アニガサキ!-PASTEL COLLARS- 外伝 Episode of ランジュ   作:海色 桜斗

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5-3「終局のオメガ」

「フ、フハハハハハハ!見ろ、お台場がゴミの様だ・・・・・・!」

 

土井がユニコーンガンダムによって炎が燃え広がっていくお台場の景色を眺めながら、顔面を狂気に歪ませる。ただの一度、自らの壮大な計画を破綻させたこの街が。皮肉にも以前に街を守った守護神から矛を向けられ破滅していく様が、この男にはこれ以上ない程に愉快に思えてならないのだった。

 

「さぁ、ユニコーンガンダム!嘗てお前が守ったこの土地に、今こそ反逆の意思を唱えよ!」

 

「――土井、今すぐその兵器を止めろ・・・・・・!」

 

「来たか、冴羽。そうだろうな、あのポンコツ殺戮兵器が貴様に敵うはずもないのは重々承知だ」

 

そんな中、このお台場と言う戦場において再び土井の前に姿を現したのは・・・・・・紛れもない、彼の絶対的な宿敵・シティーハンターの冴羽獠。

 

「悪いが、その相談には乗れんな。何故なら、私はまだ復讐を終えてはいないのだから・・・・・・!」

 

「なら、貴様を今此処で葬って止める。それまでだ」

 

冴羽は彼を睨んだまま、銃口を其方へ向ける。だが、彼はそこで意外にも冷静を装った。

 

「おっと、待て、冴羽。そう焦るな」

 

「この地は私にとっての最終決戦場。故に、貴様が今取ろうとした軽率な行動が、更なる絶望を生んでしまうかもしれんが・・・・・・いいのか?」

 

「何、どういう事だ・・・・・・!」

 

「”アレ”が見えるか、冴羽」

 

そう言って彼は、自らが立つ東京DIVERCITYの屋上の一角を指さす。そこにあったのは。

 

「時限、爆弾・・・・・・!?」

 

「ああ、そうさ。しかも只の時限爆弾じゃあない。アレはほんじょそこらのものより遥かに一級品」

 

「此処お台場だけじゃない、東京中を死の街へと変える・・・・・・原子力爆弾だ」

 

「そして、その爆弾を解除する為に唯一必要な起爆コンソールはあの中にある・・・・・・!」

 

彼が再び場所を変えて指示した方向。それは今まさに虹ヶ咲の面々のいる方角に向かってゆっくりと歩み寄る暴走したユニコーンガンダムの頭部だった。

 

「無論、貴様の銃でも数十発は撃ち込まねば破壊は不可能なようにしてある」

 

「さぁ、どうする冴羽ァ!私を此処で撃ち殺しても、あの爆弾を止めねば意味がないぞォ!!」

 

「くっ・・・・・・!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――最悪な結末は何時も唐突に訪れる。そう、今日もあんな事態になっている時に限って。

 

「死ねェ、高咲侑!!」

 

『パァン!』

 

「え――」

 

「侑ちゃん?――侑ちゃん!?」

 

 

Episode of ランジュ 最終章3節

終局の  オメガ

  

 

歩夢の悲鳴を皮切りに、同好会メンバーが一斉に倒れている侑の元へと駆け寄り、声を掛ける。

 

「そんな・・・・・・侑先輩、嘘、ですよね・・・・・・嘘って言ってくださいよぉ!!」

 

「侑さん・・・・・・どうして・・・・・・!?」

 

「ゆうゆ・・・・・・お願い、目を開けてよ、ゆうゆ・・・・・・!」

 

「侑ちゃん、それは、駄目だよ・・・・・・まだ、侑ちゃんは、おねむする時間じゃないんだよ!?」

 

「侑さん。ねぇ、私、まだ侑さんに、教わる事、一杯、あるのに・・・・・・ッ」

 

「侑さん・・・・・・?そんな、こんな事って・・・・・・!?」

 

「侑ちゃん・・・・・・まだ、まだ私、色んな人の事ポカポカにできてないよ・・・・・・っ!」

 

「ね、ねぇ、侑?また何時もの冗談とかなんでしょう?――・・・・・・ねぇ、何とか言いなさいよ!」

 

「そんな・・・・・・私、まだ貴女にきちんと恩返しできてないんですよ――いいんですか!?」

 

「侑・・・・・・嘘だ、私は一番、大切な人を・・・・・・・守れ、なかった・・・・・・!?」

 

「sit最悪だ・・・・・・」

 

かすみが、せつ菜が、愛が、彼方が、璃奈が、しずくが、エマが、果林が、栞子が、結子が、ミアが。各々が呼びかけるも侑は一向に目を開けてくれない。そんな彼女の頭部からは、べっとりとした血が顔を伝い、頬を伝い、地面へと滴っていた。

 

「嘘・・・・・・侑ちゃん!?ねぇ、しっかりして、侑ちゃん!!」

 

「あ・・・・・・あゆ、む・・・・・・?」

 

「侑ちゃん・・・・・・ッ!」

 

「「「「「「「「「「「「侑(ちゃん)(さん)(先輩)(ゆうゆ)・・・・・・!!」」」」」」」」」」」」

 

だが。歩夢が再び呼び掛けた時、侑の目が朧気に開き、地に伏した腕をゆっくりと上へ掲げた。歩夢は迷わずその手を取り、同好会のメンバー達は次々と声を掛ける。

 

「ご、め――みん、な・・・・・・」

 

「わ、たし・・・・・・もう、うご、けない、や」

 

「ッ・・・・・・何で、何でそんなこと言うの、侑ちゃん・・・・・・!」

 

