アニガサキ!-PASTEL COLLARS- 外伝 Episode of ランジュ 作:海色 桜斗
成程成程、つまり諸君はそういう奴なんだな(エーミール風)。
ま、どっち選んでもいいんですけどね!
短いですが、お楽しみください!
それと、最後まで見て下さってありがとうございました!!
EpilogueA「償うというコト」
――ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
「えっ、嘘、○○ちゃん!?ヤダもう、変わらなーい」
「おいおい、あそこにいるの○○○じゃない?ほら、あの有名な・・・・・・」
「マジかよー、めっちゃ美人になってんじゃん。何とかして口説けねぇかなwww」
「おいおい。出たよ、コイツの悪い癖。お前もう彼女いんじゃーんwww」
あのお台場全土を巻き込んだ重大事件、『お台場動乱事変』より数年後。
あの時の傷跡も既に修復が終わった現地・お台場で開かれたとあるパーティ会場では沢山の人々が何らかの集いで大勢が喧噪に混じって集まっていた。
一方、そんな只々騒がしいだけのパリピのいる会場とは打って変わって。隣の某ビュッフェ会場内。
普通に利用するだけでもそれなりにお高いそのビュッフェにて、会場内全てを貸し切って盛大に同窓会を祝うその会場に、彼女達はいた。
「おおっ、りなりー!久しぶりだね~、ところでさ、髪、伸ばしてるの?」
「久しぶり、愛さん。ううん、これは暫らく切りに行けなかっただけ」
「そっかー。あ、じゃあ、髪切るの、愛さんに任せてみない?こう見えて美容師免許持ってるんだ」
「流石、愛さん。何でもできる」
「あっはは!褒めても何も出ないぞぉ~ほれほれ~」
「わーーーー」
先ずは宮下愛と天王寺璃奈。
愛は現在、人材派遣会社のエースとして色々な職場を渡り歩き、日本各地を転々としながら、忙しい日々を過ごしている。彼女の腕は嘗て「部活棟のヒーロー」と呼ばれていた頃と何も変わる事はなく、その経験が生きて今や持っている資格はかなり有名なモノから凄くマイナーなものまで幅広いのだという。
対して璃奈は現在、自分で創設したベンチャー企業の代表取締役。主にPC等の高等技術などを用いて色々な新製品を開発・販売する。因みに彼女が美容院に行けずじまいだった理由は、先月発売したばかりの『璃奈ちゃん謹製ドリンクΞ』、通称『リナドリΞ』があらゆる世代に爆発的に売れてしまい、生産が追い付かなかったせいもあるのだとか。
「という訳で、そんな売れ行き絶好調のリナドリΞを特注品扱いの箱で持ってきた、飲んで」
『ドン!!』
「えぇ・・・・・・こんなに?」
「美味しいよ」
「おほーっ、リナドリΞはっけーん!いただきまーす、ゴクゴクゴクゴク・・・・・・!」
「わっ、誰かと思ったらカナちゃんか。びっくりしたー・・・・・・」
「びゃあぁあ、ゔま゛びぃぃぃ~!!」
お次はこのどこぞの飲兵衛みたくなっている近江彼方。彼女は、数年前までとある会社の正社員勤めだったがゆるふわが足りないという良く分からない理由で脱サラし、そのまま複数のバイト先を掛け持ちするバイト戦士へジョブチェンジ。普通に働いている時よりも合計すると給与はかなり稼げるらしいし、休日もそれなりにあるので本人曰く、自分に向いてるのだとか。
「もー、カナちゃんってば。夜勤直後だったんなら、もう少し遅く来ても良かったんだよ~?」
「うるせぇ、飲む!」
「彼方、本当に大丈夫?さっきから言動が何処かの海賊王みたいになってるけれど」
「おぉーっ、カリンじゃん。元気してたー?」
「あら、愛。久しぶりね。勿論、私は通常運転よ」
朝香果林。高校の時にやっていたモデルの仕事の経験から、本格的なモデル業の道へ進み始めた。高校時代から既にかなりの人気を博していたが、数年前からその美貌に益々磨きがかかってきたと大絶賛。今や雑誌やテレビ、新聞などで彼女の姿を見かけない日はないとまでされる。
「ふーん、じゃあその通常運転の人はここに来るまで何本道を間違ったのかな?」
「あ、エマさんだ。いつも果林さんのお世話、お疲れ様」
「わ、璃奈ちゃんだぁ~!久しぶりだね、会いたかったよぉ~!」
