型月設定のお伽噺   作:linda

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こんにちわ。
毎日一回を目標に更新してます。

今日はちょっと早めに。

相変わらず駄文ですか頑張ってください<m(__)m>


展、その四

ーーー一時間後。

 

カフェに入っても一向に静まらない機嫌をようやく直し、彼女が話しかけてくる。

少し不機嫌だったが。

 

 

「それで、どうしてヒガンはこの国へ?」

 

この前の続きだろう。

あの時は僕が発狂したから、途中で終わってしまっていた。

 

あの時の続きーーーー

 

 

「どうしました、ヒガン?

 お顔が・・・」

 

慌てて、顔に手を当てる。

赤くなっていたようだ。

 

考えただけでこの様、本当にどうしてしまったんだろうか、僕の体は。

 

 

「い、いや、気にしないで・・・」

 

無理矢理つくろって、話し始める。

別に、重要でもないし全部話してしまってもいいだろうーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そのようなことが・・・」

 

終始無言で聞いていたヨシノが終わって呟く。

表情が悲痛に歪んでいる。

 

 

「今まで多くを、自分すらも殺してきて、だからこそ貴方は生に溢れているんですね」

 

「私とはーーー」

 

「え?」

 

彼女が何かを呟いたが、小さすぎて聞こえなかった。

聞き返すが、彼女は首を振った。

 

いい、ということだろう。

 

 

 

真剣な表情だった彼女は急にそれを止め、笑顔になった。

空になったグラスを振りながら、

 

 

「お茶、無くなってしまいましたね。

 そろそろ出ましょうか」

 

「えっ?」

 

名残惜しそうに声を出す僕を見て、また少し彼女は笑った。

 

 

「そんな残念な顔をされなくても、お開きというわけではありませんよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街中を二人で歩く。

コンクリートで整備された無機質な道を、下駄と靴の音が反響する。

 

周囲からは何度も振り返られる。

大方、彼女のせいだろう。

 

ただでさえ目立つ美貌を持っているのに、その上場違いな着物。

目立ってしまうのは当然だと思った。

 

 

「どうして、着物を着てきたの?」

 

我慢できず聞くと、彼女は少し不機嫌になった。

先ほどのことを根に持っているのだろう。

 

 

「い、いや、似合ってるよ?

 似合っているんだけど、どうしてそんな場違いなっていうか、目立つような服をって・・・・」

 

びくびくしながら、懸命に言葉を紡いだ。

何かと話すのは慣れてない。

 

でも、前よりは分かる気がする。

 

 

「この服は、私の恩人が勝負事の時に着ていきなさいと・・・」

 

顔を赤くして上目づかいに見てくる。

さっきと同じ仕草だが、意味は違うように感じた。

 

それでも、僕に言葉の意味を理解することは出来なかった。

 

勝負事、彼女は何と勝負するのだろう・・・?

 

僕が分からないからこそ、彼女は告げたのだろう。

 

悩む僕を、ほほえましく見ながら彼女は先を歩いていく。

並びたくて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼前に出てきたはずなのに、知らぬ間に夜になっていた。

 

いろいろな場所を歩いた。

露店からデパートまで。

歩きずくしだったが、彼女の隣にいることが嬉しかった。

 

 

二人で公園のベンチに座り、星空を眺める。

 

妙に落ち着く。

早い鼓動が、心地よい。

 

この二日で君にたくさんの物を貰った。

 

空は相変わらず、星がほとんど輝いていないが。

 

ーーー一点の光だけで、こんなにも美しいなんて知らなかった

 

ーーー自分の存在を認めて貰えることがこんなにも嬉しいと知らなかった

 

 

 

「ヒガン、これを」

 

ヨシノが何かを渡してくる。

細長い木箱のようだ。

 

中を開けて確認すると、ナイフのようだ。

 

黒い刀身。

花の、彼女の簪と同じモノが刻まれていた。

己を表しているようだ。

死の象徴。

 

 

「魔除けの加護があります。

 できれば、大切に持っていてくださると嬉しいです」

 

誰かに物を貰うのは初めてだった。

 

それがナイフ。

ロマンに欠けていたが、嬉しいことに変わりなかった。

 

笑いながら、こちらも隠していたものを取り出す。

ご丁寧に袋に包んでプレゼント用にしてもらった。

 

 

「これは?」

 

自分にあるとは思っていなかったのだろう、驚きながらも嬉しそうに口元を緩ませている。

 

開けてごらん、と促す。

ゆっくりと彼女が包装を解き、箱を開ける。

 

 

「わぁ・・・」

 

簪。

黒い本体、少し自分を意識して気持ち悪い。

それでも一番似合うと思った配色だった。

 

本体の後ろ。

部位の名称なんて知らないがそこに主役がいる。

 

白い花。

彼女の花。

何にも染まっていない、純潔。

 

 

顔を赤くしながら、彼女の感想を待つ。

 

 

「私、絶対に大切します!

 一生、絶対、絶対に・・・」

 

泣き出しそうな彼女がいる。

そうしてしまったのは自分だろう。

 

貴方が僕のせいで感情を変えてくれるのが嬉しくてたまらない。

貴方が僕のことを考えてくれるのが狂おしくてたまらない。

 

 

ーーー誰かを思うことが、こんなに心地いいなんて知らなかった

 

 

君は美しい。

時が止まってしまうほどに。

 

溢れ出る自分の想いに歯止めがきかない。

 

 

言ってしまう。

駄目だ、無駄に決まってる。

 

言ってしまう。

彼女の気持ちを考えろ。

 

言ってしまう。

こんな醜いモノに言われて嬉しいわけがない。

 

止められない。

 

 

 

ヨシノ、僕は君のことがーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「それは、ふざけてるんですよね。

 ねぇ、先生?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街灯の上。

そこに、彼女がいた。

 

ーーーーーヨシノと全く同じ顔をした女が美しい笑いを浮かべていた

 

 

 

 




日常編は嫌いなんで、この辺で簡単に終わらせました。

展開遅くてすいません。


路線変えて、作り手を下種から変えようかと思案中。
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