今の侑の言わんとしている事を理解した歩夢はその事実を否定しようと力強く首を横に振る。しかし、侑はそんな幼馴染みの様子を見て、苦しげに何時もの笑顔を見せた。

 

「えっ、へへ。なん、と、なく――か、るん、だ。も――だって、さ」

 

「侑、もういい・・・・・・もう喋らなくていいから、早く病院に・・・・・・!」

 

「ゆ、い――んね・・・・・・やく、そく、まも、れ、ない」

 

「真姫さん、何とかならないんですか・・・・・・このままじゃ、侑は!?」

 

最後の希望とでも言うべき真姫の方へ顔を向ける結子。だが、真姫は。

 

「最善を尽くしたいけれど・・・・・・ごめんなさい、その状態では、もう――」

 

「あ・・・・・・でき、れば、もう、ちょ、っと――たか、った・・・・・・」

 

「侑!?」

 

「・・・・・・」

 

「侑ちゃん・・・・・?待ってよ、ねぇ、いつもみたいに返事してよ・・・・・・っ!」

 

やがて。侑の辛うじて開いていた虚ろな目は完全に閉じられ、歩夢によって握られていた手が力を失い、彼女の手の中からずるりと下へ滑り落ちた。

 

「嫌・・・・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

2020/9/20(Fri) PM20:16
虹ヶ咲スクールアイドル同好会 名誉部長 高咲侑 死亡

 

 

Side:ランジュ

 

「そんな・・・・・・アタシのせい、なの・・・・・・?」

 

同好会の皆が、ユイが。侑の亡骸を前に涙を流して、蹲る事しかできなくなっていた。その悲痛を極めた光景には《ムーンカテドラル》もAqoursもNLNSも。この場にいる全員が絶望に打ちひしがれるしかなかった。

 

その中で、アタシは怒りに震えていた。何故なら、侑を狙撃し、死に至らせた人物は。

 

「ッ・・・・・・何で。何で侑を撃ったの、ママ!?」

 

他ならぬ、アタシ自身の肉親である人だったのだから。

 

「あっはははははははは、死んだわ!漸く、同好会の、あの、煩わしい小娘が・・・・・・!!」

 

「えぇ、そうよ。そのまま絶望の中で泣き続けているといいわ!どうせすぐにアナタ達全員を同じ場所に送ってあげるから、アハハハハハハハハハハハ!!」

 

この状況下だというのに、仮にも自ら理事長として在籍した学園の生徒を殺めておいて。それでも狂気に染まった光悦の表情で笑い続ける。

 

――あぁ、そうか。この人は。もう、アタシのママじゃない。只の殺人快楽者になってしまったんだ。

 

「ランジュ。アナタ、ほんの少し仲間に加われた程度で調子に乗るんじゃないわよ!当然じゃない、何もかもアンタのせいでこうなったのよ!精々、自身の愚かさを――こはっ!?」

 

「――本当に愚かなのは、ママの方よ」

 

精神を研ぎ澄ます。そして、先程の戦いでユイが見せてくれた戦い方を思い出す。

 

「アタシは、その程度の覚悟で、同好会の皆と向き合ったわけじゃない・・・・・・!!」

 

今のアタシに必要なものはスピードとか勢いなどではない、足りないのは”練度”。一つ一つの技に対する編み込みが全くなっていないのだ。

 

――ならば。

 

「鐘家百八奥義・参拾弐の型、大紅蓮・崩華燕閃!!」

 

「ぐはっ・・・・・・!?」

 

どのジャンルの物事においても、全て()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のがアタシの生まれ持った才能、一つのポテンシャルだ。

 

「鐘家百八奥義・四拾八の型、絶翔炎舞・神樂!!」

 

なら、今この時、その奥義全てをこの人へ打ち込んでしまえばいい。

 

――二度と、アタシと同好会の皆の前に立ちはだかれないように。

 

――二度と、こんな馬鹿げた真似が出来ないように。

 

「鐘家百八奥義・五拾七の型、裂旋紅蓮廻拿!!」

 

技の連続使用による影響か、周辺に巻き起こる突風で上着と髪が暴れ、のた打ち回る。

 

「――五月蠅い」

 

上着をその場で脱ぎ捨て、髪は瞬時に後ろ手に束ねてポニーテールにする。

これで、さっきよりは多少身軽になるはずだ。

 

「はッ・・・・・・げほっ、ごほっ!?奥義、ばかりを、むやみやたらに使っていたら・・・・・・先にアンタの身体が限界を迎えるわよ。そうなっても、いいのかしらァ!?」

 

「構わないわ。だって、今のアタシは皆の為の礎になる覚悟は出来てるんだから・・・・・・!」

 

ユイとの共闘で与えたダメージがまだ残っているはずなのに、あの人はまだ倒れない。まだ足りない、あの人を完全に叩きのめすには、あと何発放てばいいのだろう。

 

「鐘家百八奥義・六拾壱の型、大螺旋・廻廊天舞!!」

 

――身体の奥が、焼けるように熱い。腕や脚に段々と乳酸がたまり、ビリビリとした痺れが動きを鈍くしようとしてくる。だが、まだだ。

 

「鐘家百八奥義・七拾五の型――」

 

「ちッ・・・・・・好き放題、やってくれるじゃない、のッ!!」

 

「しまっ――きゃああああああああああああああああっ!?」

 

次の型を繰り出そうとしたが、思わぬ角度からの反撃を喰らい、数メートルほど吹き飛ばされる。

身体中に、さっきまでの筋肉の痺れと激痛が襲う。ま、だ――諦め、られないんだから・・・・・・ッ!

