戦姫絶唱シンフォギアXDU -孤独な影と運命に捧ぐ鎮魂歌- 作:ヒモトラマンロープ・ダーク
皆様、先日の地震で怪我などされていないでしょうか?
私の住む地域もかなり揺れました。あと今は突風がヤバい。
ウルトラマンゼロ…
…いや、正確には『ZERO SUIT』と呼ぶべきなのだろう。
彼はベリアルを見下ろしながら強く拳を握っていた……。『勇者〈ゼロ〉』と『悪魔〈ベリアル〉』の因縁など少女たちなど預かり知らぬことだが、両者のぶつかり合う威圧はただ見ているだけで息を呑む緊張感が並々ならぬ積み上げられた何かを物語る。
この悪魔と相対する奴は味方なのか? 奏には目まぐるしく変わる自体に頭が追いつかずにいたが、ゼロは彼女に気がつくなり乱暴に叫んだ。
「おい、お前!あぶねえから下がってろ!」
あ、私か? それ以外、この惨劇の舞台で誰がいるというのか… その時だった
「ゼロォ、私を前にして余所見とは良い度胸だな?」
ベリアルがギガバトルナイザーを突きだすや、ゼロの背後にダークロプスが踊り出てバイザーからビームを放つ。不意打ちのつもりだったろうが、ゼロは持っていたスラッガーをビームの射線ピッタリに投げつけて自らを貫かんとするエネルギーの一閃を裂き、そのまま飛んでいった刃はダークロプスの頭を文字通りに兜を割るほどめり込んだ。
この一連の動きは丁度、ベリアルに背中を晒すことになる。待ってましたと言わんばかりに、悪魔は身を滑らせるように距離を詰めてギガバトルナイザーを振りまわす…!
――ガキンッ!!
「!」
しかし、横腹目掛けた一撃は金属音がかえってきただけで肝心の敵には届かない。マントの影に隠れていた翠のクリスタル状の刃が輝く『ウルトラゼロランス』がギガバトルナイザーを受け止めていたのだった。ガングニールに比べれば、遥かに小さく可愛らしいくらいのサイズだが、その分だけ取り回しは段違いでマントで隠しつつ咄嗟の防御などお手の物。右手でウルトラゼロランスで防御しつつ、空いた左腕から銀色に輝くトンファーとランチャーが合体したような武装『ワイドショットMarkⅡ』を装備し砲口からスペシウムの大剣が出現…!
まずい!? 反射的にベリアルは身をよじる。
「エメリウムスラッシュ!」
「くっ!?」
ビュンッ!と光の大剣は空を切った…ベリアルは寸前で逃れ跳び退くも間合いをとることなど許さないとゼロ。ワイドショットMark2を再びマント下に格納しながら、全力で距離を詰めてウルトラゼロランスをマシンガン並々の速さでラッシュを繰り出し、ベリアルもまたギガバトルナイザーで応戦する。
「デェェヤァァァァアア!!!!」
「ぬぅぅぅ!!!!?」
―――…あの悪魔を圧している
響の救助にあたりながらも、奏はゼロの猛烈な攻勢に目を奪われていた…。仮にも、アマルガムまで使った響を完膚なきまでに叩きのめしたあの悪魔をたった単騎で…それに匹敵する否、上回るかもしれない力。あの『ウルトラマン』と名乗る奴は何者…?
