのは初めて邂逅したあの時しかない。けれど、多分その洗脳状態が極めて安定していた頃からずっと彼女が無意識に呼び続けていた名前。彼女がシオと呼ぶ人物はこの中に一人しかいない。そして、何より。
『あ、そうだ!ね、ユイユイはアタシ達の
『
それは、ゲリラライブ会場でまだ彼女が完全に意識を取り戻していない・・・・・・現理事長との対決を終えて開催準備に取り掛かっていた時の事。愛さんが突然、そのような突拍子もない質問をしてきたのだ。私は当然、何のことか見当もつかず、首を横に振る。
『じゃじゃーん、これが
『わ、凄い・・・・・・ていうか、どうなってるの、これ?』
『あっはは、それが今のところ愛さん達も何であるのか分からないモノなんだけどさ』
『実は会場に向かう前に何かせっつーがね――』
愛さんが言うには。車内で保護したランジュを様子見を兼ねて見張っていたせつ菜ちゃんが、彼女の無事を確認しようと脈に触れる為に腕を触ったところ、不意に何処からか男の人の声が響いてきたのだそうだ。そして、その男が誰かに向けて伝えた言葉が。
『栞の紋章を持つ少女・・・・・・?』
『そう。まぁ、もう大体見当ついてるかとは思うんだけど、その栞の紋章を持つ少女ってさ』
『もしかして、栞子ちゃん?』
『おぉー、大正解!そ、だからもし何かがあった時にランランを救えるのはしおってぃーかも知れないって事!』
もし、あの時の愛さんとの憶測合戦で愛さんが語った話が事実なら。恐らく、この事態を収束させるために必要な事は。
「栞子ちゃん、予定通りライブはやってくれるんだよね?」
「そ、それは・・・・・・はい。一応、せつ菜さんのライブを見てから連続で来てくださる方もいるので」
「ん、分かった。じゃあ、それを黙って見させる為に」
「先ずは、私が今の彼女を止めて見せる・・・・・・!」
正直、コンディションとしては理事長との戦いのダメージがまだ残っている為、余りよろしくはない。
そして、彼女も理事長と同じく鐘家の人間だ、それなりの強さを持っている事は間違いない。だが、それは彼女があくまで平常時だった場合。過去のトラウマに縛られ、精神的に不安定になっている彼女ならば・・・・・・私にも十分勝機がある!
「嫌・・・・・・アタシは・・・・・・アタシはもう関わらないから!何もかもから、逃げさせてよッ!!」
「そんなことさせるか、貴女には自分の犯した罪と向き合う責任がある・・・・・・!」
「そうでなきゃ、貴女が今まで傷付けてきた人達が。何より貴女自身が前に進めなくなる!」
精神集中・・・・・・思えば、私の腕が未熟過ぎるが故に今まで型を使ったとしても初めて使う技の為、どうしても粗さが目立ってしまっていた。だが、この奥義だけは雑に熟すつもりはない。
「舘家流番外秘伝奥義――」
心に一定量以上の闇を抱える人へ。そして、現状としてその状況からの脱出を望む者の背中を押すエールの様な気功を送る技。この私、舘結子が武道の先に見つけた本来の願いのカタチ。
「――・・・・・・
「かはっ・・・・・・!?」
――
全てのスクールアイドルとファンの心に刻み込まれた、嘗てのμ’sの放った光。何かを推す推さないの前に私達に課された使命の様なモノ。全てを拒んではいけない、その意志を宿した一撃。
ただ彼女を完全に呪縛から解放するには、私だけの力では足りない。だからこそ、彼女と同じ立場であるスクールアイドルの誰かがもう一押ししなければ。
「あれ・・・・・・アタシ?一撃喰らったはずなのに・・・・・・痛くない?」
少し間をおいて。私から一撃をもらった彼女が、目を覚まして立ち上がる。よし、今だ・・・・・・!
「栞子ちゃん、準備はいい!?」
「あっ、は、はい!」
「侑、璃奈ちゃん、ステージの環境設定終わってる!?」
「「勿論、ばっちりだよ・・・・・・!」」
「集客状況、待機時間、オールコンプリート。その輝きで闇を払え、栞の
――私の叫びを合図に、栞の紋章が光を放ち、その両隣で美貌の紋章と友愛の紋章が輝く。
皆の期待を一身に背負った栞子ちゃんの、人生初の大勢の観客の前でのライブが幕を開けた!