「ちょっと、エマ!それは言わないでって約束したじゃない・・・・・・」
「別にここでなら変に遠慮したりカッコつけたりする必要、無いでしょ?」
「それは・・・・・・そうだけど」
エマ・ヴェルデ。本国スイスに戻って職を探すことも出来たが、プロのモデルを始めた果林の元マネージャーでそれなりの交友関係を気づいていた友人から「彼女の世話は私には無理」と泣きつかれ、急遽マネージャー職をする事に。普通ならそういう系の仕事なりの学習は積んでおくべきなのだろうが・・・・・・学生時代に果林の身の回りのお世話係を担当していた事もあって、今のところは難なく仕事を熟せているらしい。
「いやぁ、でも、エマちゃんは実際凄いと思うよー」
「彼方ちゃん?」
「フツー、マネージャーさんっていうのは担当する人の周辺までは流石に世話しないんだけど、エマちゃんは通常業務+果林ちゃんのお世話をやってのけるから強いのさ」
「えぇー、そうかなぁ?私なんてまだまだだよー」
「えっ、果林さんってまだそんなに手間がかかるんですか!?」
「おおっ、しずくちゃんも来たねぇ。ささ、こっち来て一緒に話そうぜぇ?」
桜坂しずく。彼女は学生時代に言っていた通り、スクールアイドルを3年間やり遂げた経験を活かし、彼女が望んだ舞台女優としてのデビューが即座に決定した。見るものすべてをその作品の世界へと誘う彼女の特筆すべき表現力の凄さは芸能界で長年仕事をしてきた者達すら戦慄させ、今や大注目のトップスタァとなっていた。
「しずくちゃんはやっぱり大人気。私も、この前かすみちゃんとサイン会行ってきた」
「ふふっ、この前はありがとう、璃奈さん」
「どういたしまして。あれ、そう言えばかすみちゃんは?」
「うぐぅ・・・・・・しず子ばっかりズルい~!!」
「かすみんだって、かすみんだってもっとデビューが早かったらぁ~っ!!」
「もぅ・・・・・・・かすみさんは相変わらずなんだから。よしよし」
中須かすみ。彼女は予想通りと言うか想像通りと言うか、高校卒業後、すぐに本格的なアイドルを目指して修行を開始。当然直ぐにデビューとはならなかったが、数年の努力が実を結び、昨年に漸くデビューを飾り、爆発的ではないものの、大勢のファンを従える立派な愛され系ソロアイドルとなったのだった。因みに、下積み時代の彼女を支えたのは、嘗て大銀河宇宙№1アイドルとして世間を圧巻した矢澤にこであったらしい。
「かすみちゃんのCD、欠かさずに買ってるよ。次の曲も楽しみにしてるね」
「り゛な゛子゛~あ゛り゛がどゔぅぅぅぅぅ!」
「おぉっ、かすかすじゃん!元気してたー?」
「んもぉぉぉぉっ、かすかすじゃありません!かすみんですぅぅぅぅぅっ!!」
「・・・・・・そう呼ばれて起こる辺り、やはり相変わらずの様ですね、かすみさん」
「しお子、何時の間に!?」
「あ、栞子ちゃん。久しぶり」
「はい、お久しぶりです璃奈さん。ふふっ、何だか懐かしいですね」
三船栞子。彼女は事件の後も生徒会副会長を務め、その当時の会長・中川菜々が3年生となり会長としての任期が終了し会長職を降りた事を機に、彼女の後押しもあり、以後2年間無事に会長職を務めあげた。その経験あってか、姉・薫子の代わりに三船財閥を継いだ彼女はその敏腕っぷりで職場に長く務める重鎮達をも認めさせる才能を発揮しているようだ。
「ここ数年で皆いろいろ忙しくなっちゃったから、会う機会が滅多になくなっちゃったもんね」
「そうですね。ですが、こうして皆さんと久々に顔を合わせられて、嬉しい限りです」
「あ、栞子ちゃんだ!それにかすみちゃんと璃奈ちゃんとしずくちゃんも!おーい!!」
「侑さん、歩夢さん・・・・・・!」
「久しぶりだね、栞子ちゃん。元気だった?」
「はい!あの、それで歩夢さん。この間は、ありがとうございました・・・・・・!」
「ううん、気にしないで。こんな私で良かったら何時でも相談に乗るからね」
上原歩夢。彼女は地道にコツコツと頑張る姿勢を活かして、税理士の職に就いた。彼女の頑張る姿を見て、もしくは直接励まされる事で気を持ち直した同僚や事務所を訪れた人々は数知れず。数年前にファンクラブが密かに設立されたらしいと聞いた時は驚きはしたが、本人も満更ではないようだ。