 

「――ランジュ様」

 

「う、くっ・・・・・・!?」

 

ほんの僅か、ぼそりとアタシの名を呼ぶ誰かの声が聞こえて。アタシの脚と胸部に2発の弾丸が打ち込まれた。弾が飛んできた方角を見ると、そこにはNLNSの中で一番華奢な体をしている儚げな佇まいの少女がライフル銃を構えて此方を見ていた。

まさか、此処に来てNLNSから標的にされたのだろうか。不意にそんなネガティブな考えに辿り着いたが、彼女の発言でそれは杞憂であると思い知る。

 

「ランジュ様より、極度の筋肉疲労と中規模の負傷を確認。それ故、文乃は貴女様の援護の為、増強剤とモルヒネ弾を撃たせて頂きました」

「これで、何もないよりは確実に。貴女自身の命運を賭けた戦いへ、より一層集中なされるでしょう」

 

彼女の言う通り、次第に身体中を駆け巡っていた痺れと激痛が和らぎ、動きやすくなる。

 

アタシはすかさず彼女の目を真っ直ぐに見つめて礼を言う。すると、彼女は。

 

「貴女様の鋼の如き覚悟、しかと見届けさせて頂きました」

「よって、今より我が瞳、豊玉のご加護を貴女様にも。如何様にも、お使いくださいませ」

 

彼女・・・・・・フミノの、全てを見透かされそうな程綺麗な緋色の瞳がアタシを一点に見つめてくる。

最初から退路等ないと思っていたが、如何やら僅か一つだけアタシの心の弱い部分がそれを作り出していたようで。けど、そんな目で見つめられたら、どっちみち絶つしかないじゃない・・・・・・!

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「おのれェ、何処までも小賢しい真似を・・・・・・ッ!」

 

アタシとあの人の拳が真正面から激突する。負けるわけにはいかない、この勝負・・・・・・!

 

「――鐘家百八奥義・八拾参の型、星天絶牙裂砕掌!!」

 

「ぐあはッ――!?」

 

「鐘家百八奥義・九拾六の型、絶破巴大車輪!!」

 

「があァァァァァァァッ!?」

 

あの人が遂に膝をつく。着実に今までの連撃が効いてきている、だったらこれで・・・・・・・っ!

 

「そこ、まで、実の母親に逆らうか――けれど、残念だったわね、私には”これ”がある!!」

 

そう言って、あの人が取り出したのは黄金色に輝く儀式などで用いられているような見た目をした大きな宝玉。しまった、あれは・・・・・・!

 

「フフフフ、その、反応・・・・・・アナタも、流石に知っていた、みたいね」

「そう、これこそ、彼の有名な『十徳の六氏族』に伝わる秘宝、《十徳の宝玉》・・・・・・ッ!」

「これがあれば、貴女の相手を律義にし続けなくても、この私が絶対の権力者になれる!!」

 

――瞳孔の開き切った目で再び高笑いをする、()()()()

”権力”なんて・・・・・・そんな矮小なモノに縋るために、貴女は人であることを止めたというのか。

 

「いい加減、目を覚まして現実を見るといいわ。そんなまやかし程度の術式で、この世の中が全部全部貴女の思い通りになるなんて・・・・・・絶対に、ない!」

 

「よく吠えたァ!だったら試して・・・・・・――何ッ!?」

 

素早い回し蹴りであのヒトの手元からその宝玉を空中へと吹っ飛ばす。そして、アタシはそれをすかさず自分の手中へと収めた。

 

「これがあの伝説の宝玉・・・・・・これ一つの力で莫大な権限を得られる」

 

「どうしたァ、まさかあれ程吹いておいてその秘宝の魅力に取り付かれたかァ?アッハハハハハハハハハハハハ、傑作ね、それは!!」

 

あぁ、耳障り。どうしたらそこまで他人の感情迄、歪んだ思考で読み取った気になれるものだ。

 

「ちょっと、冗談はよしてよ。アタシは、最初から使う為に手に持ったわけじゃないわ」

 

「何ですって・・・・・・それじゃあ何をするつもりよ!?」

 

「何って、こうするつもり」

 

刹那。アタシは自分の手元から宝玉を真上へと投げる。当然、その大きな宝玉は重力に引き寄せられて、真っ直ぐに、アタシの頭上へと落ちてくる。うん、きっとこの判断は間違いなんかじゃない。

 

――アタシは、空に向かって拳を構えた。

 

「まさか、まさかそんな・・・・・・ヤァメロォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

予想通り、あのヒトは取り乱し、鬼気とした表情でアタシへ迫りくる。アタシは迷わず指示を飛ばした。

 

「フミノ」

 

「はい、ランジュ様。麻酔弾、装填完了。狙撃開始まで3・2・1――発射」

 

『パァン!』

 

「■■■■■■■■■■■■■■――こふっ・・・・・・!?」

 

狂気に狂った、元は人であった者。そのヒトの首元に強力な麻酔弾が撃ち込まれ、徐々に生気を失っていくその朧げな瞳の先でアタシは。

 

「鐘家百八奥義・百八の型」

 

「――盛者必衰滅殺拳」

 

今まで使用してきた技と比べると如何せんショボくれてしまうような、たった一発の拳による一撃。

 

だが、その一撃は。様々な者達の偏った力への執念、それを断ち切るには十分な威力。

 

「さよなら・・・・・・ママ」

 

――パキン、と音を立てて。宝玉は無数の細かい欠片となって周囲に飛散し、崩れ去った。

 

 

 

Side:ランジュ END

 

 

 

Side Change:ランジュ→侑

 

 

「・・・・・・」

 

――身体の感覚が軽い。

 

「――ば」

 

さっきまで倒れていた地面の感覚はなくて、何と言うか無重力空間でふわふわと浮かんでいるような、そんな不思議な感覚。

 

