戦姫絶唱シンフォギアXDU -孤独な影と運命に捧ぐ鎮魂歌-     作:ヒモトラマンロープ・ダーク

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※今回の話は小説『ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE〜Episode TIGA〜』のネタバレを含みます。注意してください。




NIGHT MARE/不協和音

 ……暗闇の中

 

 

 淀んで、全てを呑み込むような深海のような広さでありながら、出口の無い密室のように息苦しい。自分は立っているのか、浮いているかすらも定かではない…でも、ずっと視線の先にうっすらと白銀に輝く人影が見える。赤いラインが入ったスラッとする後ろ姿は見覚えがあった…

 

 

「――ウルトラマン?」

 

 

 この単語が指すのは地球に来訪した光の巨人かもしくはそれを模したパワードスーツのこと。目の前の彼は恐らく前者…しかし、こちらに気が付き振り向きはじめると異変に気がつく。

 猫背で頭から背中にかけての鮫のようなトサカと背ビレ、異様に長い腕から爬虫類のような爪が伸びている……。

 

 そして、奴は鋭く紅い眼でこちらを裂けるような笑みで睨む。

 

 

『――見つけたゾォ…』

 

 

「!? う、うああぁあああああああ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧、小僧…! しっかりしろ!」

 

「っ!」

 

 

 怒鳴りながら心配する声に目を覚ました進次郎。覚醒するなり襲いかかる筋肉痛やら倦怠感に呻きながらもガチャガチャとスーツの音を立てながら半身を起こす。目の前にはフェイスを開いた片膝をつくセブンスーツから諸星が顔を見せていた…。声はいつものキレる時の調子だったが、やはりこちらを心配しているようである。例えおっかなくても、先輩なのだ。

 

 …そういえば、俺は元々何をしていたんだっけ?

 

 

「諸星さん…? 俺は……」

 

「記憶が混濁しているのか? スーツの負担が大き過ぎたのかもしれんな。…立てるか?」

 

 

 助け起こされながら思い出す… そうだ、自分は試作ウルトラマンスーツのテストを行っていたのだ。名前は『グランセイバード・スーツ』…開発者のイデさんとヤプール曰く、ULTRAMAN、ver.7、ACEのウルトラマンスーツの性能を文字通りに合体させたスーツなんだとかどうとか。セブンを彷彿させるデザインである紅いスーツでありながら、肩などの甲冑らしいデザインは無くなって青いクリスタル質な滑らかなものとなりシルエットはウルトラマンに近くなった。更に、腕にはACEのぶった斬ってやるギロチン刑装備までついてるだけではなく、腰にはブースターも兼ねる試製スペシウムバスターソードまで…他、色々あげるとキリがない。

 

 実用的なものからロマンまでガン積みのため、スペックが従来のスーツよりかなり高い…‥高いのだが

 

 

「…そうか、俺は模擬戦中に気絶したのか。」

 

「ベースがver.0だ、再構成したとはいえやはり、実機テストは早すぎたんだ。」

 

 

 実はこのスーツ、純粋に3つのスーツを統合させたわけではない。何もかもが別ベクトルの全てを併せるべく素体として採用・再設計されたスーツがある。それは『ver.0』…ULTRAMAN、SEVENのプロトタイプにあたるのだが、あまりにもピーキー過ぎる性能は装着者の負担を全くをもって省みないものであり、年長者である諸星すら実践運用は問題だと示した程。

 

 しかし、グランセイバード・スーツ建造計画において白羽の矢が立ったのはやはり、再評価された高いポテンシャルに開発当時からの技術力の向上と天才異星人技術者・ヤプールの参加に加え、何よりも…過負荷に耐えうる人材…要はウルトラマン因子を持つ進次郎のことが大きかった。

 

 そして、早々と計画書は科特隊上層部や政府の認証を通り、ものの数日で建造許可が降りた。それから、湯水のように投入された玉石混交の資材に人材…溺れてしまうような勢いにかえって、現場は混乱はあったものの作業は急ピッチで進められ、足りないのは唯一の時間のみだったという。

 

 

 

 

 ……で、今日という日。問題が山積みのまま実践テストが強 行するも当初の予定を超える過負荷に進次郎が耐えきれず、検証相手のセブンの一撃を思いっきり脳天に受けて…現在に至る。それでも、痛む頭を押さえながらも立ち上がった。

 

 

「すみません、諸星さん。俺は大丈夫ですから、テストを再開しましょう……うっ!?」

 

「バカ言え。その青白い顔をして続けるのは無理だ。それに、データは充分に摂れたしな…。イデさんにも報告はしてある、今日は下がれ。」

 

「…はい。」

 

 

 結局、諸星に圧されるまま演出ホールを後にする進次郎。装着を解除し、スーツを格納カプセルに転送すると前身黒タイツのようなアンダーの服となる。イデが負担軽減に少しでも役立てればと用意してくれたものだが、結果を出せなかったことに申し訳なく思いながらエレベーターに乗り込む。