続いて、高咲侑。彼女は「次世代のスクールアイドルと交流して、もっともっとトキメキを感じたい」という願いの下、スクールアイドルによる自由参加可能な大型イベント『スクールアイドルフェスティバル』を公式化し、その運営をしている。趣味がそのまま仕事になって楽しいとは本人談。
「侑せんぱぁ~い、かすみんデビュー出来たので次のフェスには絶対参加しますからね!」
「う、うん。気持ちは有り難いけど、ほら。参加条件はスクールアイドルって限定してるし、ね?」
「ぐぬぬ・・・・・・やっぱりかすみんも、Aqoursさんみたいにスクールアイドルしてれば良かったですぅ~!?」
「かすみちゃん、あんまり侑ちゃんを困らせないでね?」
「ひっ・・・・・・!?」
「フ、このやり取りも久々に見たな。ホント、懲りないね」
「ミアちゃん」
ミア・テイラー。事件解決後、取り潰しとなったスクールアイドル部から晴れてスクールアイドル同好会へ正式入部。璃奈達と約束していた復刻ハンバーガーを食べるという約束も無事に果たした。ランジュと結んだ鐘家との専属サポーター契約は解約されたが、後学の為と高校卒業後も期間を延長して日本にそのまま滞在。今はフリーのアーティストとして様々な楽曲を他人に提供したり世に送り出したりしている。
「やぁ、璃奈。そっちの仕事は順調かい?」
「うん、ミアちゃんが宣伝してくれたお陰もあって凄く大好評」
「ふふん、当然だね!ボクにして掛かれば、それくらいはお茶の子さいさい――」
「皆さん、お待たせしましたっ!!」
「せつ菜ちゃん!」
中川菜々。彼女はファンの間でAqoursと同じくスクールアイドルとして活躍していくものだと期待されていたが、まさかの生徒会会長を任期で辞する時に高らかにこう宣言した。
『――以上、虹ヶ咲生徒会長中川菜々!そして、スクールアイドルの優木、せつ菜でしたッ!!』
全校生徒が集まる中、彼女は憧れの特撮のヒーローが最終回で見せた姿の様に、自分が優木せつ菜であったことを名乗り、卒業後は極々普通の会社で働き始めたという。
・・・・・・只、一つだけものを言うのであれば。会長引退時の衝撃の名乗りでもう一波乱と本人は踏んでいたが皆一様に「あー、やっぱりね」というような反応をしていた。本人がバレてないと思っていただけで実は周囲がそれと無く察していて、本人の知らぬ間に虹ヶ咲学園内の暗黙の了解と化していただけだったというオチ・・・・・・本当に、残念な点である。
「ウザ・・・・・・ねぇ、せつ菜。何とかならないの、声の音量」
「なりません!(鋼の意思)」
「・・・・・・聞かなきゃよかったって心の底から思ったね」
「ま、クソデカボイスとペカ顔がせつ菜ちゃんのパッシブスキルだったりするから」
「おっ、今日の主役のご登場だー」
「そういうノリ止めてもらえないかな、侑。ちょっと恥ずかしい」
舘結子。事件終息後、侑と共に同好会メンバーのサポート業に取り組み続けた。あれから特に大きな事件もなく至って平和な学園生活をエンジョイ出来た為、護衛役としての役割は薄くなってしまったが、厄払いの意味も含めて最後までその肩書を捨てる事はしなかった。卒業後は、一旦配送関係の仕事に就き、当初から進められていた侑の「スクールアイドルフェスティバル」公式化プロジェクトに投資協力。それが実現した際に、転職し侑と共にスクールアイドルフェスティバルの運営をする事に。ポジションは勿論、学生時代と同じく護衛役。フェスにエントリーしている沢山のスクールアイドル達を様々なトラブルから身を守る護衛隊の隊長を務めている。
「それじゃあ、全員揃ったという事で・・・・・・カンパーイ!」
「「「「「「「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」」」」」」」
――会場に集まった13人の持ったグラスが合わさり、カチンと音を立てる。
こうして、会場全体を貸し切っての虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会初期メンバーによる同窓会が始まったのだった。