「――ってば」

 

同好会の皆の悲しみに暮れる声が徐々に聞こえなくなっていった時とは裏腹に、今度は周囲を認識するための自分の五感が急激に再生を始めて。そして、ふと。誰かの声の様なモノを聞き取った。

 

「――じゃったのかなぁ?」

 

「いや――だけだと思うよ」

 

その声が二つに増えたところで、今まで断片的にしか拾えていなかった聴覚が研ぎ澄まされ、段々とはっきり聞こえるようになってきた。

 

声の感じからして、これは歩夢達じゃないみたい。どうしよう、初対面の人とかだったらあまり積極的に絡んでいけないかも知れない。

 

「(あ、そう言えば・・・・・・)」

 

次に思考回路が冴え渡り始める。直後、私の頭の中に浮かんだのはお台場の町を次第に燃え盛る炎で包み込んでいく、暴走したユニコーンガンダムの姿。

 

「(あぁ、そうだ。あんまり悠長にもしてられないや・・・・・・)」

 

感覚がなくなり、意識が遠のいていくあの瞬間。私は本能的に自分の死を悟った。全てを諦めて真摯に受け止めたい感情とまだ死にたくないという情動が入り混じって、気付いたら此処にいた。

 

「――れ、お主や」

 

もしまだ、私と言う存在があの時に死んでいないのなら。私は、同好会の皆を守りたい。もう一度あの中に入って、私の留学期間中にレベルアップしたという彼女達の輝きを是非、この目で見てみたい。

 

「うぅむ、聞こえんかったかのぅ?これ、そこのお主や」

 

「わっ、は、はい!」

 

呼びかけられていた声が自分へ向けられたものだと悟ると、私は勢いよく返事をし、起き上がった。

 

――重たくなっていた瞼がすんなりと開き、視界が徐々にはっきりとしてくる。

 

「ほっほっほ、如何やら今し方意識が回復した様じゃな」

 

まだ少しぼやけた視界を声の方向へ移すと、そこには年老いた男の人が立っていた。

そのお爺ちゃんの両隣には黄色と水色の不思議な生き物が。もしかして、最初に聞こえてきた声はこの2匹のものだったのだろうか。

 

「良かったぁ、何とか間に合ったみたいだね。ボク、アグモン。よろしくねぇ~」

 

「だから大丈夫って言ったじゃないか。あ、オレはガブモン。よろしくな!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アグモン

爬虫類型    ワクチン種    成長期 
       

成長して二足歩行が出来るようになった、小型の恐竜のような姿をした爬虫類型デジモン。

両手足には硬く鋭い爪が生えており、戦闘においても威力は凄まじいものとなっている。

必殺技は、口から火炎の息を吐き敵を攻撃する、『ベビーフレイム』。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガブモン

爬虫類型    データ種    成長期
        

毛皮を被っているが、れっきとした爬虫類型デジモン。

とても臆病で恥ずかしがりやな性格の為、いつもガルルモンが残していったデータをかき集めて作ったモノを毛皮状にして被る事で、周囲の危険から身を守っている。

必殺技は『プチファイヤー』。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「わ、凄い。この子達、やっぱり喋れるんですか?」

 

「当然じゃ。まぁ、中には全く喋れん奴もおるにはおるがの」

 

アグモンとガブモン。あれ、そう言えば一回だけせつ菜ちゃんから聞いたことがあったっけ。確か『デジモンアドベンチャー』?みたいな名前の作品に出てくる架空のキャラクター何だっけか。

えっ、じゃあ、何で今私の目の前にいるの!?もしかして、今流行りの異世界転生!?

 

「おっと、紹介が遅れて済まんの。儂はゲンナイじゃ、訳あって今はこの子達と共におる」

 

「アグモンにガブモン。それと、ゲンナイさん。あ、えっと、私は侑、高咲侑です!」

 

「ユウ、かぁ。えっへへ、いい名前だね!」

 

「ヤマトには負けるけど、カッコいい名前だな」

 

ガブモンが口にしたヤマトという名前の人物に心当たりはないけど。きっと彼にとっては大切な友達だったのかな、私が虹ヶ咲の皆を大切に思っているように。

 

「何だとぉ、名前のカッコ良さならタイチの方が負けてないんだぞぉ!」

 

「いーや、絶対にヤマトの方がカッコいいね!」

 

「絶対、タイチ!」

 

「絶対、ヤマト!」

 

――何だか良く分からないが、2匹の間で口論が始まった。

 

「ほっほっほ。いやいや、度々すまんのぉ。身内のちょっとした事情を曝してしまった」

 

「あ、いいえ、お気になさらず!それに、大切な友達を自慢したい気持ちはよく分かりますから」

 

そう言えば、今頃皆はどうしているのだろう。私は何故かさっきとは全く違う場所にいて。皆はまだ恐らく暴走したユニコーンガンダムが迫ってくる最中でどうしていいか分からなくなってはいないだろうか。仮に転生するとしてもそれだけが心残りだった。

 

「へぇ、ユウにも向こうの世界に友達がいるの?」

 

「うん、皆可愛くてカッコよくて大好きな子達だよ」

 

「そっかぁ、じゃあタイチ達と一緒だ!」

 

ガブモンと口論していた時の剣幕は何処へやら。でも、その何かある度にコロコロ表情が変わる様子が歩夢やかすみちゃんみたいだなと思えて。気付けば、お互いに握手を交わしていた。

 

「あっ、アグモンばっかりズルいぞ!オレも、オレも!」

 

「にへへ、そんなに慌てなくてもしてあげるってば、ガブモン」

 