Cross Side:ランジュ・栞子
――その時、アタシの視界に映ったのは、シオの全力を込めたステージ。
――聞こえていますか、ランジュ。私の歌が。
昔から、ずっと自分がお姉ちゃんだからと世話を焼きたかった、守ってあげたかった彼女の姿が。今は何だか凄く遠くに見えて。
『――なら、わたしつよくなる。つよくなってランちゃんといっしょにはしりたい!』
幼き頃。彼女がまだ自分よりも弱かった時に彼女が口にした言葉。その当時のアタシはいつかその時がゆっくりと訪れるはず、そう感じていたのだが。
昔から、貴女は私にとって強さの理想の様な人で。でも、その分孤独になりやすくて寂しがりで。そんな貴女だったからこそ、私は今こうして再び貴女を支えようとしているんです。
『シオもがんばれば、わたしみたいになれるわ。きっとまちがいないわよ!』
貴女のそんな言葉を信じて、私は今まで頑張ってこれたと言っても過言ではありません。だから、このステージは私と離れてからきっと色々なものを背負いすぎた貴女へ捧げる、私なりのエールを綴った曲。
「そっか・・・・・・アタシが此処で立ち止まってる間に、シオはずっと先に行っちゃってたんだ」
誰よりも優れたスクールアイドルとして、プロの力を借りてまで辿り着こうとしたけれど、こんな状態のアタシがどんなに足掻こうと辿り着けなかった光り輝く回廊の先。そこに最初から彼女はいたのだ。このアタシがスクールアイドル部なんかに誘うよりもずっと前に。彼女はそこに辿り着いていたんだ。
「(きっと、本来の貴女がまだそこにあるならば。これが終わった後に、私が何か言わずとも察してくれるでしょうから)」
願わくば、このライブが終わったその後に・・・・・・本来の強い貴女がそこにいますように。
ライブ会場が大きな歓声に包まれて。気付いた時には、アタシは見知らぬ草原に一人立っていた。
いや、見知らぬ場所なんかじゃない。ここは、きっと。
『・・・・・・やぁ、また会えたね。ランジュ』
『貴方は・・・・・・あの時の・・・・・・!』
『ふふ、覚えていてくれたのかい。それは有り難いな、実に喜ばしい事だ』
いつかの夢の中に出て来た男の人が、アタシの目の前に現れた。あの時は彼の顔は靄の様なものがかかってよく見えなかったが、今ははっきりと分かる。
『・・・・・・!』
そして、思い出した。この男の人は・・・・・・彼は・・・・・・!
『――・・・・・・パパ・・・・・・?』
『ッ・・・・・・!?ランジュ、まさか・・・・・・全部思い出した、のかい?』
次の瞬間、彼の顔が驚きを隠せないと言わんばかりの表情を浮かべた。嗚呼、やっぱり。今まで洗脳によって委員会の土井を父親と思い込んでいたが。アタシにもいたんだ、こんなに優しくて頼りになりそうな、そんな父親が。
アタシは、凄く嬉しくなって目の前の彼・・・・・・パパに思い切り抱き着いた。
『パパ・・・・・・パパ・・・・・・!』
『あぁ、そうだ。私は、君の本物のパパだよ。ランジュ・・・・・・!』
いきなりだったにも拘らず、パパはアタシをその場で優しく抱き留めてくれて。そうだ、アタシのパパは10年前にママと離婚して、別々の場所で暮らすことになったんだった。
『パパ、今まで忘れててごめんなさい・・・・・・!』
『いいんだよ、ランジュ。今は、君が私を思い出してくれた・・・・・・それだけでいい』
『小さい頃にいきなり居なくなるから心配したんだから、寂しかったんだから・・・・・・っ!』
『あぁ、色々と不安にさせてしまって済まなかったね、ランジュ。けど、もう大丈夫だ』
幼少期、何方かと言えばパパ大好きっ子だったアタシは、突然のパパの失踪に不安に駆られてしまった。当時は何度も夜に涙を流して、ママに気付かれないようにひっそりと泣いたりもした。
『しかし、君がこうして完全に自我を取り戻したのなら。これはもう、君のモノだ』
そう言って、パパがアタシの目の前に差し出したのは。シオのステージの時に見えていたあの光り輝く何かの印のようなモノ。