「いやぁ、そうして見回してみても、皆あの頃から全然変わりありませんなぁ」
「あはは・・・・・・変わりたい、とは思っていても中々上手く行かないものですからね」
「いいじゃん、いいじゃん!無理に変える必要なんて、何処にもないんだぞー!」
「うん、皆が皆、学生時代に描いていた未来像にちゃんとなれた気がする」
「ちょっとぉ!かすみんは色々予想外が多すぎたんですけどぉ!?」
「いいじゃないですか、それもまた、可愛らしいかすみさんらしいと言う事で」
「そうだよ~、皆が皆らしくあることが一番いいと思うな」
「そうね、何だかんだ言っても結局この集まりが一番居心地いい事に変わりないんだもの」
「あ、そうだ。実はまた歩夢に頼みたいことがあって持ってきたんだ、ちょっと見てくれる?」
「もー、侑ちゃんったら。今は仕事の話はやめてよぉ~」
「やれやれ、何が面白くてボクは此処に入る気になったんだろうなぁ・・・・・・」
「うーん、余興で歌う楽曲は何にしましょう、ここ最近は神曲ばかりで迷ってしまいます・・・・・・」
「・・・・・・」
そんなワイワイガヤガヤといつもの雰囲気で談笑し始める同好会メンバー達。その光景を見て、結子は学生時代に体験した密度の高い思い出に浸っていた。そして、その時の一番の思い出として残っているのが。
「やっぱり、あのスクールアイドル部騒動なんだよなぁ・・・・・・」
スクールアイドル部はあの日にお取り潰しとなり、お台場に会った鐘家のご立派な屋敷も忽然と姿を消した。勿論、被害者でもあり加害者でもあった彼女も。
「ま、追い出した本人が言うべきセリフじゃあなんだけどさ」
「今頃、何してるんだろ」
結子は、窓辺に近づき、近い様で遠い、向こうの空を見つめた。
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「――はぁっ、はぁっ・・・・・・!」
周囲にはドリルやノコギリ、大型のショベルカーやダンプ。色々なものが立てる音で辺りはとても騒がしい。それでも、空は雲一つないスッキリとした青空で。アタシの心は今日の空模様の様に広く澄み渡っていた。
「嬢ちゃん、こっちの蔵壊すからちょっと手伝ってくれー!」
「あっ、はーい!」
近くにいたおじちゃんに言われて、アタシは直ぐに今の作業を中断し、別の業務へと移る。
え、アタシが今何してるのかって?えっとね、実はアタシの家の解体工事。
あの後、こっちに戻ってきてパパと再会して。パパと一緒に色々駆けまわって何とか鐘家の存続の為に頑張ったんだけど。此処でも色々とあの鐘李芳の影が常について回って。結局はその頑張りも叶わず、アタシとパパが守ろうとした鐘家はここに潰えた。
だからこうして。アタシ自ら、現場作業に交じって鐘家の最期を見届けている、という訳だ。
「ランジュ」
「あっ、パパ!」
作業に向かう途中で、敷地の外からアタシのパパが声を掛けてきてくれた。アタシは周囲の破片に足を取られて転ばないように気を付けながら、パパの元へと駆け寄った。するとパパは。
「ランジュ・・・・・・本当にこれで良かったのかい?」
「へっ?何が?」
「キミは、あっちの方でスクールアイドルをやりたかったんじゃなかったのかい?」
あぁ、そう言う事。なら、アタシの答えは――
「大丈夫よ、パパ。例え今、アタシがスクールアイドルをやってなかったとしても」
「虹ヶ咲の皆との関係が、全部終わった訳じゃないもの」
「そうか。あぁ、キミがそう言うなら、キミの想うがままに進むといい」
「うん!」
距離は離れてしまっても、あの時に繋いだ絆はそう容易く破れない。そう思う。
だから、今はアタシ自身がこの地で鐘家の背負ってしまった贖罪全てをパパと一緒に頑張って頑張って一つずつ解消とはいかなくても、出来るだけ穏便に片づけて。それが一段落付いた暁には。
「――必ずまた、皆に会いに行くからね・・・・・・!」
何年かかるかなんて分からない。でも、いつかは必ずこの願いを果たして見せる。
それが、アタシがあのお台場の地で手に入れた、掛け替えのない絆と思い出と。
たった一つの