続いてガブモンとも握手を交わす。あれ、でもさっきの図鑑みたいな説明と性格全然違うな。やっぱり個体差・・・・・・みたいなものがこの子達にもあるのかな。

 

「さて、そろそろ本題に入るとするかの」

 

「本題、ですか?」

 

「うむ。現状、お主の感覚では向こうの世界で自分は死んだものと捉えているだろうが」

 

「違うんですか?」

 

「そうじゃな。お主たちの世界への儂らの干渉が、如何やらギリギリのところで間に合ったようでの」

 

「簡単に言えば、お主は今、此処に魂と精神がデータとして奇跡的に残留する事で生と死の狭間にいる状況な訳じゃ」

 

「は、はぁ・・・・・・」

 

ゲンナイさんから現在進行形で私の今の状態について語られるが、何せ私は今まで現実世界の情報のみで生きてきた人間だ、そんな事を言われても急に理解できる訳がない。

 

「・・・・・・まぁ、そこまで詳しく理解する必要はない。取り敢えずは、現状を軽く説明しただけの事」

 

「結論として、お主はまだ死んどらん、と言う事じゃ」

 

「死んでないって事は、じゃあ、私、皆の所に帰れるって事ですか!?」

 

「うむ」

 

ゲンナイさんのその説明を聞いた私は、喜びのあまりその場で勢いよく飛び上がった。そっか、私まだ死んでないんだ。同好会の皆の活躍を一番近くでまだ見ることが出来るんだ・・・・・・!

 

「とは言え、今のお主の世界は色々と大変なことにもなっておる。そこで、じゃ」

 

「今からお主にそこの2人の可能性の力を分け与える。当然、それを活かして世界の危機に立ち向かうも活かさずに仲間と共に逃げる道を選ぶのも全てはお主に全てがかかっとる」

 

私が、この子たちの力を?でも、可能性の力って一体何?そうやって私が再び理解できずにいると、近くにいた彼等が話しかけて来てくれた。

 

「ユウとユウの友達なら、きっとボク達の力を正しく使ってくれるって、ボク、信じてるから!」

 

「ユウは今まで気付かなかったかもしれないけどさ。オレ達、ずっと此処でユウ達のこと見てたんだ」

 

「だから、オレ達はユウを信じてるし、ユウにもオレ達を信じてほしい!」

 

アグモンとガブモン、2人のその温かい言葉は私の胸に響くものがあったし、何より。2人とは初対面のはずなのに何故か初めて会った気がしなかった。まるで、ずっと昔から姿は見えずとも傍で寄り添ってくれていた・・・・・・そんな気がして。

 

「うん、分かった。信じるって約束するよ、友達だもんね!」

 

「「うん(ああ)!」」

 

2人の返事に呼応するかのように、私と二人の間に紋章のようなものが2つ浮かび上がった。

 

「――ボクからは、タイチから貰った、勇気の紋章」

 

「――オレは、ヤマトから貰った、友情の紋章」

 

「「ボク(オレ)達が信じたニジガサキの皆によろしくね、ユウ!!」」

 

 

 

Side:侑 END

 

 

 

「――あ・・・・・・」

 

「「「「「「「「「「「「「・・・・・・!」」」」」」」」」」」」」

 

それは、偶然に起こった奇跡か。すっかり冷たくなってしまった侑の身体に熱が戻り、心臓が動き出し、全身の血が躍動し始める。地面に横たわった彼女の手が再び同好会の面々の目の前で上へ上へと上がり始め、それを見たメンバー達の目が驚きと嬉しさで見開かれる。

 

――信じられないものを見た、とでも言いたげな目で驚きを隠せずにいる、ムーンカテドラルとAqours、NLNSのメンバー達。

 

――同じく我が目に映った光景を疑いながらも、それをじっと見つめ続けるランジュ。

 

その事態を風の噂で察してか、別の場所で待機していた同じ学園に通う者達が。

 

『まだキミ達の全てを見たわけじゃなかったからね、是非とも見せてくれ、キミ達の可能性の全てを』

 

『早く起きてくれないと、歩夢ちゃんが悲しむよ・・・・・・!侑先輩、負けないで!!』

 

『ウチの栞子が世話になったからね。キミに先に逝かれては返せる恩も返せなくなってしまうよ』

 

『璃奈があそこまで変われたのは、同好会の皆のお陰って事もあるけど。多分一番は侑先輩です』

 

『愛さん達のステージを、また全力で応援したい!だから侑先輩、これからも一緒に応援しましょう』

 

彼等だけではない。その後に続くように、同じスクールアイドルとして繋がった者達の声も。

 

『あの果林さんを泣かせたままにしたら、絶対に私が許しませんからね!』

 

『お姉ちゃんたちにはきっと、侑さんが必要なんだと思います!だから、まだ諦めちゃダメです!』

 

『援護に間に合わなくて済まなかった。だが、俺はお前の可能性を信じてるぜ、侑』

 

『私達、ムーンカテドラルとAqoursとNLNSの皆の想い・・・・・・受け取って!!』

 

これらのメッセージが一気に侑のメールBOXに送信され、最後に。

 

『まだ見てないわよ。だから、貴女がこのアタシよりも同好会の皆に相応しい理由を、見せて』

 

ランジュから届いた文面が届いたと同時に。侑の天に掲げた手と同好会全員の手が握られて、彼女達は光に包まれた。

 

「――なッ・・・・・・何だと!?一体、これは何が起きていると言うのだ!?」

 

「フッ・・・・・・やはり今の主役はキミ達と言う事か。まるで新宿のあの場所の様な、眩しすぎる光だ」

 

