「お待たせしました」
カランカラン、と下駄の音を響かせてやってきた彼女を見て、時が止まった。
美しいとか、そんな安直な言葉で表せないほど彼女は綺麗だった。
何事も、全てのことが彼女のためにあるようで、全てが彼女を映えさせていた。
自分の語彙のなさを恥じるくらいに。
本当に、彼女は綺麗だった。
着物。
濃ゆい紫色の着物。
地味目だが彼女が着ると輝いて見える。
下のほうは黒くなっていて、白い線が斜めに入っている。
その上に、花びらが散っている。
この桜の景色のように、彼女を表しているようだった。
帯は薄い黄色で、何かの赤い花を小さくあしらってあった。
骨のような形状、死を誘うような、それでも綺麗だと思った。
上着に黒いストールを羽織っていて、隠された彼女の体に少し興奮してしまう。
髪を括ってまとめ、赤い簪をはめていた。
帯と同じ花で装飾されている。
美しい首筋に目が奪われそうになる。
地味で大人しい雰囲気の服装だが、元が元なだけに、かき消されたりはしておらず、こちらは困惑してしまう。
着物を着ているというだけでなく、彼女のいるこの空間だけ時間が違っているようだった。
「あの」
「は、はい!?」
見惚れていたのを訝しげに思ったのか、彼女が声をかけてくる。
思考が飛んでいたので、まともに応答できなかった。
「何か、おかしいでしょうか・・・?」
不安げな表情に、どきっとする。
彼女の仕草全てに心が動揺する。
「い、いや、着物なんて普通に見れるものじゃないし、ちょっと珍しく、思っただけ・・・」
少しどもりながら返す。
動揺しているように見えなかっただろうか。
すこし、微笑んだ彼女が返す。
「そう、ですね。
確かに珍しいです。
私も着物は初めて着ました」
彼女が上目づかいをしながら、こちらをちらちらと見ている。
どうしたのだろうか。
「初めて、着たの、ですけど」
同じ言葉を繰り返しながら、少しづつ不機嫌になっていく。
むすっとした目でこちらを見ている。
ああ、服の感想を聞いているのか。
女性と関わったことなんて微々たることだったから、情緒がつかめない。
なんて言うべきか。
正直に言うべきなのだが・・・。
時間が止まった。
美しいとか、そんな安直な言葉で表せない。
全てが彼女のためにある。
駄目だ、こんなこと恥ずかしくて言えない。
どうしよう、いやこれくらいならいいだろうか。
「地味だけど、よく似合っていると思うよ」
瞬間、時間が止まった。
「地味・・・、そうですか。
地味さが際立ちますか」
彼女が、すたすたと歩いていく。
こちらを見向きもしない。
足は早く、商店街の方へ向かっていく。
ぽかん、としていた僕だったが慌てて彼女を追いかける。
「待ってよ、ヨシノ!」
声をかけ、停止を促す。
が、返ってきたのはーーー
「知りません!!」
そんな言葉だった。
顔を赤くして、きっ、とこちらを睨みつけている。
可愛らしいそんな仕草に僕がだした考えは、
「照れてるのかな?」
ーーー彼はまだ人の心が理解できない。
着物ださいすかね・・・?
描写が下手ですいません・・・。
ヒガンはあんましまだ心情とかわかってないんすよ。
別にギャグではないです、ちゃんと裏付けがあるんすよ。
分かりにくくて、ごめんなさい。