――シオのとは、全く似ても似つかない。ましてや、その時にシオのそれとはまた違う、両隣に現れた同じように光る印の様なモノ。それらとも違う別の何かを象ったであろうモノ。
『それは、君の・・・・・・君だけの
『アタシだけの・・・・・・紋章・・・・・・?』
『その紋章の名は、「煌めき」の紋章』
『君が目指すべき、君本来の姿でのスクールアイドルとしての可能性のカタチさ』
それは、アタシの掌の上でゆっくりと回転しながら、キラキラと光り輝く。まるでアタシにはまだスクールアイドルとしてやり遂げなければならない何かがあると訴えかけているかのように。
『君のそれは染まりやすいが、その分他の紋章に負けない力強さを持っている』
『さぁ、ランジュ。それをもって君の果たすべき責任を果たしてくるといい』
『アタシの・・・・・・果たすべき責任』
『うん、分かった。アタシ、皆の所に行ってくる・・・・・・!』
『あぁ、そうしなさい。そして、その後に君が選ぶべき道を選ぶといい』
『此方に戻って鐘家の人間として責任を果たすか、其方でスクールアイドルとして責任を果たすか』
『私は、君が何方を選んでも。ランジュ、君の味方でいよう』
『・・・・・・ありがとう、パパ。そうだね、何時までも逃げてばかりじゃいられないよね』
『ほら、君のお友達が迎えに来たようだよ』
パパがそう言って指差した方向を見ると、遠くの方からアタシに向かって走ってくる見慣れた影が一つ。あれは。
『ランジュ・・・・・・!』
――アタシの、一番大好きで一番大切な友人の、シオだった。
『シオ!?えっ、此処アタシの心の中とかじゃないの!?』
『強ち間違ってはいないけどね。正確に言うなら、此処は君の精神世界のような場所だ』
『そして、彼女は私の力を使って招待した。・・・・・・嫌だったかな?』
正直、アタシの知っている知識の範囲では心の中と精神世界の違いが良く分からないけれど。まぁ、シオだから別に大丈夫か。何せ、アタシよりもアタシの事を知ってる子だからね。
『ランジュ、このお方はもしかして・・・・・・?』
『パパよ、アタシの!』
シオがアタシの後ろにいるパパを見て、そう言う。アタシが自信満々に自分の父親だと告げると、シオは少しびっくりしたような。けど、同時に喜びを噛み締めているかのような何とも言えない表情で。
『この人が・・・・・・ランジュのお父様』
『やぁ、初めまして、三船栞子さん』
『こ、これはどうも、ご丁寧に・・・・・・!』
パパに挨拶を返されたシオは何時もの通り、ぎこちない動きで頭を下げる。もぅ、ホントに昔から頭が固いんだから。
『それより、早く行きましょ!皆が待ってるわ!』
『ランジュ・・・・・・えぇ、帰りましょう。皆さんの所へ・・・・・・!』
シオの手を取り、アタシは後ろにいるパパの方は振り向かず、前へと進み続ける。きっとパパとはこの騒動が終わった後に何処かで会える、そんな気がしたから。
『ふふふ、如何やらランジュは昔とは比べ物にならない位、強くなってしまった様だよ』
『嘗て私が愛した女性よ、貴女は彼女に勝つことが出来るかな』
――徐々に遠ざかっていく彼女達の後姿を見送りながら、彼はそう呟いた。
「――・・・・・・遂に、戻って来てしまったか」
同好会メンバー達が大波乱を迎えていた中。μ’s基、ムーンカテドラルメンバーの長谷部祐介と南ことりを連れて虹ヶ咲学園の前理事長は、学園の敷地内へと足を踏み入れた。
「気を付けろよ、アンタは今、委員会の連中からいつ狙われてもおかしくないんだからな」
「あぁ、分かってるとも」
「しかし、あれだな。実際に自分がそう言う身の上になってみると、不思議とワクワクしてしまうな」
「燥ぎたい気持ちは分からんでもないが・・・・・・程々に頼むぜ」
護衛の二人に守られるようにして歩を進める前理事長が玄関前まで近づいた時、その目線の先に一人の男が立っていた。当然、護衛を担当している二人は即座に警戒を強める。