有明公園より少し離れたところに突如として立ち上った、大きく太い光の柱。その様子は遠くにいる土井や冴羽の目にも届いた。土井はあまりに急な出来事に戦慄し、冴羽はその光から少し目を逸らしつつも穏やかね笑みでその光景を見守った。

 

『『『『『『侑ちゃん(さん)、私達も戦いに来(まし)たよ・・・・・・!』』』』』』

 

『『『『『『ゆうゆ(侑先輩)(侑さん)(侑)、アタシ(私)(ボク)達と一緒に行(きましょう)こう・・・・・・!』』』』』』

 

『勿論、皆、一緒に戦おう・・・・・・!』

 

――歩夢、せつ菜、璃奈、栞子、エマ、彼方の紋章が輝き、勇気の腕に。

 

――愛、果林、しずく、かすみ、ミア、結子の紋章が輝き、友情の腕に。

 

――そして、侑と彼等と共に立った全ての人の思いが紋章となり合わさって、一体の聖騎士を生み出した。

 

『ほほぅ、まさかあそこまで可能性の力を強めようとは。これもまた、運命かのぉ』

 

『やっぱり、ユウに託して正解だったね』

 

『そうだね。ユウ達なら、きっと上手くやってくれるさ』

 

13の光が全て合わさり、徐々に彼女体を覆っていた光の柱が消えていく。その光が全て消え去った時、”彼”はそこに降臨していた。

 

『『『『『『『『『『『『『――オメガモン!!』』』』』』』』』』』』』

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

オメガモン(Alter-N)

聖騎士型    ワクチン種    究極体
  

ウイルスバスターであるウォーグレイモン・メタルガルルモンが、善を望む人々の願いによって融合し誕生したとされる神々しいオーラを放つ、聖騎士型の究極体デジモン。

ウォーグレイモンの形をした腕には盾と剣が、メタルガルルモンの形をした腕には大砲やミサイルが装備されている。必殺技は、メタルガルルモンの形をした大砲から打ち出される絶対零度の冷気弾で敵を凍結させる『ガルルキャノン』と左腕に付いた無敵の剣で敵を切り裂く『グレイソード』。

更に、お台場に集った全ての人々のスクールアイドルに対する膨大な意思を紡いで誕生した結果、通常形態でありながらX抗体時の必殺技『オールデリート』も使用可能となっているぞ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『オメガモン、だと・・・・・・!?おのれ、忌々しい!さっさと片付けてしまえ、ユニコーンガンダム!』

 

『・・・・・・・!』

 

土井の声に反応し、ユニコーンガンダムが真っ先にオメガモンへ狙いを定める。オメガモンは、右腕の大砲を構え、ユニコーンガンダムへ狙いを定めた。オメガモンが地上から飛び立とうとした時、ランジュは直ぐに足元に駆け寄り、オメガモンとなった皆に声を掛ける。

 

「皆、アタシも連れて行って・・・・・・!」

 

『・・・・・・』

 

「皆の力にはなれないかもしれない・・・・・・けど、アタシにも最後まで、戦わせてほしいの!!」

 

『・・・・・・別に、勝手にすれば』

 

ランジュの必死のお願いに、オメガモンの中から結子がめんどくさそうに返事をする。それを聞いて、ランジュは一瞬だけ嬉しそうに顔を綻ばせると、オメガモンの身体を伝って、左腕の上に乗った。

 

「行くわよ、皆・・・・・・!」

 

『sit、何勝手に指揮ってんだよ、ウザ』

 

「い、いいでしょ別に!というか、何でミアは皆と一緒に合体出来てるの、ズルいわよ!」

 

『まだ完全にお前が認められてないだけじゃない?てか、そんなのどうでもいいからさっさと行くよ』

 

オメガモンが飛翔し、ランジュの紋章が光り輝いて、”彼”の最後のパーツである白と赤のマントが背中から出現する。ユニコーンガンダムの砲撃は外れ、さっきまでいた場所に爆発が起こった。

 

(逃げたりあきらめるコトは 誰も)

 

(一瞬あれば出来るから 歩き続けよう)

 

『ええい、小癪な!貴様らも続け、ドローン部隊!』

 

土井が吠え、DIVERCITYの屋上近くから戦闘ドローンの大群がオメガモンに向かって銃撃を放ちながら突進してくる。一気に数十機程現れたドローンに対してオメガモンは。

 

『ガルルキャノンで、一気に吹き飛ばすわよ・・・・・・・!』

 

果林が声を上げ、右腕の大砲が火を噴く。超強力な冷気弾の爆破に巻き込まれ、あっという間に約半数のドローンが撃墜され、凍結した。

 

(君にしか出来ないコトがある)

 

(青い星に 光が無くせぬように)

 

『馬鹿な・・・・・・たった一撃でこれほどの数を撃ち落とした、だと・・・・・・!?』

 

『まだまだこんなものではありませんよ、オメガモンの力は!!』

 

『うん、こんなチャンス滅多にない。だから、行くよ・・・・・・!』

 

(つかめ!描いた夢を 守れ!大事な友を)

 

(逞しい自分になれるさ)

 

土井は驚愕し、憧れの対象になったせつ菜と璃奈がハイテンションで次々とドローンを撃ち落としていく。

 

『おっとぉ、こっちの存在も忘れちゃいけませんなぁ』

 

その合間を縫ってビームサーベルを片手に突撃してきたユニコーンガンダムを、彼方がグレイソードを展開して受け止めた。

 

(知らないパワーが宿る ハートに火が付いたら)

 

(どんな願いも嘘じゃない きっと叶うから)

 

『無駄な抵抗を・・・・・・!間もなく東京ごと、この街は滅びるのだ!諦めろぉぉぉぉっ!』

 

00:00:20.13 

                 