 

 

(…イデさんには謝っておかないとな。あ、今なら午後の授業にも少し出られるかも。)

 

 

 今更だが…思い返せば、つい数ヶ月前まではごく普通(※一応)の高校生 だった自分の生活は大きく変わった。ベムラーの襲撃、はじめてのウルトラマンとしての戦いを端に、幾度となく異星人と戦い、時には生死の瀬戸際まで追いつめられたこともある。

 

 我ながら、随分と様変わりしたもんだ。そう思いながら更衣室につづく廊下に出……

 

 

「シンジロー!!」

 

「…うわぁ!?…っと。」

 

 

 腹に突然の衝撃。転ばなかったものの、おたおたとバランスを崩しかけ冷や汗…やれやれ、この娘の元気さを目にしたら考え事なんて何処かに行ってしまう。

 

 

「危ないよ、『キリエ』。廊下は走らない、いきなり人には抱きつかない、約束だったろ?」

 

「エヘヘッ、ゴメンナサイ。デモ、地球ノ言葉ハウマクナッタヨ!」

 

 

 『キリエ』……進次郎に抱きついた癖のついた髪のまだ年端の幼い少女のあくまで地球においての暫定的な名前。…そう、異世界の戦乙女と共に助けたあの『イフロ星人』である。

 本来なら、母星へ帰してあげるか各国いずれかの異星人街へ放りこむべきなのだが、残念ながら宇宙レベルの諸事情から異星人街の治安悪化等により、依る術も生きる全てもない彼女を突き飛ばして再び悪意ある異星人に利用されたら目に手もあてられないと特例で母星へ帰る算段がつくまでにと科特隊にその身をおくことになったのだ。

 

 

「凄いな。でも、あんまり無理しなくて良いからね?」

 

「…ウン!アリガトー…!」

 

 

 

 因みにイフロ星人は歌で会話する種族で地球人のように普通に言語を話すのは難しいらしい。最も、彼等の会話が地球人には歌のように聞こえるだけとイデの談。まあそれで中々、意思疎通がとれず、最初は危うく抹殺対象となるところで戦乙女たちが割って入り最終的に事なきを獲た。

 

 今は地球人の言葉も幾分か喋れるようになり、科特隊の面々からは妹や娘、マスコットのようなポジションにちゃっかりおさまっている。

 

 

「シンジローも、無理シタラ駄目ダヨ?」

 

「…! ありがとう。」

 

 

 そうか、自分を心配してキリエは来てくれたのか。確かに模擬戦中に気絶したとなれば、安否が気になるのは当たり前だろう…かつてはすれ違いで殺し合いになりかけたとはいえ、随分と懐かれたな…

 

 そんな時、慌てた様子でやってくるイデの姿を見た。

 

 

「進次郎くん! 身体は大丈夫かい!?」

 

「平気ですよ。ご心配をおかけしました。」

 

「…そうかぁ! 念の為、精密検査を手配しておいた。万一、君に何かあったらハヤタにあわせる顔が無いからね。」

 

「わかりました。」

 

 

 酷く慌てた様子のイデ… いくら歳の割に元気とはいえ、無理はしてほしくはない。ヤプールもいるとはいえ、科特隊の貴重な技術者であり進次郎とも幼い頃から知り合いなのだから。

 

 取り敢えず、促されるままキリエと一旦別れて精密検査へ。血液、血圧、心拍数…X線から問診まで一通りやって、それから学校の制服に着替えるとイデとキリエにまた合流してまたエレベーターに乗り込む。これで、今日の科特隊の仕事は終わりだ。すると、改まって口を開くイデ…

 

 

「改めて、今日はすまなかった進次郎くん。言い訳になって見っともないが、このグランセイバード・スーツの計画そのものはお偉いさんの適当な思いつきが発端でね…私もヤプールもあまり乗り気じゃなかったんだが、こんなことになってしまった。計画中止の打診をエドを通して何度もしたんだが…聞き届けてもらえなかったんだ。」

 

「イデさんもヤプールも悪くないですよ。きっと、誰が悪いとかそういうことじゃなくて、皆が不安でしようがないんだと思うんです。異星人の暴動やテロも頻発してますし…それに……」

 

 

 数週間前の記憶を辿る進次郎…。

 

 ここから海を渡った先…摩天楼の街・上海市で文字通りの世界の終焉が始まったのだ。 

 

 

 イーヴィルティガとカミーラ率いる闇の勢力により、深淵の儀式が行われ、こちらの世界に権現した邪神ガタノゾーア。奴は己の排出する暗黒で世界を呑み込もうとし、空を覆い尽くした眷属である翼竜ゾイガーの群れが逃げ回る人々を喰らい貪る地獄絵図が繰り広げられ、それにウルトラマンたちは対処にあたる。

 