「…う」
「立花! 大丈夫か…?」
タイミング同じく、背中に背負った響が呻きをあげる…まだ息はあるし、手当てすればまだ命の危機には至らないだろう。今はここを離れなくては、巻き込まれる危険性は充分に高い。
「デリァッ!」
「ぐぬっ!?」
そんな頭上にゼロが弾いたギガバトルナイザーが宙を舞う。武器を奪われたベリアルに問答無用のウルトラゼロランスが振り下ろされるが右手の鍵爪でガード…更に、空中で回転していたギガバトルナイザーを左手で遠隔で制御し砲撃、自身も爆風を浴びながらもゼロを無理矢理引き剥がす。
「ぐあっ!?」
「フンっ!!」
ゼロもこの拍子にウルトラゼロランスを取り落してしまう。だが、まだワイドショットMarkⅡや素手だけでも充分な武装にもなる。『ジュァッ!!』と拳を構えて尚も相対する勇者に対して、片膝をつきながらも首を軽く振る動作をするだけで悪魔らしく不敵に笑む。
「お前ッ、捜したぞ?『俺達のスーツ』を返しやがれ!」
「並行世界を跨いで追ってくるとはご苦労なことだ! 貴様のスーツも頂くぞ!!」
「…ッ!」
再びベリアルに飛びかかるゼロ… だったが、ダークロプスたちが飛びつき次々と群がって達磨のように鋼鉄の塊が膨らんでいく。恐らく、20は匹敵するような数に雁字搦めにされ身動きがとれなくなってしまう。
「くそ…が…!放し、やがれ…!!」
「これで終わりだ!」
この瞬間を待ってましたと腕を交差させたベリアル。ガングニールのアマルガムすら粉砕したあの光線を放つつもりだ…直撃を受ければ、ウルトラマンスーツとて大破は免れない。
「舐めんなァァァ!!デェェヤァァァァ!!!」
だが、ゼロとて易易と喰らう程に素直ではなく、経験も積んで生き汚いほうである。もう片方にもワイドショットMarkⅡを装備するとスペシウムをジェットのように放射・推進力としてダークロプスの塊ごと回転をかけていく。一瞬で竜巻が起きる程のスピンとなり、そうなればいくらダークロプスとて剥がれ落ちていきベリアルにも数機は飛んでいき怯ませるくらいは出来る。
これだけでは叶わない脱出…ゼロは更にマグマに燃えるように紅の姿へと変えていき…
「ガルネイトォ…バスターッッ!!!」
全力の焔のアッパーでダークロプスの繭をぶち破った。
熱き勇者の拳が邪悪を砕き、崩れ行く兵士たちに悪魔もこれには焦りを覚え後退り…
「…長居しても収穫は無しか。」
「! 待て!」
金色のワームホールを背後に開くなり、撤退の準備をはじめる。追おうとするゼロだが、ベリアルは嘲笑しながら彼方を指差す…
「良いかなァ、ウルトラマンゼロ? 私に構っていて?」
「何? …!」
本部の潜水艦…飛びたっていくウルトラマンたちにダークロプスの小隊。しかも、GINGAとX、ORB、VICTORYは未来やエルフナインを捉えているだけではなく、ダークロプスの中には翼や調に切歌の生体反応もあるとゼロスーツのモニターは映す。最初から狙いはこっちか!