『『『そんな事、させない・・・・・・!』』』

 

(Show me your brave heart)

 

――振り払い、投げ飛ばし。

 

ユニコーンガンダムがバズーカを放てば、ガルルキャノンで即座に相殺し、此方に向かって真っすぐ突撃して来ようものなら背中に棚引くマントを利用し、回避。追尾型のビーム兵器であるファンネルが起動すれば、迎撃される前にグレイソードで木っ端微塵に叩き落す。

 

00:00:10.28 
   

               

『皆さんと共に戦えるのなら・・・・・・私にとって、これ以上ない程、頼もしい限りです・・・・・・!』

 

『おのれェ、おのれおのれおのれぇーーーーーーっ!!』

 

00:00:09.44 
 

                 

『かすみんだって、全部は守れなくても・・・・・・お台場(ここ)は守って見せますけどぉ!』

 

『ぐうぅっ・・・・・・無駄だと言っているのにまだ分からんか!』

 

00:00:08.37 
 

                 

『決して、決して無駄なんかじゃありません!私達はその先が見たいだけなんです!』

 

『戯言をォ、抜かすなァァァァァァァァァ!!』

 

00:00:07.20 

                  

『貴方が何でそんなにスクールアイドルを恨んでいるかは分からないけど。何もそこまでしなくてもいいじゃないか・・・・・・!』

 

『ハ、その時の流行に流されるだけ流される、そんな貴様らの何処が良いというのだ!』

 

00:00:06.39 
          

        

『貴方も私達のステージを何処かで見たなら分かるはずだよ、スクールアイドルの輝きの凄さが!』

 

『下らんなァ、少なくとも私には貴様らのやっている事は全て児戯に等しく見えるのだ!!』

 

00:00:05.57 
       

           

「皆、多分もうそんなに余裕はないわ!急いで!」

 

『大丈夫、大丈夫!分かってるからそんなに慌てないで、ランラン!』

 

00:00:04.46 
       

           

『止めさせはせん、止めさせはせんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

『視界良好、オールグリーン。皆、このまま突っ込もう・・・・・・!』

 

00:00:03.35 
  

                

『この世界の皆からだけじゃない、あの2人からも応援してもらったんだ。だから絶対に・・・・・・負けられない!!』

 

『この・・・・・・死に損ないの分際でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

オメガモンがグレイソードを構え、ユニコーンガンダムに突撃する。ユニコーンガンダムは盾を構えて頭部に攻撃が届かないようにその攻撃を防ぐ。しかし。

 

00:00:02.10 
     

             

『『――オールデリート、展開・・・・・・!』』

 

『なッ、何だとォォォォォォォォォォォォッ!?』

 

オールデリートを適用したオメガモンのグレイソードにより、ユニコーンガンダムが展開した盾は材質の厚さも強度も関係なく、ソードに触れただけで消滅し、あっという間に目標の頭部がオメガモンの目の前に顕わとなる。

 

00:00:01.08 
   

               

『『『『『『『『『『『『『『――いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』』』』』』』』』』』』』』

 

ほんの一瞬。ザンッ、とユニコーンガンダムの頭部をグレイソードが捉えた音が響き、頭部だけが消滅したユニコーンガンダムはそのまま元々立っていた土台近くに倒れ、動かなくなった。

 

00:00:00.02 
  

                

『ユニコーンガンダム頭部及び起爆コンソール、消滅確認・・・・・・!』

 

『って事は、アタシ達・・・・・・!』

 

「委員会に勝てたってコトね・・・・・・!」

 

オメガモンになった状態で、虹ヶ咲学園へ降り立った13人はその状態が解除されて、元の姿へと戻り。ランジュも混ざる形でその場でお互いに抱き合って14人は喜びを爆発させた。

 

「「「「「「「「「「「「「「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」」」」」

 

「これにてはっぴーえんど、に御座います?」

 

「いえいえ、寧ろそれ以外に適切な表現何てありませんとも!やったー、これで晴れやかな気分でミアちゃん達と復刻バーガーを食べることが出来ますぅ!」

 

「あ、その約束生きてたのね。何か色々あり過ぎて忘れてたのだわ・・・・・・」

 

「一時はどうなる事かと思ったけど、皆無事だったんだな、良かったんだな!」

 

「アサちゃん、皆・・・・・・この戦い、俺達の勝利だ!」

 

「いや、兄。それ言ったら死亡フラグだよ」

 

彼女達の喜びを分かち合うその姿を見て、遅れて登場したNLNSの面々も、自分達が勝ち取った未来に嬉しさをブチまけたのであった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「――何故だ・・・・・・我が長年の野望が、またしてもあんな小娘共に・・・・・・ッ!?」

 

その頃、DIVERCITYの屋上にて。ユニコーンガンダムを撃破され、起動も爆破も出来なくなり只の置物と化した原子力爆弾を見て、絶望に暮れる土井。

 

「さぁね。だが、ただ一つ言える事は、これで漸くアンタの運も尽きたって訳だ」

 

そんな失意のどん底にいる彼に引導を渡すべく冴羽が再び銃口を向ける。ここにも、また一つの因縁にピリオドが打たれようとしていた。

 

「まだだ・・・・・・私はまだ、負けてはいない!冴羽ァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

「――あばよ、子猫ちゃん。精々、地獄でのんびりやるといいさ」

 

「そ、んな・・・・・・私が、この、わた、しが――う、うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

冴羽に脳天を貫かれ、体勢を崩した土井は屋上から滑り落ち、すぐ下の地面へ叩きつけられた。

 

その夜、お台場の空に鈍色の光が瞬いたという。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

 