 この戦いは進次郎の決死の特攻により、邪神の完全な権現は阻止できた……ものの、数万人規模の死者・行方不明者の上に上海市消滅という最悪の爪跡を残す形で幕を引いた。

 

 

「――今は、どんなに小さくても縋る光が必要なんです。どんな闇にも呑まれないために。」

 

「…進次郎くん。」

 

 

 これがキッカケだったんだろう。深淵の闇と蹂躪の恐怖は人々の心を確実に蝕んだ… 死は遠いものじゃない、ある時に何処からともなくやってきて、理不尽に迫る。そこから、怖れが生まれてありもしない影が更に恐怖を駆り立てていく。

 グランセイバード・スーツが創られた理由はそんな恐怖が発端なのか…それとも、闇に抗う意思が火種になったのかは進次郎にはわからない。

 

 

 ただ今は、絶望を祓う希望が…ウルトラマンが必要なんだと。

 

 

 

「…なーんてね。そんなこ難しい顔しないでくださいよ、イデさん。闇の戦士やら邪神やらはもう御勘弁ですけど、必ずしも並行世界から来るのは悪い奴だけとは限りません。現に、それで助けられた命だってありますから。」

 

 

 一転、重くなった空気をぶち壊すべく明るいトーンで話す進次郎。彼の言うとおり、並行世界から来て手をとりあえた者だっていたのは事実…先の事件を共に解決すべく共闘した異界のウルトラマン『TIGA』ことマドカ・ダイゴとユザレ…それに…

 

 

「…シンフォギア装者の娘たちのことかい? 最初は歌って戦うなんてトンチキな娘や兵器を一生、忘れられないと思ってたのに…今じゃ随分と昔に思えるなぁ。まだ一年経ってないんだけど…」

 

 

 目を細めるイデ…進次郎も『本当に色々あり過ぎましたからね。』と苦笑しながらキリエの頭を撫でる。キリエも撫でられたことが嬉しいのか、はたまた恩人であるシンフォギア装者たちの話題が出たからか向日葵のような暖かい笑みだ。

 

 

「あー! あのシンフォギア、今度機会があったら心行くまで調べ尽くしたいものだよ!」

 

「痴漢で訴えられないように注意してくださいよ?」

 

「そうだな? ワハハハハハハ!」

 

 

 他愛もない会話。普通の高校生だったら頃はなんとも思わなかったけど、今はそんな何気ない刹那にさえ安らぎを感じる… 

 

 そんなこんなしている内にエレベーターは目的の地上1階のウルトラマン記念館へ。旧・科特隊基地施設に丸々ウルトラマンや科特隊関連の物や宇宙関連の展示物を並べたこの施設はデートスポットや街合わせ場所、子供たちの遊び場やオタクの溜まり場などなど色々な役割を果たして賑わって…… 心無しか、いつもより人が多いような?

 

 

「なんだか、騒がしいですね…?」

 

「そうだな。今日は平日だし、特別な催し物は無かったはずだが…」

 

 

 不思議に思いながらも、人集りが出来ている場所を背伸びして覗き込む。すると…

 

 

「…はいはい、押さないでー。」

 

「……順番デスよ〜。」

 

 

(え? この声は…!?)

 

 

 聞き覚えがある! 進次郎はすぐに人集りに突撃して平謝りしながら突き進む…掻い潜ったその先、中心にいた少女ふたりはまさに噂をすれば何とやら。

 

 

「…調ちゃんに切歌ちゃん!?」

 

 

 シンフォギア装者の月と太陽の名コンビ、調と切歌だった。

 

 

 

 ……どういうわけか、ウルトラマンスーツギアを纏っていたが。

 

 

 

 

 

 





★ULTRAMANサイド中心から見る時間の説明(※勝手な脳内解釈)

 ベムラー襲来・原作開始
 ↓
 シンフォギアイベント
 ↓
 エースキラー撃破
 ↓(小説世界線に分岐)
 ↓
 並行世界から闇の勢力が侵攻、上海が消し飛ぶ
 ↓
 異星人テロ組織『暗黒の星』によるNYテロ
 ↓(今作に分岐)
 ↓
 グランセイバード・スーツ計画がスタート
 ↓
 S.O.N.G.襲撃(XV後、LOST SONG編開始している?)
 ↓
 な、なんでここにきりしらが!?(※今ここ)


 つまり、ウルトラマン側はニセウルトラマン事件が起きていない。取り敢えず、作者の勝手な脳内解釈だから深く気にしなくておけ。あとイフロ星人の名前は地球人だと発音し辛いので勝手にキリエと命名、公式設定ではないでござるよ。

 グランセイバード・スーツは元ネタはやはり、グランセイバード・ゼロ。実用性と一緒に浪漫も押し込もうとしたら案の定、失敗した。全部乗せは男の浪漫だが、装着したら余裕で死ねる。




 きりしらコンビ、馬鹿な誘拐されたはずでは? 多分、百合の間に何か良い気分な奴が規制している((え))


 
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