型月設定のお伽噺   作:linda

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一応、活動報告のところにキャラ紹介を書きました。
ほとんどちゃんと書けてないので、本当に困った方のみで。



展、その七

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

ヨシノを抱えて逃げ続ける。

 

街灯のついた街を駆け続ける。

全ての物が過去に飛ぶように遠ざかっていく。

 

夜の人波を抜けて、ただ先へと。

人の痕跡が後ろへ駆け抜けていく。

 

目指しているものは無い。

ただ女の勢力範囲外を求めた。

 

 

 

 

 

一先ず身を隠さなくては、と思いたどり着いたのは町はずれのホテルだった。

自分が泊まっていたホテルは商店街の中だ。

街を熟知している彼女の家も街中にあると思い、除外した。

 

消去法で、女の意識外で身を隠せる場所といったらこういった場所くらいだった。

 

ヨシノを下ろしてそのうちの一つを見る。

 

外観は、普通のホテル。

 

五階建てくらいのビルの高さ。

部屋数は30ほどだろう。

 

汚らしい筆記体の英語で名前が三階ほどの高さに下げられている。

日本じゃよくあることだ。

スペリングが滅茶苦茶で解読ができなかった。

 

入り口付近には、旬のサービス料理が記された看板が立てられている。

聞いたこともない文字の羅列だった。

関係ないと完結させて殺した。

 

思考するまでもなく中へ入る。

部屋が空いていればいいのだがーーー

 

手が引っかかる。

見ればヨシノが赤い顔で渋っていた。

 

少女の外見と時代離れした服装に、お姫様を誘拐してきたような感情が湧いてくる。

それでも、今は付き合っているわけにはいかなかった。

何はともあれ、彼女が狙われていたのだ。

 

 

「今は・・・、話は中で落ち着けてから」

 

無理矢理に手を引く。

魔眼(自分)が盗られて動揺していたのだろう、優しくしてあげられなかったことに心が締め付けられた。

 

 

 

 

 

 

自動ドアを抜けてフロントに歩く。

 

フロントは入って正面に続く道の右手にある。

道はそこまで広くなく、少し閉塞感に駆られ、内装の悪さを歯噛みした。

 

左手には空間があり、ロビーが設けてあった。

ソファーが四つほどと、壁掛けテレビ。

立ち見している者も含めて十人ほどいたが、こちらに見とれていた。

 

彼女をロビーから見えないように隠すと、チェックインを済ます。

男の受付が一瞬羨望の目を向けるが、俺の目を見て業務に戻る。

 

三階からが宿泊施設らしく、二階での食事を勧められたが断る。

軽い軽食を運んでもらうことにした。

 

夫婦用のような、寝具が一つの部屋しか空いてないらしい。

彼女に確認すると俯いて、こくんと首を動かした。

 

404号室、と告げられ彼女を優しく引いてエレベーターに乗った。

 

 

部屋に着くまで終始無言で彼女はこちらの様子を窺っていた。

何か思うところがあったのだろう。

 

それはこちらも同じだ。

しかし、まだそんな話をするわけにはいかず、黙殺した。

 

 

 

 

 

扉を閉じて、鍵を閉める。

魔術師にはないも同然だが一応ドアチェーンもかけておく。

 

入って真っ直ぐ行くとダブルベッドが一つだけあった。

 

この際だ、自分は寝なくても良い。

見張りで一晩中起きておくかと思った。

 

入った瞬間口を開くかと思っていたが思いのほか静かで、荷物を下ろすと彼女は部屋の隅に座り込んだ。

体を両手で抱え、こちらを見つめてくる。

 

怯えていた。

 

一歩近づくと、びくりと体を震えさせる。

 

突然の襲撃にになのか、自分と一晩を明かさなければならないことか、分からなかった。

少しは感情というものを理解はできるが、性別の違う彼女をどうしたらいいか分かりはしなかった。

 

落ち着ける時間を与えたかったが、ここで彼女から離れるわけにはいかなかった。

襲撃はいつ来るかわからない。

 

女は明らかにヨシノを狙っていた。

結果的に魔眼は奪われたが、目的が何なのかを知る前には警戒を解くわけにはいかない。

 

 

「あのさ」

 

「っ!?」

 

再び彼女の方が揺れる。

自分が声を出しただけでもここまで怯える彼女に俺は何も言えなくなった。

 

 

自分は浴室にこもっているという旨を伝えて、踏み出したとき服を掴まれた。

彼女は、震えながらも、怯えながらも、それでもきちんと声を出した。

 

 

「お願い、します・・・、そばに、いてください」

 

それは弱弱しく、消えそうな声だった。

それでも懸命に、耐える彼女に再び何も言えなかった。

 

 

ベッドに彼女を座らせ、隣に腰掛ける。

手を握ってくる。

 

彼女の手は恐ろしいほど冷たくて、ぞっとした。

明確な殺意を受けたのは初めてだったのだろう。

 

俺の時は考える暇なんて無かったのだろうし。

 

無言で、手を握り返す。

相変わらずびくびくしていたが、震えが少しだけ止んだ気がした。

 

 

 

 

彼女がどちらに怯えているのか、何が彼女を震えさせているのか分からなかったが、つながった熱は何かを語ってくれたようだった、

 

嬉しいことなんて何もない、俺は彼女を護れていなかった。

護る術も奪われ、無様に這いつくばった。

 

君をこんな風にさせたのは俺だ。

 

だから、俺は俺を許さない。

 

手は相変わらず止まない。

振動の一回一回が感情を揺さぶった。

 

心が痛い。

こんな痛みに比べるならあの頭痛もないも同然だった。

 

 

 

心でつぶやく。

戒めるように。

 

絶対に許すな。

 

己を。

 

絶対に忘れるな。

 

この感情を、刻み付けろ。

 

繋いだ手の温度を。

 

 

 

 

 

 

 

 

必ず、殺してーーーーー

 

 

 

こてん、と腕に何かあたると、そのまま全体に重さがかかる。

静かな息遣いが聞こえてくる。

 

目元には彼女の恐怖が流れ出していた。

怯えの塊は頬を伝って、俺の心に響く。

 

起こさないように彼女をベッドに寝かせ、毛布を掛ける。

拭った雫は何かを与えてくれた。

 

椅子を引いて傍らに座る。

空いた手で髪を撫でる。

それだけでも表情は軽くなった。

 

握った手は温かい。

彼女の全てが俺に何かを与えてくれた。

 

 

 

戒める。

 

俺はーーー

 

必ずーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー君を護る。

 




現在、かき方を模索中です。
がんばります。


女がヨシノを狙ったのは、ヒガンが護ることに釘付けになることからです。
もともと、魔眼を奪うことが女の目的でした。

分かりにくくてすいません。







あと別にラ○ホ街ではないです。
普通のホテルです。

てか入ったことなんてないです。
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