「――うんうん、悪は滅びてこれにて一件落着。そう言う事だねぇ」

 

「駄目だよー、アレク。また変なこと考えちゃあ」

 

土井を始末した冴羽獠がその場を去っていくタイミングで、何時の間にか停止したままにされている原子力爆弾の直ぐ近くに一人の少女が自身のノートPCを膝に乗せて、何かを書き込んでいた。

 

如何やら彼等は、その様子を含めた今までの顛末を、現場から離れた場所で傍観していたらしい。

 

「滅相もない。私は只、私と言うプログラムを開発してくれた貢献者であるアカネ君の為に、起こった事件の全容をプロファイリングしてあげているだけだよ」

 

「えぇー、ほんとかなー?」

 

「勿論だとも。だがそれ以前に、君の作ったAIである私をもう少し信用してほしいものだけどねぇ」

 

如何にも自分達は今回の件に一切関係ないとでも言わんばかりに、二人はニマニマと笑い合う。

果たして彼等は本当に只この場で起きた『お台場動乱事変』を見に来ただけの野次馬だったのだろうか・・・・・・その真相は神のみぞ知る。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「――ユイ、いきなり呼び出してごめんね」

 

今回、実際の現場となったお台場のみならず、東京中に大波乱を起こし兼ねなかった、あの『お台場動乱事変』から数日後。周囲にまだその時の被害は残るものの、今日も今日とて普通に登校日となった虹ヶ咲学園の中庭で、結子とランジュが向かい合っていた。

 

「いいよ、別に。事件が終わった後に話があるって言ってたもんね、ランジュがさ」

 

あれからと言うもの、結子達の通う学校である私立虹ヶ咲学園では色々な人事異動や対策の繰り替えなどがあり、教師陣と生徒会の人員達は朝から晩まで何かと忙しそうに校内を奔走する日々。

 

前述の通り、生徒会が忙しい為、菜々や栞子にはここ数日あまり会えてはいない日々が続く同好会の面々だったが、特にどうする訳でもなく全員が全員、いつもと変わらぬ日常を過ごしていた。

 

「ねぇ、ユイ。侑は、あの後、大丈夫だったの?」

 

「まぁね。真姫さんも言ってたんだけど、頭部を銃撃されたはずなんだけどその痕跡が幾ら調べても全く見つからなかったみたいなんだよね」

 

「ホント、不思議なことってあるもんだなぁ・・・・・・」

 

侑本人曰く、自覚症状的にも何もないから大丈夫だと言っていた。もしかしたら、精神的な面で少し無理をしている所はあるかもしれないけれど、特におかしな様子もなければいつも通り同好会の皆と戯れてニマニマしてる辺り、多分大丈夫なのだろう。

 

「それで、ランジュはスクールアイドル部はどうする事にしたのさ」

 

「もぅ、分かり切ってる事を聞かないでよ。ユイの意地悪」

 

事件の黒幕だったランジュの母親・・・・・・鐘悠嵐はあの後、冴子さん達によって敢え無く御用となり、今は裁判待ちらしい。そして、その活動にある意味で絡んでいたランジュが建てたスクールアイドル部はと言うと。

 

「当然、廃部になったわよ。元々、部員数も足りてなかったしね」

 

そう言ってランジュは、嘗てスクールアイドル部だった部屋をちょっと切なげな目で見つめる。身内で色々な問題を抱えすぎた鐘家は以前の栄光は影も形もなく既に没落貴族となってしまったようで。部室内にあった備品類全て(ミアの私物だった業務機材以外)が取り押さえられてしまった様だ。

 

「部室内のモノだけで足りたの?」

 

「まさか。それだけじゃ足りなかったから、もしかしたら後々お台場の別荘もその為に取り押さえられちゃうかも」

 

彼女が今まで自分の帰る家として使っていた鐘家の別荘が無くなるかもしれない。同時にそれは、彼女が日本に居られなくなるかもしれないという事を指していた。故に。

 

「じゃあ、約束通り・・・・・・ユイに質問ね」

 

「ん」

 

ランジュは、彼女への問いに託そうとしていたのだ。これからの自分自身の未来の顛末さえ変えてしまうかも知れない、非常に重要な選択を。

 

「あ、そうだ。その前に。ユイ、同好会は楽しい?」

 

「んー、そうだね。まだまだ侑に比べたら何てことない活躍ばかりだけど、悪くは無いよ」

 

「そっか・・・・・・うん、なら良かった」

 

彼女もまた今回の事件で傷を負った一人。一応、侑と一緒に真姫に検査してもらったが特に骨や神経に異常は見られなかった様で、この通りピンピンしている訳だ。

 

「じゃあ、今度こそ――ねぇ、ユイ」

 

「何?」

 

「ユイはアタシの戦いぶり見ててくれた?」

 

「そりゃもう。それにしても、一度実技で試したら奥義さえ習得してのけるとか、ホント化け物だよね」

 

「あ、酷い。仮にもアタシも女子なんだから化け物はないわよ、化け物は」

 

「そ、じゃあ訂正しといて」

 

「訂正しといてって・・・・・・それもアタシの仕事なワケ?全くもぅ・・・・・・」

 

一時的にランジュを避けようとも考えた結子であったが、寧ろランジュの方がそれをさせない勢いで絡んでくるのでもう考えるのを止めたそうな。

 

「じゃあ、その戦いぶりを見て、さ――貴女は、アタシも一緒にいていいと思った?」

 

「ねぇ、正直に聞かせて。貴女の答えを」

 

 

 

 

 

 

 

・勿論、一緒に行こう(Epilogue Bへ)

 

 

・ごめん、一緒には行けない(Epilogue Aへ)

 

 

 

 

 

 

 

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