「ちっ!」
悔しいが、人名を疎かには出来ない。ワイドショットMarkⅡをジェットエンジン代わりに噴射…大気を抉るように飛び少女たちの救援に向かう。ワームホールに逃げられたら、手遅れだ。
実に数秒も要らない速度で、一気に迫る…だが、させまいとVICTORYの捨て身の体当たりがゼロの行く手を逸らす。こうなれば、制御が効かない加速のまま本部に突っ込み穴を空けた…。
『撤収ダ。』
襲撃者たちは戦利品をひっさげてワームホールへ去っていく…。エルフナインはもがいていたが、未来はぐったりと動く様子も無い。やがて、金色の時空の歪みの中へ彼等は見えなくなる…。ゼロもなんとか立ち上がるが、不時着の衝撃だけで凄まじいダメージになる…フラフラだ。それでもと、ワイドショットMarkⅡに光を灯さんとするも『ボホ…ボ……』と不完全燃焼の音を立てて沈黙。加えて、力尽きたようにゼロスーツも紅の輝きを失い無機質な鋼色へと変貌した。
「クソ、いつもだったら……余裕なんだけどな…」
呟いたゼロは糸が切れたように倒れる…
ベリアルの姿もまた何処にも無い…
朝焼けの闇と共に消えるワームホールがヒーローたちの敗北を物語る。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「…冗談…でしょ?」
「嘘だと言えよ、オッサン! 先輩たちがそんな簡単にやられるわけが…!」
並行世界から戻ったマリアとクリスを出迎えたのは耐え難い惨状の本部と停泊していた港の有様だった。焼き払われ、切り刻まれ、抉られ、目を覆いたくなるこれらの上に、翼と切歌と調の他にエルフナインまで敵に拉致されてしまったという事実。教える弦十郎としても自らの無力さと悔しさを胸に押し止めるのが限界だ。
「すまない、俺がついていながらこの不始末。敵についてはデータベースを片っ端からあたっているが、わかるのは敵は恐らく『ウルトラマン』関連ということだけだ。それ以外は何も…」
「……マリア! ウルトラマンって奴等の世界に早く行こう!そこなら、何か手掛かりが…!」
すぐに並行世界に向かうことを提案するクリスだが、それをまた『待った』をかけたのも弦十郎…
「待つんだ、クリスくん。手掛かりが全く無いわけじゃない。今、何か事情を知るとおぼしき人物を保護している。どうやら『ブラスト』と『美剣サキ』と名乗っているが、心当たりはないかマリアくん?」
「美剣…!彼女、ここに来ているの?」
驚いた…まさか本当に並行世界の壁を単独で超えてくるなんて。
『ブラスト』なる人物はわからないが、取り敢えず弦十郎に美剣について自分たちがメビウスキラーに襲われた際に助けてくれた人間だと説明。手当てもしてくれたし、諸事情は謎なものの、一応は敵でないと伝える。『なら、こちらも感謝の意を伝えなくてはな』と弦十郎だったが残る問題は…
「ブラストって、誰だよ?」
「さぁ…そっちは私にもわからないわ。」
「どうやら、美剣サキくんと面識はあるみたいだが。彼のおかげで響くんと奏くんは助かったんだ。こちらは『味方のウルトラマン』だと思いたい。医務室でふたりとも休んでいる。」
ブラスト…ゼロスーツを纏っていた男で戦いの末、力尽きていたところをスーツごと保護された。しかし、マリアの記憶にも『ブラスト』なる人物は居ない。ダークロプスの軍勢を退けるだけの力を持つ彼が仮に味方になってくれるならとても心強い…最も協力するかは彼次第なのは念頭に置かねば。
「今、彼も目を覚ましているようだ。マリアくん、戻って早々に申し訳ないが…」
「わかっているわ。私も同行して話をききましょう。」
「アタシもいくぜ。あの無茶好きのバカの様子も気になるしな。」
★ ★ ★ ★ ★ ★
――やれやれ、とんだヘマやらかしたな。
医務室…清潔な白いベッドからむっくりと起き上がった男。彼、『ブラスト』は自分の腕に刺さった点滴の針を抜くなり顔をしかめる。痛みもまあそうだが、自分が見ず知らずの並行世界でまた見ず知らずの組織の世話になっている事実が情けなかったのだ。
そのことはまあ良いとして…。痛みはあれど身体は動くし、真っ直ぐ立てる。お気に入りの眼鏡はベッド脇の棚の上、サラリーマンスーツの上とネクタイは丁寧にハンガーラックに吊るされていた。最後は右腕のブレスレット…銀色に輝いて傷ひとつ無い。
―――仕事道具も含め、諸々は無事か。取り敢えず、ここの責任者に話をしないと…
「……諸星?」
――は?
その時、プシュンと部屋の電子ドアがスライドするとピンクブロンドの見たことない女と鉢合わせ。丁度、眼鏡をかけた自分の顔を見て大変、驚いている… …取り敢えずだ。
「…どちら様?」
感想をくれるとウルトラ嬉しいでございます。