「――おや、アンタが噂の理事長様かい?」
「あぁ、そうだ。私が、虹ヶ咲学園の前理事長だ。・・・・・・そう言う君は?」
「じゃあビンゴってワケか。オレは、監視委員会の飴野口。土井様に命じられて此処を守る門番さ」
やはり、というべきか。目の前の相手は監視委員会の手先の一人であった。
「テメェ、やっぱり委員会の・・・・・・!」
「おっとお!止めときな、ムーンカテドラルの長谷部祐介」
「そこから一歩でも動いて見ろ、テメェら纏めてハチの巣にしてやるからよォ・・・・・・」
男の言葉になるべく隙を生まぬように周囲を見渡す祐介。だが、その周囲にはその男以外の気配はまるで感じなかった。・・・・・・ただのハッタリだろうか。
「ことり、レーダーの反応はどうだ?」
「レーダーには何も検知されてないみたいだよ、ゆーちゃん」
「ほほう、此処に来てまさかのブラフを仕掛けてきましたか。委員会も大分焦っておりますなぁ」
「うるせぇな、爺!黙れやァッ!」
すると、いきなり男が銃を構えて発砲してきた・・・・・・その弾が前理事長に当たる事はなかったが。
「クソ、当たんねーじゃねぇか。クソ、クソ、クソッ!!」
男は何故か逆ギレを起こして再び発砲する、今度は数発。だが、それも当たらない。
「ゆーちゃん、これはまさか・・・・・・」
「あぁ、そうだな。登場の雰囲気から中堅かと思ったが。戦闘慣れしていない只の下っ端みたいだ」
「狙いが上手く定まっていないようですな。彼は恐らく銃を握るのは初めてなんでしょう、きっと」
銃を撃つ時に若干手の動きにもたつきがある事や、足元を見れば膝が笑っていることから、目の前の敵が自分達よりも遥かに格下だと分かった祐介達はある程度の余裕を見せ始める。
当然その男がそれをみて、取り乱さない訳がなく。
「さっきから聞いてりゃあ言いたい放題言いやがって!ぜってー殺してやる!!」
無我夢中でトリガーを引きまくる。一発、また一発、もう一発。だが、一向に当たらない。
そして、彼の持つ拳銃は取り分け充填数が少ない仕様のモノ。それを連発し続ければ何れ。
「くそッ・・・・・・もう弾がねぇ!?」
弾切れを起こすのは時間の問題であった。
「・・・・・・行くぞ、ことり、理事長さん。アイツに構う事はねぇ」
「う、うん!理事長さん、こっちへ・・・・・・!」
「やれやれ、何とも興醒めで御座いますなぁ」
案の定、彼はその場で易々と標的に道を譲る結果となってしまい、気付いた時には一人だけ取り残されていた。
「逃げ足が速い奴らめ・・・・・・次は必ず――あ゛?」
『バクン』
捨て台詞を吐き終わるより前に。自分の頭上から振って来た巨大な白蛇に、頭からすっぽりと飲み込まれてしまい。
『グシャ、バキバキ・・・・・・ゴクン』
『フー・・・・・・やっぱりそんなに美味しくないわね』
『不味過ぎて、馬にはなれなかったワ』
こうして、監視委員会の飴野口は、歩夢のペットであるオロチに丸吞みされ、絶命しましたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。
「――いや、弱過ぎなんだけど、マジで!!」(by作者のツッコミ)
はい、如何でしたでしょうか。……上手くこれまでの伏線回収できてたかな?
やっぱり、私としてはこのランジュを同好会側に引き入れる前に栞子には是非とも活躍してほしいと言う事でこの展開で描きました。スクスタ運営はきっと、こういう展開すらもう出しては来ないでしょう……頼むから、しお子の出番をくれぇ!!あの子、スクスタでは未だにまともに同好会の活動どころかスクールアイドルとしても活躍で来てないのよ!?
でも、ランジュの私服初披露は良かったし、練習着エロくて最高でした。(こなみかん)
さて、泣いても笑っても、次回からいよいよ運命の最終章!私が愛の溢れるままに作り出したランジュの行く末を、どうか最後まで見届けてやってください!!よろしくお願いします!!